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11 パニックあとの幸せな空間 ~つくしの忘れられない土曜日の朝
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目が覚めて見知らぬ景色の中にいると、本当にパニックになる。
旅先でもない、どこ?
自分の部屋以外で起きることなんて滅多にないし。
人の部屋。
えっと・・・なんで?
いろいろな『何で』が押し寄せてくる。パニック寸前。
落ち着いて、深呼吸。
そして、ゆっくり思い出す。
自分の姿が仕事の時の服装で・・・・。
そう、昨日は金子さんが誘ってくれての飲み会だった。
ちゃんと友田さんと・・・仲直りした。
やっぱり素敵で、本当に素敵で、うっとりした時間だったけど。
当然二人だけじゃないし、いろいろと聞かれ、掘り下げられ、揶揄われて。
二人の先輩に遊ばれるように、半分うつむいて友田さんが見えない。
それでも、楽しくお酒も飲んで、食べて。
ちょっとだけダイエットしてたからお酒も効いたのだろうか?
記憶がない。
だいたい記憶があるなら一応は自分の部屋にいるはず。
寝落ち?
だから寝ますって言ったのに。
そして誰かがここまで運んでくれて、私は運ばれるままに、意識は戻らず良く寝てたらしい。
おかげでスッキリです。
でもここが誰の部屋か考えるまでもない気がしてきて・・・・。
怖い、まさか・・・・。
冷静に今を見つめると再びパニックに襲われそう。
テーブルにペットボトルと白い紙があるのに気がついた。
手を伸ばす、紙のほうへ。
凄い字ながら、金子さんからの手紙だった。
どうやらタクシーに乗せられたらしい。
歩いて乗ったのだろうか?
記憶はないがちゃんと歩いたんだろうか?
そしてここが誰の部屋かは分かった。
扉の向こうにいるはずの人。
さっきから物音はしない。
本当にこれがなかったら逃げ帰っていたかもしれない、金子さんの読みは正解です。
どうしようの嵐は相変わらず。
また深呼吸して、とりあえずトイレを借りよう。
顔はどうなってるんだろう。
洗いたい。
勝手に使えないから、トイレだけ。
バッグからポーチを出す。
化粧水があるから、テイッシュで押さえた後吹き付けて、また抑える。
油がとれた。
どんな顔?
小さな鏡でのぞく。
アイメイクも何所へやら。ほぼすっぴん。もういいか。
だって、寝顔とすっぴん、どっちが痛い?
テレビをつけることもできないし、静かに自分にかけてあった毛布を畳む。
ペットボトルに口をつけて飲み、携帯を見つめる。
きっと弥生さんからは探りと心配のメッセージが届いていると思う。
先に見るべき?
もしかして恐ろしい事を言ったりしてないよね、知るのが怖い。
でも何も知らないと迷惑をちゃんとお詫びできないかも。
う~ん。
とりあえず開いて見た。
思わずガクッとなる。弥生さん何も言ってきてくれてない。
金子さんと一緒で友田さんに任せて心配はなしということ?
月曜日に聞かれるって事?
携帯をまたバッグへ戻す。
早く起きて欲しいような、このまま一人でいたいような。
扉の向こうで唸るような声がした。
その声が動いて扉も開かれて。
目が合った。
当然そこにいたのは友田さん。
見たことないような起き抜けのボサボサの、少しパジャマがズレた友田さん。
さすがに素敵ないつもの友田さんとは違うけど。
しかも、私の存在、すっかり忘れてたみたい・・・・。
お互いに見つめ合うこと数秒。
思い出してくれたみたい。
「あっ。」っと声にはならなかったけど、口の形がそうなった。
扉が閉められた。
ちょっと伸びあがって神妙に待っていた自分が悲しい。
あの・・・ひどくないですか・・・・・。
一応連れてきてくれたのは友田さんと金子さんですが。
「ごめん、すっかり起き抜けでぼんやりし過ぎたから。着替えて、顔を洗うまで待っててくれる。寝坊したみたいだね、ごめんね。」
すぐに謝られた。
もちろん許します。偉そうですが。
さっきのボサボサ素顔もやっぱりそれはそれで・・・・でした・・・・・。
着替えをしたらしい友田さんがササっと移動して一瞬で消えて、水音がしてから戻ってきた。
髪が濡れてますけど。
正座して待っていた私。
とりあえずタオルと使い捨ての歯磨きセットを借りた。
大きい鏡で顔を見る。
何とかいい?
昨日気合を入れた下着からスーツまで、今はシワだらけだった。
あ~、せめてジャケットは脱がしてほしかった・・・・・ような気がする。
本当に起きなかった自分も酷い。
よく考えるとまさか両脇から支えられたパターン?
