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29 聞き慣れた言葉と呼び慣れるつもりの名前。
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「ねえ、外に出よう。太陽の光浴びたい。最近ずっと週末も部屋にいることが多かったから、少し散歩しない?」
お互い散歩が似合うキャラかどうかは分からないけど、返事を待たずに着替えて来ると言って寝室に引っ込む。
ジーンズと軽めのシャツを羽織り、リビングに行く。
二人分のカップを持ってキッチンに行くところだった。
「ああ、ありがとう。置いといて。」
バスルームで化粧の続きをして、髪もまとめる。
佐々木君は普通に着ていた服を着ているし、どう見ても準備完了だよね。
シンクの食器を洗い、伏せて手を洗う。
「さて、出かけよう!」
元気に誘う。
「どこかいいところあるの?」
「適当に、ふらふらと。」
本当に適当に駅の反対方向へ歩く。
横並びで歩いてたら、手をつながれた。
ビックリした。
そうか・・・忘れてた。
ちゃんと分るくらいには力を入れた。
「何であの時女の人と思われたのかな?エントリーシート間違ってたんじゃないよね。」
あの時は数段階進んだ面接だったから、まさかそんな事はないだろう。
「名前のせいかな?それとも・・・・何だろう?初めてだよね?」
「就活ではなかったけど、たまに間違えられてた。芸能人と同じ名前だとその印象が強いのかもしれないし。あんまり男の子にはつけない字なんだと思う。」
「これで弟か妹が銀杏ちゃんとかだったら可愛いのに。」
そう言って顔を見た。
さすがにそんなメンバーはいないらしい。
「秋生まれ?」
「そう、10月の終わり。」
「だからかな?」
「そうだと思う。でも今は少しその季節じゃ山の方しか紅葉してない。」
「ちょっとずれたね。」
「亜弓さんは?なんで?」
「両親の名前を足したパターン。前はよくあったパターンだよね。」
「待望の赤ちゃんって感じがするよ。」
「季節の名前もそうだよ。新鮮な気持ちで世界が見えた!みたいな感じ。」
「・・・・確かに父親がそう言ってた。」
「本当?そうかぁ。」
「でもそれまでいろいろ考えて決めてたんだろうけどね、顔を見て、ああ違うって思われたのかな?」
「赤ちゃんの顔?そんなに個性でるかな?子猿だよね。」
「他人にはたいていそう見えるだろうけどね。」
公園が見えた。
たくさんの子供たちがいる。
元々みんな子猿。でも今はハッキリと個性的な顔をしてる。
中にはお母さんにそっくりな子もいるんだと思う。
兄弟そっくりの子達も。
だいたいずっとついて回る名前だし、名前に似合うような感じに育つ気がする。
あんまり張り切ると名前負け現象が起きるけど、自分ではあまり違和感はない。
ただ一部の漫画ファンにはジロッと見られる。
不満なのか、そのまま視線をそらされていた。
二次元と比べるな!
そう言いたいことも何度かあった。
目の中に星はない!!
育ちは一般家庭だ!!文句あるか!!!
だいたいちょっと古いマンガなのにまだ終わってないから、知ってる人の幅は広いかも。テレビドラマなんかになったから、余計に・・・・。
そんな名前の事を考えながら、公園の木を見てつぶやいた。
「コウヨウか・・・・。」
手に力が入った。それは私じゃないと思う。
「秋は大変だね、いろんな番組で連呼されるね。雑誌でも特集されるし。それ以外の季節でも二時間ドラマにもよく出てるし。」
少し揶揄う様に言ってみた。
「でも大丈夫。絶対死なないキャラクターだよね。」
しばらくしたら言われた。
「聞き慣れてるなら、そうやって呼んでくれればいいのに。」
「・・・・わかった。そうする。」
会社では見かけることもないから呼ぶこともない。
だいたいうっかりあの二人が名前を出しても、ピンとくる人は少ないだろう。
名字はよくある名前で、目立たない人、下の名前まではそもそも認知されてないと思う。
本当に目的もなかったから立ち止まることもなく、前を見て、時々横を見て、歩いて。ぐるっと回って駅にたどり着いた。
かつてない遠回りだったみたい。
「お腹空いたな。ささ・・・、コウヨーは?」
「そこ伸ばすの?」
「うん。」
「空いてる。」
「何か食べよう。昨日から本当にあんまり食事してないでしょう?倒れるよ。」
「体力あるって褒められたけど。」
無視。
商店街に入りランチが終わったお店でも食べれるところを探す。
中途半端な時間になった。
気の利いたところはランチが終わり休憩に入ってるから。
普通のチェーン店でもいい。
「何食べたい?」
合わせてくれるんだろうか?
