虚飾ねずみとお人好し聖女

Rachel

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15. ベンの疑問

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 ベン少年は、途中で投げ出したり、飽きたりこともなく、学ぼうという姿勢を崩すことはなかった。ペンを持ったことすらないベンは優秀な生徒とは言えなかったが、やる気に満ち溢れていた。
 一日目はペンの持ち方、インクの使い方、そしてアルファベットを学び、二日目には簡単な単語の綴りを書いた。一日中ほとんど机にかじりついていて、下宿の女将が驚くほど熱心だった。

「あんなにやる気がなかったってのに、どうしたことだい」

 昼食の皿を下げるときに女将が不思議そうにリーズに尋ねるとリーズが微笑んで言った。

「きっとルカと話をしたからですわ。その気持ちが通じたのでしょう」


 最初の二日間はほぼ缶詰め状態で机に向かっていたが、三日目になって、リーズはベンを連れて街を歩いた。
「どこに行くんだよ、勉強はいいの?」と戸惑うベンに、リーズは微笑みを向けた。

「文字は本の中だけじゃないもの、日常の中から読めるものを増やしていきましょう」

 勉強のためと言いつつ、まず向かったのは仕立て屋だった。
 ベンはルカから借りている大きめの寸法の服を脱ぎ、身体の大きさに近い服におそるおそる袖を通した。

「ルカのもとで働くなら、仕事向きの服を着ないとね」

 笑顔でそう言うリーズに、ベンは戸惑いの表情を浮かべた。
 仕立て屋によって用意された服は、さらに少年の寸法に合わせてもらった。リーズは「ではそれでお願いします」と言ってベンの視線を気にせずに金を払った。

「こんなことしてもらう義理はないのに」

 ベンが鏡を見つめながら言った。

「俺は文字を覚えられるかどうかもわかってないんだ。今日を入れてあと三日しかないのに、こんなの着たって……」

 リーズは鏡の少年に目を合わせながら彼の肩に手を置いて「なに言ってるのよ」と笑った。

「ベンが今回の話を引き受けた時点で、あなたはもうルカの助手をすることになってるの。文字が読めなくてもね。それにあなたなら大丈夫……ここの店に入るときも“仕立て屋”の文字が読めたじゃない」

 ベンは口を尖らせたように「それは読めるけどさ」と言った。

「だって……こんなことして、あんたになんの得があるの? リーズさんは間違いなくお嬢さんなんだろうけどさ、あの下宿に泊まってるんでしょ。こう言っちゃなんだけど、高級ホテルでもないあんなとこにいるなら、そんな大金持ちってわけじゃないよね」

 リーズは目を丸くさせてからふわりと微笑んだ。

「その通りよ、うちは一応商家だけどね。あなたにこうやって服を着てもらいたいのは……前に出来なかったことへの罪滅ぼしかもしれないわね」

「罪滅ぼし?」

「ええ……ずうっと前にね、あなたに似た子を見かけたことがあったの。彼は困っていたのに、大したことができなくて、後になってとてもつらかったの」

 ベンは、鏡の中のリーズの瞳が少し哀しげな色になったことに気づいた。

「かと言ってあのときは私も幼かったから、なにかできたわけでもないんだけど……だから今は私のできることをさせてほしいの。あなたが嫌ではない限りね」

 いつのまにか笑顔に戻ったリーズは「さあ行きましょう」と言って、店員に挨拶をするとベンを連れて店を出た。
 ベンは初めてサイズの合った服を着て通りを歩くことに、緊張するような恥ずかしいような気分だった。いつも歩いている馴染みのある通りなのに、景色が違って見える。歩き方すらわからなくなってしまいそうだ。
 それを隠すように「そ、その、さ」とベンはリーズに話しかけた。

「さっきあんたが言ってた子はそれからどうなったんだろ、やっぱりずっと路地裏で生きてるのかな」

 リーズは歩きながら「そう、だったんでしょうね」と少し俯いた。

「あれから何年かはそうやって生きていたようだわ。あの町に良い思い出はなかったって言っていたもの……町を出るときもずいぶんあっさりしたものだったわ」

 ベンはリーズの言い方にあれと思った。まるで最近まで繋がりがあったような言い方だ。町を出る、というのはリーズの住んでいる町を出るということだろうか。確か国境を越えた先と言っていた気がする。

 考えているベンを連れて、リーズが次に向かったのは本屋だった。
 突然目の前にたくさん並ぶ棚の中の文字列にベンは足がすくみそうになった。しかしリーズが店員となにか話したようで、すぐに店の奥のある一角の本棚の前に連れていかれた。
 商会に勤めているルカさんの手伝いのためになる本なんだろうか。ベンは自分がそんな本が読めるとは思えず、不安になった。
 しかし、リーズが手に取って「これはどう?」と言って差し出した絵本には『ふなのりボンドのぼうけん』と書かれていた。

「これ……物語?」

「そうよ。どう、おもしろそうじゃない? もっと難しそうなものでもいいし……あら、『黒い森の狼伝説』。これもいいわね、ふうん」

 熱心に選んでいるリーズを見て、ベンは不思議そうに言った。

「こんな……仕事に関係ないやつ読んでもいいの?」

 すると、リーズは目を丸くさせて「いいに決まってるじゃない!」と言った。

「仕事は仕事、本は本よ。仕事のための本なんて、ルカから言われなきゃなにも読まなくていいの。それよりも文字を覚えるには好きな本を読むのが一番よ。何冊か買うからおもしろそうなのを一緒に選びましょう」

 ベンはびっくりした表情を浮かべて本棚とリーズを交互に見た。そして戸惑いながら「う、うん」と言って緊張した様子で本に手を伸ばした。
 字を覚えたての少年が読めそうな本をいくつか買うと、二人は本屋を後にした。

 それからリーズはベンを連れて街中を歩き、通りにある看板の文字を彼に読ませた。ぐるぐると歩いた後、行きついた広場の噴水に腰掛けた。

「お腹すいてきたわね。この町は露店なんかはないのかしら。私の町では市場の横で串焼きなんか売ってたけど」

「売ってる売ってる」

 ベンが言った。

「けど、この辺りじゃ売ってない、東通りの方に行かないと。でもリーズさんの今の格好じゃ、すりに狙われるよ」

 リーズは目を丸くさせてから自分の服を見下ろして「あらそう……残念ね」と言った。
 その後少しの沈黙が流れたが、やがてベンが立ち上がった。

「リーズさんはここで待っててよ、買ってきてあげるから」

 リーズは「えっ」と目を丸くさせた。

「だめよ、そんな小姓みたいなことをさせるわけにはいかないわ」

 ベンは「気にするなって」と軽く笑った。

「歩いて少し疲れただろ。ここでさっき買った本でも読んでてよ。そうだな、10分くらいで戻ってくる……串焼きだよね」

 そう言うと少年はパッといなくなってしまった。
 ほんとうに行っちゃったわ。取り残されたリーズは少し申し訳ない気持ちを抱えながら広場をぐるりと見回した。
 広場の真ん中では子供たちが駆け回りながら遊んでおり、その向こうでは腰の曲がった老婆が若い花屋の女性と話しているのが見える。平和で穏やかな空気に、リーズは心がほっとするのを感じた。
 リーズはポレンタの町には詳しくないが、この辺り一帯の治安は良いということが彼女にもわかった。しかし、露店はこういうところにはないらしい。私の住んでいる町とは少し違うわね。
 そう思いながらぼんやりしていたときだった。

「……リーズ?」

 突然声をかけられて振り返る。

「ルカ!」

 ふいに現れた青年の姿に、リーズは思わず立ち上がった。彼の方も驚いたような表情をしている。

「ど、どうしてここに!?」

「仕事だよ、客の屋敷で注文の話を受けてさ……今事務所に帰るとこだ。リーズは?」

「まあ、そうだったのね。私はベンと町を歩いていたの。仕立て屋と本屋に行ったわ……少しでも読める文字が増えたらと思って。今はちょっと休憩。ベンが串焼きを買いにいってくれているの」

