すべての事件は裏の家でおきていました。

羽月☆

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18 お姉ちゃんになりたいと思うこと

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相変わらず微妙な空気が流れる中でも、何とか元に戻りつつある。
笑って話しかけられて、冗談のようにからかわれて。

紅美ちゃん以外は普通って言ってもいいくらいになった。

少しほっとしてる私。



それでも夕方には図書室で勉強することが増えた。

本を読んでる人が多くて、勉強してる人は少ない。
それも一人で勉強なんて、本当に少ない。


ひっそりと時間を過ごしていたら、横に沼田君が来た。




あの夜の私たちを見かけたのが沼田君じゃないというのは分かった。
だって他の子にも聞かれた。

『田尾君が見たって言うんだけど、委員長と一緒に花火見たの?』

多分紅美ちゃんが委員長のことが好きなのは知ってるんだと思う。
だから一人のときの私にこっそり聞いてきた。
田尾君に見られたのか・・・・・、そう思った。

もちろん普通の顔をしたつもりで、偶然だと言った。



「ねえ、一緒にお昼食べる?」
そう声をかけられたこともあった。

本当はうれしかった。
寂しい。
自分が一人のことも、グループからはじかれた可哀想な子だと見られることも。

でも誘われたらいけないと思った。

「ありがとう。すごくうれしいけど、大丈夫。一人で食べる。」

「そう。いつでも言ってね。」


二年続けて同じクラスなのに、あんまり話をした事がなかった。
いい人なのはわかってる。
興味で誘ったんじゃないって思ってる。
だから断ったら、スッと引いてくれた。

そんな気遣いのできるような人だと思う。
信頼されてる人、だって、副委員長だから。



今まで考えてなかったけど、大きなグループは少しだけ。
あとは二人だけって子達も多い。
そして一人の子もいる。

初めて気がついた。

別に仲が悪いとか、いじめがあるとかじゃない。

ただ、最初にグループを作って固まったら、なかなかそれは崩れない。

一人の人はずっと一人なのかもしれない。
そして私も、そう思って、覚悟もした。


でも、ちょっとだけ自分が一人だったら気にしてたその存在も、元のグループに戻ったら、気にしなくなった。
自分の周りしか見ていない。
他の人のことは見ていなかった。
一度気がついても、今はもう気にならないくらい。

それは女子特有のものみたいだ。
男子はもっと自由だったりする。

沼田君はその中でも委員長と仲がいいと思う。
委員長の仕事を手伝ってたりもするし。
よく話をしてるみたいで沼田君が『かずさ』と、そう呼ぶ声はよく聞こえる。




「小坂さん、いつもここにいるの?」

沼田君に小さい声で聞かれた。

「・・・・うん、家でするより集中できるの。元々怠け者だから。沼田君は初めて見かける。」

「そりゃそうだよ、初めてだな。」

そういって隣の椅子を引き出して座った。

『図書館では静かに。』
そんな張り紙はあるけど、そんなにシーンとしていることはない。

小さい声ならあちこちで会話がある。

「ねえ、話があって来たんだ。」


「・・・・私に?何?」


「分かってるよね。あいつがすごく悲しんでるから。自分の責任だって、元通りになってよかったとは思うけど、本当に本人だけがピンと来てなくて、今はかわいそうなくらいに落ち込んでるよ。」

何かを言われたんだろう。
私も言ったけど。
だって確かにわかってなかった。


「そう。でも、もういいよ。ちょっとした誤解。もうそれも解けたから。」

「そんな寂しそうな顔で言うの?・・・・それに会ったんだって。」

小声になる。
思わず顔を上げる。


「仲がいいんだね。何でも教え合うんだね。」

「俺が勧めたんだ、今までのように裏のおじいさんのところでなら話が出来るだろうって。でも逆効果だったみたいで、ちょっと責任感じてる。」


「せめてそこでならいいんじゃない?俺も聞かないし言わない、誰も知らないよ。」


「それじゃあ、誤解じゃなくて本当に・・・・駄目じゃない。」



「女の子は大変だね。」

「本当にそう。」


「三年になってクラスが変わったら、友達も変わるから。そのときはまたチャンスがあると伝えたいんだけど。」

首を振る。


「じゃあ、せめて安心するくらいに元気になって。何かあったら言って。」

何があるのというのだろう。
そんな必要があるとも思えないよ。
でもわざわざ放課後に私を探して来てくれたみたいだから。


「ありがとう。優しい友達だね。」

「そうなんだ。いいやつだから。」

「・・・・それは分かってる。」

十分すぎるほど、分かってるよ。

「そうか、それはうれしい。じゃあ、また。」

そう言っていなくなった。

早く大人になりたい。
もっと自分のことが自分で出来る大人に。

せめてお姉ちゃんのように自分でいることをうんと楽しめる大人の女の人に。


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