【完結】あなたの妻(Ω)辞めます!

MEIKO

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第一章・思ってもみない結婚

8・オメガのセクシャリティ

 「ふぁ~~っ。昨日はごめんね。お世話掛けました。」
 大あくびをしながら伊織が起きてきた。

 「今日予定ないの?良く寝てたし起きるまで放っておいたけど。」
 ベッドを占領した伊織のせいで、ソファで寝るハメになった私は、ちょっと不機嫌そうにそう言う。

 「僕は今日予定ないよ。涼は?昼どっか出掛ける?一緒にさ。」
 まずはシャワー!とバスルームに入って行った。

 
 「そう言えば昨日さ、チラッと例の人見たよ。涼が言った通りイケメンだったよね?」
 風呂上がりの伊織に、やるな~と肩を突かれる。

 「やるな┉って。政略で偽装な結婚だし。イケメンって関係ないよね?」
 そう言った私に伊織は目を丸くして┉

 「違うでしょ!周りにしてみれば結婚相手そのものだって。込み入った事情なんてはたからみたらわかんないしさ┉だったらイケメン捕まえたね~って言われた方が良くないか?」
 
 そう言われたらそうかも?イケメンの方が自慢にはなる。

 「涼あんたさ、前から聞いてみたかった事いい?今さ。その┉涼は経験はあるの?」

 経験┉あるわけないだろ?この前やっと初デートだったわ!!と突っ込みたいけど、恥ずかしくてとてもじゃないけど言えない┉。

 伊織は聞かなくても私の様子で察したようで、可哀想な子を見るような目でみてきた。

 「伊織だってそうだよね?経験があるとは言わせない!」

 ──ん。んんん┉?嘘でしょう┉?

 「僕はあるよ、もちろん。」

 「┉嘘だ。だって何時いつよ?高校の時じゃないよね?周りオメガばっかりだったし。大学か┉?」
 てっきり自分と同じ未経験だと思い込んでいた伊織が、まさかの経験済!ショックすぎる┉。
 さらに伊織は追い討ちをかけるように爆弾発言を┉

 「僕さ、男も女も経験してみた。」

 ──男も、女も┉ですか?

 「だってさ、オメガだって言ってもどっちが好きかなんて人それぞれだろ?どっちも経験してみたら判るかな?って思って。」

 なるほど┉それでどっちなのよ?

 「僕はね、どっちも抵抗なかった。ようは好きになった人によるんだろうな、男でも女でも。」

 ──ちょっとだけ父を思ってしまった。
 父親の性的嗜好せいてきしこうを考えるのも┉なんだけど、ようはそういう事だよね。

 男の人のとの結婚が破談になって女の人と結婚したんだから。
 そんな事を考えていたら┉

 「でも涼は男の人だけだよね?間違いなく。」

 本当に?何でそう思うんだろ?と不思議な顔をしていると

 「だって自分の事『私』って言うよね?いつも。社会に出たらさ、そういう風に言う事多いよ。でもプライベートもって言ったら少ないんじゃない?それに僕の記憶が確かなら、高校の始めの頃までは『僕』って言ってたと思う。それがいつの間にか『私』になってたよ。オメガホルモンが安定してそっちを無意識に選択したんじゃないかな?自分の呼び名だけで一概いちがいには言えないけど┉どう?違う?」 

 自分のセクシャリティを親友から教えられる┉って言う事にビックリしつつも納得する。
 そう言われればそうかもな?自分が女の人と┉って事は考えられない。

 私と伊織は共にオメガで、高校はオメガしかいない専門の所へ行った。
 オメガはその特性上、見た目は男でも結婚相手によってまるで違う人生になる。
 相手が男性だった場合、女性のようになる必要はないが、立場上それを求められる可能性は高い。
 それを学ぶ事に特化した学校を選ぶのが、早いうちから性を判別できるようになった現在の常識なのだ。

 だから、出会いの場が極端に少なくなる訳で┉。
 大学は専門校じゃなかったけど、一緒に居たのはオメガかベータだったよね?

 「伊織、何処で知り合うの?会社の人とか?」

 「ん?アルファとオメガの出会いのコミュニティがあるんだよ。そこでかな?」

 なんだって!どうして誘ってくれなかった┉とちょっと不満顔に。

 「ハハハっ。涼はムリムリ!そんなトコ行くタイプじゃないでしょ?」

 なんか、凄いバカにされてる気がする┉。だから、行ってみたい!って言っちゃう。
 
 そんな私に伊織は驚いたようだったけど、だったらちょうどいい具合に今夜その会があるというので一緒に行く!って。


 ちょっとした好奇心だったのに┉私は今ピンチだ┉。
 ピンチと言うか┉バツが悪い、悪過ぎる。

 その場に何故か直哉さんの姿が──。
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