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第三章
第49話 合コン
しおりを挟む「「「「カンパーイ」」」」
豪華なシャンデリアにシアタースクリーン
ふっかふかのソファに毛足の長いふわふわなラグ
ここは都内某所の広いカラオケボックスのパーティルームだ。
そこで楽しそうに目の前でジュース?で乾杯する複数人の男女。
明らかにハイソな人達の集まりのその中に何故か俺もいるのだが、場違い感が半端ない。
どうしてこうなった?
全くもってわからない……
俺は楽しそうに歓談する奴らを遠目に眺めながら首を傾げる。
入っていけない雰囲気の中、とりあえず目の前に置かれているドリンクの中から、手前にあるオレンジジュースを取り、それに口を付ける。なんか少し変わった香りがしたが、緊張で喉がカラカラに乾いていた俺は気にせず一気に飲み干した。
「おー、いい飲みっぷりだなぁ。」
角に座る猫実がそれを見て片口角を上げてニヤリと笑う。
「あ、あぁ。なんか、緊張して……」
「まぁ、そんなに気を張らなくてもいいんじゃない?気楽に、ね?」
そういって猫実は俺にドリンクメニューを手渡してきた。
余程緊張をしているのか、冷たい飲み物を一気に飲んだのに、なんだか身体がポカポカして余計に喉が渇いた気がする。こんな事は初めてだ。
俺は猫実に追加のコーラを頼むと、あまりの暑さに制服のネクタイを緩める。一息吐いてソファにもたれ掛かると、隣に座っていた友人が笑いながら肩を組んでくる。
「瀬田ちゃん!瀬田ちゃん瀬田ちゃん!あぁ、やっと来てくれたー!俺、待ってたんだよ~ん。お前と遊びたくてさぁ。てか気が付くといつもいねぇんだもん。はい、カンパーイ!!!」
そう言って俺空のグラスにガチンと無理やりグラスをぶつけて俺の肩をバンバンと叩いてくるコイツは、普段からやたらと距離が近い小森。確かどっかの企業の役員の息子だったと思う。
「そうだよ、渉ちん。部活ばっかやってないでたまには俺らと一緒遊んでよ。」
そう言って小森の反対側から肩を組んできたコイツは、猫実をリスペクトしまくっている近藤。父親も母親も弁護士のエリート一家の息子。
なんで俺、コイツらにおしくらまんじゅうのように潰されてる?
暑苦しいので、とりあえず両肩に乗ったヤツらの手をひっぺがしてぺいっとすると、目の前に座っていた緩い縦ロールのお嬢様巻で女子力バシバシのお姉様が声を上げた。
「いやーん、彼、瀬田君っていうの?イケメーン♡」
「…あ、ども。」
この場合どう反応していいのかわからず困ったので、とりあえず会釈すると、目の前でふたりのお姉様が可愛いだのなんだのってキャッキャし始めて居た堪れなくなる。
俺は気まずさにふいと猫実に助けを求めるように視線を遣ると、俺の視線を受けた猫実はくつくつと喉を鳴らして笑った。
そして、猫実は徐に手に持っていたドリンクをテーブルに置くと、スっとソファから立ち上がり、キャッキャ言っていたお姉様達の目の前で跪いて一番騒いでいたお姉様の手を取ると、そこに自分の手を重ねて言った。
「綺麗なお姉さん。コイツ、こういうのに参加したことない初心なヤツなの。だから、お手柔らかに頼むよ?それより、俺お姉さんに興味あるんだけど、こっちで話さない?」
ね?と、言い猫実がイケメンキラキラスマイルを浮かべると、そのお姉様の手を引いて自分の席へエスコートする。手を取られたお姉様は顔を真っ赤にしてポーっとなりながら猫実に腰を抱かれて隣に着席した。
その鮮やかな手腕を流石だなぁ、と感心して見ていた俺に、今度は斜め向かいのお姉様が絡んでくる。
「え~、君みたいなカッコイイ子が合コン初めてとか嘘でしょ?」
そう言われて、ふとそちらに視線を向けると俺の心臓はドキリと跳ね上がり、視線は彼女に釘付けになった。
「いや、ホント。な?」
「あ、あぁ。ほん…と、に。」
隣の近藤がそう言いながら俺の脇腹を小突いてくるが、俺は彼女から視線を移せず生返事を返すと、彼女と視線が絡んだ。
「「「や~だ~超可愛いじゃーん!!!」」」
周りのお姉様方から黄色い声が上がっている中、彼女は俺を見つめてふわりと微笑んだ。
その雰囲気がどこか香乃果に似ていて、俺の心臓は早鐘を打ち続けてた。
◇◇◇
「……ねぇ、渉?渉くーん?起きて?」
ウトウトと微睡んでいると、誰かが俺を呼びながらぺちぺちと俺の頬を叩いている。
眠いし、何だか身体が重くて怠い。
てか、頭がガンガンして割れるように痛い。
薄らと目を開けると、薄暗い照明の中、目の前にぼんやりと香乃果のような人影が見える。
なんだ、カナダに行ったのは夢だったのか……
俺は安堵の息を吐くと、目の前の 香乃果を抱き寄せ、その柔らかな髪に顔を埋めた。
ふわりと甘い匂いが鼻腔を擽り、切なさで胸が疼いた。
頭は酷く痛むし、どういうシチュエーションで添い寝してるのか全然わからないけれど、それよりも何よりも今腕の中に香乃果がいる幸せを噛み締めたかった。
抱きしめて匂いを嗅いで、そして、旋毛にキスを落とすと、感極まって鼻の奥がツンとしてくる。俺は滲む涙を飲み込んで、そのままするすると、額、頬にキスを落としていく。
「もうどこにもいかないで……」
甘えるようにそう言って唇にキスをしようとした時、目の前の香乃果が擽ったそうにむずがりながら言った。
「あんっ…ふふ、くすぐったいよ。なぁに?もう1回するの?」
目の前から聞こえる聞き覚えの無い声にピタリと俺の動きが止まる。そして、恐る恐る目を開けてみると目の前には香乃果ではなく、先程の合コンで知り合ったお姉様…確か紗和さん…?がいて、ハッとして周りを見回した。
「えっ?!?!ここっ……おっ、俺…ど……えっ?!えっ?!」
先程まで愛しい香乃果と抱き合っていたはずなのに、今は見覚えのない場所で、知らない女とベッドの上にいる……
その現実に頭がついて行かず、思わず目の前の女から距離をとってガバッと起き上がると…女の胸元には胸に無数の鬱血の痕が散らばっているのが目に入り、途端に血の気が引いていく。
どうしてこうなった?
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