96 / 118
第四章
第87話 繋がる身体 -後編 -※
しおりを挟むあまりの衝撃に息が止まり、痛みに背筋が仰け反った。
チカチカと眼裡に星が散り、見開いた目からは涙が溢れた。
「……っく…は、っ…あ、あ、ぁぁ……」
痛い、苦しい、痛い……
まともに息ができなくて、空気を取り込もうとはくはくと口を動かしたけれど上手く吸えなくて、暫く痛みに耐えるように身体を強ばらせて耐え忍ぶ。
それでも和らがない痛みを少しでも追いやろうと、私は渉にしがみついて声にならない声を上げると、渉は一旦動きを止め、私の額にキスを落とす。
「は……っ、くぅ……」
「ご、め……まだ…まだ、全部挿入、って…ない、か、ら……も、少し……」
ごめん、と渉は呟くと、はっはっと苦しそうに荒い息を漏らしながら再び腰にグッと押し付け、ゆっくりと腰を前後に動かし、少しずつ腰を進めていった。
そして、ビリッとした刺激と共にお腹の奥に渉自身がコツンと当たるとピタリと動きを止めて、切なそうにふぅと長く息を吐いた。
「っは……やっと、全部……挿入っ、た……っく……この、大丈夫、か……?」
渉は甘い吐息を漏らしてそう言うと、ぽたぽたと汗を垂らして、私と同じく苦しそうに浅い呼吸を繰り返しながら、私を気遣うように声を掛け、するりとお腹を撫でた。
渉の熱くて硬いものが膣を埋め尽くし、それを外側から撫でられるだけで、甘い痺れが広がり、ズキッと痛みが走る。
大丈夫かどうか……そんなの決まってる。
全然大丈夫ではない。
正直、こんなに痛いなんて想像していなかったし、何度か「もう無理!抜いて!」と口に出してしまいそうな程辛かった。
だけど、その言葉は最後まで私の口から出る事はなかった。
だって、渉から齎されているこの痛みは、私が渉の…渉だけのものになったという確かな証なのだから。
これで、正真正銘、心も身体も渉とひとつになれたのだと思うと、身が引き裂かれる程の痛みですら、今の私には愛おしくて仕方がなくて、ジンジンと痛む接合部からじんわりと渉の熱が伝わると、幸せな気持ちが湧いてきて涙が溢れた。
「痛かった、よな……ごめんな……」
ゆっくり、ゆっくりと息を吐きながら、心配そうに覗き込む渉の問いかけにコクコクと首を縦に振って頷く。
「痛い、よ…だけど…… これは渉とひとつになれた痛みだから……痛いけど、今、凄く幸せ……」
何かを辛そうに耐えている渉に、私は精一杯の笑顔を向けると、渉は顔を歪めて泣きそうな顔で笑った。そして、くしゃくしゃっと私の頭を優しく撫でた。
「香乃果、ありがとう。俺も、すっげぇ幸せ……今まで生きてきた中でいちばん幸せ。」
そう言って、渉は心底幸せそうに破顔すると、汗でしっとりと貼り付いた私の前髪を後ろに撫で付け、そのまま額をコツンと合わせた。
目を開けると、ほんのり頬を赤く染め涙を滲ませた渉が私を見つめていた。お互い涙で潤んだ視線を絡めると、ふふ、と笑み崩れ、そして、どちらからともなく、唇を重ねる。
徐々に深くなるキスに、お腹の奥がきゅんとして無意識に私の膣が渉を締め付けると、渉の顔が真っ赤になる。
「この、それ、ヤバい。」
「え?」
不意に言われた言葉の意味がわからず、思わず聞き返すと、渉は私の手を取り指を絡めてギュッと握り、心底嬉しそうに顔を綻ばせて笑み崩れた。
「きゅって締めるやつ……こののナカに俺が居るって実感する……はぁ…もう死んでもいい。それくらい幸せ。」
「渉……」
眉根を寄せて幸せだと言わんばかりの顔でそう言う渉の表情に、愛おしさが溢れて、私は握られた手を私からもギュッと握り返す。
渉は幸せを噛み締めるように深く息を吐くと、私を愛おしそうに見つめた。
「この、ごめん……まだ、痛む?」
「……少し」
あれから暫く経って、だいぶ痛みは治まってきていたものの、やはりズキズキとした痛みは完全には引いていなかった。
「そう、だよね……ごめん。俺は香乃果と繋がれただけで満足だから、辛いなら……今はここまでにしておく?」
ホントは嫌だけど……渉は申し訳なさそうにそう言うと、眉尻を下げた。
その言葉に渉が私の事を大切に思ってくれていて、気遣ってくれている事が伝わってきて、心の奥がほっこり暖かくなるのを感じた。
私はこういった行為自体初めての経験だった。
渉も初めてだといっていたけれど、随分と慣れていたから、挿入は初めてでも、直前までは経験があるのだろうが……まぁ、真偽のほどはわからないけれど。
そう思ったら、ツキンと胸の奥が痛んだような気がしたようなしないような……
とにかく、多少経験値のある渉に、初っ端から結構ハードな愛され方をしてたので、疲労はすごかった。渉と繋がっている所は痛いし、あちこち筋肉痛のような痛みもあったので、正直渉の申し出は有難かった。
だけど……このまま終われる?
