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032_弟子
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032_弟子
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おかしい……。
なんでこうなった……?
俺はこうなって良かったのか?
目の前には優雅にショートケーキを口に運ぶリーン様の姿がある。
しかも国王まで一緒だ。
「スピナーよ。リーンを頼むぞ」
「は、はぁ……」
「なんだその腑抜けた返事は。陛下に失礼であろう!」
パパが背中をバンッと叩いてくる。
「陛下申しわけありませぬ。スピナーは世間知らずのまだ子供です。お許しください」
「よいよい。リーンの婿になる者だ、多少のことは無礼講といたす」
「寛大なるご配慮をいただき、感謝の言葉もございません」
パパが俺の頭を押えて下げさせる。
礼くらい自分で言えるが、なんだか納得がいかないんだよ。
俺、リーン様と婚約したらしい。
今日は婚約の内祝いで、国王とリーン様がうちにやって来た。
あの日、リーン様とカフェで話をした直後、婚約話がとんとん拍子に進んでしまったのだ。
俺はあれで諦めると思って話をしたんだが、逆にリーン様のスイッチが入ってしまったようだ。
「本当によろしいのですね? 平民になるのですよ」
リーン様と国王に念を押す意味を込めて確認した。
彼女はその金色の瞳を俺に真っすぐ向けて頷いた。
「わたくし、王族や貴族の地位に未練はありませんわ」
迷いも憂いもない眼差しだ。俺と違って王族や貴族籍を抜くことなど考えてなかったはずなのに、どうしてそんな覚悟ができたのかは分からない。しかしここまで言われたら俺も男だ、覚悟を決めないとリーン様に失礼になる。
「分かりました。リーン様がそこまで覚悟しておいでなら、俺も腹を決めました。これからよろしくお願いします」
「はい。こちらこそよろしくお願いいたします」
2人して頭を下げ合った。
これで俺も婚約者持ちか。国王の紐付きなのは、しょうがない。諦めよう。さすがに父親と縁を切れとは言えないし。
「そう言えば、聞いたぞ。試験はダントツのトップだったそうじゃないか」
国王がにまにましている。それ、まだ発表されてない情報なんだけど。当人の俺も知らないし。
「ぼちぼちです」
「ははは。そうか、ぼちぼちか。ぼちぼちでダントツトップの成績が収められれば言うことなしだ」
国王が大笑いしている。俺も笑ってやれ。
「「わーっはっははは」」
2人で大笑いしていると、パパが肘鉄してきた。痛いんですけど。
さて、国王は帰って行った。リーン様は残った。俺の前で優雅にお茶を飲んでいる。
「スピナー様にお願いがあるのです」
「なんでしょうか?」
「わたくし、その……」
言いにくいことがあるのか?
「正直に申しますが、お怒りにならないでください」
「何か分かりませんが、どうぞ言ってください」
「それでは言いますが……わたくし……その……クモが苦手なんです」
「……それで?」
「え? クモが苦手なんですよ?」
「俺が【クモ使い】の加護を持っているからといって、リーン様にクモを好きになれなんていいませんよ?」
「え? そうなのですか?」
「そもそも俺だって嫌いなものはたくさんあります」
貴族とか貴族とか貴族とかだな。
冗談はさておき、俺が好きだから他の人も好きだなんて思わないよ。その逆もね。
「リーン様がクモが嫌いだと言うのなら、無理に好きにならなくてもいいです。人にはそれぞれ好悪あるものですからね」
「本当にいいのですか?」
そんな上目遣いで聞かなくても、嘘は言わないよ。
「まあ、いきなり攻撃したり殺したりするのは勘弁してほしいですけどね」
そんなことをする奴は碌な奴じゃない。
「そのようなことは!」
「じゃあ問題ないです。無理にクモを好きになろうとしなくてもいいですよ。俺のミネルバと他のクモたちは、人の目につかずに動けますので」
ミネルバに育てられたクモたちも順調に成長してCランクの魔物に存在進化している。
