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2 期待されたゴールにたどり着くにはとんでもない頑張りが必要です。
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奢られたコーヒーを飲みながら赤線をひかれた書類を見る。
最初はその多さにガッカリしたし反省もした。
そう、人間慣れるのだ
申し訳ないとも思ったし、どうしようもない自分の足りなさに落ち込んだりもした最初の頃。今は、その赤線に向き合うのに打倒赤線!!とやる気が出るくらいの前向きな気持ちはある。
次の提出は驚くくらい完璧にしてやるっ!!とか。
一度目にもそのくらいの気合を入れてるつもりなんだけど。
それでもやはりまだまだらしい。
本当にガッカリな私の実力。
名前を呼ばれるたびにガッカリはする。
何度も見直して提出してるのに。
本当に小さいミスから大きなミスまで見事に指摘してくれるし、聞かれて答えられないこともある。はい、もっともなご指摘、その通りです。
最初の頃の単純な変換ミスの頻発は今はなくなった。
『恥ずかしいぞ。』と言われて気を付けてる。
わざわざプリントアウトして提出するように言われてるのは私が気がつくようにという計らいらしい。よく考えたら赤線をひくからどちらにしても必要だから・・・・・・・、そんな命令も私だけだし。
さすがに二度指摘されて単純な変換ミスはほとんどなくなった。
ただそれ以外にもいろいろある。
詰めが甘い、の一言。
それでも、今まで三回くらい反抗・・・・言い返し・・してみた。
よく言えば主張、もしくは開き直りの提案。
二度は認められた。
褒められた!うれしかった。
喜んで笑顔になった私に、ビックリした課長の顔も思い出せるくらい新鮮だった!
ただ残る一回は大きな声で叱られた。
多分背骨が数センチくらい縮んで身長が低くなったくらいには小さくなった。
しばらくしたら伸びただろうけど。
確かその時も笑いながら穣君に奢られた気がする。
「すごいガッツがあるよね。聞いてて面白い。」
そんな小さな娯楽ネタのお礼だと言いながら奢られたのだ。
やはり褒められた気がしない。
時々気の遣い方を間違えてるよ、穣君。
あるランチの時に穣君に言われた。
「打たれ強いよね、本当に。」と。
先輩達にそう言われてるらしい。誰もが納得らしい。
私は何度も課長に打たれてるらしい。
『出る杭』じゃなくても打ちたくなる、ひょっこり頭を出す『もぐら叩き』みたいに。
課長も楽しんでくれてるだろうか?
そんな事は聞けない、当たり前だ。
あの素敵に渋い顔の眉間に深くて長い縦ジワが出来るだろう。
「穣君、怒られてないね、そう言えば。」
改めて気がついた。
「うん? そうかも。」
何で?というか、反省するべきは私だった。
打たれ強いとかいう精神論の前に成長してないと言うことらしい。
そして飽きもせずに指導されてる私と指導する課長。
どっちもどっち。
・・・あぁ、冗談です。必要な事です。ありがたいです。
「一度目で叱られたポイントはきちんと仕上げてるよ。」
「それは何の自慢?」
穣君に笑いながらそう言われた。
なるほどそう思うんだ。
あんまり胸を張って言えることじゃないらしい。
さすがにパワハラとは思ってないからどうぞどうぞ、全力指導のフォローよろしくお願いします。
課内の男性で飲みに行くと課長が時々私の愚痴を言うらしい、最後は懲りない奴だと言われてるらしい。
長い目で見て欲しい、褒めて伸ばして欲しい。
一度目の提出は指導ありきでいいですが、二度目の提出で完璧に改善された時は是非褒めて欲しい。
そう思ったらダメでしょうか?
まだ新人です。あと少しだけでも。
私がパワハラと思ってないことは明らかだろう。
適正な指導だと思ってるだろうから。
部長や倫理委員に訴えたら目が点になるだろう。
ちなみにセクハラとも縁のない私。
他の課にはそう言いたくなりそうな上司がいるらしいけど、ここはいない。
今日は久しぶりの飲み会だった。
忘年会の時期はどこも予約が立て込んで、いつも場所取りが大変だから今年度は新年会にしようとなった。
だからその前に半端な時期だけどやる!
