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9 明の言いたかった事
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世間が完全に冬休みに入った日。
あのあと少し寝なおしてスッキリしていた。
天気もいいし、少し風が冷たいけど緊張の熱を程よく冷ましてくれそうで。
首に巻いたマフラーをちょっと巻きなおし背筋を伸ばす。
改札を出てキョロキョロするがまだ祥子さんは来てない様だ。
ちょっと早いかな、時計を確認してそう思いながらふと顔を上げた先に、見つけた!
気が付いてくれて手を振る女性。
祥子さん。
カフェの窓越しに手を振ってくれていた。
隣を指差されたのでうなずいて歩いていく。
カフェの中は風がさえぎられて暖かかった。
ほっとして祥子さんのところまで歩いていく。
お疲れ様です、なんていつものように口にしそうになるけど。
「お待たせしました。祥子さん。」
コートを椅子にかけていつものシンプルなスーツ姿とは違う祥子さんを見る。
新鮮だった。スーツを脱ぐだけでこんなにイメージが変わるなんて。
「祥子さん、お似合いです。いつもと違う雰囲気でドキドキします。」
正直に言った。
「どうしたのよ、明君。」
照れてるのは真っ赤になった顔で分かる。かわいい。
いつものスーツ姿のときとは違う距離感にも戸惑う。
椅子に座り予約したお店のサイトを見せる。
携帯の画面を覗くように顔を寄せてきた祥子さんからは香水の香りがした。
選んだお店は手ごろな料金で、タパスが充実しているスペイン料理だった。
気に入ってもらえたようでうれしい。
「外は寒そうね、風がすごいわ。」
窓越しに海風に人々が寒そうに歩くのが見える。
髪の毛が風に吹かれて必死に押さえている人も。
「行きますか?」
「行きましょう。」
祥子さんが飲んだコーヒーを手早く片付けて二人でカフェを出る。
やはり風が強いようだ。
「すみません、あそこまで歩きます。」大きな建物を指す。
「分かった。」
祥子さんの風上に立つけどそうしても風は強い。
建物の中に入ったときお互いにため息が出た。
はぁ~。
エレベーターでレストランまで上がる。
予約が遅かったから眺めのいい窓際は取れなかったけど遠くに綺麗な夜景が見えた。
席についてオーダーをお願いする。
祥子さんがさりげなく僕を立てて任せてくれる。
昨日のお詫びとお礼を改めて。
それからはいろんな話を。
祥子さんは僕の相談を待ってるだろうか?
まさか告白されるなんて思ってもない顔で。
それでも料理とお酒のおかげでゆったりと楽しめて、リラックスしてくれているようだ。
昨日の今日で僕はお酒は控えめにしている。
どのタイミングで言うのがいいか、なかなか難しい。
せっかくの雰囲気が壊れないとも限らない。そこまでは自信がない。
「祥子さん、上の展望フロアに行ったことありますか?」
「ないない。明君は?」
「僕もないです。行って見ませんか、せっかくですし。」
綺麗な夜景を眺めながら人のいない隙に伝えられたら・・・・。
会計をしてもらいエレベーターへ向かう。
「明君、あとでお金精算してね。」
「僕が誘ったのでいいです、昨日のお礼ですし。」
「そう、ならご馳走になるわ。ご馳走様でした。」
二人で展望フロアに行く。
お土産など何の販売もないフロアでそこそこ人はいた。
ゆっくりガラス越しに外を見ながら歩く。
人がいないところで一歩ガラスに近寄り横に祥子さんが並んでいるのを感じる。
「綺麗ね。」
「そうですね。」
「明君、相談したいことがあったんでしょう?」
なかなか切り出さない自分に気になっていたのか祥子さんのほうから話をしだした。
「仕事辞めたいなんて相談じゃないよね?」
まさか、そんなこと。
びっくりしてみると祥子さんも本気で聞いたわけではないらしい。
「違います。祥子さん気になりますか?」
「それはそうよ。昨日言ってたことの続きでしょう?」
覚えてる?と聞かれたようで。
「そうです。隠してないのに気づいてもらえないこと。」
「それは・・・・オフィスの誰かだとしたら私はみんないい人たちだからとしか言えないけど。」
やはり気づいてないらしい。
「そうです。誰かなんですが。」
祥子さんの後ろに立って手のひらをガラスにつけるようにして祥子さんを囲む。
びっくりして見上げられた。
「他の誰だと思うんですか?祥子さん本当に自分のことだと気がつかないんですか?」
少し近づいて声を潜めて言う。
相変わらずびっくりした顔のまま。
「ずっと見てきました。もう、一年以上も。」
ゆっくり言う。自分の声が少し緊張を帯びてたのに気が付く。
でも言えたことが嬉しいし、どこか誘うように響いてる気もする。
自分の全力を込めた。思いのすべてを。
あのあと少し寝なおしてスッキリしていた。
天気もいいし、少し風が冷たいけど緊張の熱を程よく冷ましてくれそうで。
首に巻いたマフラーをちょっと巻きなおし背筋を伸ばす。
改札を出てキョロキョロするがまだ祥子さんは来てない様だ。
ちょっと早いかな、時計を確認してそう思いながらふと顔を上げた先に、見つけた!