 ルカは「仕立て屋と本屋……それから串焼きね」と目を細めた。

「あいつのために一張羅と本を買ってくれたってわけか……。リーズ、あんたお金は大丈夫か?」

「大丈夫よ、観光に来たわけじゃないんだから。女将さんへの支払いはもう済んでるし、帰りの切符もあるわ」

 自信たっぷりに言うリーズに、ルカは苦笑いを浮かべると噴水に腰掛けた。リーズもその隣に座る。

「なんにしても金がかかるな……そういうとこはいつもあんたが助けてくれてるよな。今回も、あの町にいたときもさ」

 リーズは肩をすくめた。

「私はただ私のできることをしているだけよ、それも家のお金でね。父がいるからできることだわ。あの人の商いに対する執着は怖いけど」

「あんたの親父さんもなかなか抜け目ない人だよな……そうそう、商会の会長のタッシさんにはシャレロワ商会のこと伝えておいたぜ。けど、やっぱり値段が高いかな。うちの商会ではあんまり扱えねえかなって思う。申し訳ねえけど」

「ああ、いいのいいの。ほら、うちのは主に貴族を相手に売ってるらしいから。父の目的はシャレロワの名前の知名度を上げることなのよ。売り上げに繋がるかどうかは結局自分の腕の見せどころだからって」

「へへっ、腕の見せどころね、根っからの商人ってやつだな……かっこいいじゃねえか」

「それ、本人が聞いたら調子に乗るから絶対に言っちゃだめよ」

「ちがいねえ」

 二人は顔を見合わせて笑った。ちょうどそのとき、少年が包みを抱えて戻ってきた。

「ベン、お帰りなさい。ありがとう」

「どういたしまして……あれ、ルカさん? なんでここに」

 ベンは目を丸くさせた。

「たまたま仕事でここを歩いてたんだ。そしたらリーズが座ってて、俺もびっくりだ」

 ルカはそう言ってから少年の格好をじっくり眺めた。

「良い服を買ってもらったな。似合ってるぞ」

「そ、そうかな。なんか動きにくいような気もするんだけど」

 照れたように顔をしかめたベンに、ルカは「はははっ」と笑い声を上げた。

「俺も最初はおんなじこと思ってたな。けど服ってのは本来そういうもんだ。走りにくいから間違ってもすりなんかやるんじゃねえぞ……じゃ、俺はもう行く。リーズ、あとは頼んだぜ」

「ええ、また夜にね。お仕事頑張ってくださいな」

 ルカは挨拶するように手を一度だけ上げると行ってしまった。
 ぼんやりとその後ろ姿を見送っていたベンに、リーズは「さ、買ってきてくれた串焼き、食べましょう!」と、噴水の段に導いた。
 二人は並んで座り、焼きたての串焼きを頬張った。ベンは、もしゃもしゃと頬をいっぱいにさせて食べるリーズを見て少し意外に思った。

