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第十八章

出産と結婚発表⑥

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 手を握り心配そうに見つめる怜と、汗だくのさくら。怜には、さくらが輝いて見える。

 パーティーで出逢い、一夜を共にして手に入れたはずが、二年もすれ違った。再会を果たし、怜の子を生んでくれていた喜びと、溢れるさくらへの愛。そして、籍を入れ、家族として歩みだした。

 この瞬間、更に愛すべき、守るべきものが誕生する。

『オギャー』

 分娩室に響く元気な泣き声。

「おめでとうございます。神楽坂さん、あとひとり頑張って」
「はい……」

 怜は涙が溢れ、産まれた瞬間見たわが子は、ぼんやりとしていた。一人目は連れて行かれ、さくらは更にくる痛みに顔を歪めている。

「さあ、次の痛みが来たら」
「はい」

 出産に立ち合い、改めてわが子がこの世に生まれた喜びを噛み締める。

「ンンッ」
『オッオッギャー』

 泣き声は違うが二人目も無事に生まれた。

「さくら、ありがとう」

 溢れる涙を隠すことなく流している怜に、さくらの疲れと痛みも吹っ飛ぶ。

「私こそ、怜のお陰で幸せだよ。ありがとう」

 お互いが感謝の気持ちで溢れている。

 綺麗にしてもらった双子が連れられてきた。

「おめでとうございます。一人目が2320gで、二人目が2220gです」
「「ありがとうございます」」

 まだまだ小さくて赤い。だが、一生懸命手足を動かしている。

「決めた!椿と蘭だ」

 一人目に産まれた子を椿、二人目が蘭だと顔を見て決めた。

 さくらが分娩室から出られた頃には、神楽坂家が勢ぞろいしていた。

「さくらちゃんおめでとう」
「さくらちゃんお疲れ様」
「さくらちゃんありがとう」

 みんなが口々にさくらに感謝の言葉を伝える。

「ママ、いもうとみたよ。かわいかった」
「桂お兄ちゃん、椿と蘭をよろしくね」
「うん!」

 新たな生活が始まる。

 新生児との生活は大変だ。しかも、今回は双子だ。だが、神楽坂家のサポートが行き届き、楽だと感じるほどだ。怜の母だけでなく、父までもが率先して育児をしてくれる。

 桂も、穏やかな性格で、妹達の面倒も見てくれて助かる。桂が声を掛けると泣き止む双子達。お兄ちゃんだとわかっているかのようだ。

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