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第二章 原作開始
第86話 だったら全部狩って肉祭りだな
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「アンジー。悪いんだけどさ、ちょっとパレードから抜けてもいいかな?」
「どうしたんだ? そんな小声だと聞き取りにくいぞ?」
アンジーとキャルはまだ念話を習得してないから秘密にしたい話をするとき困る。
仕方がないのでアンジーと肩がぶつかるほど近くによって、『驚いて声を出さないでね』と耳元に口を寄せてワイバーンのことを話す。
「なんだと! ワむぐー!」
「だから叫んじゃ駄目だって」
アンジーの口を手でふさぐが、ちょっと間に合わなかったのでクラスメイトやパレードの見物客から注目を浴びる。
「手を離すけど叫んじゃ駄目だからね」
「むぐむぐ」
と何度も頷きながら返事をしてくれる。ゆっくり手を離すと少し赤らんだ顔で瞳を潤ませ見上げてくる。
「ふう。こほん。しかし……ドライ大丈夫なのか?」
「うん。これくらいの数なら余裕かな」
「わかった。ついてこい、オヤジに一言言っとかねえと駄目だろう。馬車に飛び乗るぞ」
「え? ちょっ!」
俺の袖口をくいくいっと引いてから、タタタと班から抜け出して馬車の屋根に飛び乗るアンジー。
レベルアップのお陰で数メートルの高さくらいなら余裕になったもんな。
まわりにいた馬車を守る騎馬に乗った騎士たちは驚いたが飛び乗ったのがアンジーとわかり、困り顔だ。
「早く来いドライ!」
「ええ……」
馬車の屋根の上で手招きしたあと、するすると馬車の屋根を支える柱を伝って、王様が乗る座席に下りた。
普通ならスカートの中身が見えそうだけど、アンジーはいつもスカートの下に冒険者用のハーフパンツをはいているから問題ない。
「あらあらアンジーったら。どうするの? わたくしたちも行った方がいいわよね?」
「ですわ。数は少ないようですが、相手は空を飛んでますものね。わたくしとファラ。それにドライでないと対処できませんわ」
『私もやっちゃうわよ? ワイバーンのお肉も美味しいからね~。何度もユートに焼いてもらったわ』
……美味しいのか。だったら全部狩って肉祭りだな。
「……はぁ。でもそうなるとキャルはミュールさんとここでお留守番か。アンジーは戻ってくるだろうけど」
「あの、どちらかに向かわれるのですか?」
「ん~、それは後で話すから、キャルはミュールさんと待っててね。すぐに帰ってくるから」
ゆっくりと走り続ける馬車の横まで進み、リズとファラはスカートを押さえながらふわりと浮かび、馬車に乗り込む。
飛行スキルを使ったようだな。その方が乗り込む微調整もできるし正解か。
俺も馬車のまわりを警護する騎士たちに『お騒がせしてすみません』と会釈して飛行スキルを発動した。
「ドライ。アンジェラから話を聞いたが本当のことなのか?」
「はい。ここから王城の方向から十三匹のワイバーンが来ます。なので少し俺たちが行って狩ってこようと」
「……くくくっ。ドライたちにかかればワイバーンですら狩りの対象でしかないのだな。よかろう。私たちが王城につくまでに帰ってこい」
「いいよなドライたちは飛べるから。ワイバーンなんて強敵、俺も戦いたかったぞ。でもいいさ、その内俺も覚えてやるからな。無事帰ってこいよ」
「うん。じゃあリズとファラは……あ、ハーフパンツはいてるのね」
「そりゃ、そうよ。じゃないとスカートでここから飛べば見られちゃうじゃない」
「そうですわ。ドライがなにかありそうなこと言ってましたので、冒険者用の装備もすべて持ってきてましたのよ」
リズとファラはパサリとスカートを下ろすと、いつも通りの冒険者仕様だった。
というより独り言でも言ってたかな……。
ま、準備が万端ならそれに越したことはないよね。
「よし。ならさっさと肉祭り用のお肉を捕りに行きますか」
俺たちは同時に飛行スキルを発動させて浮かび上がり、馬車から飛び上がった。
下からは――
「人が飛んでるぞ! 建国祭の出し物か!」
「すごーい! お母さん、私も飛びたい!」
「はへほはひはひはほふへひふほは!」
「ヒエン殿下、列から離れないでくださいませ!」
――と、結構な騒ぎになっちゃってる。チラと馬車から身を乗り出すカサブランカ王の顔が見えたけど……悪戯王の顔をしていた。
あの顔はまたなにか企んでいるに違いない。なにをしでかすかわからないけど気を付けよう。
それより今は肉、じゃなくてワイバーンが最優先だ。
原作なら襲来するワイバーンは一匹だ。それが十三匹も向かってくるとかおかしすぎる。
襲来したワイバーンは建国祭の目玉、王のスピーチにあわせて王城につっこんでくるんだよな。
そこで新入生で、さらに勇者として参加していたアーシュが激闘の末倒し、王都の民から絶大な支持を得ることになるんだけど……。
まあもういないし……勇者がいないから増えたとか……ないよね?
