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15.初ダンジョン!
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◇◇◇
「ハンスさーん、今日は戻らないからー!」
「おお、そうなのか。気をつけてな」
「はーい!」
今日はヴァルクとの約束の日。お昼ご飯の調達のため、少し早めに宿屋を出た。市場でお昼ご飯を買ってから、いつもの場所へ向かう。
ロベルトには、ダンジョンに泊まるなんて危険すぎる、と言われそうだったので、今日の事は言ってない。ただ、ドロップアイテムを持って行くのは明日にすると伝えたら、理由を聞かれたので誤魔化すのに大変だった。
"本当にスタンピードが起きないかどうか確認したいから戻るのが遅くなる"という尤もらしい理由で説得しようとしても、「危ないだろ」「あいつをまだ信用してない」「何かあったらどうする」とかなんとか言われ、「ヴァルクがいるから大丈夫」「俺はヴァルクのこと信用してる」と伝えてもなにやらぶつぶつと言っていた。
それでも、「過保護かっ。母さんみたいなこと言うなよ」と言えばショックを受けたように固まり、最終的には許可してくれた。
いや、俺も悪かったとは思ってるよ?母さんじゃなくて父さんにしとけばよかったって。でもそんなに落ち込むとは思わなかったんだもん。
早めに着いたらスライムでもテイムしようと思っていたのだが、既にヴァルクは待ち合わせ場所に来ていた。
「あれ、早かったな。ごめん、待った?」
「いや。俺も今来たところだ」
「そっか。ならよかった。じゃあ行こっか!」
ヴァルクのところまで小走りで駆け寄ると、急に首筋へ顔を埋められた。
「っ!?」
な、なに!?近いんだけど....!
鼻息が当たるほどの距離でどうやら匂いを嗅いでいるようだ。息が首筋に当たり、ぞわりと身体が震える。
「.......甘い匂いがする」
「っ、あ、ああ。この間香水買ったからそれかな?」
香水を買った時のことを思い出してしまい、変に意識してしまったせいで顔が熱くなった。
ヴァルクも結構距離感バグってるよな....。
森を歩くこと約30分。ようやくダンジョンへ辿り着いた。森から行くルートは少し遠回りだが、ヴァルクが一緒なので目立たない方がいいだろう。
途中、魔獣2体と出会ったが、ヴァルクが秒で倒してくれた。その場で血抜きをして、今日の晩御飯にするらしい。目を背けたくなるほど夥しい血に、吐き気が込み上げてくるのをぐっと堪えた。これを小さい頃からやってきたんだなと思うと胸が痛くなる。
アナザー・ワールド内のダンジョンは大抵が地下にあるもので、ここのダンジョンも同様だ。外からは地下への入り口が見えるだけ。真っ暗な入り口は少し不気味だが、スタンピードが起きる様子もなく、ホッと胸を撫で下ろした。
安心すると今度は早くダンジョンに入りたいという欲求が増す。
「ヴァルク!早く行こ!」
だが、駆け出そうとした俺の腕をヴァルクが掴んだ。
「待て、サクヤ。ダンジョンに入るなら昼を食べてからの方がいい」
「あ、そか」
テンションが上がってすっかり忘れていた。それと、魔獣の肉もまだやることがあるらしい。
血抜きした魔獣を手早く解体し、途中で取ってきた木の葉っぱに包んでいく。どうやらあの葉っぱ抗菌作用があるらしい。最後に氷魔法で肉を分厚い氷で覆って終了だ。魔法って便利だよな~。
俺が買ってきた昼ご飯を渡すと、どう食べていいのかわからないのか、手に持ったまま凝視している。
「ふふっ、こうやってかぶりつくんだよ」
俺が買ってきたのはフィッシュバーガーだ。これなら食べやすいし、食べたことのない食材を一気に食べれる。
うん!うまい!
俺の食べる姿を見てヴァルクもバーガーにかぶりついた。
その横顔を観察していると、少し目を見開き、すぐに険しい表情になってしまった。
え、嘘。まずかった?
「ヴァルク、美味しくなかったか?」
「...いや、とても美味い」
美味しかったのになんでそんな微妙な顔してんの!?気遣ってるとか?好みとかもあるだろうし美味しくないなら美味しくないって言っていいのに.....
「...ただ、普段これほど美味いものを食べていたら、俺の用意するものなど不味いだろう」
ああ、なんだそういうこと?
