内緒ですが、最初のきっかけは昔の彼の記憶でした。(仮)

羽月☆

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3 新しい友達と楽しい約束を。

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しばらく二人で話してたら浅井さんが戻ってきた。

「如月さん、二次会は?」

「無理です、誰とも喋ってない。」

「佐賀くんは?」

声が落とされた。

「ノーカウント。」

私も小声で。

「わかる。」

小さく言われた。

「それに梓さんに恨まれそう。」

引き続き小さな声で会話を続ける。

「そうだった?」

「何となく、そうじゃないかな?」

「わぉ、楽しみ!」

急に普通の大きさの声になった。
大きく目を見開いた笑顔が魅力的で、とても楽しそうな顔をされた。
あれ、気が付いてなかった?
それとも私の気のせいかな?


「ずっと石神君に相手してもらってた。トランペット上手いらしいよ。」

「そうなの?」

「そんな、ただの趣味です。」

「なんだか話を聞いてたらジャズライブに行きたくなる。」

小さいジャズバーでいい、目の前で演奏をしてくれる距離で聞きたい。

「石神君はライブには行くの?」

「たまに行くライブハウスがあるんだ。料理もお酒も美味しいよ。ライブ予定見て予約して行ってる、そこで良ければ教えようか?」

「ホント?教えて。」

何だか現実になりそうで、聞きたい、行きたい。

「誰と行くの?」

浅井さんに聞かれた。

「あ、・・・・一人じゃダメそうな席並び?」

石神君に聞いた。

「カウンター席はあるけど、タバコ席になるんだけど。」

「そうか・・・・・。」

「石神くんは吸うの?」

浅井さんが聞く。

「ううん、全然。」

「じゃあ一緒に行けば?」

正面を見る。
ビックリした顔があった。迷惑な感じではない?

「あの、如月さんが嫌じゃなきゃ、付き合うよ。」

「お願いしたい。最初だけでも、一人だと行けなそうだから一緒に行ってもらえるとうれしい。」

「じゃあサイトの予定見て行きたい日を教えて、予約するから。」

「ありがとう。」

「僕は平日でも週末でもいつでもいいよ。いくつか予定候補をあげてみて。」

うれしかった。
期待した女友達は出来そうにないけど、石神君がいい友達になってくれそう・・・。

「如月さん、思ってたより普通。」

浅井さんにそう言われる。
浅井さんも友達と思っていいのかな?

「普通だよ。平凡だし。石神君も浅井さんも喋りやすいし。」

「佐賀くんは?」

聞かれた。
確かに他にあとはというと佐賀君だけだった。
首を倒してみた。

「ちょっと正直すぎて可哀想だけど・・・・。」


「誘ってよかった。」

嬉しそうに浅井さんが言ってくれた。

「うん、ありがとう。」

普通に言えた。


「ねえ、どんな人が好き?」

浅井さんにいきなり聞かれた。

「ちょっと興味あるなあ。」

さっきから高校の時の彼の顔が浮かぶ。
きっとトランペットの話をしてたから。

「分からない。あんまり、ないかも。」

「浅井さんは?」

逆に聞いてみた。

「スマートな人、気遣いがスマートな人がいい。」

確かに。

「大人びた人?年上がタイプ?」

「そうだなぁ。」

視線が上を見て、明らかにいろいろ思い出してる感じ。

「今はいるの?」

好きな人か彼氏のことだろう。
首をふる。

「もったいない。」

「浅井さんは?」

「微妙なころ。どうなるかな。」

ちょっと淋しそうな顔をした顔もやっぱり綺麗だった。

「じゃあ、石神君は?」

気が付かないふりで石神君をまた巻き込んだ。
思いっきり首をふられた。

「良かった、じゃあライブ一緒に行っても大丈夫だね。」

そう言ったらうなずかれた。

なかなかいないタイプ。
自己主張がないのかなあ、まったく感じられない。
この就職競争をよく勝ち残って来たなあ。
人より自分が少しでも前に行こうって、そんな姿勢が一切見えない。
ぼんやり石神君を見る。


「如月さん、初めて来てくれたのに、全然喋れなかった。また誘うからね。今日は二次会は。」

幹事の瀬野尾君だ。

「いえ、今日は無理そうです。」

さり気なく時計を見る。

「そうか残念。今度は僕とも話をしてね。」

さり気なく相手を立ててる風だけど、やっぱり自分が上に立つ人の雰囲気を醸し出してる。まとめ役にぴったりな個性で、もてるタイプ。
スマートにふるまい自分の役割も心得てる。
本当にわかりやすい。数字の4。
本当に尊敬できるくらいのリーダーだったら数字の1なのに・・・残念でした。

「ありがとう。」

お礼だけにしておく。

石神君とライン交換をして後でお店の情報を送ってもらうことにした。
今日のメンバーの中でも笑顔で挨拶出来る貴重な人だ。

浅井さんに誘われて少しコーヒーを飲んで帰ることにした。
二次会は断ったけど、それは当然のこと。
理由はただ行くタイプじゃないと言うこと。
別に用があるわけでもない。
まだそんなに遅い時間じゃないから。