そうなったらしい。
結局早めの忘年会というのでは?飲み会が二度に増えたということですよね?
隣に座った穣君と一緒に先輩たちと盛り上がる。
「しかし愛内さんの名前を聞かない日はあんまりないよな。」
「ええっ、そんなに有名ですか?」
「ああ、課長の声以外で聞くことはないけどな。」
「むしろ呼ばれない日は休みかとか思うよ。なんか物足りないし、課長もそうかもね。」
本当に冗談と本気を混ぜて先輩が言う。
課長が風邪を引いて声がかすれてた時があった。
「愛内さん、しばらく課長の隣の席に行って仕事をしてあげた方がいいんじゃない?」
そう言われたくらいだった。
確かに周りが寂しいと思うくらい、私も物足りないかも。
時々、平穏無事に一日が終わる。
時々と言わず、本当は最近は週一くらいでしか名前も叫ばれてない。
だから稀に平穏無事に終わる週があるのだ。
そんなレアな週は金曜日の仕事終わりには課長詣でをすることにしている。
「課長、お先に失礼します。」
「ああ、お疲れ。」
少し疲れた顔でそう言われる。
元気ないですが、私のせいですか?
部下のお粗末に呆れることで気分転換ができるなら喜んで協力します。
やっぱり課長も物足りないですか?
・・・・なんて思いながら先に帰る週もある。
ぼんやり課長の方を見ていた。
すっかりくつろいでいるけど周りに誰もいなくてぼんやりしてる。
怒られ一番の私だけど、もちろん指導は厳しいけど、普段は優しい。
わからないことも聞いたらちゃんと教えてくれる。
尊敬する上司なのだ。
誰にでも優しくて、私の不出来にも付き合ってくれるんだから。
心が広いか、懐が深いか、器が大きいか、面倒見がいいか。
「そういえば筧先輩、いい事あったんですよね?」
ぼんやり課長を見てたらそんな会話が聞こえてきた。
「なんですか?いい事!」
聞いてみた。
「若輩筧、この度プロポーズが大成功いたしましたっ!」
その声はなかなかのボリュームで課の二十人くらいには一度で知れ渡った。
おめでとうコールが起こる。
私もグラスを持って『おめでとう!』と声を上げた。
ただその声も大きかったらしくて、みんながグラスを持って続いてくれた。
みんな笑顔になる。
「筧先輩、参考までにどんな感じで決めたんですか?」
「えぇ~、教えるの~。恥ずかしいなぁ~。」
つまらない話なら『じゃあいいです。』と言いたいけど、そんな一大イベントには興味もあるし、話したそうにしてるのがわかる。聞いてあげるべきだろう。
「教えてください。参考にしたいです!」
後輩らしく元気よく答えてあげた。他にも聞いてる人はいる。
これでも場の空気を読むのはうまいのだ。
先輩の喜びの心をくすぐり、皆の好奇心を満たすために。
「シンデレラのお城の見える場所でひざまずいて、キラキラの指輪を出しましたっ!」
シーン。
マジ、参考になる?
ホントにいるんだそんな人。
それが私の本音。
他の人はどうだろう。
でも聞いた責任は私にある。処理するしかない空気だった。
「本当ですか?ロマンチックです!素敵です!!彼女は喜びます!!!」
喜んだだろう。あるいはキョトン?
「うん、びっくりされた。真っ赤になって、珍しく素直になってた。やっぱり夢の国だけに魔法ってあるんだね。」
しみじみしてる先輩。
彼女はどんな人だか、タイプにもよるけど。
『マジ、ここで?普通でいいよ、恥ずかしいじゃない!!』と思う人もいるかも?
私ならそう。
先輩の彼女はわからないけど、半分の女性がそうかも。
それともやっぱり特別な人にそうされたら涙が出るくらい感動するのだろうか?
周りの視線なんて気にならないくらい二人の世界に入れるんだろうか?