またグレディス大森林に赴いて魔物を狩ろうと思っている。
「わたくし今すぐには無理ですが、必ずクモが大丈夫になります」
「無理しなくていいのですよ。俺も無理しないために平民になるんですから」
「はい。無理しません。ですから、わたくしにスピナー様とクモちゃんたちのことをもっと教えてください」
リーン様はなんだか変わったように見える。よく分からないけど、以前よりもキラキラしていると思う。
「今、料理の手ほどきを受けているのです。わたくしこれまで料理をしたことがないので、とても新鮮ですわ。今度わたくしの手料理を食べてくださいますか?」
王宮は国内から腕利きの料理人を集めているから、さぞ良い環境で料理を学んでいるんだろう。
「ええ、もちろんです」
「嬉しいですわ。今度市井の料理も学んでみたいですわね」
「それはいい。俺は気を使う宮廷料理よりも、平民たちが食べるようなジャンクフードのほうが好きだし」
「まあ、ジャンクフードですか。それはいったいどんな料理なのですか?」
ジャンクフードも知らないのか。さすがは姫様だ。って、それを言ったら俺も公爵令息なんだけどさ。
「それじゃあ、食べに行きますか? 平民になるなら、市井のことを知るのはいいことです」
「連れて行ってくださるのですか!?」
「リーン様がよろしければ」
「是非、お願いいたします」
そこで騎士パルマーが進み出た。
「殿下。今日は護衛の手配が間に合いませんので」
警備の関係で今日は止めろと騎士パルマーは言う。いずれ平民になるにしても、今は王族だから警備の問題はついて回るか。
「わたくしは平民になる身です」
「今は王女殿下です」
騎士パルマーは一歩も引かない。護衛としては当然だな。
「それではこうしましょう。国王陛下に外出の許可を得ましょう。それならパルマー様もダメとは言えませんから」
「今日は行けませんか?」
「あまり皆を困らせてはいけませんよ」
「……分かりました。お父様にお願いしてから外出します」
素直でよい。あれだったら、買って学園に持って行くからさ。
学園に行くと、騒々しかった。そうか、試験の成績が発表される日だったな。
「ししょーっ! ぐはっ……」
ズバーンッと俺に飛び込んできた奴が居たから蹴り飛ばしたら、街路樹をへし折って止まった。
「「「賢者様っ!?」」」
騎士たちがそいつを助け起こす。
「なんだマグワニスか」
「酷いですぞ、師匠」
「叫びながら突っ込んできたら誰でもぶっ飛ばすだろ」
世間では賢者などと言われているマグワニスだが、俺にしてみれば探求心旺盛な老人でしかない。
「なんでお前が学園に居るんだ? 臨時講師か?」
「何を仰いますか。この学園の教師が隷属魔法を使うため、捕縛に参った次第です」
「なるほど。まだあいつはこの学園に居たのか。教師だけでなく学園長もクズのようだな」
「師匠が隷属魔法と言えば、隷属魔法です。それをあーだこーだと理由をつけて無視している奴らですからな。しかしそれも今日までです。ゴミクズ共は皆捕縛いたしますぞ、師匠」
「分かったから、怒鳴るな。俺の耳はしっかり聞こえてるからさ」
自分の耳が遠いから大声になるのは、老人の証拠だぞ。まあ、マグワニスは70を超えた老人だけど。
「俺は教室に行くから、がんばれよ」
「承知したのです!」
ダーッと走っていく。元気な年寄りだ。
「知っていて蹴りましたよね?」
ロックが半眼で見て来る。
「あいつに甘い顔すると、もっとウザいからあれくらいで丁度いいんだよ」
以前少し古代魔法文字を教えてやったら、懐かれてしまった。それ以来俺を師匠とか呼ぶんだよ。何度も師匠と呼ぶなと言っても、止めない。迷惑しているんだぞ、これでも。
教室に入ると視線が集まる。殺気を向けて来る奴は覚えておくからな。俺はこういうことの記憶力はいいんだぞ。
「おはようございます。スピナー様」
「おはようございます」
早々にリーン様から挨拶された。今日も綺麗だが、いつも以上に美しい。
「師匠。おはようございます」
「おはよう、ジョナサン。師匠と呼ぶなと言っているだろ」
「ですが、師事した以上はケジメですから」
こいつも俺のことを師匠と呼ぶ。ぶっ飛ばしていいか?