それとも抱っこ?この場合は明らかに友田さん担当よね。
夢のような・・・・起きなかった自分、もったいない。
でも両脇パターンだったとしたら悲しいから夢見ておこう、きっと抱っこパターン。
どちらにしても迷惑かけて恥ずかしいんだから。
リビングに戻るとテレビがついていた。
コーヒーの香りがする。
「おはよう、つくしちゃん。」
「・・・・・おはようございます。友田さん、ご迷惑かけました。」
詳しくは知りたくない。
とりあえず突然寝たらしいから。それだけだと信じたい。
コーヒーを渡された。
友田さんが少し離れて座る。微妙な距離。当たり前ですが。
「よく眠れた?」
「はい。」
それはそれはぐっすりです。
ビックリするほどぐっすり、夢も見ず。
こんな窮屈なかっこうで。
会話はとぎれとぎれで。合間にコーヒーを飲む。
『話が出来たらいいね。』そういうならお題を出してください。
金子さん、もう少し手伝って欲しかったりします。
「ちょっと、どうすればいいか分からないんだけど。どうしたい?」
そう聞かれた。
やっぱり期待されたようには話は出来ないみたいで、残念です。
コーヒーを飲んで帰ります。大人しく帰ります。
そう思って伝えた。これ以上はって・・・・。
「ねえ、明日一緒に食事でもどう?」
聞き間違いじゃなきゃ、空耳じゃなきゃ、幻聴じゃなきゃ、この上なく幸せな提案です。
本当に?
「あ、ごめん、何か用事があったら来週でもいいし。」
「いえ、ないです。空いてます。」
ガラガラに空いてます。真っ白の予定表です。
なんなら24時間行けます。
話をしようと言われた。
うれしくて。ただそれだけでもうれしくて。
更に、すぐに帰らなくていいと言われた。
服を借りてスーツを脱ぎアイロンを借りる。
気になっていたシワが伸びる。
スーツのまま寝てよかった~、ありがとう金子さん。
脱がさないでくれて、感謝です。
その間もぽつりぽつりと話をして。
金子さんにバレたいきさつを話した。
全然気が付いてなかったらしい。
あんなに見てたのに・・・・、残念。
でも昨日の飲み会も楽しかったと言ってくれた。
迷惑は迷惑だろうけど、今の状況も嫌がる様子はない、少しは大人の対応だろうけど、残りの少しは・・・ちょっと期待したいなんて思って。
昨日はっきり自己紹介してない。
結局私の事は金子さんの後輩の一年生、つくしちゃんという情報のまま。
だから昨日から金子さんに引き続き、友田さんにもつくしちゃんと呼ばれてる。
ちょっとドキドキしたけど。
一日たってもそのままで。
可愛い名前だと褒められて、似合ってると言われたら・・・もう赤面です。
ただその後同期の仲のいい子を聞かれた。
友田さんの後輩の段田君のことも。
ほとんど知らない、喋ったこともないくらい。
同期での飲み会がないと言ったら不思議がられた。
そう?
あれ?誘われてないだけ?
たまに女子とはランチに行きますが・・・・あれ?
別にいいです。
できたら金子さん弥生さん友田さんの仲間に入れて欲しいくらいです。
収まりよく四人。
どうでしょうか?何て言えるわけもなく。
じゃあ、友田さんと2人でいいです!なんてもっと言えない。
本当に微妙な会話で心の中ではいろいろつぶやいて。
でも、もう私は告白できません。
一度玉砕してます。
そこは分かってくれてますよね。
私の気持ちはわかってくれてますよね?
具合悪くても覚えてくれてますよね。
何度も話題に出たけど、その後はなく。
でも話がしたいと食事に誘われたし。
お友達から・・・・。
それでもいいです。よろしくお願いしますと思った。
すっかりアイロンをかけ終わり。
コードを抜いて丸めて、スーツを広げると満足感があった。
立ち上がった友田さんにアイロンを渡そうと持つ。
満足した自分を見て、立ったまま見下ろされた。
アイロンを受け取る瞬間頭を撫でられた。
ビックリして目を閉じてうつむいてしまった。
手からアイロン台とアイロンの重みが消えても、頭に広い手の感触が残った。
そんな事を自然にしてくれるなんて思ってなくて。
あの土曜日の具合の悪さがすごく分かった。
全然違う・・・、っていうか、もう、うれしくて。
微妙な距離が悲しいって思ってたけど、やっぱり期待したいとまた思ってしまう。
いいの?
どうなの?
それとも結構普通の事?頭撫でるくらい、段田君にもしてる?
男の子にそれはないか。さすがに肩をポンポンくらい。
本当に帰りたくなくなりました。
もう一晩泊りたいんですが・・・・。
この服のまま、もう一晩。
そんな事は言えるはずもなく、当たり前だけど、言われることもなく。
しばらくしてからお昼に誘われて、外に出た。
そうですよね・・・・。
旅先でもない、どこ?
