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23 すこしだけ見える二人の気持ち。
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いつまでも黙ってると、居心地が悪くて。
「本当のところを教えて。どんな噂を聞いてたの?正直に教えて。」
コーヒーを飲んで、ソファに乗る。
ゆっくり隣に座る佐々木君の存在をソファの傾きで知る。
背もたれのないソファはゴロリと横になるにはいいけど一晩寝るには狭いだろう、まして男の人なら。
固めだからあんまり沈む感じもないと思ったのに、隣に誰かいると、それが男の人だと、やっぱり傾く。
急いで姿勢を正すふりして、傾きそうな体を立て直した。
「人の物に手を出してあっさりと捨てる、味見する前に捨てる、なかなか気に入った物件に出会えないらしくて、とりあえずお試しには会う、誰も本当に気に入ってもらえない。高飛車に断る。」
終わったかと思えばまだ続く。
「媚びない甘えない、絶対最後に壁を作る、食事代は奢らせない、誘っても一切お金がかからない。」
お金がかからない?
お金を出させたくなるほどの男の余裕を見せてみろ!!
自分で聞いておきながらちょっとイラっとしてきた。
もういい!!なんて言いたいのを我慢して。
取りあえ図々しいとか、誰とでも寝るとか尻軽とか、そんな言葉は含まれてないが。さすがに隠してくれたか。
「思ったほど酷くないよ。」
そのフォローが適切かは分からない。
「ありがとう。」
やっぱり私もマダマダだな。
ちょっと上にもっと凄い先輩がいたらしい。
流言飛語、毀誉褒貶、立場によって評価が様々、天女とも悪女とも言われる先輩だったらしい。
本当のところは分からない。
寿退社したらしい。
笑顔で手を振って見送られたらしい。
一時、会社が落ち着いたとまで言わしめた先輩、それはもう伝説レベル。
噂ほど無責任に広がるものはない、そのスピードたるや、光速レベルだ。
女がさえずる話に真実はほんの少し、後は振られ男の見栄も相まって、話がややこしくなる。
「本当に自分で感じたことしか信じない、あとは信頼する人の意見を参考にするくらい。伝聞は伝聞だよ。」
「亜弓さん、気にするの?」
「自分の近い人が自分の感覚よりも噂を信じると言うなら、悲しい。」
「そんなの先輩だって違うって言ってたじゃない。」
どの口が言うんだ、そう思ったっけど、本人はまったく気がついてない。
だから本当にいろいろ誤解だったんだと安心する。
「じゃあ、付き合ってもないのに部屋に入れると思う?」
「思わないよ。そんなガードが甘いなんて思わないよ。」
「じゃあ、何で今いるの?」
「えっ・・・・・・。」
指を指したら、黙った。
「やっぱり林君への信頼感・・・・だよね。」
そう来たか。
私だってよく分からない。
一度は泊めてるから、二度目は簡単だった。
この後は何度でも同じだろうか?
しょうがないなと思ったら、後は同じかも。
ソファくらい貸すかも?どうかな?
「結局敵わない。別に彼氏彼女じゃなくても、ただの友達だとしても、敵わないのかも。」
林の事だろう。
「それは二週間前に知り合った人とは違うけど、それは僅差だよ。」
そう言ったのに笑われた。
信じてはいないみたいだ。
「林はここには来たことないよ。この間送ってくれた時も改札内で別れてたし。」
「それは・・・・・喜んでいいよってこと?」
それはどうだろう。
「分かってるけど。必要がなかったからね。だってここに泊めてって言うシチュエーションがないよね。タクシーで帰れる、送れる。」
まあそうだな。
その時は絶対タクシー代を請求してやる。
「亜弓さん、僕がここにいる今は、迷惑だと思ってる?」
「別に用事もないし、暇だから、今ではおしゃべりするのは嫌じゃない。最初の
時の印象が悪かったから、あの時に比べれば全然。」
「そうじゃない答えが欲しいけど、やっぱりそれくらいもまだ無理なのかな?」
前向きに考えてもらえるかどうか、可能性があるのかどうなのか、そういうことだと分かった。
確かにさっきの答えは心がなかったかも・・・・。
「大丈夫。気にしないで、のんびりして、・・・むしろ、ゆっくりしていってほしいくらい・・・・かも。」
そう言った。
自分で言って少しびっくりして、少し顔が熱くなった。
返事はない。
ゆっくり横を見たら同じように下を向いていた。
どんな顔をしてるのか分からない。
そんな答えで良かったと思ってるけど、違ってないと思うけど。
何だかとろとろとした進み具合。
田舎の二両編成の電車に乗って交わされてる中学生同士の会話みたいな、大人っぽさの欠片もない会話だった。
「寝てないよね?」
顔も上がらず、下を向いたままじっとしてる。
さすがに反応がなさすぎる。『一人電車の中で恋愛ごっこ』じゃあ、恥ずかしいですが、また寝落ちですか?って。
「寝るわけないじゃない、この間どんだけ反省したと思ってるの?」
「この間は飲み過ぎだって、眠いしか言ってなかったし、横になりたいから泊めて欲しいと言われたし。」
「せめてシャワーを借りる元気があったら・・・・。」
「あったら?」
「もっと早くちゃんと伝えてた。」
「それで?」
何が変わると言うんだろう?