自問自答してみると、答えはすぐに出た。
やめたくない。痛いし辛いけれど、その痛みの中に、甘い疼きがあるのも自覚していたし、何よりも、私は渉とちゃんと繋がりたかった。
だから私は、渉の目をみて気持ちを伝えた。
「…大丈夫。このまま……して?」
私の言葉を聞くと、途端に渉の目の色が熱と欲を孕んだ色に変わった。
渉は両手で私の頬を挟み、じっと私を見つめて言う。
「…いいの?ここで頷いたら、もうやめてあげられないよ?」
じっと真剣な目で私を見据える渉の背に腕を回して、私はこくりと頷いた。
「うん……いいよ。」
「わかった。できるだけゆっくり動くから……」
渉はそろそろとゆっくりと腰を動かし始める。
ピリリと弱い電気のような快感が走って、思わず声が漏れると、渉はほっとしたような顔をした。
「ひぁっ……あぁっ……」
「っ…感じてる?痛く無さそうで…良かった……じゃあ、もう少し……」
渉は先程よりも少し動きを大きくした。
ずっずっと音を立て、渉がゆっくりと腰を前後に動かす度に、痛みの代わりにじんわりした快感が湧き上がってくる。
渉の熱く膨張した熱杭が狭い隘路を進む度に快感に身体が痙攣したように震えた。
「ふぁっ……あっ、んっ……」
「あっ…香乃果のナカ…っ、凄く、温かくて気持ちいい……堪んない……」
私の様子を見ながら渉は少しずつ腰の動きを早めていく。
「っや……あっあっあっ……」
「香乃果、このっ……気持ちぃ?」
「んっ、んっ……きもっ…ち……あぁんっ!!!」
私の口から鼻にかかった甘えたような声が漏れると、渉は興奮したように激しく腰を打ち付け始める。
「うぁ、っ……やべぇ……俺、もっ……きもちぃ……っ!」
「うっ、んあぁぁっ!!!」
腰の動きを速めながら渉は私の唇に噛み付く様なキスをすると、より深く奥を抉るように激しく肉棒の抽挿を開始する。部屋中にベッドの軋む音とふたりの荒い息、パンパンと肉と肉がぶつかる音、ぐちゅぐちゅ淫らな水音が響く。
最初に感じた痛みなどとうに消え去り、今はもう快感しか感じられず、熱い肉棒に膣壁を擦られ捏ね回される度に、全身がゾクゾクする。
「このっ……このっ……愛してる、愛してるよ……」
「んあっ……あぁぁぁ……っ」
渉はうわ言のようにそう言いながら、夢中で腰を打ち付ける。奥を突かれる度に、今まで感じた事のない快感が身体を駆け巡り、ビクビクと跳ねた。
出たり入ったりする渉のモノを私の蜜壷が離すまいとぎゅうぎゅうと締めつけると、熱くなった渉の肉棒が膨れ、より質量を増した。
「こ、この……っ、あん、ま…締め付けっ、ないで……まだ、イキたく、な…っ、あっ……」
「んっ……ふぁっ…っあっあっあっ…っ…」
私の奥をぐちゅぐちゅと掻き混ぜる度に、気持ちが良過ぎて眦にチカチカと星が散り、何かがせり上がってくる。
「あっあっ……いや、あっん……」
「ん?何……そろそろ、イキそ……?」
「わか、ぁんっ、なっ……で、もっ……なんか……あぁぁっ!」
先程から寄せては返すような快感の波が止まらず、背筋がゾクゾクと粟立って仕方がなく、お腹の奥が収縮を繰り返している。
「はぁっ…マジで、かわい……夢中で、締め付け、ちゃってさ。そんっ、なに……俺の事、離したく…っないの?」
「あぁぁっ……き、ちゃうっ!何か、くるの……!!!」
渉は嬉しそうに目を細めて私を見つめると、抽挿の力強い突き上げと、時折織り交ぜる優しい揺さぶりで、緩急をつけて私の奥深くを攻めてたてる。
「このがイクなら…そろそろ、俺も……香乃果!一緒に……っ!!!」
幾度となく押し寄せる快感の波に溺れ、そして、一際大きな波がやって来た時、そして、お腹の奥が強くぎゅっと収縮をすると同時に、お腹の中で熱いものが震えて弾けた。
「あ、あぁっ……っ!!!」
お腹の奥が温かいもので満たされていくのと同時に、私の意識は途切れた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―
佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。
19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。
しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。
突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。
「焦らず、お前のペースで進もう」
そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。
けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。
学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。
外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。
「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」
余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。
理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。
「ゆっくり」なんて、ただの建前。
一度火がついた熱は、誰にも止められない。
兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる