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5 元気になった友達の為に。
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浅井さんから来た元気になりました宣言。
それも何度か来た。
そのたびに『良かった。』と、『もっと元気になったの?』『安心していい?』とか返信した。
でも本当に元気になったみたい。
『やっぱり悪い事だった。奥さんに悪いことしたから、しばらく謹慎したい気分。次に好きな人が出来るまで謹慎します。』
思わず笑顔になる。
『私は謹慎するつもりはないのに・・・・ずっと謹慎中みたいに大人しいですが。』
『じゃあ、謹慎を止めて付き合うよ、しょうがないなあ。合コンしよう!』
そういう流れのメッセージが来た。
『それは無理かも。苦手だから。』
そう返信したのに。
『金曜日合コンに参加します。如月さんもです。会社の先輩です。いい人だし、如月さんの事知ってるみたい。話がしたいって。拒否権はないよ。』
勝手に参加表明されたらしい。
本当に苦手だって知ってるくせに。
でも浅井さんがやりたいなら、付き合うしかない。
少しは社会性を身につけよう。
ただ土曜日は石神君と約束してるからあんまり遅くはなりたくない。
お酒は控えめにしよう。
そう思って参加した。
会社近くのレストラン。
何故か中華、円卓、ターンテーブル。中央にお酒と料理。
よく考えたら楽かも。皆が真ん中向いてる。会話が全体でできる。
個人的に話した方が進展はあるが、苦手だからそんな流れは期待できないし。
料理やお酒はセルフで。
なるほど、これは楽かも。
浅井さんと隣になれると思ったのに見事に男女交互の席並びになった。
・・・・やっぱり円卓は嫌かも。
両方隣が男子。ため息を飲み込んで浅井さんを見るとニッコリ笑われた。
早速浅井さんに紹介されたのは話してた先輩らしい。
同じ部署じゃないのに、なぜ仲がいいの?
「初めまして。筒井直哉です。28歳です。情報管理部です。」
完璧な自己紹介をされた。
「浅井さんと仲がいいと聞いて是非誘って欲しいとお願いしました。うれしいです。」
何だろう、軽い感じで言われたけど。
「はじめまして。経理の如月です。」
・・・・・。
以上。
「あの、すみません、あんまり慣れなくて。」
一応付け足す。
「うん、聞いてる。飲み会滅多に行ってない?」
「ほぼ初めてです。」
「じゃあ、お近づきの印に乾杯。」
そう言ってグラスを持たされた。
さっき皆で乾杯した。
杏露酒。ソーダ割りにしてもらってる。
大切そうに少しづつ飲む。
「如月さん、結構飲めるって聞いてるけど。」
ううう・・・・余計なことを言ったな。
「はい、でも明日も飲むので今日は控えたいんです。」
正直に言う。
「明日は何?」
「友達とジャズライブに行くんです。一緒に連れて行ってもらう約束を前からしてたんです。」
「ふ~ん、ジャズ好きなんだ。」
「はい、まあ。」
トランペット話で盛り上がったあの時と同じ話の流れにはならない。
「どうして課も違うのに浅井さんと仲がいいんですか?」
「あ、気にしてくれるの?」
「なんとなく。漠然とした疑問です。」
「浅井さんが新人の頃、僕にコーヒー投げつけたんだよ、酷くない?」
投げつけた?・・・なんで?
「先輩、情報管理部でしょう、ちゃんと正確に伝えてください。ぶつかってジャケットにコーヒーがかかってしまった、クリーニング代を払って手打ちにした、これが真実です。」
「まあ、そうとも言う。」
なるほど。
「普通はそこで恋が芽生えてもおかしくないんですが、残念ながら先輩の好みは如月さんだったということで。」
ええっ。そんなお知らせいらない。
「そうなんです。せっかくのご縁だから大切にしたくて。」
その縁は浅井さんとあなたの物です!!
「ま、随分私も時間をかけましたが、やっとお詫びができました。後はご自由に。」
困る、何でそうなるの。
「あ、如月さんが困った顔してる。ちょっとショック。」
「だから言ったじゃないですか。壁は高く、厚く、なかなか乗り越えるのは大変ですって。」
「じゃあ、友達からお願いします。」
勝手に話が進む。
友達は欲しいけど、無理だと思う。
「先輩、だからあんまりグイグイ行っても苦手って思われますって。出しゃばったり、前に出るタイプはダメだって教えたじゃないですか。」
ん?
