【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO

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第二章・小説の中の僕

31・子爵令息クリス

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 えっ、どうして?クリスって小説の中では令嬢だったじゃん!だからミシェルのこと異性愛者だって思ってたんだけど…違ってたの?

 それなら待てよ?溺れたあの時、だから全然平気だろ?ってミシェルの前で一糸まとわぬ姿になっちゃった!どうしよ?お尻見られたぁーー!おまけに、お尻なぞってプリッとしてるのを確認までしちゃったでしょ?

 僕は急に恥ずかしくなってきて、ガクガクと震える。な、なんてことしちまったんだ…

 ──ぐはッ!ヤバい~

 「おいマリン!何を悶絶してんだよ?聞いてるのかよ…お前」
 
 呆れた声の殿下に我に返って、ちょっと思い出した事があってね…と言い訳をする。クリスはと言うと、殿下の隣で物凄く冷たい目で僕を見ていた。

 おやぁ?な、なんか冷たくないか…今日初めて会ったよね?なのにこの冷めた視線…僕の事をもしかして嫌いかな…どうしてだろ?
 僕はそんなクリスに驚きまくって狼狽える。それからそう言えば、挨拶を返さなきゃならないよね?と今更だけど気が付いて…

 「初めましてロテシュ伯爵家のマリン・ロテシュです。とうぞお見知りおきを!」
 
 そう慌てて言って一礼する。クリスもそれに礼を返してくれ「よろしくお願いします」と鈴が鳴るような声が響いた。ヒロイン(?)って声も可愛くない?と驚いていると、クリスは僕に興味なさそうに殿下の方に向きを変えて、さっと腕を組む。レオ殿下が驚いて振り払おうとするけど、思いの外ガッチリ掴まれているようで…
 
 振り払うのを諦め溜息を吐く殿下は、僕をチラッと見てから「マリン、気を付けて帰れよー」と言いながら、クリスに引きずられるように去って行く。それを唖然としながら見送る僕…パ、パワフル!

 ──な、なんだ?あのクリスってヤツは!ちょっと失礼過ぎない?おまけに僕の方が格上だけど。それなのに…あの態度!自分は将来、王妃になると今から思っているんだろうか?ムカつく~!

 「マリン様、あいつ失礼ですよね…あんな態度で。やっちゃいますか?」
 
 珍しくオリヴァーが憮然とした表情でそう言ったけど、やっちゃうって…何を?

 「私もあの態度はマリン様に対して酷過ぎると思います!ミシェル様に報告しなくては…」

 ギルバートまで!ち、ちょっとそれはヤメて~そんな事報告したら、ミシェルに会っちゃうかもだろ?それはそれで複雑になっちゃうから!
 
 僕は必死にミシェルにはナイショにして?って頼み込んで、なんとか二人を宥めて帰路を急ぐ。更に帰るの遅くなっちゃったと焦りながら足早に歩いて、やがて公爵家が見えて来てホッとする。門番の人が扉を開けてくれて、にこやかに入って行くと…やっぱり!?

 さっき他の誰かも同じ顔だったな…って不謹慎にもそう思ってしまった。当然の如く怒り心頭のミシェルが仁王立ちで僕を待っていた!

 「遅くなってごめんなさーい!」
 
 僕は平身低頭で謝り倒して、チラッとミシェルを見る。まるで肩のあたりから、湯気が立っているような幻が見える。し、蜃気楼!?

 ──うわぁーーっ、めっちゃ怒ってるってぇ~

 「マリン…なんでこんなに遅くなったんですか?私が心配するって少しも思わなかった?」
 
 ミシェルは意外にも穏やかな口調でそう聞いた。そして張り付いたような笑顔を浮かべている。
 
 ──この方が怖さ倍増ですけど?

 「本当にごめんなさい!偶然に人に会ってしまって…それで遅くなっちゃったんです」

 「誰に?」

 間髪入れず誰だと聞かれて躊躇する。どうしよう…王太子殿下だって言っちゃう?だとすれば、今後また会いにくくなってしまうかも?だけど今回は仕方がないか…心配かけた僕が悪いんだし。それで答えようとすると…

 「偶然王太子殿下と、リンダさんのお店でお会いしました。よっぽどマリン様の作品が気に入られたのでしょう。それからノゼンタール子爵家のクリス・ノゼンタール様とも」

 ──ギ、ギルバートさん?何で言っちゃうのよ~おまけにクリスの事まで…ナイショにしてってさっき、言ったやん?もーう!
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