「スピナー様は成績発表を見ましたか?」
「いえ、興味ないので」
「うふふふ。本当に興味なさそうですね」
こんなところで知識の優劣や戦闘の優劣を競ってなんの意味がある。それが役に立つと大人たちは言うが、こんなことで子供たちの才能を伸ばせると信じているから性質が悪い。
子供の才能を伸ばすなら、個別の教育が必要だ。才能に合った教育だ。それができる優秀な教師も必要だ。そういったことが分からない奴らは一律の教育を施し、無駄な順位付けをする。
「ジョナサン様は随分とスピナー様と仲がよろしいのですね」
「師匠の弟子にしていただきましたので!」
「わたくしも弟子にしてもらいましょうか」
「王女殿下ならきっと良い弟子になりますよ!」
勝手に話を進めるな。
「王女殿下ともあろう方が、何を仰るのか」
「あら、何か問題でもありまして、ナルジニア様」
金髪イケメン野郎が出て来たぞ。
「リーン殿下は【魔女】なのですよ。そんなテイマー如きに師事するなどあり得ないことです!」
「あら、わたくしはたしかに【魔女】ですが、成績はスピナー様のほうが上ですよ。それはここに居る全員に当てはまることではないですか?」
「くっ、あれは何かの間違いです!」
「間違いであってもそれが現実です。受け入れる度量を持ったほうがよろしいですわよ」
ナルジニアは悔しそうに引いた。俺に負けたのが悔しいのか、それともリーン様が俺の弟子になるのがいけないと言うのか。
どんなことでもいちゃもんをつける奴はいくらでも居るからな、ナルジニアもそういった奴なんだろう。
授業中、どこからか爆発音が聞こえてきた。睡眠の邪魔だから、静かにしてほしいものだ。
032_弟子
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なんでこうなった……?
俺はこうなって良かったのか?
目の前には優雅にショートケーキを口に運ぶリーン様の姿がある。
しかも国王まで一緒だ。
「スピナーよ。リーンを頼むぞ」
「は、はぁ……」
「なんだその腑抜けた返事は。陛下に失礼であろう!」
パパが背中をバンッと叩いてくる。
「陛下申しわけありませぬ。スピナーは世間知らずのまだ子供です。お許しください」
「よいよい。リーンの婿になる者だ、多少のことは無礼講といたす」
「寛大なるご配慮をいただき、感謝の言葉もございません」
パパが俺の頭を押えて下げさせる。
礼くらい自分で言えるが、なんだか納得がいかないんだよ。
俺、リーン様と婚約したらしい。
今日は婚約の内祝いで、国王とリーン様がうちにやって来た。
あの日、リーン様とカフェで話をした直後、婚約話がとんとん拍子に進んでしまったのだ。
俺はあれで諦めると思って話をしたんだが、逆にリーン様のスイッチが入ってしまったようだ。
「本当によろしいのですね? 平民になるのですよ」
リーン様と国王に念を押す意味を込めて確認した。
彼女はその金色の瞳を俺に真っすぐ向けて頷いた。
「わたくし、王族や貴族の地位に未練はありませんわ」
迷いも憂いもない眼差しだ。俺と違って王族や貴族籍を抜くことなど考えてなかったはずなのに、どうしてそんな覚悟ができたのかは分からない。しかしここまで言われたら俺も男だ、覚悟を決めないとリーン様に失礼になる。
「分かりました。リーン様がそこまで覚悟しておいでなら、俺も腹を決めました。これからよろしくお願いします」
「はい。こちらこそよろしくお願いいたします」
2人して頭を下げ合った。
これで俺も婚約者持ちか。国王の紐付きなのは、しょうがない。諦めよう。さすがに父親と縁を切れとは言えないし。
「そう言えば、聞いたぞ。試験はダントツのトップだったそうじゃないか」
国王がにまにましている。それ、まだ発表されてない情報なんだけど。当人の俺も知らないし。
「ぼちぼちです」
「ははは。そうか、ぼちぼちか。ぼちぼちでダントツトップの成績が収められれば言うことなしだ」
国王が大笑いしている。俺も笑ってやれ。
「「わーっはっははは」」
2人で大笑いしていると、パパが肘鉄してきた。痛いんですけど。
さて、国王は帰って行った。リーン様は残った。俺の前で優雅にお茶を飲んでいる。
「スピナー様にお願いがあるのです」
「なんでしょうか?」
「わたくし、その……」
言いにくいことがあるのか?
