同居始めた修行中の狐犬に振り回されています。

羽月☆

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13 なんとか隣にいたいと思ったあの場所での連休。 ~エンヤ~

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給料で家族へのお土産を買った。
着替えと一緒に先に実家に送った。
トロトロと電車を乗り継げばいい、連休でも混むなんて事もなく。
ゆっくり部屋を出て、実家に向かった。

携帯を見ても何の連絡もない。
当たり前だ、自分もしてないし。
このままは辛いし、せめて仲直りはしたい。

『今日から実家に帰ります。良かったら連絡ください。あっちで会えたら懐かしい話が出来るかもと思ってます。』

そう送って携帯を胸のポケットに入れた。

膝の荷物を抱えると自分の体と荷物がくっついて、携帯の振動は絶対見逃さないだろう。

今か今かと待っていたけど、結局諦めた。
あまり抱きしめるとよほど大切なものが入ってる荷物みたいに見えるかもしれない。
そんな事もない。
ほぼ空っぽだ。
帰りに着替えを入れるから十分な大きさのものにしただけだ。

矢上さんもあれから会ってないらしい。
さすがに稲田君も誘ってないだろう。
本人が言ってた言葉を信じたい、あと集団で二回ほど会ってのアプローチ予定と。

『別に・・・・高森君には関係ないと思うけど。』
そう言った彼女の言葉を思い出して悲しくなった。

いっそ彼女のように悲しい記憶は消去できればいいのに、なんて思ったらいけないんだろう。忘れたことを罪のように思ってる彼女がいるのだから。
どんな悲しい事もいつかは小さな思い出の一コマになるから。
・・・・振られた男の言い訳の様だ。
まだ、チャンスは諦めたくないのに。

そう思ってたら胸に振動が来た。
実家からかもしれない。
『気を付けて帰ってきなさい。』そんな母親からの連絡かもしれない。

携帯を取り出して見た。

母親からじゃなかった。
何よりも待っていた彼女からの反応だった。

『今日、向かうつもりです。友達と会ったりしても時間が余るようだったら、声をかけてください。』

友達は帰ってるだろうか?
別に誰とも今回は連絡を取ってないし、取るつもりもなかった。
最優先事項なのに。

『時間あります、是非。もう電車に乗ってます。』

駅で待ってようか?
多分親が迎えに来てくれるけど、彼女も一緒に乗ればいい。

駅に着いたら連絡してみよう。親よりも先に彼女に連絡してみよう、着いたよ、と。


田舎の駅はガランとしている。
自動販売機があるだけで、駅に人もいないし、動くものもない。

彼女はあの頃車で来ていただろうから、駅は初めてかもしれない。
そう思ったから・・・・と言って連絡した。

『駅に着きました。もしかして初めて降りるんじゃない?タクシーは呼ばないといないんだ。家の親が迎えに来るから、一緒に乗って行かない?のんびり待つつもりだけど、どのくらいに着きそうかな?』

『予定ではあと40分くらいです。時間が無駄になるので、タクシー呼びます。教えてくれてありがとう。』

『大丈夫。電話したら迎えももう少しかかるみたいだから、一緒に乗せてもらうように頼んだんだ。おじいちゃんとおばあちゃんにも伝えてくれるって。』

しばらく空いたけどお礼の言葉が来た。

何とか普通の同僚二人までには戻れるだろう、そう思いながら待った。

のんびりと入ってきた電車が止まって、また去って行って、しばらくしたら出てきた彼女に声をかけた。

「日疋さん。お疲れ様。」

そう言って荷物を持とうかと言ったけど断られた。
想像したよりも笑顔がなくてちょっとガッカリした。

「もうすぐ来ると思うんだ。そこで待とう。」

「あの、ありがとう。」

「全然、だって隣の家に帰るんだし。同じ日で良かった。」

声は低くないから、まだいい。


「連休の前半何してたの?」

「特に。適当に買い物して、食事して。それくらい。高森君は?誰かと出かけた?」

「ううん。僕も全然。友達と連絡とったんだけど長い休みに入って出かける奴もいたし、関係なく仕事の奴もいたし。いろいろだね。」

「そうなんだ・・・・。」



「あ、来た。」

手を振って歩き出した。


車のドアを開けて先に乗り込んで。

「どうぞ。」彼女にそう言う。

お辞儀をしてお邪魔しますと言いながら入ってきた彼女。

「あらあ、本当に懐かしいわね。随分綺麗になったのね。千早ちゃんなんて呼んでたけど、千早さんね。」

母親も久しぶりの再会に感動していた。


「あ、すみません。あの頃のことはあんまり覚えてなくて。」

「いいのよ、小さかったんだし。」

「偶然同じ会社だったんだからビックリでしょう?それにきっと七瀬さん達も喜ぶわよ。久しぶりでしょう?」

「はい。」

七瀬さん、そう彼女のお母さんはそうだったらしい。
つい裏のおじいちゃんおばあちゃんって呼んでたから忘れてしまう。
車がゆっくり動いた。

「早速で悪いんだけど、買い物に行ってもいいかしら。ついでに裏の二人にも買い物を頼まれてるの。千早さんも何か買うものがあれば。」

「はい。」

そう言って大きなスーパーと薬局とクリーニングと自転車と・・・いろいろ売ってるお店に車を止めて買い物をした。
おばあちゃんからメモとお金を預かってるらしくて、その分の籠は彼女が持った。


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