関係者の皆様、私が立派な大人になれるその日まで、あと少しだけお待ちください。

羽月☆

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9 歓迎会のサプライズゲストと驚いた落ち方。

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金曜日、さすがに三人部屋の雰囲気にも慣れた。

朝、驚くこともない。

少しづつ朝陽が雑用仕事を彼女に渡していた。
それでも大したことはない。
社内に回す資料をまとめたり、物品の請求だったり、終わった仕事のラベリングだったり、新しくかかわった人や会社の登録だったり。

ほとんど仲のいい兄妹か、師弟関係かというくらい。
笑顔で見つめ合い、息を合わせて、素晴らしいくらいだ。

それにしても馴染みがいい、本当に『いい拾い物』だったのでは?
彼女の受けたセミナーも多岐にわたる。
律儀に関係ない趣味と思われるものまで書いてあった。
いつか役にたったら彼女もうれしいだろう、そう思った。


「ねえ、大曲さんてちょっと呼びにくいから、『芽衣さん』でもいいかな?」

ずっと楽しそうな会話が聞こえて来ていたが、それには驚いて思わず朝陽を見た。

「はい、皆がそう言って、ずっと下の名前で呼ばれてました。」

「五月生まれの『芽衣さん』だよね。」

「はい、そうです。家族全員、五月生まれなんです。」

「へえ、誰が誰を祝うか分からないなあ。」

「皆で一斉にケーキのろうそくの火を消してましたよ。」

「じゃあ、社長もよろしかったら、『芽衣さん』で。」


本当にクールな朝陽はどこに行ったんだ?
人格が変わってるかのようだ。

朝陽をじっと見ていたら、その横で真顔の『芽衣さん』に気が付いた。

「まあ、おいおい。」

そう答えておいた。

・・・呼ぶわけないだろう。


電話が鳴った。
もう終わりの時間だ。
今日は歓迎会の予定だった。

「じゃあ、ご案内お願いします。」

そう言って朝陽が電話を切った。
きっと先生だろう。

残りの仕事をすべく急いだ。

朝陽が仕事をしてる気がしないんだが。
気のせいだろうか?
もしや今まで、パソコンに向かってひたすら美味しいお店リストでも作成していたのかと疑いたくなる。
彼女とじゃれてる時間の長い事、長い事。


その内ノックの音がして朝陽が出迎える。

「お疲れ様です。みんな元気ですか?」

先生が嬉しそうに入ってきた。
朝陽が案内役の社員にお礼を言っている。

「教授。」

ビックリしたらしい彼女。
サプライズゲストだったのか?
朝陽を見るとこっちを見てにっこりしてる。
そうだったらしい。

「芽衣ちゃん、親切にしてもらってる?」

「はい、勿論です。とっても優しいです。」

朝陽が・・・・だろうが。

「良かった。全然やつれてないし、少し綺麗になったね。笑顔も明るくて安心したよ。」

どんな心配してたんだ。

「教授、本当にお世話になりました。元気に働いてます、と言ってもまだ研修中です。まったく役には立ってませんが。」

「そんなことないよ、芽衣ちゃんがいるだけでも雰囲気はよくなると思うよ。男二人で部屋にいるよりはよっぽど健全だし、華やかだよ。」

健全って何だ?
今まで不健全だったと言うのだろうか?
初めて来てそれはないですよ、先生。

「先生、今まで何度かお誘いしても全く顔を出してくれなかったのに、大切な教え子の力は偉大ですね。」

「ほら、大学辞めて暇になったから。でも立派じゃない。安心したよ、改めて。」

「ありがとうございます。不健全ながらも二人で何とかやって来てましたよ。」

「ん?」

先生が自分の言ったことも忘れて・・・もしくはとぼけてる?

