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5 思わぬ発見にプロの目の確かさを見た征四郎。
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手に残った一万円札。
グラスを受け取り、クロークに引っ張っていく間に少しは目が覚めたのか、第三者に見られたと分かって反省したのか。
「先ほど前の席にご案内した時にも、もう大分お酒がすすんでいらっしゃいましたが大丈夫でしょうか?どなたかご家族や社員の方に連絡いたしましょうか?失礼をしたままのさっきの女性社員にも見送らせます。」
さり気なく前科を匂わせるように、心配してる風にとれるようにも言う。
荷物を受け取ったあとお金を渡された。
「赤ワインのシミは落ちないかもしれない。クリーニング代だと渡してもらえるだろうか?」
「いえ、お気遣いは無用です。社員家族でクリーニングの相談にのってくれる人がいます。原因が分かっていれば対処しやすいと聞いてます。彼女に紹介しておくので大丈夫です。お気持ちだけお伝えします。」
さり気なく他の社員にもバレると思っただろう。
こうなるとさっき壇上で来賓あいさつをしたのが悔やまれるだろう。
さっききちんと名前も呼んだし。
やや強引にお金を渡されて、いくらか酔いのさめた足取りで帰って行った。
そのまますぐにトイレに向かった。
さすがにショックだったのだろう、彼女がトボトボと歩いてる気がした、簡単に追いつけたんだから、そうだろう。気の毒に。
「事故です。」
あくまでもセクハラの対象になったことを認めたくないらしい。
自分のことは顔くらいなら分かるだろう。
同じ営業だし。
お金が誰の物か分からないらしく、きっぱり断り、トイレに入って行った。
手にした万札を見て、どうしようかと考えてたら、トイレの中からすごい罵る声が聞こえてきた。禿げろ、セクハラで訴えられろは分かるが、それ以上に悲しいストーリーをくっつけている。
スッキリしただろうか?
面白い。さすがに表情もあっただろう。
今更例会に戻る気もなくなった。
クロークに行って染み抜きの用意がないか聞いてみた。
さすがにあるらしい。素晴らしい!
それを借りてトイレに引き返した。
誰かがトイレに入っていたら困るが、とりあえずノックして、大きく声をかけた。
「醍醐さん、恩田ですけど、染み抜きをホテルから借りてきました。使いますか?」
ドアの細めのガラス部分に影が映って、ドアが開いた・・・・・。
ブラウスを手にしていた。当然本人は薄い下着にジャケット姿だった。
一番上の胸元のボタンは留めている。
突然トイレに来た人もとりあえずは驚かないだろう横からの姿。
ただ正面に立たれて、ちょっとだけ開いたドアからだけど、見えた、すごく見えた。
そのつもりはなくても、身長差と二人の距離と・・・なにか。
急いで染み抜きを渡し、ゆっくり回れ右をして、外で待った。
気がついてないのか?
ただ、あとで気がつくかもしれない、どうだろう。
・・・・どんだけ染み抜きに専念してたんだ。
やはり人生が長いし、そのプロの獲物を狙う目は確かだったらしい。
知らなかった。
あんなにスタイルがいいとは。
ついあのヘアスタイルとシンプルさに誤魔化されていた。
向きを変えるまでに見えた胸とスカートに包まれたウエストあたりの細さと、足の長さが分かった。
細いが、ボリュームはあった。
なぜ噂にならない?誰も気にしてない?気がついてないのか?
エロオヤジ、やはり、凄い。
相変わらず手には万札があった。
ぼんやりと考える。
もはや会社の行事の途中だと言うことも忘れてしまっていた。
もう一度トイレのドア越しに声をかけて、クロークに帰してもらうように言った。
「分かりました。ありがとうございました。」
そう返事をされて、とりあえず例会が行われてる部屋に戻った。
決算報告と各課の業績発表と今後の経営戦略と人事発表などのニュースと・・・・。
もはやどうでもいい。
空いてる端の席に座る。
目を閉じたらくっきりと残像が浮かびそうで閉じれない。
あの時の若い子には刺激が強すぎるような・・・いやいやどうでもいいが。
取りあえず前に映されてるスライドを目にして、例会に集中した。
そのあとお開きになってやっと年一の行事が終わった。
明日も仕事なんだ。
普通に仕事なんだ。
ポケットの一万円札を二つ折りのまま財布に戻す。
ちゃんと謝罪と反省の言葉を添えて受け取ったと伝えよう、あの彼女に。
きっと嘘でしょうと、眉間にしわを寄せそうだが。
それともその時も無感動な表情だろうか?
