幼なじみの有効期限は?

羽月☆

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23 懐かしい思い出にもあふれるくらいの小さな愛がある

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自分の部屋のチャイムを鳴らし開けてもらう。

「しおり、ちゃんと僕だって確認してから開けないとダメだよ。」
「もう、タスク、お母さんみたいじゃない。だって駅に着いたって連絡あったし。」
「それでも、あと、自分の部屋でもだよ。」
「・・・・はい。」

ちょっと不満そうな顔かと思えば、何とも不思議な表情で。
もしかして、照れてる?

「ねえ、タスク、お風呂?」
「うん、シャワー浴びたい。しおりいい匂いがする。お腹空いた。」
「すぐできるよ。ゆっくりシャワーどうぞ。」
「嫌だ、すぐに出て来るから。でも急がなくていいよ。しおりが準備するところ見てるから。」

今度ははっきりと赤くなった。かわいい。
思わず満足のにっこり。
だって昨日の反抗期とは差があり過ぎて。

今日は絶対喧嘩はしないと決めた。

そうやって毎日決めれば、本当に言い合いしないで過ごせそう。
今のところ変なボタンは押してないと思う。
昔から急にむくれて、よく謝っていた。

お菓子の最後の一口は絶対しおりにあげてたし、新しいお菓子は必ず一緒に食べ始めたし、しおりが大好きって言ったものは、絶対しおりの分がちょっとだけ多く・・・・なんだか食べ物の事しか思い出せない。

でも他にもあった。

他の女の子と手をつないで走って遊んでたのを見つかった時は、二日間謝り続けた。幼稚園児なのに・・・・・。
しおりのお母さんには逆に謝られた。
それくらい家でもむくれてたんだろう。
それにクラス担当の先生のリボンをかわいいと褒めた時も後で泣かれた。
もう、他にもたくさんあり過ぎるくらい。
なのに自分は平気で他の男の子と遊んでたり、一緒に内緒話をしたり、お菓子をもらっても一人で食べたり・・・・。
なんだか・・・いい思い出だ。

でもこれじゃあ、単に食い意地の張った自分勝手で嫉妬深い女の子みたいで。

そうじゃない。
僕のへんてこな絵を褒めてくれるのもしおりだけ・・・・。
僕が大切にしてたミニカーをなくした時、最後まで探してくれたのもしおり。
神社まで三回も往復して・・・結局部屋で見つけた。
それでも一緒に喜んでくれた。

ぼんやりしてたらくしゃみが出た。服を脱いでる途中だった。
早く出るって言ったのに。
急いでシャワーを浴びてザザッと洗って出た。
すっかり準備が終わっていた。

「お疲れ、タスク。ご飯にしよっ。」
「しおりあんまり夜食べないんじゃないの?」
「うん、今日は昼寝したから、ゆっくり起きてても大丈夫。・・・・・だけど・・・・。」
「うん。そうしたい。ありがとう。」
また赤くなるしおり。

本当に今日はどうしたんだろう?
逆に不安になる自分。
何かの前触れか?
つい探るような目を向けてしまう。

「いただきます。」
お腹も空いてるけどゆっくり味わっていただく。
「しおり、美味しい。」
「タスクまだ飲み込んでないじゃない。一口食べただけじゃない。」
「美味しいよ、すごくおいしい。ありがとう、うれしい。」

今日は褒めるぞ。また真っ赤になってもらいたい。

「あのね、たくさん作ったから、冷凍しておけば、蕪でも、大根でも、じゃが芋でも、豆腐でも、ご飯でも。何でも使えるから。」
「うん、ありがとう。」
本当のお母さんみたい・・・なんて危うく言いそうになる。
危ない危ない。

お味噌汁も美味しい。
味わって食べるつもりだったのにあっという間に食べてしまった。

「ああ、しおり、本当に味わってゆっくり食べるつもりだったんだよ。あっという間に食べちゃった。時間かけて作ってくれたのにね。」
「大丈夫。気にしないで。今日は片づけもするからゆっくりしてて。コーヒーがいい?お茶にする?」
「緑茶飲みたい。」

今の内に歯磨きをする。
満足なお腹をさすりながら。
お茶を飲みながら待つと、片づけをしたしおりが横に来る。
くっついて座りながら、さっき思い出した思い出を語る。

「ね、さっき小さい頃のこと思い出していた。」
「何?」
「しおりさあ、僕がハナちゃんと手をつないだって怒って、本当に二日間くらい口きいてくれなかったことあったよね?覚えてる?」
「・・・・・・うっすらと。」
「あの時しおりのお母さんがこっそり謝ってくれたんだ。でもしおりは僕じゃない男の子と平気で手をつないだり、内緒話したり。結構僕をイライラさせてたよね。それは覚えてる?」
「・・・・まあまあ。」
「小さかったのに、なんだか笑えるよね。可愛いかったなあって思って。」
「実は今日お母さんに電話したの。何してるのって言われて、タスクの部屋に泊ったって、夜ご飯作るって答えたの。喜んでた。今度一緒に帰るからって言ったの。その時に伝えることは伝えて、意地を張らないで話をしなさいって。昔からいつも私が勝手に怒って、タスクがごめんねって謝ってたけど、もう大人なんだからねって。なんだか昨日のことを言われたみたいで。タスクの今の話もやっぱり私のわがままみたいな話で。ごめんね、昨日も。タスクは悪くない・・・・ちょっとしか悪くないよ。ちょっとだけ皆に優しいだけで、ちょっとだけ皆に甘いだけで。でも皆にはちょっとだけだけど、私にはすっごく甘くて優しいって分かってるから。でも心配で。ごめんね。私全然変わってないよね。成長してないよね。」
「いいよ、別に。それがしおりらしいところだし。でも喧嘩はしたくないから分かりやすく説明してね、ぼくは鈍感だから。」
「そんなこと・・・ない・・・こともないけど。それはタスクのいいところだから。」
「本当にそう思ってる?」
「う・・・・ん、どうだろう。」