「別にいいよ。俺が食べたいって頼んだんだし。それに、ヴァルクが作ってくれることに意味があるんだから」
「.....?ただ焼くだけだぞ?」
「何言ってんの。血抜きとか全部やってくれたじゃん」
「......あれは、いつもやっていることで....」
「それでも今回は俺のためにやってくれてることでしょ?俺がそれでいいって言ってるんだからいいの!」
食事再開!と強引に話を終わらせると、あまり納得はいっていなさそうだったが食事を再開させた。
手土産に買ってきたクッキーも気に入ってくれたようでよかった。どうやら甘いものも好きらしい。また買ってこよう。
食べ終わった後はいよいよダンジョンを探索だ!
ヴァルクから、「俺から離れるなよ」とイケメンな言葉が飛び出してちょっと動揺してしまった。なんか俺今日おかしい!
ダンジョン内は真っ暗だったが、ヴァルクが魔法で明かりをつけてくれたので全く問題ない。ゲームではそんなことしなくても明かりがついていたので、こういうところは面倒だな。壁には火をつけれるようなものが一定間隔で設置されているので、魔法が使えなくても問題はなさそうだ。
それにしても、案外覚えてないもんだな~。かなり序盤だし、ダンジョンなんてどこも似たようなもんだから仕方ないけど、道なんてこれっぽっちも覚えてない。
「ヴァルクは道覚えてるの?」
「ああ。大体な。そこに罠があるから気をつけろ」
ヴァルクが示した場所は地面の一部が少しだけ盛り上がっている。よく見ればわかるが、逆に言えばよく見ないとわからない。誤って踏んでしまえば落下や落石などのトラップが発動する。今は魔物がいないからゆっくり見て回れるけど、戦闘中だったら確実に踏んでしまう自信がある。
.......ん?魔物がいない......?
「そういえば、全然魔物いないけど.....」
結構歩いているが、先程から一度も魔物の姿を見ていない。さすがにおかしくね?
「ああ。サクヤが来るから昨日地下一階一帯倒して回ったからな」
「えっ!?」
俺のため!?
「だが殲滅できたわけではないからな。気は抜くなよ」
「わかったけど...、ヴァルク、無理してないか?昨日ちゃんと寝た?」
そりゃあ初期のダンジョンだし、ヴァルクはボスキャラだから敵はザコなんだろうけど....。それでも1人でこんな魔物がいなくなるくらい倒すなんて大変だったんじゃないだろうか。
「ん?別に無理はしていない」
そう答えるヴァルクの顔色は確かにいつもと変わらない。.....けど、普段からポーカーフェイスだしなぁ....。今日は早めに寝るか。
「ハンスさーん、今日は戻らないからー!」
「おお、そうなのか。気をつけてな」
「はーい!」
今日はヴァルクとの約束の日。お昼ご飯の調達のため、少し早めに宿屋を出た。市場でお昼ご飯を買ってから、いつもの場所へ向かう。
ロベルトには、ダンジョンに泊まるなんて危険すぎる、と言われそうだったので、今日の事は言ってない。ただ、ドロップアイテムを持って行くのは明日にすると伝えたら、理由を聞かれたので誤魔化すのに大変だった。
"本当にスタンピードが起きないかどうか確認したいから戻るのが遅くなる"という尤もらしい理由で説得しようとしても、「危ないだろ」「あいつをまだ信用してない」「何かあったらどうする」とかなんとか言われ、「ヴァルクがいるから大丈夫」「俺はヴァルクのこと信用してる」と伝えてもなにやらぶつぶつと言っていた。
それでも、「過保護かっ。母さんみたいなこと言うなよ」と言えばショックを受けたように固まり、最終的には許可してくれた。
いや、俺も悪かったとは思ってるよ?母さんじゃなくて父さんにしとけばよかったって。でもそんなに落ち込むとは思わなかったんだもん。
早めに着いたらスライムでもテイムしようと思っていたのだが、既にヴァルクは待ち合わせ場所に来ていた。
「あれ、早かったな。ごめん、待った?」
「いや。俺も今来たところだ」
「そっか。ならよかった。じゃあ行こっか!」
ヴァルクのところまで小走りで駆け寄ると、急に首筋へ顔を埋められた。
「っ!?」
な、なに!?近いんだけど....!
