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15 飲み過ぎた恩人の後始末。
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「何で同期なのに『さん』なんてつけてるんだよ。最初の勢いはどうした?」
最初は、まあ、それなりにいろいろと思ってましたが、何で今言うんだ。
「そういえばずっと『佐々木さん』だ。林君は呼び捨てなのにね。」
二割くらい閉じそうな目がこっちを見た。
酔ってるんだとはわかる。
その『佐々木君』が軽くなった口で林に聞いた。
「本当に、・・・・初恋相手と再会ってどんな気持ちさ。」
林がグラスから口を離して嫌な顔をした。
んん?
佐々木君は、いよいよ三割くらい眠たそうな目になってるから、真面目なのか揶揄ってるのか。
「なぜ聞きたいんだよ、理由を述べろ!」
偉そうに言う林。
ちょっと待て。
こっちを見ないけど、もしかと思うけど・・・・私?違う?どっちよ!
「なんとなく、ねえ、聞きたいよね?」
佐々木君が見たことない顔をしてこっちを見た。それは笑顔に近かった?
完全に油断してる。酔ってる。
今度は私が送ることになりそうな。
まさかタクシー代まで持てと言うんじゃないだろうなあ。
帰れる?
さり気なく佐々木君のグラスを引き寄せて離した。
「でも鈴鹿さんは全然違ったんだ。普通にただの幼馴染だったの?普通は女の子の方が成長早いのにね。」
ああ・・・・私の事らしい。
そしてクールな少女というより、鈍感な・・・・発達の遅い女の子だったと言われた気がするが。
「だめだよな、こいつは全然そんな感じじゃなかったし。手紙もクラスの男子の近況報告を少し。余白を埋めようとやたらと猫とうさぎの絵がかいてあった。」
そんなの覚えてないけど、そんな子供らしさに溢れたエピソードには照れる。
本当に今でも持ってるの?
「でも、ふつう捨てない?そんな昔の思い出、何でとってるの?」
「別に成績表とかと一緒に段ボールにまとめたんだよ。実家の部屋はそのままだから、押し入れにあるよ。」
「鈴鹿さんは?」
「えっと・・・・、無いかも・・・・。」
捨てたとは言えない。
『まだ持ってるの?』と最初の頃に林に言った時点で、持ってないのはバレてると思うが。
「そう言う佐々木君は、初恋の相手に成人式とか同窓会で会ってないの?」
責められるのは勘弁だ。
話をすり替えてそう言ったら、これまたさらに真っ赤になった・・・・んだと思う。俯いてグラスを引き寄せられた。
手元から離して取り上げてたのに、あっさり取り返された。
両手に握りしめるように持ってるけど。
林を見た。
「いいなあ、きっと可愛くて素直でまっすぐに成長したタイプだったんだろうなあ。ああ、羨ましい。」
棒読みのようなセリフ。
どうせ、素直でもないし、ひねくれて成長しました。すみませんね。
いつまでたっても復活しない佐々木君。
『大丈夫?』
林と視線と口パクで会話。
ゆっくり佐々木君を見て、首を倒された。
時計を見る。さすがにそろそろ、お腹いっぱいだし。
「佐々木、そろそろ終わりにするか。少し酔いをさましてから帰ればいいよ。鈴鹿が付き合うから。」
何で・・・・と言いたいが何度か遠回りして送ってくれたんだから、そのくらいは黙って頼まれてもいい。
「大丈夫。帰れるよ。」
「送るから。お礼の飲み会だし、駅までは送るよ。」
そう言った。
「そうだな。それがいい。」
浩美からはお金を預かってる。
残りは全部私が払うんだから。
カードでお会計をしてもらって、店を出た。
林が佐々木君を支えてる。
酔ったら少しは喋るらしいと分かった。
でも、飲み過ぎるのはどうだろうか?
昨日はそこまでは飲んでないから、全然無口だったし、まったく変わらなかった。
少し酔った方が面白い気がしていいんだけど。
でも一人で歩いてはほしい。
取りあえずそのまま三人で電車には一緒に乗った。
先に降りた林。
心配じゃないの?