「正直に申しますが、お怒りにならないでください」
「何か分かりませんが、どうぞ言ってください」
「それでは言いますが……わたくし……その……クモが苦手なんです」
「……それで?」
「え? クモが苦手なんですよ?」
「俺が【クモ使い】の加護を持っているからといって、リーン様にクモを好きになれなんていいませんよ?」
「え? そうなのですか?」
「そもそも俺だって嫌いなものはたくさんあります」
貴族とか貴族とか貴族とかだな。
冗談はさておき、俺が好きだから他の人も好きだなんて思わないよ。その逆もね。
「リーン様がクモが嫌いだと言うのなら、無理に好きにならなくてもいいです。人にはそれぞれ好悪あるものですからね」
「本当にいいのですか?」
そんな上目遣いで聞かなくても、嘘は言わないよ。
「まあ、いきなり攻撃したり殺したりするのは勘弁してほしいですけどね」
そんなことをする奴は碌な奴じゃない。
「そのようなことは!」
「じゃあ問題ないです。無理にクモを好きになろうとしなくてもいいですよ。俺のミネルバと他のクモたちは、人の目につかずに動けますので」
ミネルバに育てられたクモたちも順調に成長してCランクの魔物に存在進化している。
またグレディス大森林に赴いて魔物を狩ろうと思っている。
「わたくし今すぐには無理ですが、必ずクモが大丈夫になります」
「無理しなくていいのですよ。俺も無理しないために平民になるんですから」
「はい。無理しません。ですから、わたくしにスピナー様とクモちゃんたちのことをもっと教えてください」
リーン様はなんだか変わったように見える。よく分からないけど、以前よりもキラキラしていると思う。
「今、料理の手ほどきを受けているのです。わたくしこれまで料理をしたことがないので、とても新鮮ですわ。今度わたくしの手料理を食べてくださいますか?」
王宮は国内から腕利きの料理人を集めているから、さぞ良い環境で料理を学んでいるんだろう。
「ええ、もちろんです」
「嬉しいですわ。今度市井の料理も学んでみたいですわね」
「それはいい。俺は気を使う宮廷料理よりも、平民たちが食べるようなジャンクフードのほうが好きだし」
「まあ、ジャンクフードですか。それはいったいどんな料理なのですか?」
ジャンクフードも知らないのか。さすがは姫様だ。って、それを言ったら俺も公爵令息なんだけどさ。
「それじゃあ、食べに行きますか? 平民になるなら、市井のことを知るのはいいことです」
「連れて行ってくださるのですか!?」
「リーン様がよろしければ」
「是非、お願いいたします」
そこで騎士パルマーが進み出た。
「殿下。今日は護衛の手配が間に合いませんので」
警備の関係で今日は止めろと騎士パルマーは言う。いずれ平民になるにしても、今は王族だから警備の問題はついて回るか。
「わたくしは平民になる身です」
「今は王女殿下です」
騎士パルマーは一歩も引かない。護衛としては当然だな。
「それではこうしましょう。国王陛下に外出の許可を得ましょう。それならパルマー様もダメとは言えませんから」
「今日は行けませんか?」
「あまり皆を困らせてはいけませんよ」
「……分かりました。お父様にお願いしてから外出します」
素直でよい。あれだったら、買って学園に持って行くからさ。
学園に行くと、騒々しかった。そうか、試験の成績が発表される日だったな。
「ししょーっ! ぐはっ……」
ズバーンッと俺に飛び込んできた奴が居たから蹴り飛ばしたら、街路樹をへし折って止まった。
「「「賢者様っ!?」」」
騎士たちがそいつを助け起こす。
