がさつと言われた私の言い分は。

羽月☆

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18 ぐるぐるとがさつポイントについて考えるドラゴン。

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「白石。そろそろカオス見学に行ってみたか?」

? カオスケンガク?

「あいつの部屋。大分反省の嵐できれいになったらしいじゃないか。」

ああ・・・・。

「行ってないです。」

いつも自分のところに来てくれる皐月さん。
別に全然問題ない。
だからどんな部屋に住んでるのか知らない。
だから未だにガサツポイントも分かってない。

いつも水回りは綺麗に使ってくれるし、時々食器洗いも手伝ってくれる。
たいていは休んでてもらって自分がやるけど、その後お礼を言わるし。
食べた後すぐ動くと毎回体を起こして、立とうとする。
それはいつも。
多分部屋では食べた後しばらくは動かないのかもしれない。
そんな人は多いと思うから、別に何とも思ってない。
自分はそうじゃないだけ、それにコーヒーを入れる間に出来ることはしたい。
時間を有効に使いたいだけだ。
一緒にいる時間は出来るだけ近くにいたいし。

「一緒にいて楽しいか?あいつは優しいのか?」

そんなあたり前のことをなぜ聞くんだろう?
楽しいに決まってる、優しいに決まってる。

笑顔で答えようとしたら、分かったと言われた。
返事の言葉より笑顔が先行して答えたらしい。

そうです、満足です。

「仲いいのは分かってる。恥ずかしいくらい隠せてないから。」

そう言われてどこを隠せばいいのか。
まあ、知られてるから今更隠す気もない。

「まあ、いいや。」

そう言って出て行った高田さん。
まだまだ心配されるんだろうか?
隠せてないのなら、心配なんていらないだろうに。

お昼が終わる時間、携帯に届いたメッセージにドキッとした。

『リュウ、話がしたい。』
そう言われた途端、心の半分が暗く沈んだ。

いつものように連絡をくれると続いていた。

何だろう?話って・・・・。
何かあっただろうか?
何か考えをまとめるべきことが。

午後はすっかりその文字にとらわれて、ふと気を抜くと考えてしまって不安を自己増殖させてしまう。

こんな日は時間が過ぎるのが早く感じる。残業もなく終わり、連絡して返事を待った。


後ろからついて行き、自分の部屋に向かう路線に乗る。
電車の中で軽く指を絡められた。

さっきから普通だけど。
間違ってないだろうか?

気分は落ち着かないまま、駅に着いてお弁当を買って部屋に戻った。
お茶を入れて、お弁当を楽しみに開こうとしてる皐月さんに声をかける。

午後の心の落ち込みは・・・・・。
まったく無用だったらしい。
本当にただ話がしたいからって・・・・・。
1人不安に沈んでいたのに、安心して気が抜けた。

安堵しておでこをテーブルにつけてしまった自分、頭を撫でられて謝られる。

そのままじっとしてたら抱き寄せられた。

そういえばまだ誤解の真っ最中だった頃の事、確か二度目の食事の時に思いっきり抱き寄せられたことがあった。

あれは本当にびっくりの衝撃だった。
本当にタックルかエルボーか、技をかけられたかのような勢いのついた引き寄せられ方は、いっそ乱暴とも言えた。
されるがままだったのは本当にびっくりしていたからで、だって目を開けると胸の部分が見えそうで。
スーツの上だから見えるのはスーツの生地だろうけど。
でもやっぱり勢いのまま、一瞬顔が感じたその柔らかさ・・・・。

よく鼻血を出さなかったと思う。

いきなりどうしたのか、どうすればいいのか、本当にコチンと固まっていたけど心も頭もパニックだった。

今は後ろに手を回して自分から抱き寄せることもできるし、もっと、顔をあげて近づけることもできる。

それなのに皐月さんは。

「リュウ、ご飯食べよう。」って。
何で?もっと・・・・良くない?

まあ、いいや。

顔をあげてまた謝られて、お弁当を食べることにした。

ゴミを重ねて片付けて。
コーヒーをいれる。

やっぱり特にガサツポイントはないけど。
ここでいきなり爪楊枝を咥えて喋られたりしたら・・・・ちょっと。
それをガサツというかどうかは疑問だけど。
何だろう?ガサツって。

適当な話題で話をして。

「三人姉妹って似てるんですか?」

「すごく小さい頃の写真を並べると本当にそっくり一緒。でも性格が違うと顔つきも違って来るみたい。今じゃああんまり似てるとは思えない。」

「そんなに変わりますか?」

「自分たちだとそう思う。一番目はしっかり者の主婦の顔で母の顔になったし、妹は自由に奔放な感じ、真ん中の私は・・・・・、どうだろう?」

「キリリと仕事しそうな美人さんでした。」

「ねえ、何で過去形なの?」

「実は抜けてて可愛いし、でもやっぱり大人で、かっこいいけど、外面だけかも?」

「一番上は綺麗好きで、下二人は母親に似た、いい加減さ満載の方。」

「でも嫌だったなあ、真ん中。なんだか中途半端よね。目もかけられず、信頼もされず、可愛がりもされず。どうしても上下の方が自分より愛情が注がれてるって思ってた。姉も思ってたかもしれないけど。妹は思ってないと思う。」

「何でそんなに悔しそうな顔でしゃべるんですか?今更ですよね。」

「だって、そう感じてた。」

真面目な顔で言う。
辛そうにも見えるけど。

「今は?満足してないんですか?僕だってこんなに好きです。ずっと好きでしたよ。他の人にはバレたのに気が付かなかったんだから、きっとその頃から鈍感だったんじゃないですか?」

そう言ったらこっちを見て、ぼんやりした目をする。

「優しいね。でも、変に気を遣わないで。本当に小さい頃に拗ねてそう思ってたって事だから。多分姉も私たちのことをそう思ってると思う。」

「きっと、そうですね。」

「うん。」


「皐月さん、今日帰りたいですか?」

「・・・・帰らなくてもいい。」

「もっとちゃんと答えてください。帰りたいですか?」

「・・・・帰りたいわけないじゃない。帰りたくない。」

「もっと普段から甘えていいのに。僕が年下だからですか?今まではもっと甘えてました?」

「・・・・・・一緒。別に年は関係ない。そんなタイプなの。あんまり、上手じゃないの。」

「じゃあ、聞き直しても怒りませんか?さっきみたいに聞き直してもいいですか?」

「・・・いいよ。」

最初からそう言ってお昼に誘ってくれれば、もっと楽しい時間が長く持てたのに。
もったいない。

「皐月さん、僕は皐月さんの部屋には泊りには行けませんか?」

「それは・・・・こっちの方がいいんだけど。」

「そうですか?」

「だめかな?」

「いいです。ただ・・・・・。」

「ただ?・・・・何?」

「何でしょうか。興味もあるし、皐月さんが気にしてることが何だろうって、ここにいる分には分からなくて。」

しばらくの沈黙。

「その内にね。」

「はい。」
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