【完結】あなたの妻(Ω)辞めます!

MEIKO

文字の大きさ
10 / 108
第一章・思ってもみない結婚

10・父の恋人

しおりを挟む
 これから直哉さんのお父様にお会いする。
 父の恋人だった人に…

 どんな顔して会ったらいいんだろ?って思う。
 もしかして自分の義父ちちになるかもしれない方だし…
 取り敢えずは感情に任せようと思う。
 考えれば考えるほど堂々巡りになるだけだ。

 直哉さんは今、マンションで一人暮らしをしているそうだ。
 だから今は父親と共に暮らしてはいないそうだけど、今日は一緒に実家の方に行く事になっている。

 ──もうすぐ迎えに来てくれるハズなんだけど。あの車かな?…わあ、すごい高級車!

 「お待たせしましたか?さあ、乗って下さい。」と車のドアを開けてくれる。

 わざわざ降りて来てドア開けてくれるなんて…男ですけど?と思いながらも、そのスマートさに感心するし嬉しくなった。

 こんなカッコイイ人がエスコートしてくれて迷惑な人なんていないよね?
 スーツ姿しか見た事なかったけど、普段着も洗練されててとっても素敵だ。

 そして走り出して暫くして直哉さんが話し出す。
 「涼さん、父は病気とはいえ話す上では何の問題もありません。何か聞きたい事などあったら質問していただいて結構ですから。」

 ──質問ですか…
 
 聞きたい事は沢山あるけれど、結局はこちらから質問…とはならないと思っている。
 父も母もとっくに亡くなっている今、聞かなければならないのは私達の結婚の事だけだろう。

 写真を見て今回のお見合いに…というのは叔父から聞いているけど、それだけなのかな?
 何か他にも理由ある気がするんだけど…

 走り出して1時間ほど、意外にも郊外の場所にその邸宅は建っていた。
 経済界の大物だし、都内の一等地に家があるのかと勝手に思っていたけど。
 
 門塀もんぺいが開き、中に入ると数寄屋造すきやづくりの大きな屋敷が見えてきた。

 やっぱり凄いな…緊張しちゃう。

 直哉さんは玄関前で車を止め、先程と同じく私が乗っている助手席のドアを開けてくれる。
 
 思わずどこか可怪おかしくないかな?と自分の格好をチェックしていたら、笑われてしまった…

 「涼さん、大丈夫です。どこから見ても完璧ですよ!それに緊張しなくても良いですし。」

 その言葉に、本当に?とは思うが、ここまで来て会わない訳にもいかず、案内されるまま屋敷の中に入っていく。

 大きな客間に通され、お手伝いの方がお茶を出してくれる。
 直哉さんは、では父を呼んで来ますと部屋を出ていった。

 一人になった私は緊張がピークで、ほんの少しお茶を飲んで喉を潤す。
 
 ──ドキドキするな…

 すると──廊下から車椅子に乗った初老の男性が現れる。

 見た瞬間、何故か時間が止まるような感覚が…
 同時に、泣きたいような笑いたいようなそんな不思議な感覚に包まれる。

 この人が父の愛した人なんだ…そう思ったら、今まで感じたことがないような気持ちになった。

 ──お母さん、ごめんね!
 私、この人は嫌いになれないと思う。
 お母さんがどう思っていたのかは今はもうよしもないけど、例え憎く思っていたとしても私もそう思うのは無理!何故だかそう感じる…

 「涼さんだね?本当にお父さんとそっくりだね…」そう言ってその人の頬につーっと涙が流れる。

 そんな涙を見た瞬間、思わず駆け寄り抱き締めてしまっていた。
 自分で自分の感情が理解出来ない!だけどそうしなければならないという思いに駆られた…そしてその人を見つめて、泣きながら微笑んだ。

しおりを挟む
感想 117

あなたにおすすめの小説

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】それ以上近づかないでください。

ぽぽ
BL
「誰がお前のことなんか好きになると思うの?」 地味で冴えない小鳥遊凪は、ずっと憧れていた蓮見馨に勢いで告白してしまう。 するとまさかのOK。夢みたいな日々が始まった……はずだった。 だけど、ある出来事をきっかけに二人の関係はあっけなく終わる。 過去を忘れるために転校した凪は、もう二度と馨と会うことはないと思っていた。 ところが、ひょんなことから再会してしまう。 しかも、久しぶりに会った馨はどこか様子が違っていた。 「今度は、もう離さないから」 「お願いだから、僕にもう近づかないで…」

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

夫には好きな相手がいるようです。愛されない僕は針と糸で未来を縫い直します。

伊織
BL
裕福な呉服屋の三男・桐生千尋(きりゅう ちひろ)は、行商人の家の次男・相馬誠一(そうま せいいち)と結婚した。 子どもの頃に憧れていた相手との結婚だったけれど、誠一はほとんど笑わず、冷たい態度ばかり。 ある日、千尋は誠一宛てに届いた女性からの恋文を見つけてしまう。 ――自分はただ、家からの援助目当てで選ばれただけなのか? 失望と涙の中で、千尋は気づく。 「誠一に頼らず、自分の力で生きてみたい」 針と糸を手に、幼い頃から得意だった裁縫を活かして、少しずつ自分の居場所を築き始める。 やがて町の人々に必要とされ、笑顔を取り戻していく千尋。 そんな千尋を見て、誠一の心もまた揺れ始めて――。 涙から始まる、すれ違い夫婦の再生と恋の物語。 ※本作は明治時代初期~中期をイメージしていますが、BL作品としての物語性を重視し、史実とは異なる設定や表現があります。 ※誤字脱字などお気づきの点があるかもしれませんが、温かい目で読んでいただければ嬉しいです。

六年目の恋、もう一度手をつなぐ

高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。 順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。 「もう、おればっかりが好きなんやろか?」 馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。 そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。 嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き…… 「そっちがその気なら、もういい!」 堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……? 倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡

新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました

水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。 新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。 それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。 「お前は俺の運命の番だ」 彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。 不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。

処理中です...