「なんだマグワニスか」
「酷いですぞ、師匠」
「叫びながら突っ込んできたら誰でもぶっ飛ばすだろ」
世間では賢者などと言われているマグワニスだが、俺にしてみれば探求心旺盛な老人でしかない。
「なんでお前が学園に居るんだ? 臨時講師か?」
「何を仰いますか。この学園の教師が隷属魔法を使うため、捕縛に参った次第です」
「なるほど。まだあいつはこの学園に居たのか。教師だけでなく学園長もクズのようだな」
「師匠が隷属魔法と言えば、隷属魔法です。それをあーだこーだと理由をつけて無視している奴らですからな。しかしそれも今日までです。ゴミクズ共は皆捕縛いたしますぞ、師匠」
「分かったから、怒鳴るな。俺の耳はしっかり聞こえてるからさ」
自分の耳が遠いから大声になるのは、老人の証拠だぞ。まあ、マグワニスは70を超えた老人だけど。
「俺は教室に行くから、がんばれよ」
「承知したのです!」
ダーッと走っていく。元気な年寄りだ。
「知っていて蹴りましたよね?」
ロックが半眼で見て来る。
「あいつに甘い顔すると、もっとウザいからあれくらいで丁度いいんだよ」
以前少し古代魔法文字を教えてやったら、懐かれてしまった。それ以来俺を師匠とか呼ぶんだよ。何度も師匠と呼ぶなと言っても、止めない。迷惑しているんだぞ、これでも。
教室に入ると視線が集まる。殺気を向けて来る奴は覚えておくからな。俺はこういうことの記憶力はいいんだぞ。
「おはようございます。スピナー様」
「おはようございます」
早々にリーン様から挨拶された。今日も綺麗だが、いつも以上に美しい。
「師匠。おはようございます」
「おはよう、ジョナサン。師匠と呼ぶなと言っているだろ」
「ですが、師事した以上はケジメですから」
こいつも俺のことを師匠と呼ぶ。ぶっ飛ばしていいか?
「スピナー様は成績発表を見ましたか?」
「いえ、興味ないので」
「うふふふ。本当に興味なさそうですね」
こんなところで知識の優劣や戦闘の優劣を競ってなんの意味がある。それが役に立つと大人たちは言うが、こんなことで子供たちの才能を伸ばせると信じているから性質が悪い。
子供の才能を伸ばすなら、個別の教育が必要だ。才能に合った教育だ。それができる優秀な教師も必要だ。そういったことが分からない奴らは一律の教育を施し、無駄な順位付けをする。
「ジョナサン様は随分とスピナー様と仲がよろしいのですね」
「師匠の弟子にしていただきましたので!」
「わたくしも弟子にしてもらいましょうか」
「王女殿下ならきっと良い弟子になりますよ!」
勝手に話を進めるな。
「王女殿下ともあろう方が、何を仰るのか」
「あら、何か問題でもありまして、ナルジニア様」
金髪イケメン野郎が出て来たぞ。
「リーン殿下は【魔女】なのですよ。そんなテイマー如きに師事するなどあり得ないことです!」
「あら、わたくしはたしかに【魔女】ですが、成績はスピナー様のほうが上ですよ。それはここに居る全員に当てはまることではないですか?」
「くっ、あれは何かの間違いです!」
「間違いであってもそれが現実です。受け入れる度量を持ったほうがよろしいですわよ」
ナルジニアは悔しそうに引いた。俺に負けたのが悔しいのか、それともリーン様が俺の弟子になるのがいけないと言うのか。
どんなことでもいちゃもんをつける奴はいくらでも居るからな、ナルジニアもそういった奴なんだろう。
授業中、どこからか爆発音が聞こえてきた。睡眠の邪魔だから、静かにしてほしいものだ。
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