小さな鈴を見つけた日 

羽月☆

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17 詳しく言ってないだけだ

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珍しく兵頭が質問を繰り返してきた。
今更の質問。

「今、一人暮らしだったよな?」
「どのくらい住んでるんだ、そこ。」
「広かったっけ?」
「家族は?どこにいるんだっけ?」
「妹1人だよな?」
「妹が先に結婚してるとか?」
「俺も泊ったことがあるあの部屋だよな?」
「本当に彼女いないのか?」
「好きな女性はいる?」


何でそんな事を今さら聞くんだ?
間に挟んだ妹に対する質問。

何となく・・・・・。

「ハッキリ言ってくれ、何が聞きたい?」

顔を見た。

ため息をつかれて、言われた。

「お前は秘密主義だから、俺にも言ってない事があるかと思って。」

「兵頭、お前まであの子の影響を受けてんのか?」

「別に・・・・・と言いたいけどか・・・まあ、そうかな。」


「何だよ。別に何も隠すようなことはないけど。」

「本当に?」

「ああ。」

妹が随分年下ってことは言ってないが。

「なあ、あの平ちゃん、どう?」

いきなり質問が変わった。
なんでそこに彼女が出てくる?
・・・・・もしかして。


「なあ、この間も俺の席を彼女の前にしたよな。途中いなくなったし。わざとか?」

「まあな。だって彼女が明らかにお前を気にしてるから。近くに座らせてあげようと思って・・・・。」


勝手に勘違いしたな。


「彼女は・・・・違うよ・・・・。随分前の週末に、ちょっと意外なところで会ったんだよ。その時の印象が全然違うって言われて。それで不思議に思ってるんだよ。単なる興味だろう。」

「興味を持たれたって事だろう?お前に興味を持ったんだよ。」

「何だよ、失礼な言い方だなあ。」

「レアな子じゃないか?初めてだろう、会社じゃあ。」

それは否定しないが。

「その時は彼女も彼氏とふたりだったよ。」

・・・多分。今がどうなってるかは分からないけど。

「それに会話が成り立たない。この間だって二人だと話することもなくて彼女も困ってただろう?」

さり気なく遠くを見ながら、兵頭に帰ってきてほしそうにしてるのに気が付いてはいた。
それに偶然会った何度かも、いつもすぐに背中を向けられてる。

もともと年齢を知りたかったのは、妹の年との差をはっきりさせるためだろう。
後はただ、ちょっと珍しい生き物の生態を見たかっただけだろう。
あの後輩の子も同じだ、珍しいものをちょっと探ってみたい、そんな興味だ。

「そうかなあ?」

「そうだよ。」


「もう終わりにしていいか?無駄なことはよせ。」

「お前、さり気なく俺の質問に答えてないけど。どう思うかって聞いたんだけど。」

「しつこいなあ。別に・・・・としか言えない。」

探るような目が自分に向けられてるのが分かる。
視線は逸らせない。

「つまらん。」

どうやら諦めたらしい。
納得してくれたらしい。
もう、誘うなよ。
今言うと話が戻るから言わないが、もう飲み会には行かないぞと思った。

こいつに誘われるとろくなことがない。

だいたいこいつが俺に相談があるなんて思った時点で間違っていたんだ。
俺に相談ならパソコンの事だろう。それなら仕事だ。
堂々と仕事中に依頼できる。

もう誘われたりはしない。

会うたびに避けられるなんて、さすがに俺も傷ついてるんだ。

・・・・・地味に辛い。 
会うことも、会わないことも、避けられることも。
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