そう思ったがその日はうまく見つけられなかった。
明日にでも声をかけよう。
「途中までいなかったよな。」
「ああ、厄介な酔っ払いに捕まっていた。」
「そうなのか?そんな面倒なの担当してたのか?」
「いや、行きがかり。担当外だよ。だから気を遣うのも本当にちょっとだけで済んだ。」
「ちょっと飲んでいかないか?急ぐか?」
「いや、大丈夫だ。」
そう言って直也と連れ立った。
「で、何で別れたんだ?」
「ああ、なんだか煩わしく思えた。本当に急に鬱陶しいと思えた。」
「まさかそう言ったのか?」
「さすがにそんな酷くはない。さりげなく先はないとかそんなことを、言ったような気がする。」
「泣かれただろう?」
「さあ、気がついたらいなかった。」
「何現象だよ。」
そう言われて、笑われた。
自分でもそう思う。
あの時、本当に・・・どうしたんだろうな?
「で、そっちはどのくらい前に、何で別れた。」
「割とすぐかな。本当に鬱陶しいよな。毎週毎週会いたいかって、ちゃちゃっと夜だけ会ってればいいのに、昼間からじゃないと夜はないとはな。」
「そりゃ酷い。」
「ああ、お互いに酷いな。」
「ボッチ老人になれって彼女に言われる。」
トイレで悪態をついてた彼女の声とセリフを思い出して言ってしまった。
「何だよ、やっぱり罵られたんじゃないかよ。」
「・・・ああ、まあな。」
「まあ、次行くか?」
「お前反省してないのか?」
「してないな。」
「俺はいい、しばらくボッチでいい。」
「何だよ、懲りたのか?」
「まあな。」
直也は営業二課だ。彼女と同じところなんだ。
ちょっと聞いてみようと口を開いたが、言葉が出なかった。
「何だよ。今、何か言いかけただろう。」
バレてしまったが、サラリと言い訳をした。
「ああ、・・・・言おうと思った瞬間忘れた。」
「何だそりゃ?」
お酒を二杯くらい飲んで、他の奴らの近況を言い合い、社内のゴタゴタを教え合い。
いままで直也からも後輩の彼女のことを聞いたことがない。
そんな存在だと思う、そう思われてると思う。
部屋に戻って、暗い部屋に電気をつけた。
ある程度お酒も入り面倒なことこの上ない、適当にシャワーを浴びて、ソファに座り込んだ。
何で週末じゃないんだか。まあ、しょうがないか。
ため息をついて、目を閉じた時思い出したのが細いウエストだった。
急いで目を開けた。
「寝よう、疲れてるんだ。」
グラスを受け取り、クロークに引っ張っていく間に少しは目が覚めたのか、第三者に見られたと分かって反省したのか。
「先ほど前の席にご案内した時にも、もう大分お酒がすすんでいらっしゃいましたが大丈夫でしょうか?どなたかご家族や社員の方に連絡いたしましょうか?失礼をしたままのさっきの女性社員にも見送らせます。」
さり気なく前科を匂わせるように、心配してる風にとれるようにも言う。
荷物を受け取ったあとお金を渡された。
「赤ワインのシミは落ちないかもしれない。クリーニング代だと渡してもらえるだろうか?」
「いえ、お気遣いは無用です。社員家族でクリーニングの相談にのってくれる人がいます。原因が分かっていれば対処しやすいと聞いてます。彼女に紹介しておくので大丈夫です。お気持ちだけお伝えします。」
さり気なく他の社員にもバレると思っただろう。
こうなるとさっき壇上で来賓あいさつをしたのが悔やまれるだろう。
さっききちんと名前も呼んだし。
やや強引にお金を渡されて、いくらか酔いのさめた足取りで帰って行った。
そのまますぐにトイレに向かった。
さすがにショックだったのだろう、彼女がトボトボと歩いてる気がした、簡単に追いつけたんだから、そうだろう。気の毒に。
「事故です。」
あくまでもセクハラの対象になったことを認めたくないらしい。
自分のことは顔くらいなら分かるだろう。
同じ営業だし。
お金が誰の物か分からないらしく、きっぱり断り、トイレに入って行った。
手にした万札を見て、どうしようかと考えてたら、トイレの中からすごい罵る声が聞こえてきた。禿げろ、セクハラで訴えられろは分かるが、それ以上に悲しいストーリーをくっつけている。
スッキリしただろうか?
面白い。さすがに表情もあっただろう。
今更例会に戻る気もなくなった。
クロークに行って染み抜きの用意がないか聞いてみた。
さすがにあるらしい。素晴らしい!