「がっつり!」
「肉?」
「ご飯と肉と野菜。」
「健康的だね。やっぱり、しつこかったのかな?」
一人で反省して欲しい。自分の部屋で。
「ここでいい?」
「うん、どこでも。」
そう言われて和食の定食屋さんに入った。
まあまあ普通に食べている。
表情は変わらないけど、普通。
お会計は払ってもらった。
駅に歩いて改札に向かう。
「勝手に送られてきてしまったけど。」
「何?」
「そろそろ帰ればって感じだけど。」
ご飯食べてる時は無表情なのに、すごく今は憮然とした表情。
「別にそんなつもりはないけど、何も言わないし、疲れてるかなって思って。」
コーヒー飲む?なんて聞いてもお腹いっぱいだし、あんまり味を変えるのも意味のない人だから誘わなかっただけだし。
「散歩する?」
「うん。」
マジ?冗談だったのに。
勝手に回れ右をして、また駅から出た。
少しスピードをゆるめられて手をつながれた。
ああ、忘れてたんだ、また。
「手をつなぎたいタイプなんだ?」
「そんなタイプかどうかは今日知ったけど。」
「そう。」
かもしれないね。
「散歩が好きなタイプにも見えないけど。」
「部屋に帰ってもいいけど、散歩がいいなら散歩でもいいってくらい。提案されたから、てっきり亜弓さんが散歩好きかと思って。」
それこそ、そんなタイプじゃありませんが。
部屋に帰っていいって、自分の部屋みたいじゃない。
それは阻止したい。
また送ることになるだろうけど、夜遅くになるパターンが想定される。
別に期待してるわけじゃない、・・・あくまでも恐れてるのである。
「ねえ、本当に果物用意しておいてくれるの?」
「何?」
「果物買って来た方がいいねって。」
ああ、朝ごはんの会話の事?
随分反応が遅い、なぜ今?
「別に頼まれれば買っておくけど。佐・・・コウヨーが自分で好きなものを買ってきてくれるのが一番確実だよね。」
「じゃあ、来週一緒に買ってからここに来ていいの?」
「いいよ。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
この会話はどこかちぐはぐな感じで、でも新鮮でもあって。
「何で今なの?何時間も経ってからの会話だよ。」
「ずっと考えてたから。」
「何を?」
「来週の予定。」
一人で?勝手に?ずっと???
やっぱりどこかで自分が性別間違ったんじゃないの?
そう思った。それくらいのとぼけたことをしそうな感じもしてきた。
本当につかみどころがないと言う個性。
見た目に分からないから目立たないだけだよ。
目的のない散歩をして、少し満腹を小慣れさせて、駅まで送った。
すごく疲れた週末だった。
振り回したつもりが、振り回されて。
この気持ちをシェアせずにはいられなくて。
『ご町内の散歩をした。遅めのランチ前とランチ後。想像以上に変わった人だった。』
浩美にそう送ったけど、全然シェア出来た気がしない。
説明しずらい。
林なら分かってくれるんだろうか?