笑ってしまう。そんなことはお見通しだ。

「タスク、食べ過ぎて動けない。」
「時間はあるよ。夜更かししてもいいんでしょう?」
「うん、でもあっちで夜更かしでもいい。」
しおりが寝室を指す。
「うん、・・・・・まだ駄目。2人とも太るよ。」
そう言いながらも抱きしめてキスをして、抱き合う。
明るい中で表情を確かめ合う。
いつもこうなら絶対間違わない。
不安になったらちゃんと顔を見ればいい。

「ねえ、タスク・・・・。」
しおりが甘えてくる。
どんな表情をされても完敗なんだ。
怒っても甘えられても無視されても。じっと見られるだけでも。
でも意地悪したくもなる。

「もう少し。しおりの顔が見たい。またしばらく見れないから。」
「週末には来るよ。」
「遠いよ。ずっと先だよ。」

キスをしながら甘い会話をする。
しおりが僕のパジャマのボタンを外す。全部外して指でなぞるように触る。

「くすぐったい。」
「ねえ、本当に誰ともこんなことしてないの?」
「してないよ。しおりが思うほど僕もてないよ。全部兄さんが持ってたんだよ、いいとこ全部。」
「そんなことないよ。タスクは光輝さんより全然いいよ。」
「しおり、もし兄さんが2個くらい上で、いつも一緒に遊んでたら・・・それでも僕を選んだ?」
「うん。私は絶対タスクを選んだよ。」
「・・・・・そうかなあ?」
「うん。そう。」
「ずっと思ってたんだ。兄さんと年が離れてて良かったって。顔も頭も全然敵わないし、要領いいし。しおりも絶対兄さんを選んだだろうって。」
「そんなことないのに。だって存在すら忘れてた。せっかく小さい頃遊んでくれたのに『お隣さんの結婚』ってお母さんに言われた時も全く思い出さなかった。」
「まあ、いいや。兄さんには真奈さんがいるし。」
「そう、あの人はタスクの隣じゃダメ。」

そういえば最初会った時には隣にいた。
あれが完全に勘違いの元だったんだろうなあ。

「しおりは・・・・告白とかはされなかった?潮田君以外。」
「うん、まったく。お姉さんたちには可愛がられた。」
「しおり、こんなにかわいいのに。」頬に触れながら思う。
「まっすぐな髪もきれいだし、目もキラキラしてるし、口も美味しそうだし、他も全部可愛くて美味しそうなのに。・・・・食べたい。しおり。あっちに行く?」
「行くってば・・・、さっきから何度か言ってるのに。何でここにいるの?」
「だって見たいんだもん。しおりの顔。感じてるときの色っぽい顔。誰にも見せてないんだからいいでしょう。僕だけしか知らない顔だから。もっと見たいんだもん。」
「タスク、俺って言ってもいいのに。好きだけど、俺って言うの。」
「偉そうとか言ってなかった?」
「だって。」
「ねえ、我慢してたの?昨日。それとも本当に感じなかった?」
「何でまたそんなこと聞くのよ。我慢してたの。口を閉じてタスクを見ないようにして。」
「そんな悲しい事はもうしないでくれるよね。」
「うん、しない。もうしないよ。」
「夜更かししたい。」
「いいよ。」
「何度もしたい。」
「いいよ。」
「いいの?」
「何でそんなに驚くの?」
「だって・・・・わかんないから。」
「分かったでしょう、今。」
「うん、分かった。」
「・・・・もう、いい加減にあっちに行く。タスク・・・おねがい、あっちに行くの。したいの。」
「いいよ。」
「やっぱり偉そう。」
「俺の部屋だもん。」
「『俺』で始めたら『もん』で終わると変。」
「いいの。」

小さい頃からわがままで、とにかく僕は振り回されてたのかもしれえないけど、それでも嫌だなんて思ったことはなかった。
二日も謝り続けた自分。
黙って目も合わせてくれなくて、返事もしてくれない、振り向いてもくれないしおりの後をくっついて。お母さんにも謝られるくらい必死で謝ってた小さい自分。
しおりの周りをくるくる回って、しおりの向いたほうに行こうとする自分。
それはやっぱり一番に自分に甘えてくれるしおりが大好きだったから。
どんなにいじめられても、いい思い出しかないから。

「タスク・・・・もっと、もっと」

求められれば、深く深くもっともっとあげたくなる。
しおりの体もすっかり自分の体に馴染んできた。
自分の一部・・・と言わず全部、しおりに馴染んでて勝手に敏感なところを探る。

「タスク、・・・・そこ・・・いい。」

ほら、絶対うまくいく。
何度も何度も繰り返したい。

でもさすがに夜更かしにも限度はあって。
そういえば・・・今日は朝も・・・・。


注文しなきゃ・・・・・。今日は想定以上の消費。
うっかり切らしたなんて言ったら怒られるかも。

最後にそう思った。




       

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