抱きついて癒されたい!私の大好きなコアラ。

羽月☆

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6 ずぅっとずっと、あなたの誕生日を楽しく祝いたい私を信じて。

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コース料理が進みデザートになるころ、もしかしてって思い始めた。
変に落ち着きがなくなった手。
まるで最初の出会った頃みたいに。

視線が私のほうを見ても通り過ぎてるし、デザート味わえてる?

「桂馬、これ美味しいね。」

桂馬のほうが誕生日プレートで豪華になっている。
すぐに私と取り替えようかって言ってくれると思ってたのに、普通に食べ始めた。

やっぱり変?

今顔を見てくれたらすごくうれしい顔をしてると思うのに、なかなか目が合わない。

パクパクと端からデザートを攻めていった桂馬。
私が食べ終わる頃には紅茶と珈琲も運ばれてきて。

あっという間に桂馬のコーヒーはなくなった。

熱いのに・・・・・。

そう思って見てたらやっと顔を上げてくれた。



「百合ちゃん、これ。」


ポケットから小さな箱を取り出して目の前に置いてくれた。

私は手を近くに置いてるのに、箱を開けてくれることもないし、手をとってくれることもない。

しょうがないので自分で箱を持って開けた。

これで予想と違うものが出たら怒るけど。
そんなわけはなく。

言葉もなく一仕事終えたように動きを止めている桂馬。
もっと働いて・・・・。

箱を桂馬にも見えるように置いて、指を伸ばして開いておいた。

やっと気がついたらしい。
リングを取り出して指にはめてくれた。

「百合ちゃん、結婚してください。」

桂馬らしい、シンプルなプロポーズ。
顔が真剣だけど、断るわけないから笑顔でもいいのに。
私も笑顔で・・・・って言いたいけど、ちょっとだけうれしすぎて泣きそう。

「桂馬、ありがとう。うれしい。よろしく願いします。」

とられた手を重ねたまま握り締めた。
桂馬の表情もやっと緩んだ。

「良かった。緊張した。」

「断るわけないのに。」

「うん、まあ、それも、そう思ったりしたけど・・・・。」

私はゆっくり手を離して指を見る。
綺麗な細いラインの指輪。
サイズもぴったり。
このブランドは一度だけ一緒に行ったことがある。
覚えててくれたんだろうか?
きっとそうだろう。

そのまま箱はバッグにしまいこみ、指には約束の証をつけたまま部屋に戻った。

二人でソファに座り込んで。

上着を脱いでくつろぐ桂馬に聞いてみた。

「桂馬、サイズぴったりだった。」

「うん、百合ちゃんの指輪を持っていって、同じサイズでってお願いした。」

いつの間に。

「あのお店、前に一緒に行ったよね。」

「うん、その時に好きそうなのを見てたじゃない。だから同じ感じのものを選んでもらったんだ。」

「ありがとう。大切にする。」

指輪を見ながら、ちょっとだけ手を動かして、とってもきれい。


「ねえ、いつ用意してくれたの?」

「二ヶ月くらい前・・・かな。本当は百合ちゃんの誕生日にって思ってたのに、なんだか最近緑ちゃんたちに刺激されて、百合ちゃんがプロポーズしてきそうだったから。そこは僕から絶対したいって思ってた。だから今日になったんだ。」

「そんな、自分からしようなんて思ってなかったよ。桂馬がどう考えてるんだろうとは思ってたけど。のんびりしてるから、一人で焦ってもしょうがないかなって思ってた。気づいてないって思ってたのに。」

バレバレだったらしい。
ただ、プロポーズされるかもって思ってたなんて。
おかしいでしょう?