「先生、今日は可愛い芽衣さんの歓迎会ですので、楽しくお酒が飲めますよ。帰りは心配なさらなくて結構ですから。」

更に彼女が驚いて朝陽を見る。

「主役は芽衣さんですが、影の主役は先生です。上司二人だとあんまりリラックスできないよね。」


「ありがとうございます。教授、またご一緒できて、うれしいです。」

「うん、僕も、うれしくてホイホイと誘われました。昨夜眠れなかったくらい。」


耳は機能してるが仕事に集中する。

「朝陽、仕事は終わったのか?」

「はい。」

なんだと。
やっぱり美味しいものリストを作っていたのでは疑惑が確信に変わってきた。

「後少し、お待ちください。」

「手伝いますか?」

「ああ・・・・いい。後二十分。」

「先生、椅子へどうぞ。おかけになってお待ちください。」

「ああ、教授こちらへ。私は先に後始末してきます。」

そう言ってポーチと水筒を持って出て行った彼女。

あと少し。

出来上がった書類を印刷してファイルに挟む。
月曜日の予定を朝陽に確認して、漏れがない事を確かめた。


彼女が帰って来たら、自分もパソコンを閉じて、準備をする。


エレベーターで仲良く降りてタクシーを捕まえて移動する。
隣に彼女、その向こうに先生。前には朝陽。
まあ、こうなるか。

「教授、今は何をされてるんですか?」

「特に何も。日々散歩と食事と・・・・奥さんの買い物の荷物持ちくらいだね。」

「奥様と一緒に習い事なんてどうですか?」

「それは奥さんが1人の時にさんざんやってるんだよ。今はのんびり旅行でも行こうかって計画してるんだ。」

「素敵です。いいですね。きっと楽しめます。」

「芽衣ちゃんは?週末はどうしてるの?楽しい予定はないの?」

「特にないです。残念です。そっちも教授のお世話になるかもしれません。私が落ち着いた大人になるまで、まだまだ元気でいてくださいね。」

「勿論。数か月前にも同じセリフで長生きするように言われた気がするよ。」

「誰かに頼まれました?紹介してくださいよ。」


息を殺した。
先生こっちを向かないでください。
そっと窓の外の流れる景色を見た。


「その内にね。でも出会いはご縁だからね。芽衣ちゃんはまだ若いしね、たくさんの人に出会って、いい人を選び取るんだよ。」

「だって、一人出会えるかも怪しいのに・・・・。」

なんだか外野は無視のような会話が続いてるが。
油断し過ぎだろう。

朝陽すら大人しくしてる。
そっと視線を前に戻して横顔を見る。
珍しく真面目な顔をしてる。


タクシーが着いたのは初めてのホテルだった。
でも教授を送るにはいい場所かもしれない。
多分帰りの事を思ったんだろう。

「着きましたよ。芽衣さん、仕事仲間がいるって忘れてませんか?」

「あっ・・・・すみません。」

本当に忘れてたのか?
社長が隣にいたのに。
どれだけ緩んでるんだ。

それだけうれしいと言うなら朝陽のサプライズは大成功だろう。


個室に通された。
ホテルの中でまさかの和室、畳敷き。掘りごたつ。
畳の匂いが落ち着く。


日本酒をちびりちびりと飲みながら、楽しそうな彼女。
先生を中心に話は盛り上がる。

あの頃、これほど長く付き合えるとは思わなかった。
朝陽がいてのものかもしれないし、今から始まる関係は彼女がいてのものだろう。
本当に長生きして欲しい。もちろん、まだまだ大丈夫そうだが。


「芽衣さん、お酒は結構大丈夫?」

「はい。大丈夫です。」

既に先生と同じペースで飲んでほろ酔い加減に赤くなってるが。
大丈夫と言うなら大丈夫なんだろう。
確かここからは電車でも帰りやすいと思ったが。


「学生の頃、一度だけ寝ちゃったことがあるよね。何でだか、普段は強いのに、安田君が連れて帰ったけど。」

「あれは途中でちゃんと目が覚めました。朝までファミレスでアンとおしゃべりして、自分の家に帰りました。」

小声になる。

「気をつけないとダメだよ。今日はいいけど、あんまり無防備だと心配だからね。」

「あれ一回だけです、大丈夫です。」

前科者か。
マイペースで日本酒を飲みながら聞く。

さすがに先生がいるとすっかり朝陽も大人しいじゃないか。

「で、芽衣ちゃんは、社長室にいるの?」

「先生、本当にいい人を紹介してもらいました。今は研修中ですがそう教えることもなく、毎日実力テストみたいなものです。今週でテストが終わって来週からはいろんな課を転々としてもらって、その後、配属は考えます。」

朝陽が言い切る。
秘書二号じゃないのか?
楽をする予定は?