『……イス。ワイバーンがいるから方向は変わってないんだよね?』
『ん~、微妙にズレてる気がしないでもないけど、とりあえず私についてきて』
『あ! 私のイス様が!』
にゅるんとリズの胸から飛び出したイスが俺たちの前に位置取って王城から少しズレた方向に跳びはじめる。
いや、リズのおっぱいじゃないからね……。
全力で飛び、あっという間に王都を出て一分ほどで巨大なワイバーンが肉眼でも見えるようになってきた。
だけどおかしい。少しずつどころか、完全に方向が変わっていて、王都に行かないのは明らかだ。
『イス、これってどう見ても王都に行かないんじゃない?』
「どうしたんだ? そんな小声だと聞き取りにくいぞ?」
アンジーとキャルはまだ念話を習得してないから秘密にしたい話をするとき困る。
仕方がないのでアンジーと肩がぶつかるほど近くによって、『驚いて声を出さないでね』と耳元に口を寄せてワイバーンのことを話す。
「なんだと! ワむぐー!」
「だから叫んじゃ駄目だって」
アンジーの口を手でふさぐが、ちょっと間に合わなかったのでクラスメイトやパレードの見物客から注目を浴びる。
「手を離すけど叫んじゃ駄目だからね」
「むぐむぐ」
と何度も頷きながら返事をしてくれる。ゆっくり手を離すと少し赤らんだ顔で瞳を潤ませ見上げてくる。
「ふう。こほん。しかし……ドライ大丈夫なのか?」
「うん。これくらいの数なら余裕かな」
「わかった。ついてこい、オヤジに一言言っとかねえと駄目だろう。馬車に飛び乗るぞ」
「え? ちょっ!」
俺の袖口をくいくいっと引いてから、タタタと班から抜け出して馬車の屋根に飛び乗るアンジー。
レベルアップのお陰で数メートルの高さくらいなら余裕になったもんな。
まわりにいた馬車を守る騎馬に乗った騎士たちは驚いたが飛び乗ったのがアンジーとわかり、困り顔だ。
「早く来いドライ!」
「ええ……」
馬車の屋根の上で手招きしたあと、するすると馬車の屋根を支える柱を伝って、王様が乗る座席に下りた。
普通ならスカートの中身が見えそうだけど、アンジーはいつもスカートの下に冒険者用のハーフパンツをはいているから問題ない。
「あらあらアンジーったら。どうするの? わたくしたちも行った方がいいわよね?」
「ですわ。数は少ないようですが、相手は空を飛んでますものね。わたくしとファラ。それにドライでないと対処できませんわ」
『私もやっちゃうわよ? ワイバーンのお肉も美味しいからね~。何度もユートに焼いてもらったわ』
……美味しいのか。だったら全部狩って肉祭りだな。
「……はぁ。でもそうなるとキャルはミュールさんとここでお留守番か。アンジーは戻ってくるだろうけど」
「あの、どちらかに向かわれるのですか?」
「ん~、それは後で話すから、キャルはミュールさんと待っててね。すぐに帰ってくるから」
ゆっくりと走り続ける馬車の横まで進み、リズとファラはスカートを押さえながらふわりと浮かび、馬車に乗り込む。
飛行スキルを使ったようだな。その方が乗り込む微調整もできるし正解か。
俺も馬車のまわりを警護する騎士たちに『お騒がせしてすみません』と会釈して飛行スキルを発動した。
「ドライ。アンジェラから話を聞いたが本当のことなのか?」
「はい。ここから王城の方向から十三匹のワイバーンが来ます。なので少し俺たちが行って狩ってこようと」
「……くくくっ。ドライたちにかかればワイバーンですら狩りの対象でしかないのだな。よかろう。私たちが王城につくまでに帰ってこい」
「いいよなドライたちは飛べるから。ワイバーンなんて強敵、俺も戦いたかったぞ。でもいいさ、その内俺も覚えてやるからな。無事帰ってこいよ」
「うん。じゃあリズとファラは……あ、ハーフパンツはいてるのね」
「そりゃ、そうよ。じゃないとスカートでここから飛べば見られちゃうじゃない」
「そうですわ。ドライがなにかありそうなこと言ってましたので、冒険者用の装備もすべて持ってきてましたのよ」
リズとファラはパサリとスカートを下ろすと、いつも通りの冒険者仕様だった。
というより独り言でも言ってたかな……。
ま、準備が万端ならそれに越したことはないよね。
「よし。ならさっさと肉祭り用のお肉を捕りに行きますか」
俺たちは同時に飛行スキルを発動させて浮かび上がり、馬車から飛び上がった。
下からは――
「人が飛んでるぞ! 建国祭の出し物か!」
「すごーい! お母さん、私も飛びたい!」
「はへほはひはひはほふへひふほは!」
「ヒエン殿下、列から離れないでくださいませ!」
――と、結構な騒ぎになっちゃってる。チラと馬車から身を乗り出すカサブランカ王の顔が見えたけど……悪戯王の顔をしていた。
あの顔はまたなにか企んでいるに違いない。なにをしでかすかわからないけど気を付けよう。
それより今は肉、じゃなくてワイバーンが最優先だ。
原作なら襲来するワイバーンは一匹だ。それが十三匹も向かってくるとかおかしすぎる。
襲来したワイバーンは建国祭の目玉、王のスピーチにあわせて王城につっこんでくるんだよな。
そこで新入生で、さらに勇者として参加していたアーシュが激闘の末倒し、王都の民から絶大な支持を得ることになるんだけど……。
まあもういないし……勇者がいないから増えたとか……ないよね?
『……イス。ワイバーンがいるから方向は変わってないんだよね?』
『ん~、微妙にズレてる気がしないでもないけど、とりあえず私についてきて』
『あ! 私のイス様が!』
にゅるんとリズの胸から飛び出したイスが俺たちの前に位置取って王城から少しズレた方向に跳びはじめる。
いや、リズのおっぱいじゃないからね……。
全力で飛び、あっという間に王都を出て一分ほどで巨大なワイバーンが肉眼でも見えるようになってきた。
だけどおかしい。少しずつどころか、完全に方向が変わっていて、王都に行かないのは明らかだ。
『イス、これってどう見ても王都に行かないんじゃない?』
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