「・・・・それだけ。」
だよね。
思わず納得の笑いが出る。
酔っぱらって言われても信じなかったと思うし、絶対裏を読んでいたと思う。
不器用だって・・・慣れてないって分かる前なら、そう思ったと思う。
だって私は素直じゃないし、ひねくれてるし。
結局同じだったと思う。
「ねえ、二人でいても全然ドキドキしてくれないの?まったく緊張してる感じがないんだけど。ただ単にここがホームだから?僕の部屋に来てもらったら、少しは違うのかな?」
ドキドキするかと言われれば、まったく危機感は感じてない。
そう言う意味では安心してる。
特に緊張もしてない。
じゃあ、林と一緒?
友達レベル?
そういうこと?
「例えば・・・・・。」
そう言って手を伸ばされた。
顔に触れると思ったのに、肩に置かれて髪を触られた。
嫌な感じはしないと分かった。
避けようとは思わなかった、頬に来ると思った手から逃げようという嫌悪反射は・・・・起きなかった。
軽く髪に触れてる手。
その手に重ねるように自分の手を動かした。
重なった手の平が髪から離れて頬に来た。
手を離した。
まるで誘導したみたいで。
視線は合ったまま。
軽く触れた手はそこから動かない。
ドキドキより、もっと大人の感情で、先を読んで期待してる自分。
ゆっくり待ってるのに、進まない、やっぱり鈍行の田舎の電車。
手がゆっくり離れた。
戻る手を追いかけるように近寄って腕を回した。
思わず万歳するように手をあげた佐々木君。
体も固まってる。
耳に響くのは誰の鼓動なのか。
ゆっくり腕の力を抜いて万歳をやめて、私の体に触れてきた。
まだまだ安心してる。
でも、この鈍行運転に、私は苛つく日が来そうだ。
「本当のところを教えて。どんな噂を聞いてたの?正直に教えて。」
コーヒーを飲んで、ソファに乗る。
ゆっくり隣に座る佐々木君の存在をソファの傾きで知る。
背もたれのないソファはゴロリと横になるにはいいけど一晩寝るには狭いだろう、まして男の人なら。
固めだからあんまり沈む感じもないと思ったのに、隣に誰かいると、それが男の人だと、やっぱり傾く。
急いで姿勢を正すふりして、傾きそうな体を立て直した。
「人の物に手を出してあっさりと捨てる、味見する前に捨てる、なかなか気に入った物件に出会えないらしくて、とりあえずお試しには会う、誰も本当に気に入ってもらえない。高飛車に断る。」
終わったかと思えばまだ続く。
「媚びない甘えない、絶対最後に壁を作る、食事代は奢らせない、誘っても一切お金がかからない。」
お金がかからない?
お金を出させたくなるほどの男の余裕を見せてみろ!!
自分で聞いておきながらちょっとイラっとしてきた。
もういい!!なんて言いたいのを我慢して。
取りあえ図々しいとか、誰とでも寝るとか尻軽とか、そんな言葉は含まれてないが。さすがに隠してくれたか。
「思ったほど酷くないよ。」
そのフォローが適切かは分からない。
「ありがとう。」
やっぱり私もマダマダだな。
ちょっと上にもっと凄い先輩がいたらしい。
流言飛語、毀誉褒貶、立場によって評価が様々、天女とも悪女とも言われる先輩だったらしい。
本当のところは分からない。
寿退社したらしい。
笑顔で手を振って見送られたらしい。
一時、会社が落ち着いたとまで言わしめた先輩、それはもう伝説レベル。
噂ほど無責任に広がるものはない、そのスピードたるや、光速レベルだ。
女がさえずる話に真実はほんの少し、後は振られ男の見栄も相まって、話がややこしくなる。
「本当に自分で感じたことしか信じない、あとは信頼する人の意見を参考にするくらい。伝聞は伝聞だよ。」
「亜弓さん、気にするの?」
「自分の近い人が自分の感覚よりも噂を信じると言うなら、悲しい。」
「そんなの先輩だって違うって言ってたじゃない。」
どの口が言うんだ、そう思ったっけど、本人はまったく気がついてない。
だから本当にいろいろ誤解だったんだと安心する。
「じゃあ、付き合ってもないのに部屋に入れると思う?」
「思わないよ。そんなガードが甘いなんて思わないよ。」
「じゃあ、何で今いるの?」
「えっ・・・・・・。」
指を指したら、黙った。
「やっぱり林君への信頼感・・・・だよね。」
そう来たか。
私だってよく分からない。
一度は泊めてるから、二度目は簡単だった。
この後は何度でも同じだろうか?
