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7 ついムキになって言い過ぎた私の後悔ごと抱きしめて。
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二日間、いつものように過ごして、いつも以上に近くにいて。
個展に出す作品は見せてもらってない。
今はすっかり搬入されて、壁に飾られているだろう。
当日の楽しみにするって言ってる。
知ってる作品もあるけど、初めてもとっておきたい。
結局担当さんにお願いされて、ずっと画廊にいることになったらしい。
人がいないときは画を描いてもいいらしい。
出来るだけたくさんの人が来てくれるように。
葉書を緑ちゃんの分と、友達の分も持つ。
半分以上桂馬を見たいという人がいるだろうけど、作品と一緒に見てもらうとすごく伝わる。
桂馬の良さが。
ついでにうれしい報告も出来るし。
月曜日、緑ちゃんに思い出した残業のお礼を先に言って、指輪を見せた。
目を大きくして、少し泣きそうな顔で喜んでくれた。
「ランチのときにね。」
そういって他の課に行った。
友達に一通り、簡単に報告をして、癒されに来てねとお願いして回った。
明日のランチタイムは報告会だと決められた。
喜んで!!
席に戻っても松田はまだ来てなかった。
今日はバラバラに来たらしい。
遅刻寸前に滑り込んできたから葉書は渡せなかった。
仕事はモリモリとした。
指にキラキラ光る武器を手に入れた私、仕事はなぎ倒す勢いでやっつけることが出来た。
隣の二人に気をやることもなく、ばったばったとやっつけた。
ランチの時間に誘って緑ちゃんを外に連れ出した。
きちんと報告するとおめでとうと言いながらも、やっぱり泣きそうな顔だった。
「緑ちゃん、大丈夫、辞めないんだから。」
これからの挨拶などもまだまだ未定。
二人が意思を確認しただけの日だったから。
大人しく聞いてくれた。
ちょっと緑ちゃんのテンションが上がりきらないのは隣にあれがいないせいだと思ってた。
午後になり、なんとなく違和感はあったけど、さほど気にすることもなく。
本当に私だけが浮かれてて、どうかしてたかも。
翌日、ランチは同期のメンバーと取った。
そこでも指輪を見せて報告して。
個展にも来てくれるって約束してくれた。
駅からも近いし、葉書を買ってくれたらうれしい。
気に入ってくれたらうれしい。
緑ちゃんは一人でランチに行ったみたい。
なかなか帰ってこなくて。
空いた席越しに松田に報告して、葉書を渡した。
「時間見つけて、緑ちゃんと一緒に来てね。」
そういったのに、あいまいな返事で返された。
時間ギリギリに緑ちゃんが帰ってきた。
二人の間に会話はない。
おはようもお帰りも、どこに行ってたのとかも。
一緒にランチしても良かったのでは?
特別変じゃないのに。
さすがにおかしいと感じた。
緑ちゃんを誘って聞き出した。
あの残業がきっかけ?
松田が誰かとデート?
「大丈夫だよ。気のせいだよ。そんなことで怒るなんて。それに、日曜日のことも、同期の子だし、デートなんてしてるつもりもなくて断れなかったんだよ。ちゃんと聞いたら?」
「挨拶もしてくれない。目も合わない。昨日もさっさと一人で帰って。」
「ごめんね。気がつかなくて。大丈夫だから。」
ぜんぜん信じてもなかったから、そう言った。
それでも小さくなってうつむく緑ちゃんの頭を撫でた。
残業のことは私のせいでもある。
何を怒ってるのかわからないけど、絶対許せない。
私には二人の仲に少なからず責任もある。
帰ろうとした松田を捕まえて、非常階段に連れて行った。
仁王立ちして火炎を背に怒りを隠さない私。
「残業を代わってくれたの。その日は私が夕食の約束があったから。」
「知ってる。」
「じゃあ、何で怒ってるのよ。」
「石作さんとホテルに行ったって。そう聞いた。」
「誰に。」
「友達から回ってきた。」
「直接緑ちゃんに聞いたの?ラウンジで食事しただけとか思わないの?実際には高いお肉を奢ってもらったらしいけど。それも多分社内恋愛でハッピーになったから、頑張れって優しい心で応援するためだと思う。だいたい知ってるでしょうに、愛妻家で家族思いで。一番相手になりそうにないのに。」
「知ってる。緑ちゃんが言ってた。『あんな人が理想で、出会いたい。』って。」
「だから?」
「だから、もしかして、・・・・全然連絡もなかったし、待ってたのに来てくれなくて。」
「あ、そう。そんな心の狭い男なら、振られれば。緑ちゃんには責任もって違う人を紹介する。今まで緑ちゃんの事をいいって言ったやつの中から、一人いい人がいるから。筋肉馬鹿はお呼びじゃない。」