「だって、いつも待てないじゃん。先に声かけてきたあの日から、ずっと百合ちゃんのペースで。置いてかれないように、ついていくのに必死だよ。」

「そんなに急がせた?桂馬の中では、まだだった?」

優しいからだと思ってた。
のんびりしてるのも、普通のサラリーマンサイクルの中にいないし。
どこか自分のペースを保っていられてる桂馬が、のんびりに思えてたから。
ちょっとだけ自分が焦って、早くって思ってた。
それが逆にプレッシャーになったのなら悲しい。

「ううん、違うよ。違うから大丈夫。でも今夜は僕のペースで。僕の誕生日だからね。焦らないでね。」

そう言って優しい顔を近づけてくれた。
笑顔が好き。優しい笑顔。あの画のまま。
歴代の彼氏もびっくりな素敵な笑顔。
今は桂馬が一番の好みのタイプ。


優しくキスをされる。

首に縋りつくように伸び上がる。

「だから、僕のペースでって。もっとゆっくり味わいたい。そんなに焦らないで。」

足を絡める私を優しく離して、キスを繰り返す。

もしかして・・・・。
言われた意味が分かった気がした。

でもそんなにゆっくりじゃあ、物足りない。

「桂馬、シャワー浴びよう。」

「まだ、せっかくおしゃれしたのに。まだ見てない。」

そんなことはない。ずっと見てたでしょう?
それに手がゆっくりと隙間から入り込んできてるし。

一緒じゃない!!

その後三回くらいお願いして、やっとあきらめてくれた。

それでも飛びつくように重なった私になかなか答えてくれなくて。

思いっきり触ったら、悲鳴が上がった。

「百合ちゃん、びっくりした。あきらめて大人しくしてくれてると思ったのに。」

「桂馬も、いいじゃない。もう・・・・。」

「やっぱり百合ちゃんのペースだなぁ。」

そういって上にかぶさって見詰め合う。

「我慢してたのに。たまにはいいかなって思ったのに。僕も無理かも。」

結局いつもどおり、いつも以上に大好きだと伝えた。
指輪はテーブルの上においている。

ずっとずっと大切につけていたい。

緑ちゃんにも自慢したい!!
あ、残業変わってくれたんだった。
ふと思い出したけど、そんなことは一瞬で、その後は忙しくて・・・・。


疲れて眠った。

朝まで起きなかったから、本当に疲れてたんだと思うし、満足してたんだと思う。

髪を撫でられて、頭の上に暖かい息がかかるような。
ゆっくり目が覚めながらも、すぐ近くに桂馬がいることを信じて目が覚めた。
すごく近くに居てくれた。

顔を上げるとすっかり目が覚めてたみたいで。

「おはよう、やっと起きた。」

「おはよう、そんな遅い時間?すごくよく眠れた感じ。」

「遅くはないけど、なんだか目が覚めて、ずっと待ってた。」

「百合ちゃん。」

手をとられて指を触られる。
指輪ははずしてるけど、ずっとそこにあるくらいのうれしさ。

「もう、どこにも行かないって約束だよね。」

「何?」

「ずっと一緒にいるって約束だよね。」

指を触られたまま言われる。

「うん、勿論。ずっとそう思ってたよ。」

そんなこと分かってるじゃない。
あんなに桂馬の抱き枕が馴染んでたのに。

「良かった。そうだと思ってても時々不安だったから。僕が一人で仕事してるときに、百合ちゃんだけ外にいて。たくさんの人に出会って、声をかけたり、かけられたり。」

「それでも、そばにいる。ちゃんとここに帰ってくる。桂馬がいるところに帰ってくるのに。」

「そうだよね。」

指から手が離された。
しがみつくようにして言った私。
そんなこと思ってるなんて思わなかった。

声をかけたのも私、一緒に住もうって言ったのも私。
最後だけは桂馬に言って貰ったけど。
確かに私のペースだった。

目を見て思う。

もっと近くに。



今度こそ桂馬のペースでいいって思ってたのに、昨日とは全然違うペースに私のほうがビックリして焦る。
どんどん押し上げられるように、高められて。
何度も名前を呼んだ。

大好きと続けた。

そのたびに荒い息で返してくれた。

最高の誕生日になったよね。
でも来年はもっと素敵な誕生日にしたい。
これから毎年、何度も繰り返されるのに、それでもそう思う。
もっと素敵な日にしたいって。

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