お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO

文字の大きさ
66 / 107
第八章・アノー家の人達

65・新たな決意

しおりを挟む
 もしかして…そう思って考える。だけどそんな偶然ってある?誰だってそう思うだろうが、恐らく間違いない。それで思い切って聞いてみる。

 「スミンさん、あのブランさんってガトリン公爵家の執事だったんじゃないですか?アンディ・ガトリン令息のお家の…」

 そこに登場して来たのが、またまたアンディ。って、アンディはこの際関係ないんだけどね?その家門のガドリン公爵家だ。王家にも連なる名だたる家柄だ。あの貴族家で執事を務められるなんて、相当な実力と覚悟が必要だ。なんてったって、必◯仕事人みたいな家門だからね…。先程会ったブランさんは柔らかな物腰だったけど、全く隙が無く文句の付け所がない対応だったよ。
 
 それには坊ちゃまもスミンさんもキョトンとして僕を見つめる。そりゃそうだよな…ブランと名前を聞いただけで、そんなことを言い出すんだからね。

 「そ、そうです、あのガドリン公爵家で執事を務めてらっしゃいました。でも何故…エリオットがブランさんのことを知ってるんだい?」

 そう問われてコックリと頷いて、二人に説明を始めた。アノー伯爵家の元執事で、大旦那様の元恋人のジョナサンとブランさんが従兄弟で、家出した時最初はブランさんを頼って保護して貰おうとしたこと。そして一日の差でそれが実現しなかったことなどを順を追って話す。

 「まさか!そんなことが…?でもあの時死ぬ程苦労したエリオットには悪いが、ブランが居なくて良かった。そうでなければエリオットとは一生会えなかったかも…」

 坊ちゃまがどこか遠くを見るようにそう言って、僕もブンブン首を振って同意する。

 「本当にそう思います。あの時ブランさんに計画通り会えていたら、今はガドリン家の使用人になっていたかも…」

 それに僕と坊ちゃまは目を合わせて微笑み合う。出会えて良かったと再確認するように。それから隣にいるスミンさんは、暫し黙って考えていたようだが、頷きながら口を開いた。
 
 「なるほど…ジョナサンの従兄弟だったのですか!そう言われると何処となく似ていますよね?お二人共あの年齢ですが端正なお顔立ちですから」

 そのスミンさんの言葉に納得だ…さっきのブランさんを初めて見た時の想像以上の驚きは、どこかあの人にジョナサンを見ていたからかも?何となく親しみを感じるというか…ブランさんがワイルド系でジョナサンが綺麗系ではあるけど、二人は似ていてイケオジ感満載なんだよね~

 なる程な!とスッキリして、その時ちょうど馬車が見えて来た。さあ馬車に乗って帰ろうかと思っていると、突然スミンさんが焦り出す。な、何だ!?

 「そういえば…エリオットはもう坊ちゃまの婚約者です!その印である婚約指輪をされていますから。ということはもう呼び捨ては許されませんね。これからはエリオット様とお呼びしますので」

 そう言って僕に頭を下げるスミンさん。それには無茶苦茶焦って、スミンさん以上に大きな声を出した。

 「いやいやいやいやぁ~それはまだ止めて下さい!お願いします…せめて結婚してからで。今はまだ何の気負いもなくエリオットと呼んで貰えたら…。屋敷の皆さんにもいつも通りに接して欲しいと言っておいて下さい!」

 大汗をかきながらそう頼むと、スミンさんは少し戸惑った様子で「そうですか…?」と坊ちゃまの方を見る。それから「そうしてやって」の言葉にやっと納得したように頷いて了承してくれた。

 ──スゲェ危なかったよ!僕ってそんなキャラじゃないんだよね…上から目線なんてトンデモねぇ。だけどそうか…坊ちゃまと結婚したらそうなるよね?だけどそれはまだ心の準備が出来ていない。それに今までの皆んなとの関係が変わってしまうなんて!だけどあと二年余りでその心づもりが必要なのか…と、ちょっぴり寂しくなった。そんな心を坊ちゃまも分かっているのだろう、どこか不安気に僕を見つめている。
 そんな感傷は正直あるが、僕にとっての一番はやはり坊ちゃま!二人が幸せになる方向だけを向いて行こう。そう強く決心して坊ちゃまの隣へと駆け出した。