そういって非常階段から一人廊下に戻った。
席に戻ったら、緑ちゃんが帰る所だった。
私が松田を追いかけたのは分かってるだろうに。
「お疲れ様でした。」
そう声をかけられて、私も拒否されてる気分になった。
さっき言った一言が悔やまれてくる。
一人思いつくけど、緑ちゃんがずっと松田を見てたのは知ってるから。
そう次に、とはいかないだろう。
あとはあいつが意地を張らずにちゃんと話をすれば元に戻るはずなのだ。
怒りのせいと反省で、キーボードを叩く指が痛い。
石作さんが同じ頃にいなくなってるのは知らなかった。
部屋に帰り着いて、怒りは消えて、反省だけが心を占めていた。
「桂馬~、どうしよう。」
全部話した。
「大丈夫だよ。きっと今頃松田君は後悔して電話してる。仲直りしてるよ。」
「だって他のやつ紹介するまで言ったんだよ。もし松田があきらめたら・・・・私のせい。」
「そんなあきらめのいい男なの?緑ちゃんはそんなに簡単にあきらめられるような子?」
「そんなことない。松田はしつこいくらいだし、緑ちゃんも、松田の変人ぶりにちゃんと答えてあげてる。貴重な素直な子だし。」
「じゃあ、大丈夫だよ。」
「桂馬はそう思う?」
「うん、そう信じてる、確信してる。絶対、大好きならそんなに簡単にあきらめられないから。」
「そうだよね。そう思ってるのに、全然私は役に立たない。私を見るのも辛そうなんだよ。」
「そりゃあ、幸せな百合ちゃんだから。眩しいくらい。そうじゃなかったら、すぐに気がついてたでしょう?」
「うん。本当に鈍感だった。」
「大丈夫。明日まで様子を見よう。きっと元通り・・・・以上の感じになってるよ。」
「そうかも・・・・そうだった・・・・・奢らせる。緑ちゃんを泣かせたお詫びに。」
「緑ちゃんが泣いても、百合ちゃんには関係ない気もするけど。」
「いいの。心配かけさせたお詫びに。」
「美味しいもの食べれたらいいね。明日の夕食はいらない?」
「ランチだよ。邪魔しないから。そんなことしたら私が奢る羽目になる。」
「わかった。でも連絡頂戴。それから買い物するから。」
「うん。うれしい連絡するからね。」
「うん、待ってる。」
個展に出す作品は見せてもらってない。
今はすっかり搬入されて、壁に飾られているだろう。
当日の楽しみにするって言ってる。
知ってる作品もあるけど、初めてもとっておきたい。
結局担当さんにお願いされて、ずっと画廊にいることになったらしい。
人がいないときは画を描いてもいいらしい。
出来るだけたくさんの人が来てくれるように。
葉書を緑ちゃんの分と、友達の分も持つ。
半分以上桂馬を見たいという人がいるだろうけど、作品と一緒に見てもらうとすごく伝わる。
桂馬の良さが。
ついでにうれしい報告も出来るし。
月曜日、緑ちゃんに思い出した残業のお礼を先に言って、指輪を見せた。
目を大きくして、少し泣きそうな顔で喜んでくれた。
「ランチのときにね。」
そういって他の課に行った。
友達に一通り、簡単に報告をして、癒されに来てねとお願いして回った。
明日のランチタイムは報告会だと決められた。
喜んで!!
席に戻っても松田はまだ来てなかった。
今日はバラバラに来たらしい。
遅刻寸前に滑り込んできたから葉書は渡せなかった。
仕事はモリモリとした。
指にキラキラ光る武器を手に入れた私、仕事はなぎ倒す勢いでやっつけることが出来た。
隣の二人に気をやることもなく、ばったばったとやっつけた。
ランチの時間に誘って緑ちゃんを外に連れ出した。
きちんと報告するとおめでとうと言いながらも、やっぱり泣きそうな顔だった。
「緑ちゃん、大丈夫、辞めないんだから。」
これからの挨拶などもまだまだ未定。
二人が意思を確認しただけの日だったから。
大人しく聞いてくれた。
ちょっと緑ちゃんのテンションが上がりきらないのは隣にあれがいないせいだと思ってた。
午後になり、なんとなく違和感はあったけど、さほど気にすることもなく。
本当に私だけが浮かれてて、どうかしてたかも。
翌日、ランチは同期のメンバーと取った。
そこでも指輪を見せて報告して。
個展にも来てくれるって約束してくれた。
駅からも近いし、葉書を買ってくれたらうれしい。
気に入ってくれたらうれしい。
緑ちゃんは一人でランチに行ったみたい。
なかなか帰ってこなくて。
空いた席越しに松田に報告して、葉書を渡した。
「時間見つけて、緑ちゃんと一緒に来てね。」
そういったのに、あいまいな返事で返された。
時間ギリギリに緑ちゃんが帰ってきた。
二人の間に会話はない。
おはようもお帰りも、どこに行ってたのとかも。
一緒にランチしても良かったのでは?