喋りたいわけじゃないけど、なんだか一人では持て余してしまう個性。
『しつこいらしいとしか伝わって来てない。』
『そんな事言ってない。忘れて。』
来週こそ元に戻るんだ。
先週はちょっと周りをイリイリさせたらしいから。
月曜日の準備をして寝た。
本当に疲れてた。
お互い散歩が似合うキャラかどうかは分からないけど、返事を待たずに着替えて来ると言って寝室に引っ込む。
ジーンズと軽めのシャツを羽織り、リビングに行く。
二人分のカップを持ってキッチンに行くところだった。
「ああ、ありがとう。置いといて。」
バスルームで化粧の続きをして、髪もまとめる。
佐々木君は普通に着ていた服を着ているし、どう見ても準備完了だよね。
シンクの食器を洗い、伏せて手を洗う。
「さて、出かけよう!」
元気に誘う。
「どこかいいところあるの?」
「適当に、ふらふらと。」
本当に適当に駅の反対方向へ歩く。
横並びで歩いてたら、手をつながれた。
ビックリした。
そうか・・・忘れてた。
ちゃんと分るくらいには力を入れた。
「何であの時女の人と思われたのかな?エントリーシート間違ってたんじゃないよね。」
あの時は数段階進んだ面接だったから、まさかそんな事はないだろう。
「名前のせいかな?それとも・・・・何だろう?初めてだよね?」
「就活ではなかったけど、たまに間違えられてた。芸能人と同じ名前だとその印象が強いのかもしれないし。あんまり男の子にはつけない字なんだと思う。」
「これで弟か妹が銀杏ちゃんとかだったら可愛いのに。」
そう言って顔を見た。
さすがにそんなメンバーはいないらしい。
「秋生まれ?」
「そう、10月の終わり。」
「だからかな?」
「そうだと思う。でも今は少しその季節じゃ山の方しか紅葉してない。」
「ちょっとずれたね。」
「亜弓さんは?なんで?」
「両親の名前を足したパターン。前はよくあったパターンだよね。」
「待望の赤ちゃんって感じがするよ。」
「季節の名前もそうだよ。新鮮な気持ちで世界が見えた!みたいな感じ。」
「・・・・確かに父親がそう言ってた。」
「本当?そうかぁ。」
「でもそれまでいろいろ考えて決めてたんだろうけどね、顔を見て、ああ違うって思われたのかな?」
「赤ちゃんの顔?そんなに個性でるかな?子猿だよね。」
「他人にはたいていそう見えるだろうけどね。」
公園が見えた。
たくさんの子供たちがいる。
元々みんな子猿。でも今はハッキリと個性的な顔をしてる。
中にはお母さんにそっくりな子もいるんだと思う。
兄弟そっくりの子達も。
だいたいずっとついて回る名前だし、名前に似合うような感じに育つ気がする。
あんまり張り切ると名前負け現象が起きるけど、自分ではあまり違和感はない。
ただ一部の漫画ファンにはジロッと見られる。
不満なのか、そのまま視線をそらされていた。
二次元と比べるな!
そう言いたいことも何度かあった。
目の中に星はない!!
育ちは一般家庭だ!!文句あるか!!!
だいたいちょっと古いマンガなのにまだ終わってないから、知ってる人の幅は広いかも。テレビドラマなんかになったから、余計に・・・・。
そんな名前の事を考えながら、公園の木を見てつぶやいた。
「コウヨウか・・・・。」
手に力が入った。それは私じゃないと思う。
「秋は大変だね、いろんな番組で連呼されるね。雑誌でも特集されるし。それ以外の季節でも二時間ドラマにもよく出てるし。」
少し揶揄う様に言ってみた。
「でも大丈夫。絶対死なないキャラクターだよね。」
しばらくしたら言われた。
「聞き慣れてるなら、そうやって呼んでくれればいいのに。」
「・・・・わかった。そうする。」
会社では見かけることもないから呼ぶこともない。
だいたいうっかりあの二人が名前を出しても、ピンとくる人は少ないだろう。
名字はよくある名前で、目立たない人、下の名前まではそもそも認知されてないと思う。
本当に目的もなかったから立ち止まることもなく、前を見て、時々横を見て、歩いて。ぐるっと回って駅にたどり着いた。
かつてない遠回りだったみたい。
「お腹空いたな。ささ・・・、コウヨーは?」
「そこ伸ばすの?」
「うん。」
「空いてる。」
「何か食べよう。昨日から本当にあんまり食事してないでしょう?倒れるよ。」
「体力あるって褒められたけど。」
無視。
商店街に入りランチが終わったお店でも食べれるところを探す。
中途半端な時間になった。
気の利いたところはランチが終わり休憩に入ってるから。
普通のチェーン店でもいい。
「何食べたい?」
合わせてくれるんだろうか?