自分の部屋以外で起きることなんて滅多にないし。
人の部屋。
えっと・・・なんで?
いろいろな『何で』が押し寄せてくる。パニック寸前。
落ち着いて、深呼吸。
そして、ゆっくり思い出す。
自分の姿が仕事の時の服装で・・・・。
そう、昨日は金子さんが誘ってくれての飲み会だった。
ちゃんと友田さんと・・・仲直りした。
やっぱり素敵で、本当に素敵で、うっとりした時間だったけど。
当然二人だけじゃないし、いろいろと聞かれ、掘り下げられ、揶揄われて。
二人の先輩に遊ばれるように、半分うつむいて友田さんが見えない。
それでも、楽しくお酒も飲んで、食べて。
ちょっとだけダイエットしてたからお酒も効いたのだろうか?
記憶がない。
だいたい記憶があるなら一応は自分の部屋にいるはず。
寝落ち?
だから寝ますって言ったのに。
そして誰かがここまで運んでくれて、私は運ばれるままに、意識は戻らず良く寝てたらしい。
おかげでスッキリです。
でもここが誰の部屋か考えるまでもない気がしてきて・・・・。
怖い、まさか・・・・。
冷静に今を見つめると再びパニックに襲われそう。
テーブルにペットボトルと白い紙があるのに気がついた。
手を伸ばす、紙のほうへ。
凄い字ながら、金子さんからの手紙だった。
どうやらタクシーに乗せられたらしい。
歩いて乗ったのだろうか?
記憶はないがちゃんと歩いたんだろうか?
そしてここが誰の部屋かは分かった。
扉の向こうにいるはずの人。
さっきから物音はしない。
本当にこれがなかったら逃げ帰っていたかもしれない、金子さんの読みは正解です。
どうしようの嵐は相変わらず。
また深呼吸して、とりあえずトイレを借りよう。
顔はどうなってるんだろう。
洗いたい。
勝手に使えないから、トイレだけ。
バッグからポーチを出す。
化粧水があるから、テイッシュで押さえた後吹き付けて、また抑える。
油がとれた。
どんな顔?
小さな鏡でのぞく。
アイメイクも何所へやら。ほぼすっぴん。もういいか。
だって、寝顔とすっぴん、どっちが痛い?
テレビをつけることもできないし、静かに自分にかけてあった毛布を畳む。
ペットボトルに口をつけて飲み、携帯を見つめる。
きっと弥生さんからは探りと心配のメッセージが届いていると思う。
先に見るべき?
もしかして恐ろしい事を言ったりしてないよね、知るのが怖い。
でも何も知らないと迷惑をちゃんとお詫びできないかも。
う~ん。
とりあえず開いて見た。
思わずガクッとなる。弥生さん何も言ってきてくれてない。
金子さんと一緒で友田さんに任せて心配はなしということ?
月曜日に聞かれるって事?
携帯をまたバッグへ戻す。
早く起きて欲しいような、このまま一人でいたいような。
扉の向こうで唸るような声がした。
その声が動いて扉も開かれて。
目が合った。
当然そこにいたのは友田さん。
見たことないような起き抜けのボサボサの、少しパジャマがズレた友田さん。
さすがに素敵ないつもの友田さんとは違うけど。
しかも、私の存在、すっかり忘れてたみたい・・・・。
お互いに見つめ合うこと数秒。
思い出してくれたみたい。
「あっ。」っと声にはならなかったけど、口の形がそうなった。
扉が閉められた。
ちょっと伸びあがって神妙に待っていた自分が悲しい。
あの・・・ひどくないですか・・・・・。
一応連れてきてくれたのは友田さんと金子さんですが。
「ごめん、すっかり起き抜けでぼんやりし過ぎたから。着替えて、顔を洗うまで待っててくれる。寝坊したみたいだね、ごめんね。」
すぐに謝られた。
もちろん許します。偉そうですが。
さっきのボサボサ素顔もやっぱりそれはそれで・・・・でした・・・・・。
着替えをしたらしい友田さんがササっと移動して一瞬で消えて、水音がしてから戻ってきた。
髪が濡れてますけど。
正座して待っていた私。
とりあえずタオルと使い捨ての歯磨きセットを借りた。
大きい鏡で顔を見る。
何とかいい?
昨日気合を入れた下着からスーツまで、今はシワだらけだった。
あ~、せめてジャケットは脱がしてほしかった・・・・・ような気がする。
本当に起きなかった自分も酷い。
よく考えるとまさか両脇から支えられたパターン?
