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24 さりげなくずらされた時間にホッとしてしまう。
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朝、起きた時には酷い顔になっていた。
それは当然で。
きっと何も知らない朝陽さんに心配される。
社長もさすがにこんな顔では外に連れて行こうとは思わないだろう。
それとも全然見てない?
だってすごく近くにいても、見てなかったんだよね。
そこにいるのが私だって認識してなかったんだよね。
ちょっと雰囲気も違うって喜んでた私。
そして、私が怒るより、間違った・・・・その、彼女・・・に失礼、そっちが怒るのが筋?
全然忘れてないから、そんなに簡単には・・・・出来ないことだってある。
嫌だったら、ビックリしてもよけてたのに。
そこまで反応は鈍くない。
ビックリしたけど、近くに来られても逃げずにそこにいたのは自分で。
何?望んでた?うれしかったの?
それでも誰かの代わりでもいいなんて・・・・思うはずはない。
ため息をついて顔をあげる。
朝陽さんより先に、お母さんにもお父さんにも心配をかけてしまう。
リビングに行くとお父さんはいなかった。
「おはよう。」
「おはよう、芽衣。」
こっちを見たお母さんがやはり顔を見てがっかりしていた。
「大丈夫だから。気にしないで。」
「そんな訳にはいかないわよ。でも早く元気になってね。」
「うん、お父さんは?」
「今日は早く出て行ったの。良かったわよ、お父さんが心配するから。」
「今日は何か元気になるデザート買ってくる。お父さん早い?」
「その予定だけど。」
「じゃあ楽しみにしててね。」
「うん、ご飯は?」
「食べるよ。お腹空いた~。」
そう言ってもなかなか飲み込めずに。
コーヒーを飲んで、用意されたものを食べて。
何だか手を抜いたような化粧をして、これまた適当な服を引っ張り出して、出かけた。
アクセサリーを忘れた。
まあ、いいや。
どうせ・・・・ちゃんと見てもいないんだから。
ただ、別に社長のためにきちんとしてたわけじゃない。
ハッピーなOLライフを望んでて、いろんな偶然と、予感と、刺激を・・・・・。
こんな油断した日に、エレベーターで声をかけられた。
「おはよう、芽衣ちゃん。」
あ~、なぜ今日なんだろう。
「おはようございます。」
振り向いたら、やっぱり堤さんだった。
あれって顔をしたけど、そこは大人だった。
「堤さん、おはようございます。今日は寝坊をして、いろいろ適当なんです。出来たらスルーしてもらいたいくらいの・・・・。」
「ごめんね。後ろからじゃあ分からなかった。」
「冗談です。いつもそんなに気合入ってるわけじゃないです。ただ今日が手抜きなだけで。」
「経理が山を越えたら、また一緒に飲もうね。」
「はい。また誘ってください。」
手を振って先に降りていく堤さんを見送った。
もう一つ上の階に行き、ゆっくりと廊下を歩く。
先に来てるだろうか?
また胸が重くなる。
ドアの前で深呼吸してノックして入った。
二人とももう来ていた。
社長一人より良かったと思おう。
「おはようございます。」
「おはよう、芽衣ちゃん。」
ちょっとだけ二人の探る視線を感じる。
朝陽さんはどうかしたのかなと心配するような、社長は申し訳ないと思ってくれるような?
よく見てないけど、多分そんな感じ。
二人が朝礼でいなくなった合間に鏡を見る。
少し直そうと思っても、厚塗りで白い顔が出来上がるだけだと思ってやめた。
お昼は買って来たから、外には出ないで・・・・・・って社長が出ないパターンを考えてなかった。
思い出す、どうだったかな?
