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第三章・回想
39・偶然に
俺はある日、あの思い出の本屋でふたたびあの人を見た。雑誌に載っているあの人を。
老齢の夫婦と共に写っている園芸雑誌の記事の写真…
そして『記事 内藤涼』と書いてあった。
あの高校の時の出会いから9年が経っていた。
あれから驚くほど会うことがなかった。それなのにこんな偶然に?
通り掛かった園芸雑誌コーナーで、たまたまそのページを開いていた人がいたんだ。
まさか?と驚いたが、動揺を隠してその雑誌を買う。
急いで家に帰り、改めてそのページを開いてみる。
二十代半ばを過ぎている筈だが、あの時と全く変わらない眩しい笑顔で…
出版社の編集記者になっているんだ!それも園芸雑誌の。
なんだかそう思ったら、あの人にピッタリ過ぎて笑ってしまう。
あっちは何とも思ってなくて、とっくに俺の事など忘れてるだろうけど、俺も頑張ってるよ…って呟いてみた。
──実際俺は、頑張っている!
学生の時は、家庭を顧みない父を嫌っていたが、社会に出てみてその凄さを目の当たりにすると尊敬に変わっていく。
社長の息子っていうだけで通用するような甘い世界なんかじゃなかった…俺は少しだけ、仕事で家に殆ど居なかった父を理解する事が出来た。
そして母は二年前、病死した。
あっという間に病状が悪化し、流石に父もその母に付いてやっていた。
その時の嬉しそうな母の顔を思い出すけど、結局俺や弟には見せない顔だったな…
母は寂しくて、弱くて、可哀想な人だったんだ──。
そんな俺が、それから暫くして衝撃の事実を知る事になる。
ある日、家に居た父がその雑誌を手にして茫然としていた。
あっ、置き忘れたんだ…って思って近づく。
「──維月…」そう父が呟く。
維月?その人は涼…だよね?って不思議に思った。そして…
「内藤…涼か。維月に驚くほどそっくりだな…」
そう言いながら写真のその人の顔を指でなぞって…泣いていたんだ…
俺は目の前のことを信じられない!父が…泣いている?
…やっぱりあの人と関係あるのか? 維月…初めて父が大事にしている写真の人の名を知った。
もしかして、内藤維月なんだろうか…
俺は高校生の時の内藤涼との出会いを心の中で大事にしていた。
恋とかそんな簡単な言葉では表現できないほどの。
あの凛とした姿に俺も近付きたい…そんな感情だったんだ!
──それなのに!
近付きたい、だけど近付いてはいけない…そんな人になってしまった。
そしてそんな俺に、父は驚くべき提案をしてきたんだ。
老齢の夫婦と共に写っている園芸雑誌の記事の写真…
そして『記事 内藤涼』と書いてあった。
あの高校の時の出会いから9年が経っていた。
あれから驚くほど会うことがなかった。それなのにこんな偶然に?
通り掛かった園芸雑誌コーナーで、たまたまそのページを開いていた人がいたんだ。
まさか?と驚いたが、動揺を隠してその雑誌を買う。
急いで家に帰り、改めてそのページを開いてみる。
二十代半ばを過ぎている筈だが、あの時と全く変わらない眩しい笑顔で…
出版社の編集記者になっているんだ!それも園芸雑誌の。
なんだかそう思ったら、あの人にピッタリ過ぎて笑ってしまう。
あっちは何とも思ってなくて、とっくに俺の事など忘れてるだろうけど、俺も頑張ってるよ…って呟いてみた。
──実際俺は、頑張っている!
学生の時は、家庭を顧みない父を嫌っていたが、社会に出てみてその凄さを目の当たりにすると尊敬に変わっていく。
社長の息子っていうだけで通用するような甘い世界なんかじゃなかった…俺は少しだけ、仕事で家に殆ど居なかった父を理解する事が出来た。
そして母は二年前、病死した。
あっという間に病状が悪化し、流石に父もその母に付いてやっていた。
その時の嬉しそうな母の顔を思い出すけど、結局俺や弟には見せない顔だったな…
母は寂しくて、弱くて、可哀想な人だったんだ──。
そんな俺が、それから暫くして衝撃の事実を知る事になる。
ある日、家に居た父がその雑誌を手にして茫然としていた。
あっ、置き忘れたんだ…って思って近づく。
「──維月…」そう父が呟く。
維月?その人は涼…だよね?って不思議に思った。そして…
「内藤…涼か。維月に驚くほどそっくりだな…」
そう言いながら写真のその人の顔を指でなぞって…泣いていたんだ…
俺は目の前のことを信じられない!父が…泣いている?
…やっぱりあの人と関係あるのか? 維月…初めて父が大事にしている写真の人の名を知った。
もしかして、内藤維月なんだろうか…
俺は高校生の時の内藤涼との出会いを心の中で大事にしていた。
恋とかそんな簡単な言葉では表現できないほどの。
あの凛とした姿に俺も近付きたい…そんな感情だったんだ!
──それなのに!
近付きたい、だけど近付いてはいけない…そんな人になってしまった。
そしてそんな俺に、父は驚くべき提案をしてきたんだ。
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