もしかして前に聞かれたのはこの人のため?
筒井先輩のために聞きだしてたの?
じゃあ、分かったでしょう。違うって、タイプが違う。
「友達もダメ?」
「先輩、ゆっくりゆっくり。お邪魔でしょうが、私も入れて何度か一緒にご飯行きましょう。」
「あの、本当に、すみません。私とじゃあ、なかなか盛り上がらないと思います。」
「そんな判断をすぐされると悲しいから、ちょっとだけ希望を持たせて。」
「如月さん、ごめんね。苦手なタイプとは思ったんだけど、いい人だし、適当に合わせておけばいいから楽だと思ったんだけど。」
何だかひどい事をさらっと言ってる気がする。
筒井先輩を見ると傷ついたって顔をして浅井さんを見てる。
「あれ?先輩、何か間違いました?」
悲しい顔の筒井先輩の表情に笑いが出る。
この二人の方がぴったりくるんじゃない?
楽しそうなのに。
そう言いたいけど、今度にしよう。
そうなったらうれしい。
そう思ったら笑顔になれた。
「やっぱり、友達からお願いします。」
もう一度言われた。
「はい、友達で。」
さりげなく言い直した。
「良かったですね、先輩。素敵な後輩が友達になってくれて。」
「浅井ちゃん、ありがとう。頑張る。」
「先輩、振られたらいつでも慰めてあげます。」
「・・・・・そんな・・・・。」
やっぱりいいコンビじゃない。
「ね、明日は・・・・あ、ダメなんだっけ。」
「はい。今週は予定がありますし。」
「し・・・・?」
「えっと浅井さん主催でならお食事に行けます。」
「さりげない予防線?」
首を倒す。
さて、いつ浅井さんに言い出せるだろうか?
絶対浅井さんがお似合い!!
あれから元気になりました連絡もなくなって明るくなってる浅井さん。
いいんじゃない?
なんだか楽しくなってきた。
お酒をまた一口飲んで、お酒と同じくらい甘い想像に浸る。
「如月さん、僕も初めまして。」
逆の人から声を掛けられた。
「はい。初めまして。」
本当に知らない人だった。
「筒井と同期で同じ情報管理の須田です。」
すごく落ち着いたトーン。さっきまでがガチャガチャしてたから。
うん、やっぱり落ち着く。
「如月です・・・・・。」
「知ってるよ。何かと新人の噂は社内を回るから。」
「噂?」
「うん、浅井さんもだけど、美人さんだと何かとね。」
思わず無表情になりそう。
勝手に言われてると思うと嫌だ。
「ごめん、ちょっと失礼だったかな。本当に、名前は知ってるってレベルだから。」
「・・・はい。」
「ほら、僕の方が笑顔になってくれたから、僕の勝ち。」
「お前は浅井さんを味方につけたからだろう。」
「いいの。一緒に飲みたかったんだから。」
勝手にやってほしいけど言えない。
「仲がいいんですか?」
二人で勝手にしゃべって欲しい。聞いてますから。ただ音を聞いてますから。
「うん、それがさ、就職試験の時から同じ面接グループだったんだ。」
「偉そうに言うな、覚えてたのは俺だ。お前はあの日もうるさかった。」
「皆の緊張をほぐそうとしただけだよ。」
「それでもうるさかった。」
「なんとなく想像できます。」
「ええ~、それは僕がみんなの為を思って道化になってるところの優しい僕だよね。」
「多分違う、うるさくて騒いで眉を顰められてるところだろう。」
「・・・・まあ、そっち寄りです。」
正直に言う。
「あ、・・・・酷い。」
「でも、一緒の配属になるなんて、よっぽどご縁があるんですね。」
「ない。」
須田さんが言い切った。
「ねえ、如月さん、こいつ冷たい奴だよね、聞いた?友達って思われてないのかなあ?まあ、如月さんが友達になってくれたから一人くらい男が減ってもいいけどね。」
「良かったな、ずっと仲良しのお友達になってもらえれば満足だろう。」
「ほらね?意地悪だよね。」
じゃれ合う大人、28歳。
「いいですね、私は1人配属だったから羨ましいです。」
「如月さん、欲しいならあげるけど。返品交換無しで。」
「お願いしたい。もらって欲しい。」
自分で言う筒井さん。
「いえいえ、須田さんの相棒を奪うわけには。そんな深いご縁は切っても切れませんよ。」
「じゃあ、火であぶり切る。液体窒素で凍らせて叩き割る。ダイヤモンドカッターで切る。」
「筒井さん、さっそく振られたから浅井さんに飲みに付き合ってもらってください。きっといたぶりながら慰めてくれますよ。」
「え~早速ですか?もう先輩、どこでも嫌われ者ですね。強く生きて行ってください、もしくは出家を勧めます。煩悩ゼロで落ち着けますよ。」
浅井さんがいいタイミングで入ってきてくれる。
やっぱりいいじゃない?