「あんた、お嬢様なのにこんなの食うんだな」

「お嬢様だなんてやめて……小さいときに憧れてね、メイドに頼んだら怒られたわ。でも父が付き合ってくれたの」

 リーズはそのときのことを思い出したように笑みを浮かべた。そうだわ、お父さんったらあのときでさえも露店の店主にワインの営業をしていたわね。

「ふうん……俺はてっきりルカさんと食べたのかと思った」

「ルカとは外で一緒に食べたことはないわね……そういえば一緒に食事をしたのもあそこの下宿が初めてだわ」

「え?」

 ベンは眉を寄せてリーズの方を向いた。

「あそこが初めて? リーズさんとルカさんって昔からの恋人じゃねえの」

 リーズは「いいえ、違うわ」と笑った。

「でも大事な大事な友だちなの。昔からの知り合いであることはほんとうよ」

 ベンはふうんと頷いた。
 下宿の部屋は別々になってるし階も違うから、なんか距離があるなと思ってたけど、恋人じゃなかったのか。でもそれにしちゃリーズさんはルカさんのことよくわかってるよなあ、とベンは心の中で思った。しかしリーズの穏やかな表情からは、彼女の本音はわかりかねたので、それ以上ベンは何も言わなかった。
 串焼きを食べ終えてから少しぼんやりしていると、リーズが「ね、ベン。厚かましいけど、ベンにお願いがあるの」と言った。

「ルカはね……彼はいろんな生活をしてきたのよ。貧しい暮らしもしていたし、夜会で令嬢相手に踊ったりする煌びやかな世界でも生きていた。でも今この町で平穏に暮らしていることが幸せだと思うの。もちろん、好きなように生きるのが一番だけど……私の代わりに、あなたにそれを見守ってもらえたらと思うわ」

「え、俺が?」

「ええ。だって、ルカの助手になるんでしょう。あなたにしか頼めないわ」

 ベンは目をぱちくりさせた。

「リーズさんもここに残ればいいじゃん。なんで帰っちゃうの?」

 ベンの問いに、リーズは空を見上げた。

「そうね……残れたらよかったんだけど。私がいても、ルカを困らせてしまうから」

 ベンはリーズの言っている意味がわからず眉を寄せた。困らせてしまうとはどういうことだろうか。しかし、空を見上げる彼女の横顔は哀しげで、ベンは何も訊けなかった。
 しばらくしてからリーズはふっと笑みを浮かべて少年を見た。

「でも、まずはあなたが文字を覚える方が先よね。さ、そろそろ部屋に戻りましょうか。絵本もあるし、詳しい文法にとりかかりましょう。できることは全部やるわよ」

 そう言ったリーズは、もういつものお人好しなリーズの顔だった。ベンは疑問を残しながらも、「う、うん」と頷いた。


**************


 三日後。
 太陽の明るい空の下、ベンとルカは、故郷へ戻るリーズを見送りに駅に来ていた。

「わざわざ仕事を休まなくてもよかったのに。大丈夫なの?」

 リーズが心配そうに尋ねたのに、ルカは肩をすくめた。

「なあに言ってやがる、わざわざこの町まで来てくれたのはあんたの方だろ。仕事なんざどうにかなるんだ、ちゃんと見送らせてくれよ……それにあんただって、ルブロンで俺のこと見送ってくれたじゃねえか」

「あら、そうだったわね……ふふ、そうだったわ」

 先頭を歩いていたベンは、後ろの二人の会話を聞きながら、ちらとルカの方を見た。

 仕事用のきちんとした服装に、リーズの大きな鞄を持っている。
 やっぱり二人は恋人同士のように見える、でもリーズさんは否定してたからなあ。ベンはもんもんとしながらホームを歩いた。
 リーズの乗る車両に着くと、ルカは列車の中まで鞄を運んだ。恋人でもないのにこんなことまでやるのかとベンは思ったが、他にもこの辺りの車両に乗る立派な身なりの男が、婦人に手を貸しているのを見かけた。
 こういうのは“紳士”として当然のことなのかな。そんな風に思っていると、ルカとリーズが身軽な様子で車両から出てきた。
 リーズが「ベン」と呼んだので、少年は慌てて彼女に向き直って顔を上げる。

「ルカから聞いたわ、おめでとう。商会の人にも了承をもらって、明日から正式に助手として働くんですってね。あなたが文字を使えるようになってとても嬉しいわ、ありがとう」

「お……俺の方こそ、教えてくれてありがとう。その、もらった本、大事にするよ」

「ふふ、できたら感想を聞きたいけど……まずはルカのお手伝い、がんばってね。応援してるわ」

 リーズはベンの頭を優しく撫でた後、今度はルカの方を見た。
 にこにこと笑っていた彼女の顔が、わずかに哀しそうな表情になったのを、隣で見ていたベンは見逃さなかった。この顔、前にも見た顔だ。