それを借りてトイレに引き返した。
誰かがトイレに入っていたら困るが、とりあえずノックして、大きく声をかけた。
「醍醐さん、恩田ですけど、染み抜きをホテルから借りてきました。使いますか?」
ドアの細めのガラス部分に影が映って、ドアが開いた・・・・・。
ブラウスを手にしていた。当然本人は薄い下着にジャケット姿だった。
一番上の胸元のボタンは留めている。
突然トイレに来た人もとりあえずは驚かないだろう横からの姿。
ただ正面に立たれて、ちょっとだけ開いたドアからだけど、見えた、すごく見えた。
そのつもりはなくても、身長差と二人の距離と・・・なにか。
急いで染み抜きを渡し、ゆっくり回れ右をして、外で待った。
気がついてないのか?
ただ、あとで気がつくかもしれない、どうだろう。
・・・・どんだけ染み抜きに専念してたんだ。
やはり人生が長いし、そのプロの獲物を狙う目は確かだったらしい。
知らなかった。
あんなにスタイルがいいとは。
ついあのヘアスタイルとシンプルさに誤魔化されていた。
向きを変えるまでに見えた胸とスカートに包まれたウエストあたりの細さと、足の長さが分かった。
細いが、ボリュームはあった。
なぜ噂にならない?誰も気にしてない?気がついてないのか?
エロオヤジ、やはり、凄い。
相変わらず手には万札があった。
ぼんやりと考える。
もはや会社の行事の途中だと言うことも忘れてしまっていた。
もう一度トイレのドア越しに声をかけて、クロークに帰してもらうように言った。
「分かりました。ありがとうございました。」
そう返事をされて、とりあえず例会が行われてる部屋に戻った。
決算報告と各課の業績発表と今後の経営戦略と人事発表などのニュースと・・・・。
もはやどうでもいい。
空いてる端の席に座る。
目を閉じたらくっきりと残像が浮かびそうで閉じれない。
あの時の若い子には刺激が強すぎるような・・・いやいやどうでもいいが。
取りあえず前に映されてるスライドを目にして、例会に集中した。
そのあとお開きになってやっと年一の行事が終わった。
明日も仕事なんだ。
普通に仕事なんだ。
ポケットの一万円札を二つ折りのまま財布に戻す。
ちゃんと謝罪と反省の言葉を添えて受け取ったと伝えよう、あの彼女に。
きっと嘘でしょうと、眉間にしわを寄せそうだが。
それともその時も無感動な表情だろうか?
そう思ったがその日はうまく見つけられなかった。
明日にでも声をかけよう。
「途中までいなかったよな。」
「ああ、厄介な酔っ払いに捕まっていた。」
「そうなのか?そんな面倒なの担当してたのか?」
「いや、行きがかり。担当外だよ。だから気を遣うのも本当にちょっとだけで済んだ。」
「ちょっと飲んでいかないか?急ぐか?」
「いや、大丈夫だ。」
そう言って直也と連れ立った。
「で、何で別れたんだ?」
「ああ、なんだか煩わしく思えた。本当に急に鬱陶しいと思えた。」
「まさかそう言ったのか?」
「さすがにそんな酷くはない。さりげなく先はないとかそんなことを、言ったような気がする。」
「泣かれただろう?」
「さあ、気がついたらいなかった。」
「何現象だよ。」
そう言われて、笑われた。
自分でもそう思う。
あの時、本当に・・・どうしたんだろうな?
「で、そっちはどのくらい前に、何で別れた。」
「割とすぐかな。本当に鬱陶しいよな。毎週毎週会いたいかって、ちゃちゃっと夜だけ会ってればいいのに、昼間からじゃないと夜はないとはな。」
「そりゃ酷い。」
「ああ、お互いに酷いな。」
「ボッチ老人になれって彼女に言われる。」
トイレで悪態をついてた彼女の声とセリフを思い出して言ってしまった。
「何だよ、やっぱり罵られたんじゃないかよ。」
「・・・ああ、まあな。」
「まあ、次行くか?」
「お前反省してないのか?」
「してないな。」
「俺はいい、しばらくボッチでいい。」
「何だよ、懲りたのか?」
「まあな。」
直也は営業二課だ。彼女と同じところなんだ。
ちょっと聞いてみようと口を開いたが、言葉が出なかった。
「何だよ。今、何か言いかけただろう。」
バレてしまったが、サラリと言い訳をした。
「ああ、・・・・言おうと思った瞬間忘れた。」
「何だそりゃ?」
お酒を二杯くらい飲んで、他の奴らの近況を言い合い、社内のゴタゴタを教え合い。
いままで直也からも後輩の彼女のことを聞いたことがない。
そんな存在だと思う、そう思われてると思う。
部屋に戻って、暗い部屋に電気をつけた。
ある程度お酒も入り面倒なことこの上ない、適当にシャワーを浴びて、ソファに座り込んだ。
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