抱きついて癒されたい!私の大好きなコアラ。

羽月☆

文字の大きさ
6 / 11

6 ずぅっとずっと、あなたの誕生日を楽しく祝いたい私を信じて。

しおりを挟む
コース料理が進みデザートになるころ、もしかしてって思い始めた。
変に落ち着きがなくなった手。
まるで最初の出会った頃みたいに。

視線が私のほうを見ても通り過ぎてるし、デザート味わえてる?

「桂馬、これ美味しいね。」

桂馬のほうが誕生日プレートで豪華になっている。
すぐに私と取り替えようかって言ってくれると思ってたのに、普通に食べ始めた。

やっぱり変?

今顔を見てくれたらすごくうれしい顔をしてると思うのに、なかなか目が合わない。

パクパクと端からデザートを攻めていった桂馬。
私が食べ終わる頃には紅茶と珈琲も運ばれてきて。

あっという間に桂馬のコーヒーはなくなった。

熱いのに・・・・・。

そう思って見てたらやっと顔を上げてくれた。



「百合ちゃん、これ。」


ポケットから小さな箱を取り出して目の前に置いてくれた。

私は手を近くに置いてるのに、箱を開けてくれることもないし、手をとってくれることもない。

しょうがないので自分で箱を持って開けた。

これで予想と違うものが出たら怒るけど。
そんなわけはなく。

言葉もなく一仕事終えたように動きを止めている桂馬。
もっと働いて・・・・。

箱を桂馬にも見えるように置いて、指を伸ばして開いておいた。

やっと気がついたらしい。
リングを取り出して指にはめてくれた。

「百合ちゃん、結婚してください。」

桂馬らしい、シンプルなプロポーズ。
顔が真剣だけど、断るわけないから笑顔でもいいのに。
私も笑顔で・・・・って言いたいけど、ちょっとだけうれしすぎて泣きそう。

「桂馬、ありがとう。うれしい。よろしく願いします。」

とられた手を重ねたまま握り締めた。
桂馬の表情もやっと緩んだ。

「良かった。緊張した。」

「断るわけないのに。」

「うん、まあ、それも、そう思ったりしたけど・・・・。」

私はゆっくり手を離して指を見る。
綺麗な細いラインの指輪。
サイズもぴったり。
このブランドは一度だけ一緒に行ったことがある。
覚えててくれたんだろうか?
きっとそうだろう。

そのまま箱はバッグにしまいこみ、指には約束の証をつけたまま部屋に戻った。

二人でソファに座り込んで。

上着を脱いでくつろぐ桂馬に聞いてみた。

「桂馬、サイズぴったりだった。」

「うん、百合ちゃんの指輪を持っていって、同じサイズでってお願いした。」

いつの間に。

「あのお店、前に一緒に行ったよね。」

「うん、その時に好きそうなのを見てたじゃない。だから同じ感じのものを選んでもらったんだ。」

「ありがとう。大切にする。」

指輪を見ながら、ちょっとだけ手を動かして、とってもきれい。


「ねえ、いつ用意してくれたの?」

「二ヶ月くらい前・・・かな。本当は百合ちゃんの誕生日にって思ってたのに、なんだか最近緑ちゃんたちに刺激されて、百合ちゃんがプロポーズしてきそうだったから。そこは僕から絶対したいって思ってた。だから今日になったんだ。」

「そんな、自分からしようなんて思ってなかったよ。桂馬がどう考えてるんだろうとは思ってたけど。のんびりしてるから、一人で焦ってもしょうがないかなって思ってた。気づいてないって思ってたのに。」

バレバレだったらしい。
ただ、プロポーズされるかもって思ってたなんて。
おかしいでしょう?