目でそう訴えかけたのに。
「悪い、本当に明日ダメなんだ。佐々木の駅かお前の駅でファミレスにでも入って酔いをさましたらタクシーに乗せればいいよ。」
アドバイスはもらった。ただそれだけで、タクシー代はなかった。
ちっ。
心の中の舌打ちは隠して、佐々木君を見る。
大丈夫か?本当に目を閉じたまま、吊革には捕まってるけど、揺られた勢いで外れて倒れたりしたら・・・・。
取りあえず林がしてたように腕をつかんで、もう片方の手は隣のつり革へ。
電車が動き出して。
取りあえず手はちゃんと吊革へかかってる。
しばらくしたら、手を離して口を押える。
ビックリして見たのは私だけじゃない。目の前に座っていた人も見上げて心配しただろう。
「気分悪い?」
「次で降りよう。」
返事も聞かずに、電車が止まる前にドアへ移動して待つ。
さり気なく周りがモーゼ状態。
皆の視線が佐々木君に行き、私で止まる。
飲ませ過ぎだよと非難の声が聞こえる・・・・。
奢っただけです、こいつが勝手に飲んだんです!!
そう言いたい。
いっそ突き放せたら・・・・・。
視線が痛い。
頑張って欲しい。
袋がない・・・・・。そんなもの使ったことがないし。
頑張れ頑張れと心の中で繰り返す。
ベンチに座らせるまで、とりあえず頑張れ。
顔を見たけど、さほど切迫した感じはない。
安心していいのか。
ドアが開いた瞬間降りた。
ベンチを見つけて座らせる。
「お水飲む?」
「吐きそう?」
心配したけど、そのままベンチに深々と座り一言。
「眠い。」
ボディーバッグを抱きしめて顔を埋めるようにして・・・・寝る姿勢。
駅員さんに追い出される自分と佐々木君の姿を想像する。
そんな・・・・・やめて欲しい。
「ねえ、気分悪いんじゃなきゃ、起きて欲しい。」
あと二駅だった。
何ならあと一駅。
そこでタクシーに押し込んでもいい、私は歩いて帰れる。
その後は寝るなりなんなり・・・・・・。
「せめてタクシー乗り場まで行こう。」
必死のお願いだった。
「せめて・・・・ファミレスまで歩いて・・・・・。」
無反応。
「佐々木君・・・・。」
「・・・・眠いって・・・・・、寝かせて、部屋の隅でいいから。寝たい、横になりたい。無理。歩けない。」
最後は要求のみの羅列に近かった。
酔っぱらってそうなった場合、それをどうしろという。
最初は、まあ、それなりにいろいろと思ってましたが、何で今言うんだ。
「そういえばずっと『佐々木さん』だ。林君は呼び捨てなのにね。」
二割くらい閉じそうな目がこっちを見た。
酔ってるんだとはわかる。
その『佐々木君』が軽くなった口で林に聞いた。
「本当に、・・・・初恋相手と再会ってどんな気持ちさ。」
林がグラスから口を離して嫌な顔をした。
んん?
佐々木君は、いよいよ三割くらい眠たそうな目になってるから、真面目なのか揶揄ってるのか。
「なぜ聞きたいんだよ、理由を述べろ!」
偉そうに言う林。
ちょっと待て。
こっちを見ないけど、もしかと思うけど・・・・私?違う?どっちよ!
「なんとなく、ねえ、聞きたいよね?」
佐々木君が見たことない顔をしてこっちを見た。それは笑顔に近かった?
完全に油断してる。酔ってる。
今度は私が送ることになりそうな。
まさかタクシー代まで持てと言うんじゃないだろうなあ。
帰れる?
さり気なく佐々木君のグラスを引き寄せて離した。
「でも鈴鹿さんは全然違ったんだ。普通にただの幼馴染だったの?普通は女の子の方が成長早いのにね。」
ああ・・・・私の事らしい。
そしてクールな少女というより、鈍感な・・・・発達の遅い女の子だったと言われた気がするが。
「だめだよな、こいつは全然そんな感じじゃなかったし。手紙もクラスの男子の近況報告を少し。余白を埋めようとやたらと猫とうさぎの絵がかいてあった。」
そんなの覚えてないけど、そんな子供らしさに溢れたエピソードには照れる。
本当に今でも持ってるの?
