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第四章
第84話 重なる気持ち ※
しおりを挟む静かな部屋にちゅっちゅっというリップ音とふたりの乱れた息遣いが響いている。
恥ずかし過ぎて頭が沸騰しそうだ。
渉は私の唇をちゅぅっと吸い上げながら、はむっはむっと食むようにキスをする。
キスというか、食べられている…と言う感覚が近いかも。
その感覚が気持ちが良くて、私も渉の真似をして渉の唇を食んだ。
「この……っ、好きだよ…好き………」
その行為に興奮したのか、渉の息が上がる。そして、キスをしながらキスの合間に、眉根を寄せて切なそうにそう言うとぎゅうっと私を抱き寄せ、熱い息を吐いた。
密着する身体からトクントクンと渉の心臓の音と息遣いが私にも伝わってくると、同時に渉から私を好きだという気持ちが流れ込んできて、じわりと胸が熱くなる。
私も渉の気持ちに応えたい、そう思い、おずおずと背中に回していた腕を持ち上げて、渉の首に絡めると、コツンと額を合わせた。
「私も…渉の事が好きだよ。」
そう告げると、渉は泣きそうな顔で破顔した。
「この、めちゃくちゃ好き。好き過ぎてヤバい……もう、どうにかなっちゃいそ。」
渉は熱い吐息と共にそう漏らすと、再び私に噛み付くようにキスをする。
先程の食むようなキスとは違って、今度は少し乱暴に、まるで肉食獣が獲物を捕食するような激しい渉からの与えられるキスが絶え間なく降り注いだ。
「んっ…わ、っ……んんっっ!」
降り注ぐキスの激しさに、キスに慣れていない私は上手く呼吸が出来ず、空気を取り込もうとはくはくと口を開く。
すると、そこに渉はぬるりと熱い舌を侵入させて来た。
「あっ…ふっ……んうっ」
渉の舌が私の舌を絡めとると、じゅるじゅると舌を吸われる。
初めての事にどうしていいかわからず、されるがままにしていると、ちゅぽんっと音を立てて舌と唇が解放された。
「っはぁっ……この、ヤバい…このの口の中が甘くて……堪んない……」
渉はちゅっと啄むキスを落とし、上目遣いに熱い眼差しで私を見つめると、そのままたっぷりと唇と舌を舐られた。
渉の舌先がヌルヌルと舌の側面を蠢き、反射的にビクビクっと身体が跳ねる。
「んっ…ん、あ……ぅんっ…」
「んはっ……この、この……っ…んっ…」
ふたりの荒い息と鼻にかかった甘い声が頭の中に響く。
腰が痺れ、足の付け根がむずむずしてどうしようもない。
ぢゅっと舌を吸われて足ががくがくした。膝が抜けそうになり、しがみつくように渉の首に回した腕に力を入れると、渉はキスをしたまま私をふわりと抱き上げ歩き出した。
そして、私の着ていたカーディガンをするりと肩から落とすと、そのままトサッと背中からふんわりしたベッドに横たえられる。
ぎゅっと瞑った目を開けると、潤んだ熱い瞳で私を愛おしそうに見つめる渉と視線が絡まる。
……ったんだけど…………
ボソッっと渉は何かを呟くと、私の上に覆いかぶさってきた。
「わ、った…る……?」
呟いた言葉が聞き取れず、聞き返そうとして渉の顔を見ると、渉は真摯な表情で告げる。
「香乃果、好きだよ。もう香乃果が傍にいない毎日なんて考えられない。だから……このまま…いい?」
見下ろす渉の熱の篭った表情に、心臓が早鐘を打つ。
恥ずかしさに顔を背けると、渉は私の頬にキスを落として言った。
「ねぇ、香乃果。こっち向いて?」
懇願するように言いながら、渉は私のサロペットの肩紐をずらしながら、顔中にキスの雨を降らせる。
「香乃果……愛してる…愛してるよ。お願いだから、俺を見て?」
「……!」
渉のその言葉にハッとして振り向くと、眉根をぎゅっと寄せて切なそうに微笑む渉の視線とかち合う。
「香乃果、愛してる。俺の事…好き?」
「……好きだよ。」
渉にそう答えると、優しいキスが降ってくる。
「こうやって、触れられるのはいや?」
渉は優しい瞳で私を覗き込むとそう訊ねた。
渉に触れられて、ドキドキしたけれど、嫌だなんて思う事はなかった。
寧ろ、気持ちが良すぎて頭の芯がじんじん痺れて、もっと触って欲しいって思ってしまっていた。
その事に気が付くと、途端に羞恥で顔に熱が集まる。
「嫌……じゃないよ。」