嬉しくなる。絶対です。
「ああ、如月さんが僕の出家を喜んでる?山に入る僕に笑顔で手を振ってくれそう。」
「はい、見送りに行きます。はっきり決まったら教えてください。」
「大丈夫です。強く生きる方を選びます。」
「残念です。坊主頭も似合うかもしれませんよ。」
「如月さん、本当にそう思う?」
・・・・・。
笑いでごまかす。
なんだかんだ楽しいかも。
浅井さんが元気になってくれてるのがうれしい。
次の相手も灯台下暗し。
ここにいるんじゃない?
「だいたい筒井、お前仕事を後輩に押し付けただろう。」
「今日は如月さんと飲むから絶対残業しない宣言してたから。今度代わるって折衷案をだしたからいいだろう。」
「如月さん、本当に宣言してたんだよ。迷惑でしょう?」
本当に・・・・、大人でしょう?
被害者一名。気の毒に。
「先輩、飲んでください。」
筒井さんのグラスにビールを継ぎ足す。
ついでに須田さんのグラスにも。
「ああ、美味しいだろうなあ。如月さんに注いでもらって。」
「あんまり言うと嘘くさくなるぞ。」
須田さんが的確な意見を言う。
本当にどこまでも適当だから。
でもやっぱり私じゃない。
横にいるのは私より・・・・もっと、ね。
それも何度か来た。
そのたびに『良かった。』と、『もっと元気になったの?』『安心していい?』とか返信した。
でも本当に元気になったみたい。
『やっぱり悪い事だった。奥さんに悪いことしたから、しばらく謹慎したい気分。次に好きな人が出来るまで謹慎します。』
思わず笑顔になる。
『私は謹慎するつもりはないのに・・・・ずっと謹慎中みたいに大人しいですが。』
『じゃあ、謹慎を止めて付き合うよ、しょうがないなあ。合コンしよう!』
そういう流れのメッセージが来た。
『それは無理かも。苦手だから。』
そう返信したのに。
『金曜日合コンに参加します。如月さんもです。会社の先輩です。いい人だし、如月さんの事知ってるみたい。話がしたいって。拒否権はないよ。』
勝手に参加表明されたらしい。
本当に苦手だって知ってるくせに。
でも浅井さんがやりたいなら、付き合うしかない。
少しは社会性を身につけよう。
ただ土曜日は石神君と約束してるからあんまり遅くはなりたくない。
お酒は控えめにしよう。
そう思って参加した。
会社近くのレストラン。
何故か中華、円卓、ターンテーブル。中央にお酒と料理。
よく考えたら楽かも。皆が真ん中向いてる。会話が全体でできる。
個人的に話した方が進展はあるが、苦手だからそんな流れは期待できないし。
料理やお酒はセルフで。
なるほど、これは楽かも。
浅井さんと隣になれると思ったのに見事に男女交互の席並びになった。
・・・・やっぱり円卓は嫌かも。
両方隣が男子。ため息を飲み込んで浅井さんを見るとニッコリ笑われた。
早速浅井さんに紹介されたのは話してた先輩らしい。
同じ部署じゃないのに、なぜ仲がいいの?
