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第八章

二人の人生が交わる瞬間⑥

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 彩葉の方も、まさか待ち伏せされているとは思わず、反応に困る。彼らは、どうしてここに来たのだろうか。

「ここに、さくらがいますね」

 先日は、探していると言っていたが、今は確信しているようだ。

「どうして……。先日、お答えしたはずですが?」
「ここでさくらに会ったって人が居ましてね」
「……」

 彩葉は、さくらの元カレを奪った派手な女を思い出す。まさか、彼女から話が伝わるなんて思いもしていなかった。でも、他に考えられない。

 間もなくさくらも桂を連れて部屋から出てくる時間になる。その前に確認はしておきたい。

「神楽坂さん」
「えっ!?どうして、名前……」
「先日、あなたが来られてさくらちゃんのことを探しているようだったので、調べさせてもらいました」
「さくらは、俺のことをどこの誰か知らなかった?」
「ええ。パーティーの夜に知り合った男性としての認識でした」
「そうか……」
「で?今更どうしてさくらちゃんを?」
「今更?俺はあの夜からずっとさくらを探している」
「えっ!?一夜の関係じゃなかったんですか?」
「俺は、そんなつもりはなかった。さくらと生涯共にするつもりで、翌朝改めて話をしようと思ったら……」
「さくらちゃんがいなかった」
「ああ。このニ年、さくらを忘れたことはない」

 彩葉は、目の前のイケメン王子が少し気の毒になった。完全なすれ違いではないか。

 さくらも、時々王子そっくりの桂を見ては、切ない表情を見せることがある。一夜限りの相手だと割り切っているように見えて、心の中には王子の存在が大きく残っているのだろう。

「さくらちゃんに会ってどうするつもりですか?」
「俺は、これからの未来、さくらと俺達の子と幸せに暮らしたい」
「ええっ!?お、俺達の子!?」

 彩葉は、王子の子だと知っているが、彼はどうして断言出来るのだろうか?さくらに子供がいるのは聞いたかも知れないが、あの女は子供の存在を知っただけで、王子の子だとは知らないはずなのだ。

「あの夜に出来た子だろう?」
「違ったら?」
「さくらの子なら問題ない」

 あまりにも堂々と言い切る姿に、彩葉は驚いた。

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