「でも、ふつう捨てない?そんな昔の思い出、何でとってるの?」
「別に成績表とかと一緒に段ボールにまとめたんだよ。実家の部屋はそのままだから、押し入れにあるよ。」
「鈴鹿さんは?」
「えっと・・・・、無いかも・・・・。」
捨てたとは言えない。
『まだ持ってるの?』と最初の頃に林に言った時点で、持ってないのはバレてると思うが。
「そう言う佐々木君は、初恋の相手に成人式とか同窓会で会ってないの?」
責められるのは勘弁だ。
話をすり替えてそう言ったら、これまたさらに真っ赤になった・・・・んだと思う。俯いてグラスを引き寄せられた。
手元から離して取り上げてたのに、あっさり取り返された。
両手に握りしめるように持ってるけど。
林を見た。
「いいなあ、きっと可愛くて素直でまっすぐに成長したタイプだったんだろうなあ。ああ、羨ましい。」
棒読みのようなセリフ。
どうせ、素直でもないし、ひねくれて成長しました。すみませんね。
いつまでたっても復活しない佐々木君。
『大丈夫?』
林と視線と口パクで会話。
ゆっくり佐々木君を見て、首を倒された。
時計を見る。さすがにそろそろ、お腹いっぱいだし。
「佐々木、そろそろ終わりにするか。少し酔いをさましてから帰ればいいよ。鈴鹿が付き合うから。」
何で・・・・と言いたいが何度か遠回りして送ってくれたんだから、そのくらいは黙って頼まれてもいい。
「大丈夫。帰れるよ。」
「送るから。お礼の飲み会だし、駅までは送るよ。」
そう言った。
「そうだな。それがいい。」
浩美からはお金を預かってる。
残りは全部私が払うんだから。
カードでお会計をしてもらって、店を出た。
林が佐々木君を支えてる。
酔ったら少しは喋るらしいと分かった。
でも、飲み過ぎるのはどうだろうか?
昨日はそこまでは飲んでないから、全然無口だったし、まったく変わらなかった。
少し酔った方が面白い気がしていいんだけど。
でも一人で歩いてはほしい。
取りあえずそのまま三人で電車には一緒に乗った。
先に降りた林。
心配じゃないの?
目でそう訴えかけたのに。
「悪い、本当に明日ダメなんだ。佐々木の駅かお前の駅でファミレスにでも入って酔いをさましたらタクシーに乗せればいいよ。」
アドバイスはもらった。ただそれだけで、タクシー代はなかった。
ちっ。
心の中の舌打ちは隠して、佐々木君を見る。
大丈夫か?本当に目を閉じたまま、吊革には捕まってるけど、揺られた勢いで外れて倒れたりしたら・・・・。
取りあえず林がしてたように腕をつかんで、もう片方の手は隣のつり革へ。
電車が動き出して。
取りあえず手はちゃんと吊革へかかってる。
しばらくしたら、手を離して口を押える。
ビックリして見たのは私だけじゃない。目の前に座っていた人も見上げて心配しただろう。
「気分悪い?」
「次で降りよう。」
返事も聞かずに、電車が止まる前にドアへ移動して待つ。
さり気なく周りがモーゼ状態。
皆の視線が佐々木君に行き、私で止まる。
飲ませ過ぎだよと非難の声が聞こえる・・・・。
奢っただけです、こいつが勝手に飲んだんです!!
そう言いたい。
いっそ突き放せたら・・・・・。
視線が痛い。
頑張って欲しい。
袋がない・・・・・。そんなもの使ったことがないし。
頑張れ頑張れと心の中で繰り返す。
ベンチに座らせるまで、とりあえず頑張れ。
顔を見たけど、さほど切迫した感じはない。
安心していいのか。
ドアが開いた瞬間降りた。
ベンチを見つけて座らせる。
「お水飲む?」
「吐きそう?」
心配したけど、そのままベンチに深々と座り一言。
「眠い。」
ボディーバッグを抱きしめて顔を埋めるようにして・・・・寝る姿勢。
駅員さんに追い出される自分と佐々木君の姿を想像する。
そんな・・・・・やめて欲しい。
「ねえ、気分悪いんじゃなきゃ、起きて欲しい。」
あと二駅だった。
何ならあと一駅。
そこでタクシーに押し込んでもいい、私は歩いて帰れる。
その後は寝るなりなんなり・・・・・・。
「せめてタクシー乗り場まで行こう。」
必死のお願いだった。
「せめて・・・・ファミレスまで歩いて・・・・・。」
無反応。
「佐々木君・・・・。」
「・・・・眠いって・・・・・、寝かせて、部屋の隅でいいから。寝たい、横になりたい。無理。歩けない。」
最後は要求のみの羅列に近かった。
酔っぱらってそうなった場合、それをどうしろという。
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