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14 木曜日の時間割
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今日も祥子さんは残業をするらしい。
さっきまで眉間にしわを寄せてパソコンをにらみつけていたけど、提出された書類を見て残念そうな顔をしている。
皆が次々に帰っていく。あと少ししたら僕も終わるけど。
最近水曜日の夜は一緒に食事をするようにしている。
今日も一緒にと約束してるけどまだ終わりそうもないのだろうか?
帰り支度をしながら待つこと数分。皆が帰りオフィスは誰もいなくなる。
祥子さんのところに行ってみるとさっきのレポートを見ている。
「祥子さん、しばらくかかりそうですか?」
「そうね、あと少し。終わったら連絡するから先にどこかで待っててもらっていい?」
「分かりました。ちょっと買い物してますので。じゃあ。」
手を振ってオフィスを出る。
祥子さんの希望で一緒ではない限り外で待ち合わせすることにしている。
少し洋服を見たりしよう。春用の服を見ながらぶらぶらする。
待つために時間をつぶすことにも苦痛は感じない。
明るい色のシャツやネクタイを見たりする。
しばらくすると携帯が着信を知らせる。
祥子さんも終わったらしい。
駅に向かう。明日は休みだ。
外食はせずに最寄り駅まで帰りスーパーで買い物をする。
すっかり売り場に詳しくなったようで、無駄なく順番に欲しいものをかごに入れて買い物をする祥子さんの後をついていく。
仕事ができる人はこんなところにも無駄がないんだろうかと思ったりする。
お肉を選ぶときは聞かれるけど後は自分のチョイスで迷いがない。
好き嫌いもないし、料理も詳しくないから聞かれてもまかせるしかない。
やっぱりどう見てもしっかり者の印象。
部屋で時々見せる甘えた姿が一切うかがえない。
ひとりそんなことを思いながら後姿を見ていたら、いきなり振り返られてドキッとする。
「お酒は何にしようか?」
「和食なら日本酒がよくないですか?」
「そうよね。何にする?」
お酒は専門店が入っているので充実しているところもこのスーパーの売りだ。
店員さんのお勧めであっさりした日本酒を選んでもらい買う。
その間に祥子さんは食品の会計を済ませてもらい一緒に袋に入れた荷物を持つ。
部屋に戻るとジャケットを脱いで僕のフリースを着た祥子さんの隣で一緒に手伝いをする。
祥子さんの手際のいいことは毎回驚くけど自分も少しずつ上達してる気がする。
「祥子さん、僕上手になってませんか?」
ジャガイモの皮むきをしながら聞く。
ゴツゴツした局面の皮むきもずいぶん無駄がない。
「そうね、器用なのよね、なんでも。今度明君に作ってもらおうかしら?」
「いつかは祥子さんに手料理をご馳走したいです。がんばります。」
「期待してるわ。もう後は大丈夫よ、ありがとう。お風呂入ってゆっくりしてて。」
手伝うことがなくなるとお風呂に先に入り出てきてから食器の準備をする。
こうして毎週過ごすようになると二人の役割が決まっていく。
手伝うのはまったく嫌いじゃない。
教えてくれるのも上手な祥子さん、褒めてもらって感謝される。
それがとてもうれしい。
お風呂から出ていつものように食器とお酒を準備する。
テーブルにのせられた料理はとても美味しそうで祥子さんに感謝して箸をつける。
「そろそろ次のイベント準備ですね。なべさんが行くんですか?」
「そうね。渡辺に参加させるわ。」
「そうですか、でも次があったら僕も祥子さんと行きたいです。本当に勉強になります。他のオフィスの人とも話ができるし。」
「そう言ってくれるとうれしいわ。きっと誰も行きたがらないから。」
「祥子さんが仕事なら僕も夜は一人ですから、ね。」
祥子さんにそう言うとびっくりするほど祥子さんが赤面した。
気がつかない振りをする。そんなところが可愛い。
日本酒は飲みやすく二人であっという間に飲みつくしてしまった。
「このお酒美味しいですね。」
「足りなかったくらいね。」
「食事も美味しかったです。祥子さんのおかげですっかりお家ご飯が楽しくなってます。」
「そう?」
「はい。」
いつものように祥子さんがお風呂に入っている間に洗い物を担当する。
いつの間にか食器や調理器具も増えている。
ちなみに食費は半分づつ出している。あまった食材は他の日に食べられるようにわざわざ作ってくれる。彼女を超えて母のような・・・は失礼か、単身赴任の奥さんのような。とてもうれしい。
みんな知ってるかな?祥子さんのこの能力。自慢したい!
洗い物を終えてコーヒーを落として祥子さんが出てくるのを待つ。
一緒にコーヒーを飲みながら祥子さんとくっつくように座る。
「祥子さん、1週間早いと思いますか?」
「ん?そうね毎日あっという間だけど。どうして?」
「僕は水曜日が待ち遠しくて、でも水曜日のこの時間はあっという間です。ベッドで目を閉じたらあっという間に木曜日の朝で、起きて一緒にご飯食べたらあっという間に夕方で。お互いの時間が重なると時間が早く進んでると思います。そして僕は又水曜日を待つんです。」
もっと一緒にいたい。他の日も。
そう思ったのに言えない。祥子さんが何も言わないから。
でも何かを考えてるのは分かる。
時々はお互いの休みの日にも泊まりに来てくれるから一緒にいる時間はあるけど。
しかも同じオフィスで働いて望めばいつだって顔を見れて話ができて。
これ以上はってくらい普通のカップルよりは恵まれているはずなのに。
さっきまで眉間にしわを寄せてパソコンをにらみつけていたけど、提出された書類を見て残念そうな顔をしている。
皆が次々に帰っていく。あと少ししたら僕も終わるけど。
最近水曜日の夜は一緒に食事をするようにしている。
今日も一緒にと約束してるけどまだ終わりそうもないのだろうか?