昨日は何も言われなかったから。
タブレットを見て、予定をチェックする。
外回りはないらしい。でもランチくらいは外に出て欲しい。
もし二人が外に出ないようだったら、時間をずらして自分が外に出よう。
帰って来た朝陽さんに声をかける。
いつもと変わらないように普通に。
特に今日急ぎの仕事はない。
「朝陽。」
社長に呼ばれて朝陽さんが顔を向ける。
「はい。」
「ちょっと外に出てもいいか?」
「はい、特に今日はどなたとも約束は頂いてませんので。どちらへ。」
「何かあったら携帯へ連絡してくれ。昼過ぎに帰る。」
社長が先に出て行った。
行ってらっしゃいと声をかけたのも、見送ったのも朝陽さんだけ。
私はジッとしていた。
ドアが閉まって、少しホッとした。
「じゃあ、私はいつものように。」
「うん、何だか今日は仕事したい気分じゃないね。社長もいないし、新しいレストランに行く?」
「すみません、ちょっと体調が今一つで。せっかくなら体調のいい時に行きたいです。」
「分かった。」
それからは普通に仕事をして。
あまり効率は良くなかったかも。
疲れてもいないのに、さも疲れたかのように首を倒し、腕を回して、椅子の上で背伸びをして。
「芽衣ちゃん、お茶にしよう。」
「はい。」
「じゃあ、これね。お茶いれてくる。」
そう言っていつものように給湯室に行った朝陽さん。
私は出されたお菓子・・いつも引き出しには何かがあるらしい・・・を開けて待つ。
トレーに紅茶を二人分のせて、朝陽さんが戻ってくる。
「芽衣ちゃん、最近どう?」
漠然としていて、いろいろと考えるけど。
お母さんにもいろんな話をしてて、時々どっちに何を話したのか分からなくなる。
「そういえば、堤さんが一人暮らしをしてるって話になって、今更ですが家事手伝いをした方がいいってことになりました。」
「何?急に思いついたの?」
「だってあまりにも何もしてないと気が付いたんです。本当に甘えてるんです。」
「もしかして全部お任せコースなの?」
「はい。部屋のゴミを捨てるのまで。あ、これはさすがに堤さんには言えませんでした。あ、呆れてますか?」
「お母さんが・・・・偉いね。」
「楽しんでやれないんだったら家事なんて面白くないからって、誰かのためとか、そんな思いがあるんだったら上達するからって言われました。」
「ふ~ん、それでその誰かが見つかったんだ?」
「違います、朝陽さん。先に言ったじゃないですか、ちょっと他の人の話を聞いて改めて反省したって事です。」
「そう?いないの?」
そうやって顔を覗き込まれて、思わず後に体が動く。
それを誤魔化すように下を向く。
「いません。」
もし、朝陽さんが知ったら、どう思う?
下の階に行かされるかもしれない、きっとそう。
社長は朝陽さんとのことを誤解しても平気そうだったけど、朝陽さんはどうだろう。
「朝陽さん、やっぱり私は・・・・・。」
でも今言ったらおかしいかも、不自然だし。
せめて来月まで、我慢する。
下の階へ行きたいって言うのは、今はやめる。
「なに?私は・・・・?」
「・・・・・苦手みたいです。毎日やってるお母さんが偉いって思います。」
「そうだね。大変だよね。でもちゃんと感謝してるし、芽衣ちゃんがいい子だし。それでいいんじゃないの?」
「朝陽さんはいい人です。いつも欲しいセリフを言ってくれます。それに朝陽さんも一人暮らしじゃないですか?ちゃんと一人でやってますよね?ゴミ出しも、アイロンもきれいにかかってます。」
「僕は1人だから、贅沢はしないから、その分自分が楽するためにお金を使えるんだよ、だからクリーニングだよ。洗濯とアイロンはプロにお願いしてます。多分社長もね。掃除は勝手にしてくれる掃除機の相棒がいるし。」
「いいなぁ・・・・・。」
「今、それなら私も少し楽できるなあって思った?」
思ってました。全力で。
「分かりやすいね。どうしても向いてないって思ったら社長にプロポーズしてみたら?きっと同じレベルだよ、食事もあんまり食べないから、作らなくていいし。汚さないから掃除も楽そうだし。」
「冗談はやめてください!」
思わず大きな声になってしまった。
「もう、社長の彼女に怒られます。どうせ相手にはされないでしょうが。」
自分で言って胸がまた痛くなる。
重いというより、ずっと・・・・痛い。
「何か聞いたの?」
「何をですか?」
「彼女とか言うから。そんな話をしたの?」
「いいえ・・・・別に・・・・。」
「そう。」
聞いてはいけない事だったのだろうか?
