存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

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ベンチに地図を広げて
北帝国を調べているディアターナが居た。

「うーん もっと細かい地図がほしいわ
ウィルゾーなんてわからないじゃない
誰かに聞いた方が早いかな」

ディアターナは地図をしまうと
果物屋の夫婦を見つけて話しかけた

「あの、、すみません
お聞きしたいのですが」

「ん?なんだ」

旦那さんがディアターナに気がついた

「北帝国のウィルゾーという場所を
調べているのですが…」

夫婦はキョトンとした。
夫人が言った

「私たちに北帝国の事なんてわからないよ
でもウィルゾーって場所なら
わかるわよ」

今度はディアターナがキョトンとした。
北帝国がわからないのに
ウィルゾーはわかるって何?

「お前さんが言ってるのは
ウィルゾー領の事かい?
だったら教えてあげられるよ」

「えっと…聖女コリーアンナの事で」

「あぁ、ウィルゾー領だよ。
何で北帝国なんだよ
聖女コリーアンナ様は我が国の英雄さ」

「エッ、、」

果物屋の夫婦は
ウィルゾーに行くのは歩きでは無理だと
言った。
乗り合い馬車でウィルゾー入り口まで行き
また馬車で奥に進むらしい。
そしてコリーアンナの家は
奥地にあるからウィルゾーの宿に
宿泊してから出発しないと
到着が深夜になると教えてくれた。

ディアターナは教えてくれた礼に
果物を買い銀貨を1枚渡して
乗り合い馬車停を目指した。

まさか、、まさかの西帝国だったとは…
コリーアンナ様も紛らわしい言い方を
しないでほしいわ…
そうだ!皇后様も!
ウィルゾーが西帝国ならば
教えてくださいよー!

なんだかちょっと恥ずかしい
ディアターナだった。

ウィルゾーのコリーアンナ誕生地

既に派遣された騎士たちが
ディアターナを待っていた。
もちろんバレないように
ラフなシャツに動きやすいズボン
馬は離れた場所に繋ぎ
街人のようにしていた。が、、
来ない、、ディアターナが来ない。
待っていても来ない…

初日、アベルは顔を知られている
ために変装までして来たのに…

「どこで何をしているんだ?
国境の検問所にも現れないし
ここにも来ないだと?
まさか、また 国境付近の抜け道を
見つけて北に入ったなんて事は
ないよな!」

アベルに嫌な予感がはしった。

形違えどアベルの感は当たっていた
ディアターナは活気溢れる街に惹かれ
乗り合い馬車に乗っていなかった。

「うわぁー
可愛いカフェねぇ 入ってみたいなぁ
うわぁー
綺麗なレストラン
上流階級の人が使うレストランね
うわぁー
雑貨屋さん、、素敵」

8年間神殿で暮らしていた
ディアターナにとって
街という場所は全てが新鮮で
観光を楽しんでいた。


その頃 王宮では
皇后がディアターナから受け取った
手紙をガーディルと一緒に見ていた。

「ディアターナ言わく
古代語ではなく神語だそうよ」

「だから調べてもわからなかったんだ
それで石碑の内容は」

「我が大陸に生きる人類たちよ
我ら勇者はこの地に眠る神の力を
ここに封印する事に決めた。
神の力に頼らず己の知恵を使い
助け合いながらこの地を育て
人類にとってより良い場所とする事を
願う。
時が来た時 我コリーアンナの血を継ぐ
聖女が大陸を導くであろう
勇者よ共に目覚めよ」

ガーディルは文を読んで
しばらく固まった

「母上
まさかディアターナがコリーアンナの
血を継ぐ聖女ですか?
俺には、、そう思えないのですが…」

「私にもわからないわ…
あの子がコリーアンナの血を継ぐ者
なのかどうかは」


「確かに聖女なんでしょうけれど…
それと勇者よ目覚めよ。とは?
もし今コリーアンナの言う聖女が
ディアターナだとしたならば
これから何か起こるのでしょうか」

「さぁ、近々の問題ならば
ジャラスではないかしらね」

「待ってください
そもそもジャラス問題は
あの聖女が引き金ですよ
彼女がジャラスから逃げ出さなければ
良かっただけですから」

「だから わからないって言ってるのよ」

「はぁ、、まぁとりあえず
石碑の謎がわかっただけ良しとします」

「そうね」

2人は未だディアターナという
人物を掴めていなかった。


コリーアンナの生家で待機している
騎士たちは退屈な時間を過ごしていた。

「一体どこに行ったんだ」

「さあな国境にも現れてないみたいだな」

「参ったな何をしながら過ごしたら
いいのか」

「本当に来るのかよ」

騎士たちは暇を持て余して
生家から離れた場所で体を動かしながら
ディアターナを待っていた。

ディアターナが宮から消えて3週間
ようやくその時が来た

乗り合い馬車でウィルゾーに到着した
ディアターナは教えてもらった
地図を見ながら歩いていた。

「うわぁー
なんだか神秘的ね…
木々が多くて秘境みたいだわ
うん、せっかくだから歩こう」

生家までもう少し
乗り合い馬車を途中で降りた
ディアターナはゆっくりと
景色を見ながら歩き出した。

乗り合い馬車の終点には
一般人になりすました騎士が
降りてくる人を遠目に確認していたが
ディアターナらしい女性は
降りて来なかった。

「ふぅ、また空振りかぁー
今日の便は終わりだな」

そう言うと馬に乗り
生家で待つ仲間のところへと
走り出した。

「今日も空振りでしたよ
明日をまちましょう」

騎士たちは街でディアターナを
探した方が早いのではないかと
思い始めていた。



続く
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