鼻息が当たるほどの距離でどうやら匂いを嗅いでいるようだ。息が首筋に当たり、ぞわりと身体が震える。
「.......甘い匂いがする」
「っ、あ、ああ。この間香水買ったからそれかな?」
香水を買った時のことを思い出してしまい、変に意識してしまったせいで顔が熱くなった。
ヴァルクも結構距離感バグってるよな....。
森を歩くこと約30分。ようやくダンジョンへ辿り着いた。森から行くルートは少し遠回りだが、ヴァルクが一緒なので目立たない方がいいだろう。
途中、魔獣2体と出会ったが、ヴァルクが秒で倒してくれた。その場で血抜きをして、今日の晩御飯にするらしい。目を背けたくなるほど夥しい血に、吐き気が込み上げてくるのをぐっと堪えた。これを小さい頃からやってきたんだなと思うと胸が痛くなる。
アナザー・ワールド内のダンジョンは大抵が地下にあるもので、ここのダンジョンも同様だ。外からは地下への入り口が見えるだけ。真っ暗な入り口は少し不気味だが、スタンピードが起きる様子もなく、ホッと胸を撫で下ろした。
安心すると今度は早くダンジョンに入りたいという欲求が増す。
「ヴァルク!早く行こ!」
だが、駆け出そうとした俺の腕をヴァルクが掴んだ。
「待て、サクヤ。ダンジョンに入るなら昼を食べてからの方がいい」
「あ、そか」
テンションが上がってすっかり忘れていた。それと、魔獣の肉もまだやることがあるらしい。
血抜きした魔獣を手早く解体し、途中で取ってきた木の葉っぱに包んでいく。どうやらあの葉っぱ抗菌作用があるらしい。最後に氷魔法で肉を分厚い氷で覆って終了だ。魔法って便利だよな~。
俺が買ってきた昼ご飯を渡すと、どう食べていいのかわからないのか、手に持ったまま凝視している。
「ふふっ、こうやってかぶりつくんだよ」
俺が買ってきたのはフィッシュバーガーだ。これなら食べやすいし、食べたことのない食材を一気に食べれる。
うん!うまい!
俺の食べる姿を見てヴァルクもバーガーにかぶりついた。
その横顔を観察していると、少し目を見開き、すぐに険しい表情になってしまった。
え、嘘。まずかった?
「ヴァルク、美味しくなかったか?」
「...いや、とても美味い」
美味しかったのになんでそんな微妙な顔してんの!?気遣ってるとか?好みとかもあるだろうし美味しくないなら美味しくないって言っていいのに.....
「...ただ、普段これほど美味いものを食べていたら、俺の用意するものなど不味いだろう」
ああ、なんだそういうこと?
「別にいいよ。俺が食べたいって頼んだんだし。それに、ヴァルクが作ってくれることに意味があるんだから」
「.....?ただ焼くだけだぞ?」
「何言ってんの。血抜きとか全部やってくれたじゃん」
「......あれは、いつもやっていることで....」
「それでも今回は俺のためにやってくれてることでしょ?俺がそれでいいって言ってるんだからいいの!」
食事再開!と強引に話を終わらせると、あまり納得はいっていなさそうだったが食事を再開させた。
手土産に買ってきたクッキーも気に入ってくれたようでよかった。どうやら甘いものも好きらしい。また買ってこよう。
食べ終わった後はいよいよダンジョンを探索だ!
ヴァルクから、「俺から離れるなよ」とイケメンな言葉が飛び出してちょっと動揺してしまった。なんか俺今日おかしい!
ダンジョン内は真っ暗だったが、ヴァルクが魔法で明かりをつけてくれたので全く問題ない。ゲームではそんなことしなくても明かりがついていたので、こういうところは面倒だな。壁には火をつけれるようなものが一定間隔で設置されているので、魔法が使えなくても問題はなさそうだ。
それにしても、案外覚えてないもんだな~。かなり序盤だし、ダンジョンなんてどこも似たようなもんだから仕方ないけど、道なんてこれっぽっちも覚えてない。
「ヴァルクは道覚えてるの?」
「ああ。大体な。そこに罠があるから気をつけろ」
ヴァルクが示した場所は地面の一部が少しだけ盛り上がっている。よく見ればわかるが、逆に言えばよく見ないとわからない。誤って踏んでしまえば落下や落石などのトラップが発動する。今は魔物がいないからゆっくり見て回れるけど、戦闘中だったら確実に踏んでしまう自信がある。
.......ん?魔物がいない......?
「そういえば、全然魔物いないけど.....」
結構歩いているが、先程から一度も魔物の姿を見ていない。さすがにおかしくね?
「ああ。サクヤが来るから昨日地下一階一帯倒して回ったからな」
「えっ!?」
俺のため!?
「だが殲滅できたわけではないからな。気は抜くなよ」
「わかったけど...、ヴァルク、無理してないか?昨日ちゃんと寝た?」
そりゃあ初期のダンジョンだし、ヴァルクはボスキャラだから敵はザコなんだろうけど....。それでも1人でこんな魔物がいなくなるくらい倒すなんて大変だったんじゃないだろうか。
「ん?別に無理はしていない」
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