何も知らない。
仕事では少し愛想がいいって事しか知らないから。
会社の皆が謎って思ってるくらいだし。
「朝陽さんは、どこの出身ですか?東京ですか?」
「うん、まあ、そうだよ。」
曖昧な返事。
「もう、何で二人とも曖昧な返事をするんですか?二人とも東京出身なんですね。だって言葉も普通ですしね。これですごい方言が飛び出したりしたら、驚きますよ。」
「どこの設定?京都とかだったらそう驚かないよね、沖縄とか、寒い地方の方言とか期待してる?」
「はい、いきなり濁音だけの言葉で話し始めたらびっくりです。」
「でも今は地域の方言もなくなってきてるみたいだよ。残念ながら自分が披露することはないな。そう言う芽衣ちゃんはずっと東京でしょう?」
「はい、だから普通です。友達は地元の友達と電話するとバイリンガルレベルに言葉が変わりました。全然分からないです。音の羅列にしか思えませんでした。」
「それは貴重なサンプルじゃない?でも、面白そうだね。」
「はい。・・・・朝陽さんは好きな人はいないんですか?」
「いないよ。どうして?」
「いえ、優しいからもてるんだろうなって思って。」
「でもさあ、芽衣ちゃんが彼女の立場で、僕が彼女でもない女の人に優しくしてて、社長の留守中にお茶までしてるって、そんな彼氏だったらどう?」
「どう・・・・でしょうか?知らなければ、いいかな。知りたくはないですが。」
「優しいのがもてるのなんて最初だけだよ。その内嫌になるよ。」
「だって仕事じゃないですか・・・・・・。」
「そう思ってるうちは、そんなに本気で好きじゃないんだよ。」
「社長みたいな、いつもクールなタイプが自分にだけに、優しくしてくれた時のほうが嬉しいでしょう?」
「・・・分かりません。」
そう言ってお茶を飲み干した。
「あんまりサボったらさすがに叱られますね。」
片づけはやりますと言って任せてもらった。
『社長みたいな』って言われても何も想像できないから。
黙るしかない。
それは当然で。
きっと何も知らない朝陽さんに心配される。
社長もさすがにこんな顔では外に連れて行こうとは思わないだろう。
それとも全然見てない?
だってすごく近くにいても、見てなかったんだよね。
そこにいるのが私だって認識してなかったんだよね。
ちょっと雰囲気も違うって喜んでた私。
そして、私が怒るより、間違った・・・・その、彼女・・・に失礼、そっちが怒るのが筋?
全然忘れてないから、そんなに簡単には・・・・出来ないことだってある。
嫌だったら、ビックリしてもよけてたのに。
そこまで反応は鈍くない。
ビックリしたけど、近くに来られても逃げずにそこにいたのは自分で。
何?望んでた?うれしかったの?
それでも誰かの代わりでもいいなんて・・・・思うはずはない。
ため息をついて顔をあげる。
朝陽さんより先に、お母さんにもお父さんにも心配をかけてしまう。
リビングに行くとお父さんはいなかった。
「おはよう。」
「おはよう、芽衣。」
こっちを見たお母さんがやはり顔を見てがっかりしていた。
「大丈夫だから。気にしないで。」
「そんな訳にはいかないわよ。でも早く元気になってね。」
「うん、お父さんは?」
「今日は早く出て行ったの。良かったわよ、お父さんが心配するから。」
「今日は何か元気になるデザート買ってくる。お父さん早い?」
「その予定だけど。」
「じゃあ楽しみにしててね。」
「うん、ご飯は?」
「食べるよ。お腹空いた~。」
そう言ってもなかなか飲み込めずに。
コーヒーを飲んで、用意されたものを食べて。
何だか手を抜いたような化粧をして、これまた適当な服を引っ張り出して、出かけた。
アクセサリーを忘れた。
まあ、いいや。
どうせ・・・・ちゃんと見てもいないんだから。
ただ、別に社長のためにきちんとしてたわけじゃない。
ハッピーなOLライフを望んでて、いろんな偶然と、予感と、刺激を・・・・・。
こんな油断した日に、エレベーターで声をかけられた。
「おはよう、芽衣ちゃん。」
あ~、なぜ今日なんだろう。
「おはようございます。」
振り向いたら、やっぱり堤さんだった。
あれって顔をしたけど、そこは大人だった。
「堤さん、おはようございます。今日は寝坊をして、いろいろ適当なんです。出来たらスルーしてもらいたいくらいの・・・・。」
「ごめんね。後ろからじゃあ分からなかった。」
「冗談です。いつもそんなに気合入ってるわけじゃないです。ただ今日が手抜きなだけで。」
「経理が山を越えたら、また一緒に飲もうね。」
「はい。また誘ってください。」
手を振って先に降りていく堤さんを見送った。
もう一つ上の階に行き、ゆっくりと廊下を歩く。
先に来てるだろうか?