「ルカ……元気でね。無理はしないで……身体を大事にね」

 リーズの言葉に、ルカはにっと笑った。

「人一倍丈夫な身体だから安心しな。ところで、次に俺があんたに手紙を書いたら、ちゃんと返事を送るんだぞ。書く内容に困るんだったら元気だとか、忙しいの一言でもいい、とにかく送れ。心配すっからな」

「そうよね……約束する。今度こそ絶対に手紙を書くわ」

 そう言って微笑んだリーズの目はきらっと光って見えた。横でそれを見ていたベンは今になってやっと悟った。

 ああ、そうか。
 恋人同士じゃなくても、リーズさんはルカさんのことが好きだったのか。だからあんなにルカさんのことを……罪滅ぼしがしたいって、そういうことか。


「ね、ルカ」

 リーズが緊張したように言った。

「また……また遊びに来てもいいかしら。あなたの迷惑じゃなかったら、また会いにきても」

「おいおい」

 ルカは驚いたように目を丸くさせた。

「良いに決まってるじゃねえか。リーズならいつでも歓迎だ……ああ、でも今度はあんな薄汚い下宿じゃなくて、良いホテルでも紹介できるようにしとく。食事も値段のわりにイマイチだったろ」

「まあルカったら、そんな失礼なこと言って!」

 二人はくすくすと笑い合った。
 ベンはそれを邪魔したくなくて、一歩下がって遠巻きに彼らを見ていた。

 その時、ビビーッと笛が鳴った。列車が出発する最初の合図だ。

「もう時間だわ。それじゃあね、二人ともありがとう」

 リーズはそう言うと列車に乗り込んだ。駅員がその姿を確認すると、「マジェント行き、出発しますうー」と声を上げて再び笛を鳴らす。ドアが閉められ、小さな小窓からリーズの姿が見えた。列車はゆっくりと動き始める。
 小窓はリーズの目元しか見えず、それもすぐに見えなくなった。

 ガタンガタンと大きな音を立てて列車が遠ざかっていくのを、ベンはルカと見送った。

 ベンが言った。

「リーズさん……泣いてた」

「ああ」

「泣くくらい悲しいなら、なんで行っちゃうのかな」

「家が向こうにあるからだろ」

 あたりまえのように答えるルカに、ベンは眉を寄せた。

「だからってさ……! もう少しだけこっちにいてもよかったのに」

「一週間であっちに戻るってのが親父さんとの約束なんだ、仕方ねえだろ……なんだベン、そんなにリーズに残ってほしかったのか」

「そうじゃないって! あ、いや、そうじゃないってことはないけど、だって、だってさ、あの人あんな顔してさ、それなのに……う、うあああもう、ルカさんは平気なわけ?!」

 頭をかきむしるベンに、ルカは怪訝そうに答えた。

「平気もなにも、リーズは故郷に帰らなきゃならねえ。俺じゃどうにもならねえよ」

「どうにもってまあ、そうだけどさ、でもリーズさんはルカさんを……く、ああもうわかった! このことに関しては俺からはなにも言わない!」

 ベンはぷりぷり怒ったように言ってからそっぽを向いてしまった。
 ルカは「なんだこいつ」と目を瞬かせてからもう一度列車の去っていった方を見た。もうすっかり小さくなってしまっている。

 リーズが帰った。
 たった一週間だけの滞在だった。しかし一週間前のルカの心境からは大いに変化をもたらしてくれた。ベンのことも、きっとルカ一人では思いつかなかったことだ。
 やっぱりリーズはすげえな。手紙の返事が書けないからとわざわざ遠くから来て、自分に会いたかったのだと言ってくれた。彼女に会えたことで、不安定だった自分の心も落ち着いた。
 会いにきてくれてありがとう、会えて嬉しかったって言ってやればよかったな、とルカは今更ながら思った。



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