特別変じゃないのに。
さすがにおかしいと感じた。
緑ちゃんを誘って聞き出した。
あの残業がきっかけ?
松田が誰かとデート?
「大丈夫だよ。気のせいだよ。そんなことで怒るなんて。それに、日曜日のことも、同期の子だし、デートなんてしてるつもりもなくて断れなかったんだよ。ちゃんと聞いたら?」
「挨拶もしてくれない。目も合わない。昨日もさっさと一人で帰って。」
「ごめんね。気がつかなくて。大丈夫だから。」
ぜんぜん信じてもなかったから、そう言った。
それでも小さくなってうつむく緑ちゃんの頭を撫でた。
残業のことは私のせいでもある。
何を怒ってるのかわからないけど、絶対許せない。
私には二人の仲に少なからず責任もある。
帰ろうとした松田を捕まえて、非常階段に連れて行った。
仁王立ちして火炎を背に怒りを隠さない私。
「残業を代わってくれたの。その日は私が夕食の約束があったから。」
「知ってる。」
「じゃあ、何で怒ってるのよ。」
「石作さんとホテルに行ったって。そう聞いた。」
「誰に。」
「友達から回ってきた。」
「直接緑ちゃんに聞いたの?ラウンジで食事しただけとか思わないの?実際には高いお肉を奢ってもらったらしいけど。それも多分社内恋愛でハッピーになったから、頑張れって優しい心で応援するためだと思う。だいたい知ってるでしょうに、愛妻家で家族思いで。一番相手になりそうにないのに。」
「知ってる。緑ちゃんが言ってた。『あんな人が理想で、出会いたい。』って。」
「だから?」
「だから、もしかして、・・・・全然連絡もなかったし、待ってたのに来てくれなくて。」
「あ、そう。そんな心の狭い男なら、振られれば。緑ちゃんには責任もって違う人を紹介する。今まで緑ちゃんの事をいいって言ったやつの中から、一人いい人がいるから。筋肉馬鹿はお呼びじゃない。」
そういって非常階段から一人廊下に戻った。
席に戻ったら、緑ちゃんが帰る所だった。
私が松田を追いかけたのは分かってるだろうに。
「お疲れ様でした。」
そう声をかけられて、私も拒否されてる気分になった。
さっき言った一言が悔やまれてくる。
一人思いつくけど、緑ちゃんがずっと松田を見てたのは知ってるから。
そう次に、とはいかないだろう。
あとはあいつが意地を張らずにちゃんと話をすれば元に戻るはずなのだ。
怒りのせいと反省で、キーボードを叩く指が痛い。
石作さんが同じ頃にいなくなってるのは知らなかった。
部屋に帰り着いて、怒りは消えて、反省だけが心を占めていた。
「桂馬~、どうしよう。」
全部話した。
「大丈夫だよ。きっと今頃松田君は後悔して電話してる。仲直りしてるよ。」
「だって他のやつ紹介するまで言ったんだよ。もし松田があきらめたら・・・・私のせい。」
「そんなあきらめのいい男なの?緑ちゃんはそんなに簡単にあきらめられるような子?」
「そんなことない。松田はしつこいくらいだし、緑ちゃんも、松田の変人ぶりにちゃんと答えてあげてる。貴重な素直な子だし。」
「じゃあ、大丈夫だよ。」
「桂馬はそう思う?」
「うん、そう信じてる、確信してる。絶対、大好きならそんなに簡単にあきらめられないから。」
「そうだよね。そう思ってるのに、全然私は役に立たない。私を見るのも辛そうなんだよ。」
「そりゃあ、幸せな百合ちゃんだから。眩しいくらい。そうじゃなかったら、すぐに気がついてたでしょう?」
「うん。本当に鈍感だった。」
「大丈夫。明日まで様子を見よう。きっと元通り・・・・以上の感じになってるよ。」
「そうかも・・・・そうだった・・・・・奢らせる。緑ちゃんを泣かせたお詫びに。」
「緑ちゃんが泣いても、百合ちゃんには関係ない気もするけど。」
「いいの。心配かけさせたお詫びに。」
「美味しいもの食べれたらいいね。明日の夕食はいらない?」
「ランチだよ。邪魔しないから。そんなことしたら私が奢る羽目になる。」
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「うん。うれしい連絡するからね。」
「うん、待ってる。」
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