日比谷の吉祥天、幸せのお手伝いいたします。

羽月☆

文字の大きさ
8 / 19

8 冬休み一日目

しおりを挟む
立膝座りでうとうとしただけなのに、眠いはずなのに妙に目が冴えてしまって。
部屋に帰り着いてお風呂に入ってさっぱりして寝ようとしても眠れない。
かってに明君の寝顔が目の前に出てきて。
髪を触った自分の指の感触までリアルに思い出してしまう。

あの時寝るんじゃなかった。

あ、そう意味じゃなく今眠れなくて困ってるからってことだけど。
ぼんやりと紅茶を飲みながら朝のテレビを見るともなしに見ていた。
すっかり10時になっていた。


今日から冬休み。

掃除と年賀状と・・・・実家に帰るくらい。
特にこれといって用事も約束もない。実家から何か連絡あったかな?
携帯をバッグから取り出しみる。

着信があったらしい。

1件は渡辺から。

『よう、お邪魔だったかな?ハッピーな年末年始に。』

なんだ、労をねぎらう文章もなく意味不明な文で。
返事を書く気もしない。無視しよっ。
後は明君から。時間を見るとさっき。

もう起きたの?

当然さっきまでのお詫びとお礼。
そしてお礼に今日都合よければと食事に誘う内容。
最後に相談がありますと。

そういえば昨日もなんだかそんなことを言っていたし。
相談事で最悪なのは仕事辞めます、でもそうじゃないのは分かってる。多分。
でも仕事がらみかな?
せっかくの休みだけど仕事の続き・・・でも、どこか楽しみに思う自分もいて。
OKのメールを打つ。いや待て、少し寝たほうがよくないだろうか?
きっと目の下に疲れが出てそう。
夕方以降ならと返信した。
寝よう。目覚ましを15時にセットして携帯を握り締めながらベッドへ。
すぐに返事は来て17時に待ち合わせることに。

よし寝るぞ。了解の返事を返し眠りについた。
ちょっと事務的な返事だったかな?
そう思いながらもすぐに眠れたみたい。


目覚ましがいつもの音で起こしてくれたけど、明るい。何?
一瞬分からなくなってしまった。枕もとの携帯を見て気がつく。
あ、約束したんだ。
ぼうっとしながら背伸びをして声を出す。
ああ、少し目が覚める。
昼すぎまで寝るなんて贅沢。たとえ寝たのが朝だとしても。
起きだしてシャワーを浴びて、コーヒーを飲みながらクローゼットの前に立つ。
これって緊張。
いつもはスーツしか着てないから、いざプライベートで会うとなると何着ようかと悩んじゃう。
シンプルなジーンズとかセーターじゃなくてワンピースばかり見てる自分。
どこにいくのかにもよるけど、ジーンズはないわよね。
ついつい顔に塗ったパックを落とし化粧を始める。
少し明るい色を選んで、アクセサリーもつけて。
なんだかデートに出かけるみたいじゃない。
明君の顔を思い出して、考えつくして選んだ格好。
ワクワクしてきた。違う・・・きっと美味しいものが食べれるからよ。
自分に言い訳をしてしまう。

短い丈のシックな厚手のワンピースに明るい色のカーディガンを合わせてコートを羽織る。
ロングブーツを履いて部屋を後にする。

待ち合わせまでは結構時間があるけど。

心の中で呆れる自分の声は聞き流した。



いつもの通勤路とは逆に海のほうへ。
私のほうが少し近い。
駅の待ち合わせ場所が見えるカフェに入り座る。
時間を確認すると30分くらい早く着いた。
母親にメールをしてお正月には帰ると知らせておく。
明日から大掃除と年賀状。
毎年の事ながらこれだけは少しずつ計画的にやっておこうという気になれない。
毎年最後の日までかかってしまう。
だんだん年賀状でしか連絡を取らなくなる人も増えてくる。
結婚したり、遠くに行ったり。
オフィスでは年賀状は不要と言い渡してある。
私が書けないし、実家に帰ると返事も遅くなる。その前に仕事で会うし。

明君が歩いてくるのに気がついた。気がつくかな?
その姿をずっと見つめてる自分。
気が付いてくれるように念を送ってるつもりだから・・・・・。
じゃあ手を振ってみる?

あ、こっち見てくれた。
今笑顔で手を振ってる自分・・・・その笑顔はきっと嬉しそうだと思う。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今さらやり直しは出来ません

mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。 落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。 そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく… なお、スピンオフもございます。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

処理中です...