初恋

綺麗な子。

俺が落ち着いたとこで

高橋先輩が真面目な顔をした。



「なぁ楠木、

斎木から何か言われたり

されたりしてないか？」




「はい。」

俯く俺に代わってミナが答える。


「この前の記録会の時、部長がクスにくっついてきたんです。

先輩が吉岡に教えてくれたように
『大切なヒトが見に来てくれるかもだから
ヤキモチ妬かれちゃう』
ってクス言ったんです。

そしたらその時は
『俺はお前が大切だぞ』
なんて笑ってましたが

その後は
部長がクスにくっつくコトなくなりました。

部長の行動ってよくわからないです。

先輩何か知ってますか？」




「う～ん。
俺も正直よくわからないんだよ。

少なくとも
俺らが１年の時は斎木が男子にくっつくなんて事なかったと思うよ。

２年になってからかな？

線の細い綺麗なヤツに声かけてくっつく
ようになったの。

同じような雰囲気の１こ下のヤツには声かけてたと思う。

でもそれも２学期の途中でしなくなったけど……。


お前ら入学して
また声かけてるの見てさ。

ていうか
やっぱり楠木だよな。

何せ学校一だし。



イヤな思いして欲しくなくて
俺、声かけたんだ。



……男にくっつかれるのイヤなヤツ
やっぱり多いし。

せっかく入ってくれた後輩だしな。」





「確かにクスは学校一の美人かもですけど

部長は何でそんなコトするんですか？」


ミナが聞いた。




「一度聞いてみたんだ……

『何で後輩に声かけてるの？』

そしたら


『小学校の時に一度見た

綺麗な子にもう一度逢いたくて

雰囲気の似た子見ると

ついその子なんじゃないかって

声掛けちゃうんだ。』って言ってた。



誰か探してるみたいだった。」







結局、部長の行動の意味は
解らなかった。