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第7章・番外編
102・冬の贈り物
《涼と直哉の高校生の時の出会いからその後のお話》
「おっ!寒いと思ったら、雪降って来たぞ~!」
朝からの凍えるような寒さの中、放課後遊びに来ていた俺は友人の一人が言った言葉に空を見上げた。
本当だ…鉛色の空から、ハラハラと雪が舞い落ちてきた。
思わずその雪を手の平で受け止める。
手の熱で、すっと容易に消えていく雪を暫く眺めていたけど、行くぞ!って言う友人の声に我に返る。
内藤涼との出会いから、もうすぐ半年が経つ。
あれから俺は、頑なにそうしてきたあらゆる事をヤメて身軽になった。
見た目を偽ってダサい眼鏡や髪型に、友人も意図的に作らず勉強も殆どやらない俺…そんな馬鹿みたいな事に固執していたんだ…
まずは身綺麗にしてから、遅れを取り戻すように必死に勉強し、気の合うヤツとは友人にもなった。
再び涼に会う事が出来たなら、きっとあの時の俺だなんて気付かないだろうな?
だけど…それが全くといっていいほど会わない!
俺は放課後、キョロキョロと見回す癖がついていて、一目だけでもまた涼に会いたいって思ってるんだけど…
そう思えば思うほど会えない…って本当なんだなぁ~って思う。
それから俺達は、寒さを凌ぐ為にカラオケ店に入って遊んでから、そろそろ帰らなきゃな!って店を出た時には辺りは薄暗くなっていた。
「おっ、少し雪積もってる!これは早く帰った方がいいぞ!」
じゃ、また明日な~って、友人と別れて足早に歩き出す。
カラオケなんて行ってる場合じゃなかったな?
どんどん酷くなる雪にそう思いながら、足元に気を付けて歩く。
信号待ちの間に、冷たくなった指先にハァ~ッて息を吐きながら温めていると、ふっと反対側で信号を待つ人達に目がいった。
──あっ!あれは…涼じゃないか?
内藤涼が、友人達と一緒に居るのが見えた。
首にマフラーを巻いていて、少し顔が隠れてはいるが、あの美しい顔は間違いない!
ミトン型の手袋が似合っていて、本当に可愛い。
──久しぶりだけど、元気そうだ…
こうやって、見掛けるだけでもいいから頻繁に会いたいんだけど…本当は。
声を掛けてみたい気がするけど、今日はこの天候では無理そうだ。それで…
咄嗟に俺は近くに積もっている雪を掴んだ。
ぎゅっと固く握って、2つをくっつける。
ふっ!雪だるま…だよ。
やがて信号が青に変わり、周りが一斉に歩き出した。
俺は、じっと涼だけを見つめながら歩く。
そして目の前に来たら、その視線に気付いたであろう涼が俺を見つめ返した。
「冬の贈り物だ!」
唐突にそう言って涼に手渡す。
きっと何だか分かっていないだろう様子の涼が、反射的にその雪だるまを受け取る。
俺はその驚いた表情の涼を見て微笑んで、そのまますれ違って行った。
恐らくそんな知らない男から貰った、それも雪だるまなんて直ぐ投げ捨てたかもしれない…
だけど、それでいいんだ!
見た目が変わった俺で、おまけに半年も前に一度会っただけの男なんて、普通は覚えてないだろうしな…
自己満足だけど、涼に贈り物が出来た。
──それで…充分だ。
それまで寒さで震えていた自分だけど、それだけで温かくなったような気がする。
涼、きっといつかまた会えるね?
根拠はないけど、そんな予感がしたんだ。
「わあ!見て~直哉さん。外、雪が降って来たよ!」
涼が窓から外を見て、嬉しそうに言ってきた。
俺は涼の隣に行って、一緒になってそれを眺める。
「寒いと思ったら雪だな!冷えるぞ、もっとこっち来いよ?」
そう言って涼の腰をぎゅっと引き寄せた。
腕に温かな涼の身体を感じて力が籠もる。
涼の頭がコテンと俺の肩にもたれかかって、雪綺麗だね~って呟く。
「涼の方がずっと綺麗だよ」
思わずそんなくさいセリフが出てしまって、二人で顔を見合わせて照れくさそうに笑った。
「フフッ直哉さんたら~。そういえば、ずいぶん前に直哉さんから雪だるま貰ったよね?大事に持って帰ろうとしたんだけど途中で溶けちゃって…」
──ん!気付いてたか!?
流石、涼…侮れない!!