何か話があるんだろうか?
駅近くのコーヒー屋さんに立ち寄った。
二人カップを持って空いてる席に座る。

「良かった。誘ったけどあんまり楽しそうじゃなかったらどうしようかと思って近くにいたのに。石神君と話が合って良かった。」

途中いなくなったからですよ、とちょっと思ったけど。

「ごめんね、気を遣ってもらって。」

「ううん。なんだかいつもあんな感じ。三回くらい参加してるけど、瀬野尾君が中心で、女子が集まり、石神君がいろいろ動いてくれる。」

想像できる。そんな石神君に浅井さんは気が付いてたんだ。
それだけでも良かったと少しだけうれしい気分になる。

「石神君は、苦痛じゃなさそうだけど。」

そう言ってみた。飲めないふりまでしてるし。

「そうなんだよね。むしろ何でだろうって思う。」

「うん、研修の時にも自販機で七本くらいジュースを買って部屋に戻ってた。女子もいたのに、誰も手伝ってなかった。」

浅井さんがこっちを見た。

「食堂で一人でぼんやりしてたら、石神君が来たから知ってるんだ。三本持ってあげて一緒に部屋まで手伝ったらお礼を言われた。」

「そうなんだ。」




「でも佐賀君にアプローチしてる様子なんて、まったく知らなかった。」

梓さんの事だ。

「多分こっちに来た時がチャンスだと思ったんじゃない?ライブに一緒に行く約束してるみたい。ついでにご飯をって誘ってた。普通にそれだけかもしれないけど。」

「なるほど。」

「どうかしたの?」

「ん?何で?」

「うん、なんとなく何か気になるのかなって。」

「そうだね、いろいろと疲れてきてて。ちょっと1人になりたくなくて。付き合わせてごめんね。」

下を向いた浅井さん。
何だろう?仕事のことなのか、それ以外のことなのか。
誰か好きな人がいるの?瀬野尾君・・・・?

さすがに聞けない。
そんな仲じゃない。

「ねえ、そういえば石神君はどんなイメージ?」

「すごくいい。一緒にいてもいい意味で気を遣わない、気を遣わせない。あんまりいないタイプかも。私が感じるから他の人はもっと感じてるよね。すごくいい人だと思う。ライブも一緒に行ってくれるって。優しいよね。」

「だって如月さんがお願いすればたいていの人は聞いてくれるよ。」

「そんなことないよ。本当は困ると思う。不愛想だし、会話が成り立たないってすぐわかると思う。」

「そんなことないよ、今普通だし。」

「それは浅井さんも石神君と同じくらい話しやすい。誘ってくれたし、優しい。」

そんなんじゃないけど。浅井さんが小さく言いながら下を向く。

「本当にどうかした?喋るだけでいいなら聞くよ。ほら、私に喋っても会社の人には誰にも広がらないよ。」

自虐的に安心させるようなセリフを言う。

「大丈夫。ちょっと嫌なことがあっただけ。ごめんね。」

ポケットの中の携帯が着信を知らせる。

「あ、石神君。さっきお願いしてた事、もうやってくれたみたい。いい人だよね。」

浅井さんが携帯を見てる。
まさか・・・・石神君ってことないよね?????
ない、ないと思う。途中いなかったし。ないよね、うん。

「ねえ、くどいけど、どんな人と付き合ってきた?教えたくない?」

「そんなに披露するような事はないけど。」

「でもかっこいい人?」

「わりと・・・・やせ形でさっぱりした人かも。同じ年で陽気過ぎず、物静かでもない。普通か。」

「じゃあ、あんまり前に出る人は好きじゃない?」

「うん、今まで好きになったことがない。」

たとえかっこよくても自然な人がいい。鼻にかけてない人。


「自分から告白する?」

「うん・・・・なんとなく・・・してもらえるように・・・努力する。」

何だか嫌な女じゃないですか?
こんなこと何かの参考になるの?

「最初見た時から美人だなあって思ってたの。」

「そんなの・・・・でもありがとう。私は今日浅井さんの笑顔がすごく素敵だって何度も思った。」

もしかして・・・・そっちじゃないよね?
そんな感じじゃないし。
何だろう?

「ありがとう。」

きれいと思った笑顔がちょっと悲しそうな色を帯びていた気がした。

「本当にごめんね、なんだかモヤモヤに付き合わせて。また連絡していい?」

「もちろん。だって友達いないから。いつでも空いてる。」

「石神君がいるじゃない。」

「あ、そうだ、でも友達って言っていいのかな?」

「いいんじゃない?」

「そうだと嬉しいかも。」

最後にふっと笑った笑顔もやっぱりきれいだった。
少しでもスッキリしたんだったらうれしい。


駅で別れて部屋に帰る。
お風呂にゆっくり入り、パソコンを開いて石神君からもらったお店のページに飛んだ。

いくつか気になった日をあげてメッセージを送る。

『遅くなってごめんなさい。浅井さんとちょっとだけ喋ってました。いくつか候補をあげたんだけど、週末でも大丈夫なのかな?平日とか金曜日の方がいい?』

すぐに読んでくれて返事が来た。

『僕はいつでもいいです。予約を取ります。前がいい?後ろがいい?ソファは相席になります。楽器が見える席が僕は気に入ってます。希望はありますか?』

『私も楽器が見える席がいいです。あとは石神君のおススメで、よろしくお願いします。食べ物もゆっくり今からチェックします!』

しばらく時間が空いた。お店に問い合わせてくれてるのかもしれない。
食事も評判いいらしい。
ちょっと早めに行って食べるのもいいかも。

楽しみになってきた。



本当に誘われてよかった
今度浅井さんに改めて伝えたいと思った。
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