「だって、いつも待てないじゃん。先に声かけてきたあの日から、ずっと百合ちゃんのペースで。置いてかれないように、ついていくのに必死だよ。」

「そんなに急がせた?桂馬の中では、まだだった?」

優しいからだと思ってた。
のんびりしてるのも、普通のサラリーマンサイクルの中にいないし。
どこか自分のペースを保っていられてる桂馬が、のんびりに思えてたから。
ちょっとだけ自分が焦って、早くって思ってた。
それが逆にプレッシャーになったのなら悲しい。

「ううん、違うよ。違うから大丈夫。でも今夜は僕のペースで。僕の誕生日だからね。焦らないでね。」

そう言って優しい顔を近づけてくれた。
笑顔が好き。優しい笑顔。あの画のまま。
歴代の彼氏もびっくりな素敵な笑顔。
今は桂馬が一番の好みのタイプ。


優しくキスをされる。

首に縋りつくように伸び上がる。

「だから、僕のペースでって。もっとゆっくり味わいたい。そんなに焦らないで。」

足を絡める私を優しく離して、キスを繰り返す。

もしかして・・・・。
言われた意味が分かった気がした。

でもそんなにゆっくりじゃあ、物足りない。

「桂馬、シャワー浴びよう。」

「まだ、せっかくおしゃれしたのに。まだ見てない。」

そんなことはない。ずっと見てたでしょう?
それに手がゆっくりと隙間から入り込んできてるし。

一緒じゃない!!

その後三回くらいお願いして、やっとあきらめてくれた。

それでも飛びつくように重なった私になかなか答えてくれなくて。

思いっきり触ったら、悲鳴が上がった。

「百合ちゃん、びっくりした。あきらめて大人しくしてくれてると思ったのに。」

「桂馬も、いいじゃない。もう・・・・。」

「やっぱり百合ちゃんのペースだなぁ。」

そういって上にかぶさって見詰め合う。

「我慢してたのに。たまにはいいかなって思ったのに。僕も無理かも。」

結局いつもどおり、いつも以上に大好きだと伝えた。
指輪はテーブルの上においている。

ずっとずっと大切につけていたい。

緑ちゃんにも自慢したい!!
あ、残業変わってくれたんだった。
ふと思い出したけど、そんなことは一瞬で、その後は忙しくて・・・・。


疲れて眠った。

朝まで起きなかったから、本当に疲れてたんだと思うし、満足してたんだと思う。

髪を撫でられて、頭の上に暖かい息がかかるような。
ゆっくり目が覚めながらも、すぐ近くに桂馬がいることを信じて目が覚めた。
すごく近くに居てくれた。

顔を上げるとすっかり目が覚めてたみたいで。

「おはよう、やっと起きた。」

「おはよう、そんな遅い時間?すごくよく眠れた感じ。」

「遅くはないけど、なんだか目が覚めて、ずっと待ってた。」

「百合ちゃん。」

手をとられて指を触られる。
指輪ははずしてるけど、ずっとそこにあるくらいのうれしさ。

「もう、どこにも行かないって約束だよね。」

「何?」

「ずっと一緒にいるって約束だよね。」

指を触られたまま言われる。

「うん、勿論。ずっとそう思ってたよ。」

そんなこと分かってるじゃない。
あんなに桂馬の抱き枕が馴染んでたのに。

「良かった。そうだと思ってても時々不安だったから。僕が一人で仕事してるときに、百合ちゃんだけ外にいて。たくさんの人に出会って、声をかけたり、かけられたり。」

「それでも、そばにいる。ちゃんとここに帰ってくる。桂馬がいるところに帰ってくるのに。」

「そうだよね。」

指から手が離された。
しがみつくようにして言った私。
そんなこと思ってるなんて思わなかった。

声をかけたのも私、一緒に住もうって言ったのも私。
最後だけは桂馬に言って貰ったけど。
確かに私のペースだった。

目を見て思う。

もっと近くに。



今度こそ桂馬のペースでいいって思ってたのに、昨日とは全然違うペースに私のほうがビックリして焦る。
どんどん押し上げられるように、高められて。
何度も名前を呼んだ。

大好きと続けた。

そのたびに荒い息で返してくれた。

最高の誕生日になったよね。
でも来年はもっと素敵な誕生日にしたい。
これから毎年、何度も繰り返されるのに、それでもそう思う。
もっと素敵な日にしたいって。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

処理中です...