驚いた俺だけど、次の瞬間笑って言ったんだ…
「涼の為ならいくらでもまた作るよ?いくつだって作る。」
そう言って愛しそうに見つめ合いながら俺達はキスをした。
「おっ!寒いと思ったら、雪降って来たぞ~!」
朝からの凍えるような寒さの中、放課後遊びに来ていた俺は友人の一人が言った言葉に空を見上げた。
本当だ…鉛色の空から、ハラハラと雪が舞い落ちてきた。
思わずその雪を手の平で受け止める。
手の熱で、すっと容易に消えていく雪を暫く眺めていたけど、行くぞ!って言う友人の声に我に返る。
内藤涼との出会いから、もうすぐ半年が経つ。
あれから俺は、頑なにそうしてきたあらゆる事をヤメて身軽になった。
見た目を偽ってダサい眼鏡や髪型に、友人も意図的に作らず勉強も殆どやらない俺…そんな馬鹿みたいな事に固執していたんだ…
まずは身綺麗にしてから、遅れを取り戻すように必死に勉強し、気の合うヤツとは友人にもなった。
再び涼に会う事が出来たなら、きっとあの時の俺だなんて気付かないだろうな?
だけど…それが全くといっていいほど会わない!
俺は放課後、キョロキョロと見回す癖がついていて、一目だけでもまた涼に会いたいって思ってるんだけど…
そう思えば思うほど会えない…って本当なんだなぁ~って思う。
それから俺達は、寒さを凌ぐ為にカラオケ店に入って遊んでから、そろそろ帰らなきゃな!って店を出た時には辺りは薄暗くなっていた。
「おっ、少し雪積もってる!これは早く帰った方がいいぞ!」
じゃ、また明日な~って、友人と別れて足早に歩き出す。
カラオケなんて行ってる場合じゃなかったな?
どんどん酷くなる雪にそう思いながら、足元に気を付けて歩く。
信号待ちの間に、冷たくなった指先にハァ~ッて息を吐きながら温めていると、ふっと反対側で信号を待つ人達に目がいった。
──あっ!あれは…涼じゃないか?
内藤涼が、友人達と一緒に居るのが見えた。
首にマフラーを巻いていて、少し顔が隠れてはいるが、あの美しい顔は間違いない!
ミトン型の手袋が似合っていて、本当に可愛い。
──久しぶりだけど、元気そうだ…
こうやって、見掛けるだけでもいいから頻繁に会いたいんだけど…本当は。
声を掛けてみたい気がするけど、今日はこの天候では無理そうだ。それで…
咄嗟に俺は近くに積もっている雪を掴んだ。
ぎゅっと固く握って、2つをくっつける。
ふっ!雪だるま…だよ。
やがて信号が青に変わり、周りが一斉に歩き出した。
俺は、じっと涼だけを見つめながら歩く。
そして目の前に来たら、その視線に気付いたであろう涼が俺を見つめ返した。
「冬の贈り物だ!」
唐突にそう言って涼に手渡す。
きっと何だか分かっていないだろう様子の涼が、反射的にその雪だるまを受け取る。
俺はその驚いた表情の涼を見て微笑んで、そのまますれ違って行った。
恐らくそんな知らない男から貰った、それも雪だるまなんて直ぐ投げ捨てたかもしれない…
だけど、それでいいんだ!
見た目が変わった俺で、おまけに半年も前に一度会っただけの男なんて、普通は覚えてないだろうしな…
自己満足だけど、涼に贈り物が出来た。
──それで…充分だ。
それまで寒さで震えていた自分だけど、それだけで温かくなったような気がする。
涼、きっといつかまた会えるね?
根拠はないけど、そんな予感がしたんだ。
「わあ!見て~直哉さん。外、雪が降って来たよ!」
涼が窓から外を見て、嬉しそうに言ってきた。
俺は涼の隣に行って、一緒になってそれを眺める。
「寒いと思ったら雪だな!冷えるぞ、もっとこっち来いよ?」
そう言って涼の腰をぎゅっと引き寄せた。
腕に温かな涼の身体を感じて力が籠もる。
涼の頭がコテンと俺の肩にもたれかかって、雪綺麗だね~って呟く。
「涼の方がずっと綺麗だよ」
思わずそんなくさいセリフが出てしまって、二人で顔を見合わせて照れくさそうに笑った。
「フフッ直哉さんたら~。そういえば、ずいぶん前に直哉さんから雪だるま貰ったよね?大事に持って帰ろうとしたんだけど途中で溶けちゃって…」
──ん!気付いてたか!?
流石、涼…侮れない!!
驚いた俺だけど、次の瞬間笑って言ったんだ…
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そう言って愛しそうに見つめ合いながら俺達はキスをした。
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