帰り支度をしながら待つこと数分。皆が帰りオフィスは誰もいなくなる。
祥子さんのところに行ってみるとさっきのレポートを見ている。
「祥子さん、しばらくかかりそうですか?」
「そうね、あと少し。終わったら連絡するから先にどこかで待っててもらっていい?」
「分かりました。ちょっと買い物してますので。じゃあ。」
手を振ってオフィスを出る。
祥子さんの希望で一緒ではない限り外で待ち合わせすることにしている。
少し洋服を見たりしよう。春用の服を見ながらぶらぶらする。
待つために時間をつぶすことにも苦痛は感じない。
明るい色のシャツやネクタイを見たりする。
しばらくすると携帯が着信を知らせる。
祥子さんも終わったらしい。
駅に向かう。明日は休みだ。
外食はせずに最寄り駅まで帰りスーパーで買い物をする。
すっかり売り場に詳しくなったようで、無駄なく順番に欲しいものをかごに入れて買い物をする祥子さんの後をついていく。
仕事ができる人はこんなところにも無駄がないんだろうかと思ったりする。
お肉を選ぶときは聞かれるけど後は自分のチョイスで迷いがない。
好き嫌いもないし、料理も詳しくないから聞かれてもまかせるしかない。
やっぱりどう見てもしっかり者の印象。
部屋で時々見せる甘えた姿が一切うかがえない。
ひとりそんなことを思いながら後姿を見ていたら、いきなり振り返られてドキッとする。
「お酒は何にしようか?」
「和食なら日本酒がよくないですか?」
「そうよね。何にする?」
お酒は専門店が入っているので充実しているところもこのスーパーの売りだ。
店員さんのお勧めであっさりした日本酒を選んでもらい買う。
その間に祥子さんは食品の会計を済ませてもらい一緒に袋に入れた荷物を持つ。
部屋に戻るとジャケットを脱いで僕のフリースを着た祥子さんの隣で一緒に手伝いをする。
祥子さんの手際のいいことは毎回驚くけど自分も少しずつ上達してる気がする。
「祥子さん、僕上手になってませんか?」
ジャガイモの皮むきをしながら聞く。
ゴツゴツした局面の皮むきもずいぶん無駄がない。
「そうね、器用なのよね、なんでも。今度明君に作ってもらおうかしら?」
「いつかは祥子さんに手料理をご馳走したいです。がんばります。」
「期待してるわ。もう後は大丈夫よ、ありがとう。お風呂入ってゆっくりしてて。」
手伝うことがなくなるとお風呂に先に入り出てきてから食器の準備をする。
こうして毎週過ごすようになると二人の役割が決まっていく。
手伝うのはまったく嫌いじゃない。
教えてくれるのも上手な祥子さん、褒めてもらって感謝される。
それがとてもうれしい。
お風呂から出ていつものように食器とお酒を準備する。
テーブルにのせられた料理はとても美味しそうで祥子さんに感謝して箸をつける。
「そろそろ次のイベント準備ですね。なべさんが行くんですか?」
「そうね。渡辺に参加させるわ。」
「そうですか、でも次があったら僕も祥子さんと行きたいです。本当に勉強になります。他のオフィスの人とも話ができるし。」
「そう言ってくれるとうれしいわ。きっと誰も行きたがらないから。」
「祥子さんが仕事なら僕も夜は一人ですから、ね。」
祥子さんにそう言うとびっくりするほど祥子さんが赤面した。
気がつかない振りをする。そんなところが可愛い。
日本酒は飲みやすく二人であっという間に飲みつくしてしまった。
「このお酒美味しいですね。」
「足りなかったくらいね。」
「食事も美味しかったです。祥子さんのおかげですっかりお家ご飯が楽しくなってます。」
「そう?」
「はい。」
いつものように祥子さんがお風呂に入っている間に洗い物を担当する。
いつの間にか食器や調理器具も増えている。
ちなみに食費は半分づつ出している。あまった食材は他の日に食べられるようにわざわざ作ってくれる。彼女を超えて母のような・・・は失礼か、単身赴任の奥さんのような。とてもうれしい。
みんな知ってるかな?祥子さんのこの能力。自慢したい!
洗い物を終えてコーヒーを落として祥子さんが出てくるのを待つ。
一緒にコーヒーを飲みながら祥子さんとくっつくように座る。
「祥子さん、1週間早いと思いますか?」
「ん?そうね毎日あっという間だけど。どうして?」
「僕は水曜日が待ち遠しくて、でも水曜日のこの時間はあっという間です。ベッドで目を閉じたらあっという間に木曜日の朝で、起きて一緒にご飯食べたらあっという間に夕方で。お互いの時間が重なると時間が早く進んでると思います。そして僕は又水曜日を待つんです。」
もっと一緒にいたい。他の日も。
そう思ったのに言えない。祥子さんが何も言わないから。
でも何かを考えてるのは分かる。
時々はお互いの休みの日にも泊まりに来てくれるから一緒にいる時間はあるけど。
しかも同じオフィスで働いて望めばいつだって顔を見れて話ができて。
これ以上はってくらい普通のカップルよりは恵まれているはずなのに。
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