「そうなんだ。頑張ってね、芽衣ちゃん。」

「はい。」

しっとりと落ち着いた声で答える。
はっきりトーンダウンしてるぞ。


静かになった個室。


「最後にいいつながりを作れてよかったなあ。」

先生がしみじみ言う。
最後って・・・・。
最後の年の教え子で最後だったんだろうけど。



今更ながら先生と奥さんの馴れ初めを静かに聞いていたら、一番感動しそうな声が聞こえなくて、ふと見ると目を閉じている?
じっと見てるみるが、動く気配はない。


朝陽が先に視線に気が付いて小さく名前を呼んだ。

「芽衣さん?」

開かない目、起きない彼女。寝てる!!

もしやとっくに学生には開陳されてた話だったのか?
だから目を閉じたのか?

朝陽がゆっくり横に倒して寝かせる。

「朝陽、今は起こすところじゃないか?」

寝かせてどうする。

「緊張で疲れてるんでしょう。先生に会って一気に緊張も緩んでたし。少し寝かせましょう、社長。」

「・・・・任せる。」


先生も孫を見るような目だが。

その先生が人の脱いだジャケットをわざわざ引き寄せて上にかけた。


そこは朝陽のジャケットをかけてくれ。
目で訴えたが知らぬふりをされた。


「どう?実際は。」


「朝陽の言った通りですよ。本当にいろいろとセミナーも受けていたらしいですし、基本は問題ないので、後は適性と本人の興味だけです。朝陽は秘書二号って言ってましたが。本当にいい人材を紹介してもらったと思ってますよ。」