「いいなぁ~。羨ましい!」
本音だけど、あくまでも結果だけです。
シチュエーションは今のところ勘弁です。
「里奈ちゃんも頑張れ!きっとどこかに救いの王子はいるよ!」
「なんで白馬の王子じゃなくて救いの王子ですか?」
「なんとなく。捨て犬を拾う感じで目が合ったらそらせないとか、ボランティアや博愛に近いかなと。」
「先輩、酷いです。」
私は精一杯の努力で褒めたのに。
「幸せは順番順番。」
「じゃあ、次は私の番でいいです!」
「予定あるの?」
「うっ、・・・・ないですが救いがあるなら、無から有を生み出すようなミラクルが私に来ていいじゃないですか。」
「どうだろう?」
「西村、どう?」
「僕は知りません。」
穣君が首を振る。
「だって、どうする?」
「なんで同期だけって決めつけるんですか?先輩でも上司でも、たくさんいます!むしろ社内じゃなくてもいいのに。」
「上司って・・・部長?」
「いいのかなぁ、部長は倍以上も年上だし不倫になるよ。」
部長は倍どころじゃない、おじいさんっぽい年齢だったと思う。
ああ、でも、定年はまだまだらしいから見た目がそうなだけかもしれない。
「なんで課内限定なんですか?もう他にもたくさん男の人はいます。」
「そうだね、良かったね、よりどりみどりって事で。」
「じゃあ、新年会の主役は任せた!うれしい報告を待ってる、起これミラクル!!」
筧先輩に言われた。
新年会って、そんな、あと二ヶ月ちょっとじゃない。
無理無理!ゴールの目標設定早すぎる!
隣の穣君に気の毒そうに見られてるのに気がついて、がっかりした。
その目は、『やっぱり急だよね、無理だよね。』って言ってる。
そんな気遣いいらない、やっぱり穣君の気遣いは間違ってる!
今こそ、頑張ってって励ますところだよ、やればできるよって、そう言ってくれてもいいはずだよ。せめて言葉だけでも。
こうなったら、なんとかしてやろうじゃないか!
クリスマスもあるし、冬休みもある!
ここで頑張らなくてどうする!
誰もが人肌恋しい時期。
一番恋活したくなる時期じゃない?
たくさん飲み会に参加してやる。
誘われる限り出てやる。
後で友達にも広く呼び掛けておこう。
ひたすら出会う数の分母を広げて、私のオンリーワンを見つけるのだ。
そして新年会では主役級の発表をしてやる!!
最初はその多さにガッカリしたし反省もした。
そう、人間慣れるのだ
申し訳ないとも思ったし、どうしようもない自分の足りなさに落ち込んだりもした最初の頃。今は、その赤線に向き合うのに打倒赤線!!とやる気が出るくらいの前向きな気持ちはある。
次の提出は驚くくらい完璧にしてやるっ!!とか。
一度目にもそのくらいの気合を入れてるつもりなんだけど。
それでもやはりまだまだらしい。
本当にガッカリな私の実力。
名前を呼ばれるたびにガッカリはする。
何度も見直して提出してるのに。
本当に小さいミスから大きなミスまで見事に指摘してくれるし、聞かれて答えられないこともある。はい、もっともなご指摘、その通りです。
最初の頃の単純な変換ミスの頻発は今はなくなった。
『恥ずかしいぞ。』と言われて気を付けてる。
わざわざプリントアウトして提出するように言われてるのは私が気がつくようにという計らいらしい。よく考えたら赤線をひくからどちらにしても必要だから・・・・・・・、そんな命令も私だけだし。
さすがに二度指摘されて単純な変換ミスはほとんどなくなった。
ただそれ以外にもいろいろある。
詰めが甘い、の一言。
それでも、今まで三回くらい反抗・・・・言い返し・・してみた。
よく言えば主張、もしくは開き直りの提案。
二度は認められた。
褒められた!うれしかった。
喜んで笑顔になった私に、ビックリした課長の顔も思い出せるくらい新鮮だった!
ただ残る一回は大きな声で叱られた。
多分背骨が数センチくらい縮んで身長が低くなったくらいには小さくなった。
しばらくしたら伸びただろうけど。
確かその時も笑いながら穣君に奢られた気がする。
「すごいガッツがあるよね。聞いてて面白い。」
そんな小さな娯楽ネタのお礼だと言いながら奢られたのだ。
やはり褒められた気がしない。
時々気の遣い方を間違えてるよ、穣君。
あるランチの時に穣君に言われた。
「打たれ強いよね、本当に。」と。
先輩達にそう言われてるらしい。誰もが納得らしい。
私は何度も課長に打たれてるらしい。
『出る杭』じゃなくても打ちたくなる、ひょっこり頭を出す『もぐら叩き』みたいに。
課長も楽しんでくれてるだろうか?