それとも抱っこ?この場合は明らかに友田さん担当よね。
夢のような・・・・起きなかった自分、もったいない。
でも両脇パターンだったとしたら悲しいから夢見ておこう、きっと抱っこパターン。
どちらにしても迷惑かけて恥ずかしいんだから。
リビングに戻るとテレビがついていた。
コーヒーの香りがする。
「おはよう、つくしちゃん。」
「・・・・・おはようございます。友田さん、ご迷惑かけました。」
詳しくは知りたくない。
とりあえず突然寝たらしいから。それだけだと信じたい。
コーヒーを渡された。
友田さんが少し離れて座る。微妙な距離。当たり前ですが。
「よく眠れた?」
「はい。」
それはそれはぐっすりです。
ビックリするほどぐっすり、夢も見ず。
こんな窮屈なかっこうで。
会話はとぎれとぎれで。合間にコーヒーを飲む。
『話が出来たらいいね。』そういうならお題を出してください。
金子さん、もう少し手伝って欲しかったりします。
「ちょっと、どうすればいいか分からないんだけど。どうしたい?」
そう聞かれた。
やっぱり期待されたようには話は出来ないみたいで、残念です。
コーヒーを飲んで帰ります。大人しく帰ります。
そう思って伝えた。これ以上はって・・・・。
「ねえ、明日一緒に食事でもどう?」
聞き間違いじゃなきゃ、空耳じゃなきゃ、幻聴じゃなきゃ、この上なく幸せな提案です。
本当に?
「あ、ごめん、何か用事があったら来週でもいいし。」
「いえ、ないです。空いてます。」
ガラガラに空いてます。真っ白の予定表です。
なんなら24時間行けます。
話をしようと言われた。
うれしくて。ただそれだけでもうれしくて。
更に、すぐに帰らなくていいと言われた。
服を借りてスーツを脱ぎアイロンを借りる。
気になっていたシワが伸びる。
スーツのまま寝てよかった~、ありがとう金子さん。
脱がさないでくれて、感謝です。
その間もぽつりぽつりと話をして。
金子さんにバレたいきさつを話した。
全然気が付いてなかったらしい。
あんなに見てたのに・・・・、残念。
でも昨日の飲み会も楽しかったと言ってくれた。
迷惑は迷惑だろうけど、今の状況も嫌がる様子はない、少しは大人の対応だろうけど、残りの少しは・・・ちょっと期待したいなんて思って。
昨日はっきり自己紹介してない。
結局私の事は金子さんの後輩の一年生、つくしちゃんという情報のまま。
だから昨日から金子さんに引き続き、友田さんにもつくしちゃんと呼ばれてる。
ちょっとドキドキしたけど。
一日たってもそのままで。
可愛い名前だと褒められて、似合ってると言われたら・・・もう赤面です。
ただその後同期の仲のいい子を聞かれた。
友田さんの後輩の段田君のことも。
ほとんど知らない、喋ったこともないくらい。
同期での飲み会がないと言ったら不思議がられた。
そう?
あれ?誘われてないだけ?
たまに女子とはランチに行きますが・・・・あれ?
別にいいです。
できたら金子さん弥生さん友田さんの仲間に入れて欲しいくらいです。
収まりよく四人。
どうでしょうか?何て言えるわけもなく。
じゃあ、友田さんと2人でいいです!なんてもっと言えない。
本当に微妙な会話で心の中ではいろいろつぶやいて。
でも、もう私は告白できません。
一度玉砕してます。
そこは分かってくれてますよね。
私の気持ちはわかってくれてますよね?
具合悪くても覚えてくれてますよね。
何度も話題に出たけど、その後はなく。
でも話がしたいと食事に誘われたし。
お友達から・・・・。
それでもいいです。よろしくお願いしますと思った。
すっかりアイロンをかけ終わり。
コードを抜いて丸めて、スーツを広げると満足感があった。
立ち上がった友田さんにアイロンを渡そうと持つ。
満足した自分を見て、立ったまま見下ろされた。
アイロンを受け取る瞬間頭を撫でられた。
ビックリして目を閉じてうつむいてしまった。
手からアイロン台とアイロンの重みが消えても、頭に広い手の感触が残った。
そんな事を自然にしてくれるなんて思ってなくて。
あの土曜日の具合の悪さがすごく分かった。
全然違う・・・、っていうか、もう、うれしくて。
微妙な距離が悲しいって思ってたけど、やっぱり期待したいとまた思ってしまう。
いいの?
どうなの?
それとも結構普通の事?頭撫でるくらい、段田君にもしてる?
男の子にそれはないか。さすがに肩をポンポンくらい。
本当に帰りたくなくなりました。
もう一晩泊りたいんですが・・・・。
この服のまま、もう一晩。
そんな事は言えるはずもなく、当たり前だけど、言われることもなく。
しばらくしてからお昼に誘われて、外に出た。
そうですよね・・・・。
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