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第七章

あと一歩の距離③

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「身なりも身のこなしもどこか品があるし、かなりのイケメンだし、ネット検索したら出てきそう」
「考えたこともなかった……」
「だよね。相手を知るのも大事かもよ?」

 確かに彩葉の言うことも最もだ。怜は子供の存在を知らないが、桂の父親であることは間違いない。

 さくらは、準備の手を止めパソコンを開く。彩葉もその様子を見守っている。『れい イケメン 王子』とそのまま打ってみた。アバウトな検索にも関わらず一瞬にして知りたい情報が溢れ出す。

「「……」」

 二人でパソコン画面を見つめ息を飲む。

「さくらちゃん、この人よね?」
「は、はい」
「ここに来たのも彼」

 パソコン画面にドドンと表示されている男性を指差す。

「か、神楽坂怜……」
「神楽坂グループの御曹司……」

 二人は、思った以上の大物に恐れおののく。だが、画面を見た桂がパソコンに手を伸ばし「あー、あー」と声を出している。

「「……」」

 桂には何か感じるのだろうか……。

 相手を知り余計に複雑になった。どうしたらいいのだろうか……。

「実は、私が働いていた田崎ホールディングスは、神楽坂グループの傘下だったんです。だから、あの日怜さんはあのホテルにいたんですね。あの時、どこかで見たことある気がしたのも納得です」

 さくらが田崎ホールディングスに入社した際、神楽坂グループのことも学んだ。当時は、社長ではなかったはずだが、写真ででも見たのだろう。凄く若い人がいると思った記憶が薄っすらだが残っている。

 神楽坂グループの御曹司とは知らなかったが、相手にしたらまさか自分の遺伝子を持つ子供がいるとは思いもしないだろう。

「彩姉、桂の存在を知られたらまずくない?」
「あの様子だったら、さくらちゃんに会いたいんだと思うけど……。桂の存在を知っても、まさか子供だけ奪おうとはしないでしょう」
「記事を見る限り独身みたい。婚約者とかいてもおかしくないでしょう?私、婚約者で痛い目にあってるから、跡継ぎとか御曹司は……」
「さくらちゃんの不安な気持ちもわかるわ。辛い思いしたもんね。神楽坂さんも、遊びに来た訳ではなさそうだったし、様子を見るしかないのかな。こちらから会いにいくのもおかしいしね」

 そんな気はなくても、会いに行けば財産目当てだと言われかねない。

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