「がっつり!」
「肉?」
「ご飯と肉と野菜。」
「健康的だね。やっぱり、しつこかったのかな?」
一人で反省して欲しい。自分の部屋で。
「ここでいい?」
「うん、どこでも。」
そう言われて和食の定食屋さんに入った。
まあまあ普通に食べている。
表情は変わらないけど、普通。
お会計は払ってもらった。
駅に歩いて改札に向かう。
「勝手に送られてきてしまったけど。」
「何?」
「そろそろ帰ればって感じだけど。」
ご飯食べてる時は無表情なのに、すごく今は憮然とした表情。
「別にそんなつもりはないけど、何も言わないし、疲れてるかなって思って。」
コーヒー飲む?なんて聞いてもお腹いっぱいだし、あんまり味を変えるのも意味のない人だから誘わなかっただけだし。
「散歩する?」
「うん。」
マジ?冗談だったのに。
勝手に回れ右をして、また駅から出た。
少しスピードをゆるめられて手をつながれた。
ああ、忘れてたんだ、また。
「手をつなぎたいタイプなんだ?」
「そんなタイプかどうかは今日知ったけど。」
「そう。」
かもしれないね。
「散歩が好きなタイプにも見えないけど。」
「部屋に帰ってもいいけど、散歩がいいなら散歩でもいいってくらい。提案されたから、てっきり亜弓さんが散歩好きかと思って。」
それこそ、そんなタイプじゃありませんが。
部屋に帰っていいって、自分の部屋みたいじゃない。
それは阻止したい。
また送ることになるだろうけど、夜遅くになるパターンが想定される。
別に期待してるわけじゃない、・・・あくまでも恐れてるのである。
「ねえ、本当に果物用意しておいてくれるの?」
「何?」
「果物買って来た方がいいねって。」
ああ、朝ごはんの会話の事?
随分反応が遅い、なぜ今?
「別に頼まれれば買っておくけど。佐・・・コウヨーが自分で好きなものを買ってきてくれるのが一番確実だよね。」
「じゃあ、来週一緒に買ってからここに来ていいの?」
「いいよ。」
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
この会話はどこかちぐはぐな感じで、でも新鮮でもあって。
「何で今なの?何時間も経ってからの会話だよ。」
「ずっと考えてたから。」
「何を?」
「来週の予定。」
一人で?勝手に?ずっと???
やっぱりどこかで自分が性別間違ったんじゃないの?
そう思った。それくらいのとぼけたことをしそうな感じもしてきた。
本当につかみどころがないと言う個性。
見た目に分からないから目立たないだけだよ。
目的のない散歩をして、少し満腹を小慣れさせて、駅まで送った。
すごく疲れた週末だった。
振り回したつもりが、振り回されて。
この気持ちをシェアせずにはいられなくて。
『ご町内の散歩をした。遅めのランチ前とランチ後。想像以上に変わった人だった。』
浩美にそう送ったけど、全然シェア出来た気がしない。
説明しずらい。
林なら分かってくれるんだろうか?
喋りたいわけじゃないけど、なんだか一人では持て余してしまう個性。
『しつこいらしいとしか伝わって来てない。』
『そんな事言ってない。忘れて。』
来週こそ元に戻るんだ。
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