また胸が重くなる。
ドアの前で深呼吸してノックして入った。
二人とももう来ていた。
社長一人より良かったと思おう。
「おはようございます。」
「おはよう、芽衣ちゃん。」
ちょっとだけ二人の探る視線を感じる。
朝陽さんはどうかしたのかなと心配するような、社長は申し訳ないと思ってくれるような?
よく見てないけど、多分そんな感じ。
二人が朝礼でいなくなった合間に鏡を見る。
少し直そうと思っても、厚塗りで白い顔が出来上がるだけだと思ってやめた。
お昼は買って来たから、外には出ないで・・・・・・って社長が出ないパターンを考えてなかった。
思い出す、どうだったかな?
昨日は何も言われなかったから。
タブレットを見て、予定をチェックする。
外回りはないらしい。でもランチくらいは外に出て欲しい。
もし二人が外に出ないようだったら、時間をずらして自分が外に出よう。
帰って来た朝陽さんに声をかける。
いつもと変わらないように普通に。
特に今日急ぎの仕事はない。
「朝陽。」
社長に呼ばれて朝陽さんが顔を向ける。
「はい。」
「ちょっと外に出てもいいか?」
「はい、特に今日はどなたとも約束は頂いてませんので。どちらへ。」
「何かあったら携帯へ連絡してくれ。昼過ぎに帰る。」
社長が先に出て行った。
行ってらっしゃいと声をかけたのも、見送ったのも朝陽さんだけ。
私はジッとしていた。
ドアが閉まって、少しホッとした。
「じゃあ、私はいつものように。」
「うん、何だか今日は仕事したい気分じゃないね。社長もいないし、新しいレストランに行く?」
「すみません、ちょっと体調が今一つで。せっかくなら体調のいい時に行きたいです。」
「分かった。」
それからは普通に仕事をして。
あまり効率は良くなかったかも。
疲れてもいないのに、さも疲れたかのように首を倒し、腕を回して、椅子の上で背伸びをして。
「芽衣ちゃん、お茶にしよう。」
「はい。」
「じゃあ、これね。お茶いれてくる。」
そう言っていつものように給湯室に行った朝陽さん。
私は出されたお菓子・・いつも引き出しには何かがあるらしい・・・を開けて待つ。
トレーに紅茶を二人分のせて、朝陽さんが戻ってくる。
「芽衣ちゃん、最近どう?」
漠然としていて、いろいろと考えるけど。
お母さんにもいろんな話をしてて、時々どっちに何を話したのか分からなくなる。
「そういえば、堤さんが一人暮らしをしてるって話になって、今更ですが家事手伝いをした方がいいってことになりました。」
「何?急に思いついたの?」
「だってあまりにも何もしてないと気が付いたんです。本当に甘えてるんです。」
「もしかして全部お任せコースなの?」
「はい。部屋のゴミを捨てるのまで。あ、これはさすがに堤さんには言えませんでした。あ、呆れてますか?」
「お母さんが・・・・偉いね。」
「楽しんでやれないんだったら家事なんて面白くないからって、誰かのためとか、そんな思いがあるんだったら上達するからって言われました。」
「ふ~ん、それでその誰かが見つかったんだ?」
「違います、朝陽さん。先に言ったじゃないですか、ちょっと他の人の話を聞いて改めて反省したって事です。」
「そう?いないの?」
そうやって顔を覗き込まれて、思わず後に体が動く。
それを誤魔化すように下を向く。
「いません。」
もし、朝陽さんが知ったら、どう思う?