「初めまして。筒井直哉です。28歳です。情報管理部です。」
完璧な自己紹介をされた。
「浅井さんと仲がいいと聞いて是非誘って欲しいとお願いしました。うれしいです。」
何だろう、軽い感じで言われたけど。
「はじめまして。経理の如月です。」
・・・・・。
以上。
「あの、すみません、あんまり慣れなくて。」
一応付け足す。
「うん、聞いてる。飲み会滅多に行ってない?」
「ほぼ初めてです。」
「じゃあ、お近づきの印に乾杯。」
そう言ってグラスを持たされた。
さっき皆で乾杯した。
杏露酒。ソーダ割りにしてもらってる。
大切そうに少しづつ飲む。
「如月さん、結構飲めるって聞いてるけど。」
ううう・・・・余計なことを言ったな。
「はい、でも明日も飲むので今日は控えたいんです。」
正直に言う。
「明日は何?」
「友達とジャズライブに行くんです。一緒に連れて行ってもらう約束を前からしてたんです。」
「ふ~ん、ジャズ好きなんだ。」
「はい、まあ。」
トランペット話で盛り上がったあの時と同じ話の流れにはならない。
「どうして課も違うのに浅井さんと仲がいいんですか?」
「あ、気にしてくれるの?」
「なんとなく。漠然とした疑問です。」
「浅井さんが新人の頃、僕にコーヒー投げつけたんだよ、酷くない?」
投げつけた?・・・なんで?
「先輩、情報管理部でしょう、ちゃんと正確に伝えてください。ぶつかってジャケットにコーヒーがかかってしまった、クリーニング代を払って手打ちにした、これが真実です。」
「まあ、そうとも言う。」
なるほど。
「普通はそこで恋が芽生えてもおかしくないんですが、残念ながら先輩の好みは如月さんだったということで。」
ええっ。そんなお知らせいらない。
「そうなんです。せっかくのご縁だから大切にしたくて。」
その縁は浅井さんとあなたの物です!!
「ま、随分私も時間をかけましたが、やっとお詫びができました。後はご自由に。」
困る、何でそうなるの。
「あ、如月さんが困った顔してる。ちょっとショック。」
「だから言ったじゃないですか。壁は高く、厚く、なかなか乗り越えるのは大変ですって。」
「じゃあ、友達からお願いします。」
勝手に話が進む。
友達は欲しいけど、無理だと思う。
「先輩、だからあんまりグイグイ行っても苦手って思われますって。出しゃばったり、前に出るタイプはダメだって教えたじゃないですか。」
ん?
もしかして前に聞かれたのはこの人のため?
筒井先輩のために聞きだしてたの?
じゃあ、分かったでしょう。違うって、タイプが違う。
「友達もダメ?」
「先輩、ゆっくりゆっくり。お邪魔でしょうが、私も入れて何度か一緒にご飯行きましょう。」
「あの、本当に、すみません。私とじゃあ、なかなか盛り上がらないと思います。」
「そんな判断をすぐされると悲しいから、ちょっとだけ希望を持たせて。」
「如月さん、ごめんね。苦手なタイプとは思ったんだけど、いい人だし、適当に合わせておけばいいから楽だと思ったんだけど。」
何だかひどい事をさらっと言ってる気がする。
筒井先輩を見ると傷ついたって顔をして浅井さんを見てる。
「あれ?先輩、何か間違いました?」
悲しい顔の筒井先輩の表情に笑いが出る。
この二人の方がぴったりくるんじゃない?
楽しそうなのに。
そう言いたいけど、今度にしよう。
そうなったらうれしい。
そう思ったら笑顔になれた。
「やっぱり、友達からお願いします。」
もう一度言われた。
「はい、友達で。」
さりげなく言い直した。
「良かったですね、先輩。素敵な後輩が友達になってくれて。」
「浅井ちゃん、ありがとう。頑張る。」
「先輩、振られたらいつでも慰めてあげます。」
「・・・・・そんな・・・・。」
やっぱりいいコンビじゃない。
「ね、明日は・・・・あ、ダメなんだっけ。」
「はい。今週は予定がありますし。」
「し・・・・?」
「えっと浅井さん主催でならお食事に行けます。」
「さりげない予防線?」
首を倒す。
さて、いつ浅井さんに言い出せるだろうか?
絶対浅井さんがお似合い!!
あれから元気になりました連絡もなくなって明るくなってる浅井さん。
いいんじゃない?