私は真っ赤になった顔を隠すようにふるふると首を振ると、きゅっと渉の服を握り、すがるように抱き着いて言った。
「そう、か。良かった。……なら、続きをしても、いいかな?」
続き……
その言葉の意味を理解するとドキリと胸が跳ね上がった。
そっと見上げると、見下ろす渉の瞳は蕩けるように甘い。
しかし、その甘さの奥には獰猛な情欲の火が灯っていた。
獣のような瞳が絶対に逃がさないと言っている。
その瞳に一瞬恐怖を感じたが、同時に火照って上気した艶っぽい渉の表情に不覚にもゾクリと背筋が粟立ち、お腹の奥がキュンとした。
そう思うのと同時に、経験のない領域へ足を踏み入れる事への恐れが、私の脳裏をかすめる。
けれども、渉の熱い獣の瞳に捉えられてしまい、私の身体は渉を求めて熱く火照りはじめていた。
そして、その熱さが恐怖を凌駕し、渉を渇望する想いが勝ってしまった事に気付く。
目を閉じ自分に問いかけてみる。
怖い…逃げたい……だけど……きっと逃げられない。
それに…渉に触れられたい、触れて欲しい。
身体が熱くて仕方がない。この熱さをどうにかして欲しい。
この熱さをどうにかするには……
結局のところ、私は渉に抱かれたい、そう思っているのだと、もう認めるしかなかった。
認めてしまえば、後は心の赴くままに……
ここで頷けば、渉と最後までするという事になるのだ。
私は震えるように息を吐き、もう一度渉を見上げると、答えを待つ渉の熱い視線に射止められる。
ドキドキと心拍数が上がり呼吸が乱れた。
私は戸惑いながらも、渉の先程の問い掛けに肯定の意味を込めて、小さくこくんと頷いた。
「……ありがとう。俺、初めてだけど、めいっぱい優しくするから。」
渉はほぅと息を吐きそう言うと、私をぎゅっと抱きしめた。
「…えっ?わた……っ」
渉の衝撃発言に吃驚して思わず、渉も初めてなの?と問いかけようとしたが、その問いは渉の唇に飲み込まれて言葉にならなかった。
渉の熱い舌が私の唇を割開けると、そのまま歯列をなぞり、まるで生き物のように口腔内を蹂躙する。
「……この、好き、だ……」
「……んっ……あぁっ」
うわ言のようにそういいながら、渉から何度も何度も角度を変え、深いキスが続けられた。
ぴちゃぴちゃじゅるじゅるという淫猥な水音と互いの息遣いに、すっかり私の頭の芯は蕩けきって、息継ぎの合間に口から甘ったるい声が漏れる。
ふわふわと気持ちが良くて身体から力が抜けると、ずっと私の舌と唇を貪っていた渉がゆっくりと唇を離す。
渉に吸われ続けた唇は赤く濡れ、唾液の銀糸が互いの唇を伝った。
「愛してる……香乃果、愛してるよ。」
切ない声でそう漏らすと、渉は私の首筋に唇を這わせて行きながら、サロペットを足元の方へ引き抜いていく。
「この、素肌で抱き合いたい。だから…はい、バンザイして?」
そう言うと渉は私のブラウスをたくし上げながら、同時に私の背中に片手を回して慣れた手つきで、ブラジャーのホックをパチンと外した。
「んっ、ちょ……渉?!」
スポンとブラウスを上から抜き去られると、今度は渉が目の前でシャツをたくし上げ頭からバサリと脱ぎ捨て、再び覆いかぶさってくる。
「あぁ…やっと……やっと、香乃果に触れられる……」
「…っあ……」
そう言うと渉は顕になった私の胸の頂きを口に含んだ。
初めての感覚にびくりと体が震えると、渉は胸の頂きを口に含んだまま言った。
「ふ……気持ちいい?」
「…やぁ……わか、っ…あんな、い…っ!」
「そ?なら、わかるまで、ココ舐めてるね。」
渉は私の反応を見ながら、ねっとりと舌で転がすように舐めた。
ちりちりとした甘い刺激に腰が揺れた。
「いやっ……はぁっ…んっ……」
快感に身体をビクビクと震わせると、渉は嬉しそうにわざと音を立ててじゅるじゅる吸ったり、もう片方の胸の膨らみを空いた方の手で揉みしだいた。
初めは擽ったいような不思議な感じがしていたが、だんだんとそれが気持ち良く感じるようになってくる。
「わた…るっ……なん、っか……変…」
「んっ……何が、変なの?」
胸に吸い付きながら渉は上目遣いで訊ねると、不意にちゅぱっと音を立てて胸から口を離した。
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