そんな事は聞けない、当たり前だ。
あの素敵に渋い顔の眉間に深くて長い縦ジワが出来るだろう。
「穣君、怒られてないね、そう言えば。」
改めて気がついた。
「うん? そうかも。」
何で?というか、反省するべきは私だった。
打たれ強いとかいう精神論の前に成長してないと言うことらしい。
そして飽きもせずに指導されてる私と指導する課長。
どっちもどっち。
・・・あぁ、冗談です。必要な事です。ありがたいです。
「一度目で叱られたポイントはきちんと仕上げてるよ。」
「それは何の自慢?」
穣君に笑いながらそう言われた。
なるほどそう思うんだ。
あんまり胸を張って言えることじゃないらしい。
さすがにパワハラとは思ってないからどうぞどうぞ、全力指導のフォローよろしくお願いします。
課内の男性で飲みに行くと課長が時々私の愚痴を言うらしい、最後は懲りない奴だと言われてるらしい。
長い目で見て欲しい、褒めて伸ばして欲しい。
一度目の提出は指導ありきでいいですが、二度目の提出で完璧に改善された時は是非褒めて欲しい。
そう思ったらダメでしょうか?
まだ新人です。あと少しだけでも。
私がパワハラと思ってないことは明らかだろう。
適正な指導だと思ってるだろうから。
部長や倫理委員に訴えたら目が点になるだろう。
ちなみにセクハラとも縁のない私。
他の課にはそう言いたくなりそうな上司がいるらしいけど、ここはいない。
今日は久しぶりの飲み会だった。
忘年会の時期はどこも予約が立て込んで、いつも場所取りが大変だから今年度は新年会にしようとなった。
だからその前に半端な時期だけどやる!
そうなったらしい。
結局早めの忘年会というのでは?飲み会が二度に増えたということですよね?
隣に座った穣君と一緒に先輩たちと盛り上がる。
「しかし愛内さんの名前を聞かない日はあんまりないよな。」
「ええっ、そんなに有名ですか?」
「ああ、課長の声以外で聞くことはないけどな。」
「むしろ呼ばれない日は休みかとか思うよ。なんか物足りないし、課長もそうかもね。」
本当に冗談と本気を混ぜて先輩が言う。
課長が風邪を引いて声がかすれてた時があった。
「愛内さん、しばらく課長の隣の席に行って仕事をしてあげた方がいいんじゃない?」
そう言われたくらいだった。
確かに周りが寂しいと思うくらい、私も物足りないかも。
時々、平穏無事に一日が終わる。
時々と言わず、本当は最近は週一くらいでしか名前も叫ばれてない。
だから稀に平穏無事に終わる週があるのだ。
そんなレアな週は金曜日の仕事終わりには課長詣でをすることにしている。
「課長、お先に失礼します。」
「ああ、お疲れ。」
少し疲れた顔でそう言われる。
元気ないですが、私のせいですか?
部下のお粗末に呆れることで気分転換ができるなら喜んで協力します。
やっぱり課長も物足りないですか?