気が付いてくれて手を振る女性。
祥子さん。
カフェの窓越しに手を振ってくれていた。
隣を指差されたのでうなずいて歩いていく。
カフェの中は風がさえぎられて暖かかった。
ほっとして祥子さんのところまで歩いていく。
お疲れ様です、なんていつものように口にしそうになるけど。
「お待たせしました。祥子さん。」
コートを椅子にかけていつものシンプルなスーツ姿とは違う祥子さんを見る。
新鮮だった。スーツを脱ぐだけでこんなにイメージが変わるなんて。
「祥子さん、お似合いです。いつもと違う雰囲気でドキドキします。」
正直に言った。
「どうしたのよ、明君。」
照れてるのは真っ赤になった顔で分かる。かわいい。
いつものスーツ姿のときとは違う距離感にも戸惑う。
椅子に座り予約したお店のサイトを見せる。
携帯の画面を覗くように顔を寄せてきた祥子さんからは香水の香りがした。
選んだお店は手ごろな料金で、タパスが充実しているスペイン料理だった。
気に入ってもらえたようでうれしい。
「外は寒そうね、風がすごいわ。」
窓越しに海風に人々が寒そうに歩くのが見える。
髪の毛が風に吹かれて必死に押さえている人も。
「行きますか?」
「行きましょう。」
祥子さんが飲んだコーヒーを手早く片付けて二人でカフェを出る。
やはり風が強いようだ。
「すみません、あそこまで歩きます。」大きな建物を指す。
「分かった。」
祥子さんの風上に立つけどそうしても風は強い。
建物の中に入ったときお互いにため息が出た。
はぁ~。
エレベーターでレストランまで上がる。
予約が遅かったから眺めのいい窓際は取れなかったけど遠くに綺麗な夜景が見えた。
席についてオーダーをお願いする。
祥子さんがさりげなく僕を立てて任せてくれる。
昨日のお詫びとお礼を改めて。
それからはいろんな話を。
祥子さんは僕の相談を待ってるだろうか?
まさか告白されるなんて思ってもない顔で。
それでも料理とお酒のおかげでゆったりと楽しめて、リラックスしてくれているようだ。
昨日の今日で僕はお酒は控えめにしている。
どのタイミングで言うのがいいか、なかなか難しい。
せっかくの雰囲気が壊れないとも限らない。そこまでは自信がない。
「祥子さん、上の展望フロアに行ったことありますか?」
「ないない。明君は?」
「僕もないです。行って見ませんか、せっかくですし。」
綺麗な夜景を眺めながら人のいない隙に伝えられたら・・・・。
会計をしてもらいエレベーターへ向かう。
「明君、あとでお金精算してね。」
「僕が誘ったのでいいです、昨日のお礼ですし。」
「そう、ならご馳走になるわ。ご馳走様でした。」
二人で展望フロアに行く。
お土産など何の販売もないフロアでそこそこ人はいた。
ゆっくりガラス越しに外を見ながら歩く。
人がいないところで一歩ガラスに近寄り横に祥子さんが並んでいるのを感じる。
「綺麗ね。」
「そうですね。」
「明君、相談したいことがあったんでしょう?」
なかなか切り出さない自分に気になっていたのか祥子さんのほうから話をしだした。
「仕事辞めたいなんて相談じゃないよね?」
まさか、そんなこと。
びっくりしてみると祥子さんも本気で聞いたわけではないらしい。
「違います。祥子さん気になりますか?」
「それはそうよ。昨日言ってたことの続きでしょう?」
覚えてる?と聞かれたようで。
「そうです。隠してないのに気づいてもらえないこと。」
「それは・・・・オフィスの誰かだとしたら私はみんないい人たちだからとしか言えないけど。」
やはり気づいてないらしい。
「そうです。誰かなんですが。」
祥子さんの後ろに立って手のひらをガラスにつけるようにして祥子さんを囲む。
びっくりして見上げられた。
「他の誰だと思うんですか?祥子さん本当に自分のことだと気がつかないんですか?」
少し近づいて声を潜めて言う。
相変わらずびっくりした顔のまま。
「ずっと見てきました。もう、一年以上も。」
ゆっくり言う。自分の声が少し緊張を帯びてたのに気が付く。
でも言えたことが嬉しいし、どこか誘うように響いてる気もする。
自分の全力を込めた。思いのすべてを。
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