 +++++
 

 それから僕達は、わざわざここまで来てくれたスミンさんにお礼を言って、それぞれの馬車に乗り込み帰って行った。学園に到着すると御者をしてくれたスコットさんがどこか寂しそうに「この度はおめでとうございます」と祝ってくれる。いつもは笑顔のスコットさんがどうした?と驚いたが、やっぱりスミンさんのように遠慮してしまうのかな…と心配に。だけど次の瞬間僕の肩をポンと叩き「これからもよろしくな」と言って笑ってくれて、いつもような態度に心底安心する。それに「ありがとうございます」と笑顔で返して、僕達は部屋へと戻って行った。
 そして部屋に入って一番目にすることは…

 「坊ちゃま!早く指輪をケースに仕舞いましょう」

 開口一番そんなことを言う僕に、坊ちゃまは「は、早くない?」と面食らっている。
 それに僕は切々と説明した。こんなに豪華極まる指輪を普段使いには決して出来ないと…盗まれたらどうする?って。それに坊ちゃまは何故か不満顔で…

 「そしたらまた違うやつを造ればいいんじゃない?婚約指輪は一つだけって決まってないよね?」

 ──ど、どんだけ~!また…造るって?それにどれだけお金を使うつもり…それ、公爵家のお金なんだよね?いくら何でもマズいんじゃ…

 そう心配する僕の心を口に出さぬも悟った様子の坊ちゃま。それに可愛く口を尖らせて、コテンと首を傾げ僕を見つめる。だからそれ、強力だからヤメて~

 「もしかして公爵家のお金で買ってるんだと思ってるよね?ちょっとそれは心外だな…。さっきスミンに届けて貰ったのは、正真正銘私のお金だ。私は幼い頃から、父に成り代わって色んな事業をしている。それにあの父がエドモア公爵家の事業を上手くやっていけると思ってる?私がいればこそなんだよね…」

 ──はぁっ?何だって!坊ちゃまがいればこそ…だと?
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

【完結】異世界に召喚された賢者は、勇者に捕まった!

華抹茶
BL
日本の一般的なサラリーマンである竹内颯太は、会社へ出勤する途中で異世界に召喚されてしまう。 「勇者様! どうかこの世界をお救いください!」 なんと颯太は『勇者』として、この世界に誕生してしまった魔王を倒してほしいと言われたのだ。 始めは勝手に召喚されたことに腹を立て、お前たちで解決しろと突っぱねるも、王太子であるフェリクスに平伏までされ助力を請われる。渋々ではあったが、結局魔王討伐を了承することに。 魔王討伐も無事に成功し、颯太は元の世界へと戻ることになった。 「ソウタ、私の気持ちを受け取ってくれないか? 私はあなたがいてくれるなら、どんなことだってやれる。あなたを幸せにすると誓う。だからどうか、どうか私の気持ちを受け取ってください」 「ごめん。俺はお前の気持ちを受け取れない」 元の世界へ帰る前日、フェリクスに告白される颯太。だが颯太はそれを断り、ひとり元の世界へと戻った。のだが―― 「なんでまた召喚されてんだよぉぉぉぉぉ!!」 『勇者』となった王太子×『勇者』として異世界召喚されたが『賢者』となったサラリーマン ●最終話まで執筆済み。全30話。 ●10話まで1日2話更新(12時と19時)。その後は1日1話更新(19時) ●Rシーンには※印が付いています。

悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました

藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。 (あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。 ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。 しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。 気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は── 異世界転生ラブラブコメディです。 ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。

聖獣召喚に巻き込まれた俺、モフモフの通訳をしてたら冷徹騎士団長に外堀を埋められました

たら昆布
BL
完璧っぽいエリート騎士×無自覚な愛され系

処理中です...