下の階に行かされるかもしれない、きっとそう。
社長は朝陽さんとのことを誤解しても平気そうだったけど、朝陽さんはどうだろう。
「朝陽さん、やっぱり私は・・・・・。」
でも今言ったらおかしいかも、不自然だし。
せめて来月まで、我慢する。
下の階へ行きたいって言うのは、今はやめる。
「なに?私は・・・・?」
「・・・・・苦手みたいです。毎日やってるお母さんが偉いって思います。」
「そうだね。大変だよね。でもちゃんと感謝してるし、芽衣ちゃんがいい子だし。それでいいんじゃないの?」
「朝陽さんはいい人です。いつも欲しいセリフを言ってくれます。それに朝陽さんも一人暮らしじゃないですか?ちゃんと一人でやってますよね?ゴミ出しも、アイロンもきれいにかかってます。」
「僕は1人だから、贅沢はしないから、その分自分が楽するためにお金を使えるんだよ、だからクリーニングだよ。洗濯とアイロンはプロにお願いしてます。多分社長もね。掃除は勝手にしてくれる掃除機の相棒がいるし。」
「いいなぁ・・・・・。」
「今、それなら私も少し楽できるなあって思った?」
思ってました。全力で。
「分かりやすいね。どうしても向いてないって思ったら社長にプロポーズしてみたら?きっと同じレベルだよ、食事もあんまり食べないから、作らなくていいし。汚さないから掃除も楽そうだし。」
「冗談はやめてください!」
思わず大きな声になってしまった。
「もう、社長の彼女に怒られます。どうせ相手にはされないでしょうが。」
自分で言って胸がまた痛くなる。
重いというより、ずっと・・・・痛い。
「何か聞いたの?」
「何をですか?」
「彼女とか言うから。そんな話をしたの?」
「いいえ・・・・別に・・・・。」
「そう。」
聞いてはいけない事だったのだろうか?
何も知らない。
仕事では少し愛想がいいって事しか知らないから。
会社の皆が謎って思ってるくらいだし。
「朝陽さんは、どこの出身ですか?東京ですか?」
「うん、まあ、そうだよ。」
曖昧な返事。
「もう、何で二人とも曖昧な返事をするんですか?二人とも東京出身なんですね。だって言葉も普通ですしね。これですごい方言が飛び出したりしたら、驚きますよ。」
「どこの設定?京都とかだったらそう驚かないよね、沖縄とか、寒い地方の方言とか期待してる?」
「はい、いきなり濁音だけの言葉で話し始めたらびっくりです。」
「でも今は地域の方言もなくなってきてるみたいだよ。残念ながら自分が披露することはないな。そう言う芽衣ちゃんはずっと東京でしょう?」
「はい、だから普通です。友達は地元の友達と電話するとバイリンガルレベルに言葉が変わりました。全然分からないです。音の羅列にしか思えませんでした。」
「それは貴重なサンプルじゃない?でも、面白そうだね。」
「はい。・・・・朝陽さんは好きな人はいないんですか?」
「いないよ。どうして?」
「いえ、優しいからもてるんだろうなって思って。」
「でもさあ、芽衣ちゃんが彼女の立場で、僕が彼女でもない女の人に優しくしてて、社長の留守中にお茶までしてるって、そんな彼氏だったらどう?」
「どう・・・・でしょうか?知らなければ、いいかな。知りたくはないですが。」
「優しいのがもてるのなんて最初だけだよ。その内嫌になるよ。」
「だって仕事じゃないですか・・・・・・。」
「そう思ってるうちは、そんなに本気で好きじゃないんだよ。」
「社長みたいな、いつもクールなタイプが自分にだけに、優しくしてくれた時のほうが嬉しいでしょう?」
「・・・分かりません。」
そう言ってお茶を飲み干した。
「あんまりサボったらさすがに叱られますね。」
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