「そう。ありがとう。うれしいね、そう言ってもらえると。」

「最後の年に心残りを作るところだったよ。奥さんともいろいろ話をしてたんだけど、こればっかりはね。」

「これもご縁です。大切に育てて、ご期待に応えるようにします。彼女もそのつもりでしょうし。」

朝陽が言う。

主役が沈没して大人モードだ。

最後にご飯と香の物、デザートも来るらしいが。

デザートはいいのだろうか?
テーブルの下をのぞいてみる。
安らかに・・・・じゃなくて、安心してるように寝てる。


「デザートで起こさないと後で泣かれないか?」

「今度社長のポケットマネーで和風デザートを買って来ましょう。」

「それでもそろそろ起こさないと。」

「電車は無理ですよ。送ってあげてください。雇用者の義務でしょう。」

「朝陽でもよくないか?」

「社長と先生が同じ方向です。自分だけが違う方向なのが残念です。」

マジか・・・・。自分が送る役目なのか?
さすがに先生には頼めない、彼女を見て、朝陽を見る。


「ご挨拶もしておいた方がよくないですか?ご両親も安心するでしょうし。」

引き受ける気は全くないらしい。


「いつもあんなに面倒を見て、恐ろしいほど仲良しなのに、何で、今はこっちに放り投げるんだ?」

「だから同じ方向でしょう?」

「ごめんね。起きるとは思うけど、電車じゃ心配だし、一人でタクシーも心配だし。」

「分かりました。その代わり全力で起こしてくださいね。」

あと十分くらい寝かせておこう。
朝陽がタクシーを頼んで、会計も済ませて来てくれた。

「芽衣ちゃん。」

先生が優しく起こしている。

何度か呼んだら返事はあった。

動かないが・・・・。

「社長に送ってもらうから、帰るよ。起きて。自分で歩かないと明日の朝、恐ろしいほど後悔するよ。」

「はい。」

返事はあった。
寝ぼけてても、いい返事が出来るらしい。

タクシーが来たと告げられた。

先生が多少強引に体を起こして目が開いた。
ズレ落ちた上着を手にしてるが、返して欲しい。

「社長の上着だから返そうね。起きた?大丈夫?」

「はい。」

ふらつきながら立ち上がるのを朝陽が手伝って、奇跡のようにタクシーまでは歩いてくれた。

「朝陽、彼女の家の電話番号分かるか?」

教えてもらって電話をする。
住所を二か所、先生の分と彼女の家の分を朝陽が渡してくれている。

『遅くにすみません。芽衣さんの上司の春日と申します。初めまして。今日はお聞きでしたでしょうか、歓迎会で狭間教授と一緒に盛り上がってしまい、ちょっと途中寝てしまいまして。今からお店を出まして、教授の家を経由してから、責任もってご自宅までお送りしますので、ご心配なさらずにお待ちください。はい、今は目が覚めてタクシーにも自分で乗りましたし、気分は悪そうではないので、ご安心ください。はい、失礼します。』

ふぅ~。

「じゃあ、社長お願いします。」

朝陽にお願いされて、横で先生が済まなそうな顔をしている。

「じゃあ、行きましょうか?」

そう言うしかないじゃないか。
彼女の母親にもそう言ったし。

先生には前に乗ってもらう。
彼女は大人しく目を閉じているが、また寝たのか・・・・・。

朝陽に手を振り、ちょっと睨みつけて、出発する。

そう遅い時間じゃないからいいとしよう。

「大曲さん・・・・。」

返事もない。

「先生、また寝たようですが。」

「歩いてくれただけでも良しとしましょう。」

「朝陽が毎日すごく楽しそうに面倒見てます。ここにいるのは朝陽でもいいのに。」

「多分重ねて見てしまうんじゃないかな、妹と同じ年の頃だと思うよ。」

・・・・・そうだったのか?
まったく思い至らなかった。
実はそのあたりも、あんまり詳しくは聞いていない。


その存在も酔った時に口にした一回きりだった。

先生は自分よりはもっと詳しく朝陽の事情を知ってるのだろう。

そう言われると何も言えなくなるが・・・・・。
妹でいいのか?


「まあ、もともと面倒見はいいし、自分が表に立つタイプじゃないって分かってるし。」

俺も自分はそっちだと、そう思ってるんだが。

先生の家はそう遠くない、家の前でお礼を言って、またの再会を約束して別れた。

タクシーに戻る。ドアが閉じる音にも全く反応せず。
今起きられても実際は困るのだが。
ナビを見るとあと30分少しらしい。
夜ならもう少し早いかもと言われた。

しょうがないので座席にゆったりともたれて座り、静かにラジオの声を聞いていた。

前の車が急停車したのか、思わず踏まれたブレーキに体が前のめりになる。
運転手に謝られたが、手を出して彼女の体が前に行くのを止めた。

さすがに起きたのか、うっすら目が開く。

「大曲さん、起きてくれるかな?そろそろ道案内してもらえると助かるし。」

「はい。」

返事とともに半分くらい空いた目のまま、ぼんやりしてる。

体を支えた手を離す。


「ご自宅には電話したから、お母さんが待っててくれてると思うよ。」

「はい。」

「気分は悪くない?」

「はい・・・・大丈夫です。」

「そう。」

ゆっくり座席にもたれたまま、前を見る二人のまま。

たらしていた手が触れた。
ビックリしてゆっくり引いた。

「春日さん・・・・。」

「何?」

横を向くとうっすらと見上げてる。


「私は、会社に必要ですか?」

まさかの質問だ。
あんなに楽しそうに朝陽とやり取りしてるのに。
評価もされてると分かってると思ってたのに。


「もちろんだよ。朝陽だって評価してるよ、伝わってるよね。今日だって先生にお礼を言ったくらいだよ。大曲さんが寝てた間にも。」

「郡司さんは、優しいから・・・・・。春日さんは?本当にそう思ってくれてますか?」


朝陽は優しいから、逆に分からないと。
自分は優しくないから本当のことしか言わないだろうと、そういうことなんだろうか?
そこまで深く考えて無いにしても・・・・・・。