なんだか楽しくなってきた。
お酒をまた一口飲んで、お酒と同じくらい甘い想像に浸る。
「如月さん、僕も初めまして。」
逆の人から声を掛けられた。
「はい。初めまして。」
本当に知らない人だった。
「筒井と同期で同じ情報管理の須田です。」
すごく落ち着いたトーン。さっきまでがガチャガチャしてたから。
うん、やっぱり落ち着く。
「如月です・・・・・。」
「知ってるよ。何かと新人の噂は社内を回るから。」
「噂?」
「うん、浅井さんもだけど、美人さんだと何かとね。」
思わず無表情になりそう。
勝手に言われてると思うと嫌だ。
「ごめん、ちょっと失礼だったかな。本当に、名前は知ってるってレベルだから。」
「・・・はい。」
「ほら、僕の方が笑顔になってくれたから、僕の勝ち。」
「お前は浅井さんを味方につけたからだろう。」
「いいの。一緒に飲みたかったんだから。」
勝手にやってほしいけど言えない。
「仲がいいんですか?」
二人で勝手にしゃべって欲しい。聞いてますから。ただ音を聞いてますから。
「うん、それがさ、就職試験の時から同じ面接グループだったんだ。」
「偉そうに言うな、覚えてたのは俺だ。お前はあの日もうるさかった。」
「皆の緊張をほぐそうとしただけだよ。」
「それでもうるさかった。」
「なんとなく想像できます。」
「ええ~、それは僕がみんなの為を思って道化になってるところの優しい僕だよね。」
「多分違う、うるさくて騒いで眉を顰められてるところだろう。」
「・・・・まあ、そっち寄りです。」
正直に言う。
「あ、・・・・酷い。」
「でも、一緒の配属になるなんて、よっぽどご縁があるんですね。」
「ない。」
須田さんが言い切った。
「ねえ、如月さん、こいつ冷たい奴だよね、聞いた?友達って思われてないのかなあ?まあ、如月さんが友達になってくれたから一人くらい男が減ってもいいけどね。」
「良かったな、ずっと仲良しのお友達になってもらえれば満足だろう。」
「ほらね?意地悪だよね。」
じゃれ合う大人、28歳。
「いいですね、私は1人配属だったから羨ましいです。」
「如月さん、欲しいならあげるけど。返品交換無しで。」
「お願いしたい。もらって欲しい。」
自分で言う筒井さん。
「いえいえ、須田さんの相棒を奪うわけには。そんな深いご縁は切っても切れませんよ。」
「じゃあ、火であぶり切る。液体窒素で凍らせて叩き割る。ダイヤモンドカッターで切る。」
「筒井さん、さっそく振られたから浅井さんに飲みに付き合ってもらってください。きっといたぶりながら慰めてくれますよ。」
「え~早速ですか?もう先輩、どこでも嫌われ者ですね。強く生きて行ってください、もしくは出家を勧めます。煩悩ゼロで落ち着けますよ。」
浅井さんがいいタイミングで入ってきてくれる。
やっぱりいいじゃない?
嬉しくなる。絶対です。
「ああ、如月さんが僕の出家を喜んでる?山に入る僕に笑顔で手を振ってくれそう。」
「はい、見送りに行きます。はっきり決まったら教えてください。」
「大丈夫です。強く生きる方を選びます。」
「残念です。坊主頭も似合うかもしれませんよ。」
「如月さん、本当にそう思う?」
・・・・・。
笑いでごまかす。
なんだかんだ楽しいかも。
浅井さんが元気になってくれてるのがうれしい。
次の相手も灯台下暗し。
ここにいるんじゃない?
「だいたい筒井、お前仕事を後輩に押し付けただろう。」
「今日は如月さんと飲むから絶対残業しない宣言してたから。今度代わるって折衷案をだしたからいいだろう。」
「如月さん、本当に宣言してたんだよ。迷惑でしょう?」
本当に・・・・、大人でしょう?
被害者一名。気の毒に。
「先輩、飲んでください。」
筒井さんのグラスにビールを継ぎ足す。
ついでに須田さんのグラスにも。
「ああ、美味しいだろうなあ。如月さんに注いでもらって。」
「あんまり言うと嘘くさくなるぞ。」
須田さんが的確な意見を言う。
本当にどこまでも適当だから。
でもやっぱり私じゃない。
横にいるのは私より・・・・もっと、ね。
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