・・・・なんて思いながら先に帰る週もある。
ぼんやり課長の方を見ていた。
すっかりくつろいでいるけど周りに誰もいなくてぼんやりしてる。
怒られ一番の私だけど、もちろん指導は厳しいけど、普段は優しい。
わからないことも聞いたらちゃんと教えてくれる。
尊敬する上司なのだ。
誰にでも優しくて、私の不出来にも付き合ってくれるんだから。
心が広いか、懐が深いか、器が大きいか、面倒見がいいか。
「そういえば筧先輩、いい事あったんですよね?」
ぼんやり課長を見てたらそんな会話が聞こえてきた。
「なんですか?いい事!」
聞いてみた。
「若輩筧、この度プロポーズが大成功いたしましたっ!」
その声はなかなかのボリュームで課の二十人くらいには一度で知れ渡った。
おめでとうコールが起こる。
私もグラスを持って『おめでとう!』と声を上げた。
ただその声も大きかったらしくて、みんながグラスを持って続いてくれた。
みんな笑顔になる。
「筧先輩、参考までにどんな感じで決めたんですか?」
「えぇ~、教えるの~。恥ずかしいなぁ~。」
つまらない話なら『じゃあいいです。』と言いたいけど、そんな一大イベントには興味もあるし、話したそうにしてるのがわかる。聞いてあげるべきだろう。
「教えてください。参考にしたいです!」
後輩らしく元気よく答えてあげた。他にも聞いてる人はいる。
これでも場の空気を読むのはうまいのだ。
先輩の喜びの心をくすぐり、皆の好奇心を満たすために。
「シンデレラのお城の見える場所でひざまずいて、キラキラの指輪を出しましたっ!」
シーン。
マジ、参考になる?
ホントにいるんだそんな人。
それが私の本音。
他の人はどうだろう。
でも聞いた責任は私にある。処理するしかない空気だった。
「本当ですか?ロマンチックです!素敵です!!彼女は喜びます!!!」
喜んだだろう。あるいはキョトン?
「うん、びっくりされた。真っ赤になって、珍しく素直になってた。やっぱり夢の国だけに魔法ってあるんだね。」
しみじみしてる先輩。
彼女はどんな人だか、タイプにもよるけど。
『マジ、ここで?普通でいいよ、恥ずかしいじゃない!!』と思う人もいるかも?
私ならそう。
先輩の彼女はわからないけど、半分の女性がそうかも。
それともやっぱり特別な人にそうされたら涙が出るくらい感動するのだろうか?
周りの視線なんて気にならないくらい二人の世界に入れるんだろうか?
「いいなぁ~。羨ましい!」
本音だけど、あくまでも結果だけです。
シチュエーションは今のところ勘弁です。
「里奈ちゃんも頑張れ!きっとどこかに救いの王子はいるよ!」
「なんで白馬の王子じゃなくて救いの王子ですか?」
「なんとなく。捨て犬を拾う感じで目が合ったらそらせないとか、ボランティアや博愛に近いかなと。」
「先輩、酷いです。」
私は精一杯の努力で褒めたのに。
「幸せは順番順番。」
「じゃあ、次は私の番でいいです!」
「予定あるの?」
「うっ、・・・・ないですが救いがあるなら、無から有を生み出すようなミラクルが私に来ていいじゃないですか。」
「どうだろう?」
「西村、どう?」
「僕は知りません。」
穣君が首を振る。
「だって、どうする?」
「なんで同期だけって決めつけるんですか?先輩でも上司でも、たくさんいます!むしろ社内じゃなくてもいいのに。」
「上司って・・・部長?」
「いいのかなぁ、部長は倍以上も年上だし不倫になるよ。」
部長は倍どころじゃない、おじいさんっぽい年齢だったと思う。
ああ、でも、定年はまだまだらしいから見た目がそうなだけかもしれない。
「なんで課内限定なんですか?もう他にもたくさん男の人はいます。」
「そうだね、良かったね、よりどりみどりって事で。」
「じゃあ、新年会の主役は任せた!うれしい報告を待ってる、起これミラクル!!」
筧先輩に言われた。
新年会って、そんな、あと二ヶ月ちょっとじゃない。
無理無理!ゴールの目標設定早すぎる!
隣の穣君に気の毒そうに見られてるのに気がついて、がっかりした。
その目は、『やっぱり急だよね、無理だよね。』って言ってる。
そんな気遣いいらない、やっぱり穣君の気遣いは間違ってる!
今こそ、頑張ってって励ますところだよ、やればできるよって、そう言ってくれてもいいはずだよ。せめて言葉だけでも。
こうなったら、なんとかしてやろうじゃないか!
クリスマスもあるし、冬休みもある!
ここで頑張らなくてどうする!
誰もが人肌恋しい時期。
一番恋活したくなる時期じゃない?
たくさん飲み会に参加してやる。
誘われる限り出てやる。
後で友達にも広く呼び掛けておこう。
ひたすら出会う数の分母を広げて、私のオンリーワンを見つけるのだ。
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