「社長は?どうですか?春日さん。」

「必要だよ。大切に育てて、いずれはもっと実力を発揮する部署を見つけて役に立ってほしいと思ってる。楽しみにしてるから。」

思った以上に自分の言葉が優しく響いた。

目を閉じた彼女がそのまま少しだけ倒れてきた。

「良かったです。春日さんの言葉を信じます。よろしくお願いします。」

目を閉じたまま、軽く重みが加わる。

そう、見た目ほど簡単に馴染むものじゃないのかもしれない。
ただ一人、しかも社長室。

上司がいない一人の時のあの時間、空を見て、背伸びするくらいのリラックスした時間は、自分たちがいると持てないだろう。

さて、朝陽にどう言ったものか。

本人が覚えてるかどうかも怪しいだろう。
こんな状態ですっかり寝てる今、寝ぼけてたんだとも思われる。

ナビを見るともう少しだ。

「大曲さん、起きて。そろそろ着きそうだけど。」

「はい。」

また返事だけがいいパターン。

「コンビニ、セブンが見えたけど、近いかな?」

「はい。その裏を入ったところです。」

ナビを見るとそうなってる。

同じように運転手さんも確認したようだ。

「目を開けて、お母さんが心配するよ。電話してくれると嬉しいんだけど。」

「はい。」

やはり返事だけで。
しょうがないので、揺り起こした。

「芽衣さん、起きて!!」

ぼんやりと目が開き、ビックリしたらしい、目がきちんと開いた。

ビックリして体を引くので、急いで腕から手を離した。

「大丈夫?覚えてる?」

キョロキョロする彼女。

「タクシーの中だけど、暗いけど、家は分かる。セブンを曲がって入ったところだよ。」

ライトの中の景色に目を凝らす彼女。

「はい。」

やっとちゃんとした返事になった?

「家に電話してくれる、お母さんにお詫びをしたいから。」

「この辺ですか?」

運転手さんが聞く。

彼女が携帯を耳に当てて、返事をする。

「はい、ここです!」

タクシーが急にブレーキをかけて止まった。

不安定な彼女の腕をつかんで支えたのも一瞬、すぐに手は離した。

さっきのは完全に寝ぼけてたんだろう。
覚えてないだろう。

暖かそうな明かりがついた家から人が出てきた。


「あの、ありがとうございました、すみません、寝てしまってて、ご迷惑をかけました。」

「大丈夫だよ。ちゃんと歩いてタクシーには乗り込んだし、さっきもセブンのところの道案内は大曲さんがしたんだから。」

「はい・・・・・。」

「お母さんかな?」

ドアが開いた。一緒に外に出て挨拶とお詫びをする。
逆に二人に並ばれて謝られた。

「疲れてるだろうから、ゆっくり休んで、また来週。」

「本当にお世話になりました。ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」 

二人に言われて。

「じゃあ、おやすみなさい。」

そう言ってタクシーに戻って出してもらった。

ふう。

「どちらまで?」

「来た道を戻ってもらうようですが・・・・・。」

さすがに電車で帰ろうなんて思わない。
自宅まで送ってもらった。

車内から煌々と眩しいお店の明かりが通り過ぎるのを見ていた。
ひとりの帰りの道のりは早かった。

部屋に戻り、ぼんやりと窓の外の夜景を見る。

いやに寂しく感じられる。

いつもと変わらないはずの週末の一人も、なんだか静かに感じる。

ソファに寝転がり、そのまま目を閉じたら、次に目を開けたのが明け方だった。
ゆっくり起きだして、ベッドにもぐりこんで寝た。

小さい頃の懐かしい記憶を思い出してた気がしたが、無関係な夢だったのかもしれない。
古い記憶の中の家を思い出した気がしたんだが。




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