しょうがないなと思ったら、後は同じかも。
ソファくらい貸すかも?どうかな?
「結局敵わない。別に彼氏彼女じゃなくても、ただの友達だとしても、敵わないのかも。」
林の事だろう。
「それは二週間前に知り合った人とは違うけど、それは僅差だよ。」
そう言ったのに笑われた。
信じてはいないみたいだ。
「林はここには来たことないよ。この間送ってくれた時も改札内で別れてたし。」
「それは・・・・・喜んでいいよってこと?」
それはどうだろう。
「分かってるけど。必要がなかったからね。だってここに泊めてって言うシチュエーションがないよね。タクシーで帰れる、送れる。」
まあそうだな。
その時は絶対タクシー代を請求してやる。
「亜弓さん、僕がここにいる今は、迷惑だと思ってる?」
「別に用事もないし、暇だから、今ではおしゃべりするのは嫌じゃない。最初の
時の印象が悪かったから、あの時に比べれば全然。」
「そうじゃない答えが欲しいけど、やっぱりそれくらいもまだ無理なのかな?」
前向きに考えてもらえるかどうか、可能性があるのかどうなのか、そういうことだと分かった。
確かにさっきの答えは心がなかったかも・・・・。
「大丈夫。気にしないで、のんびりして、・・・むしろ、ゆっくりしていってほしいくらい・・・・かも。」
そう言った。
自分で言って少しびっくりして、少し顔が熱くなった。
返事はない。
ゆっくり横を見たら同じように下を向いていた。
どんな顔をしてるのか分からない。
そんな答えで良かったと思ってるけど、違ってないと思うけど。
何だかとろとろとした進み具合。
田舎の二両編成の電車に乗って交わされてる中学生同士の会話みたいな、大人っぽさの欠片もない会話だった。
「寝てないよね?」
顔も上がらず、下を向いたままじっとしてる。
さすがに反応がなさすぎる。『一人電車の中で恋愛ごっこ』じゃあ、恥ずかしいですが、また寝落ちですか?って。
「寝るわけないじゃない、この間どんだけ反省したと思ってるの?」
「この間は飲み過ぎだって、眠いしか言ってなかったし、横になりたいから泊めて欲しいと言われたし。」
「せめてシャワーを借りる元気があったら・・・・。」
「あったら?」
「もっと早くちゃんと伝えてた。」
「それで?」
何が変わると言うんだろう?
「・・・・それだけ。」
だよね。
思わず納得の笑いが出る。
酔っぱらって言われても信じなかったと思うし、絶対裏を読んでいたと思う。
不器用だって・・・慣れてないって分かる前なら、そう思ったと思う。
だって私は素直じゃないし、ひねくれてるし。
結局同じだったと思う。
「ねえ、二人でいても全然ドキドキしてくれないの?まったく緊張してる感じがないんだけど。ただ単にここがホームだから?僕の部屋に来てもらったら、少しは違うのかな?」
ドキドキするかと言われれば、まったく危機感は感じてない。
そう言う意味では安心してる。
特に緊張もしてない。
じゃあ、林と一緒?
友達レベル?
そういうこと?
「例えば・・・・・。」
そう言って手を伸ばされた。
顔に触れると思ったのに、肩に置かれて髪を触られた。
嫌な感じはしないと分かった。
避けようとは思わなかった、頬に来ると思った手から逃げようという嫌悪反射は・・・・起きなかった。
軽く髪に触れてる手。
その手に重ねるように自分の手を動かした。
重なった手の平が髪から離れて頬に来た。
手を離した。
まるで誘導したみたいで。
視線は合ったまま。
軽く触れた手はそこから動かない。
ドキドキより、もっと大人の感情で、先を読んで期待してる自分。
ゆっくり待ってるのに、進まない、やっぱり鈍行の田舎の電車。
手がゆっくり離れた。
戻る手を追いかけるように近寄って腕を回した。
思わず万歳するように手をあげた佐々木君。
体も固まってる。
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