存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

文字の大きさ
12 / 28

12

皇后がディアターナに提案したのは

まず1つ目

大聖堂にて西帝国の聖女として
身分証明を取得する事

そして2つ目は

西帝国で新たな身分を手にして
貴族になる事

最後の3つ目は

西帝国を出て行く事

だった。

1つ目と2つ目は王家が後ろ盾になり
ジャラスから守れるという好条件だが
1つ目の条件は
ディアターナは再び聖女という身分で
利用されるのは嫌だと思った。
2つ目
貴族となれば自由に動けなくなる
可能性がある
3つ目
現在ジャラスで起きている暴動と反乱
他国にも知れ渡ってしまった
聖女ディアターナの失踪。
もし他国で拘束されたなら
ジャラスに戻されて何かしらの罰を
受けるだろう…

これは私の人生の選択を迫られている
のね…
ディアターナは考えていた思いを
皇后に言うかどうかを悩んだが

関係ない人に迷惑をかけては
いけないわね…と思い答えを出した。


「私は3つ目を選びます」

ディアターナの返答に皇后は驚いた。

「3……
何故、、何故なの?」

皇后にとって3つ目は選択しないで
あろうカマかけだった。

陛下も殿下たちも願わくば1を選択して
西帝国の聖女としてディアターナを
保護し歴代聖女や聖女コリーアンナに
ついてディアターナから学びたいと
考えていた。


2つ目ならば
西帝国にて新たな身分を手にして
貴族として支えてもらいたい。と
思っていた。

私たちに都合のいい提案だったわ…
まさか3だとは…
下手な選択肢を与えてしまった皇后は
額に手をおいて項垂れた

「あの、、
3を選んだ理由を伝えても
よろしいでしょうか」

ディアターナの言葉に我に返った
皇后は
「えぇ、是非とも教えてもらいたいわ」
と言った。

「理由の1つは
これ以上 皆様に迷惑をかけては
いけないと思った事です。
もう1つは聖女コリーアンナの
願いを叶えるためにコリーアンナの
生まれた地に行きたい事です」

皇后は慌てた

「迷惑だなんて、何故そう考えるの
あなたを1人守る事ぐらい
私たちには簡単な事なのよ。
それにコリーアンナの生まれた地って
西帝国でしょう?
護衛だって移動だって用意できるわ」

ディアターナは少し考えながら言った。

「ジャラスでは私が居なくなった事で
大変な事になってしまったようですし
もし私がここに居たら西帝国の人たちに
迷惑がかかります。
それと聖女コリーアンナの生まれた地は
西帝国ではなく北のウィルゾーという
小さな街だそうです」

「待って勇者の森がコリーアンナの
生誕地なのよ。歴史書にも記されているわ」

「はいコリーアンナが聖女の力を
手にして戦った場所は間違いなく
勇者の森です。しかしながら本人は
ウィルゾーにコリーアンナの歴史が、、
誕生の秘密があると言っています」

皇后は頭の中に??が並んだ。
本人が言った?数百年前の人物が?
この子は何を言っているの?

皇后の頭の中は混乱していた…

シーン 

「はぁ、ディアターナ
私に少し時間をくれないかしら
ちょっと整理したいわ」

「はい」

「近くお茶に誘ってもいいかしら」

「もちろんです」

「そう、ありがとう」

皇后とディアターナの初めての茶会は
お開きになった。

ディアターナは部屋に戻ると
その時に備えてある事を始めた
それは石碑に書かれていた神語を
現代語にした文であった。


4時間を費やして完成させた
文を読み直しながら皇后宛に
手紙も添えて封を閉じた

「終わったぁー
4時間で出来たなら上出来ね」

時刻は深夜
ディアターナは手紙を引き出しに
しまうと夢の中に落ちて行った。


数日後

陛下と皇后
ガーディル、そしてアベルは
家族揃って食事をした後で
ディアターナの話をしていた。
皇后から話を聞いた陛下も
悩んでいた。

「ジャラスはディアターナを
探し人として大陸全土に通達を出すようだ
そうなればコリーアンナを追うことも
難しいだろう」

長い話し合いの後で皇太子は言った。

「西帝国にて大聖女としての身分を与え
ジャラスのみならず他国がディアターナに
手を出せないようにしたい」

しかし陛下は

「大聖女としても大義名分
その力を貴族、民が認めなければ
簡単に称号は与えられん。
特に長老会の連中や大臣たちはなぁ…」

そう言った。

皇后はディアターナを手放したくは
無かった。ずっと現れなかった聖女。
もし聖女が西帝国にいたならば
どんなに良い事か…そう思っていた。

アベルは
常識にも欠け突拍子もないディアターナが
苦手だった。
聖女の力は認めてはいたが
厄介事に巻き込まれる事は避けたかった。


その日から数日が過ぎて
皆はディアターナが姿を消してしまった
事に戸惑った。



「一体どうなるのでしょうか」

「わかりませんね。
ガーディル殿下が皇太子命で
聖女認定を受けさせると言っては
いましたが…」

「ジャラスが強く反発しなければ
良いのですが…」

「正直、厄介ですね。
突然と現れて聖女だなんて…
我が国に必要なのでしょうか」

ディアターナは偶然にも
秘書官と執事の会話を聞いてしまったのだ。

そうよねぇ
皇后様は大丈夫だと言って下さったけど
勝手に入国した身勝手な聖女だなんて
迷惑でしかないもの…
やっぱり出て行くのが1番よね

ディアターナは部屋に戻ると
宮入りした時の荷物をまとめ
巾着の中身を確認した。

うん、これだけお金があれば
すぐに銀行へ行かなくても
大丈夫そうね。

ディアターナは
皆に世話になった礼と
皇后にお茶が出来なくなった事を詫びる
手紙を書くと警備が手薄になった
時間に食材運びの荷馬車に隠れて
王宮を後にした。


続く

あなたにおすすめの小説

【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで

雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。  ※王国は滅びます。

ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ

ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。 スピーナ子爵家の次女。 どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。 ウィオラはいつも『じゃない方』 認められない、 選ばれない… そんなウィオラは―― 中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。 よろしくお願いします。

【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです

唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。 すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。 「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて―― 一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。 今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。

【結婚式当日に捨てられました】身代わりの役目は不要だと姉を選んだ王子は、隣国皇帝が私を国ごと奪いに来てから後悔しても手遅れです。

唯崎りいち
恋愛
結婚式当日、私は“替え玉”として捨てられた。 本物の姉が戻ってきたから、もう必要ないのだと。 けれど—— 私こそが、誰も知らなかった“本物の価値”を持っていた。 世界でただ一人、すべてを癒す力。 そして、その価値を知るただ一人の人が、皇帝となって私を迎えに来る。 これは、すべてを失った少女が、本当に必要とされる場所へ辿り着く物語。

【完結】ある公爵の後悔

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
王女に嵌められて冤罪をかけられた婚約者に会うため、公爵令息のチェーザレは北の修道院に向かう。 そこで知った真実とは・・・ 主人公はクズです。

惨殺された聖女は、任命式前に巻き戻る

ツルカ
恋愛
惨殺された聖女が、聖女任命式前に時間が巻き戻り、元婚約者に再会する話。

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。

石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。 やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。 失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。 愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。