関係者の皆様、私が立派な大人になれるその日まで、あと少しだけお待ちください。

羽月☆

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39 やっぱり誤魔化せない人、その1。

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ななみちゃん担当と言っても、すぐには何も動かない。

そしてしばらくはまた下の階でデザイン部の席に座りながら、他の課の人にも声をかけたりして少しだけ手伝ったり、なんだり。

たくさんの人の声に囲まれてそれなりに楽しく過ごしていた。



朝陽さんが来て声をかけられた。

「お疲れ様です。何か進展ありましたか?」

「ううん、特にないけど、明日お世話になってる人が来てくれることになって、その時は同席して欲しいからランチは一緒にお願いできる?」

「はい、分かりました。」

もしかして教授じゃないかと思った。
今週来てくれるみたいなことを言っていたし。
明日は金曜日だし、きっと二人の予定も大丈夫なんだろう。
一緒にランチらしい。

楽しみ!

朝陽さんにお辞儀をして背中を見送る。

笑顔になる。
春日さんとのことはバレないようにしないと大変・・・・。
大丈夫かなあ?

振り向いたら、何人かの視線を感じた。

何となくゆっくり視線を外された感じがして。
やっぱりコネ入社とかの特別感は拭えないのかもしれない。
姪っ子じゃなきゃ何だろう?って。


もし、春日さんと一緒のところを見られたら・・・・。
ちゃんと仕事はしてるところを見せたいと思う。
噂はあっという間に広がるから。
春日さんが変に思われないように、自分も呆れられないように。


席について仕事の続きをする。


高校生のななみちゃんとの連絡は仕事外での時間でもいいと伝えた。
どうしてもそうなるだろう。
学校にいる時間に連絡しても返事を急がせるだけだから。


相変わらず雑用も喜んで引き受けるようにしている。
会議資料でも、郵便局でも銀行でも、なんならコピーでも。
そう言ってても、それでも本当に滅多にない。

一緒に卒業した皆はいろんな企業で働いている。
それもいろんな部署で。
うんざりした表情もどこか充実感があったり、誇らしかったり。
すごく辛そうな人がいなかったのは良かったと思う。
愚痴だって許容範囲だった。
皆が綺麗な、スマートな大人になり、少し寂しい気持ちはした。
それでもななみちゃんと関わって、最後に大きな不安なく来年の春を迎えてもらえれば私もいい笑顔が出来ると思う。
私はここで自分に出来ることをしたい。
甘えるだけじゃなく、きちんと任せられるような仕事がしたい。

「芽衣ちゃん。」

平木さんが来ていた。

「すごく真剣な顔してる。頭忙しい?」

「大丈夫です。少し考え事をしてました。」

パソコンで見ていたみんなの就業状況のレポートはいつの間にか消えていて、画面はスリープしていた。

「今日、少しご飯食べない?」

「はい、喜んで。」

「じゃあ、数人の女子で行こうね。」

「はい。」

いつも誘ってくれる。
女子というからには独身の数人だろう。

さっき振り返った時の視線の中に平木さんもいた。
どう思ってるだろうか?

仕事が終わったら少し上に行こうと思った。
明日の事も聞きたいし。
きっと教授だと思う。
そう考えると楽しみになった。


今、デザイン課でも個別に任された仕事はない。

指導してくれる高木さんにはいろんなデザインの見本を見ながら作り方を教えてもらってる状況だ。
ほぼ個人レッスン。

「高木さん、今、いろんな人の経歴を聞いて、どんな業種のどんな部署で働いてたか聞いてレポートにまとめてるんですが、差し支えない範囲いいので、教えてもらえませんか?」

合わせて大学での専攻なども聞いておく。
何に興味があってその業種につこうと思ったのか。

特技と趣味と専門と職業、かかわりがあった方がスムーズには行くから。

今後ななみちゃん以外でも受け持つことがあったら役に立ちそうだ。

転職のきっかけを結婚と言った高木さん。
前のところは忙しかったと。
子どもが出来ても、多分家族の時間があまり持てないから、ゆっくり一緒に考えてから決めて、時間をかけて探したらしい。

知り合いの紹介で中途採用が多いと聞いてたけど、紹介会社に登録して普通に転職して来たらしい。
条件がいい所で良かったと高木さんが言う。
今は奥さんも職場復帰して、子供との時間も持てるし、奥さんを助けられるくらいの余裕もあると。

「それじゃあ家事と育児も手伝ってるということですよね。」

「そうそう。」

もしかして、私なんかよりすごく優秀だったりする?
一人暮らしもしてただろうし。

「料理も、洗濯も、掃除も?」

「芽衣ちゃん、苦手なんだって?」

「何で知ってるんですか?」

「堤さんに言ってたでしょう?実家暮らしですることもなかったって。」

「それは過去です。最近は少しづつ手伝ってます。料理もお母さんが目を離せるくらいには上達しました。」

「そう。他は?」

「それは徐々にです。」

「家事が得意な男子も多いから大丈夫だよ。」

「それは他の人にも言われましたが大丈夫です。それまでにはお母さんのレッスンは終わる予定です。」

「予定があるの?」

「あります。いつかは独り立ちして、買い物から調理まで自分一人でやって、お父さんもビックリのご飯を作って出したいです。」

「うん、そっちの予定じゃなくて、誰か一緒に住む予定の方。」

「・・・・ないです。そんなに急には上達しないです。週末しかちゃんとは手伝えないので。」

それだって春日さんと過ごす時間が多いし。
あの部屋では私のつたない腕を披露することもない。

「彼氏なら、徐々に上手になるところを見るのも楽しいかもね。」

ん、そうでしょうか?

「長期戦だね。」

「・・・・はい。期待はされてないと思います。」

「やっぱり、いるんだ、彼氏。」

何も言えません。
誰かなんて絶対言えません。

「好きな人はいます。」

「頑張って。みんな見守ってる。がっかりしてる例外は数人いるかもしれないけど。」

バレてないと思う。
まったく接点は見せてない。
いっそ朝陽さんが煙幕のようで。

おかしい、仕事の話をしてたのに、いつの間にかプライベートをさらけ出してしまってる。
仕事中なのに。

「すみません、仕事の話じゃなかったです。前職の事は参考にさせていただきます。」

パソコンの画面を保存して終わりにした。

終業時間前に平木さんに声をかけて上の階へ行った。

ノックして入った社長室には当たり前だけどいつもの光景だった。


「お疲れ様です。」

「お疲れ、芽衣ちゃん。寂しくて顔を見に来たの?」

冗談でもやめてください、朝陽さん。
春日さんにも普通に挨拶をする。
笑顔は朝陽さんと同じレベルです。
変りません、多分。

「明日のお客様は教授ですか?」

「そうだよ。奥様もご一緒に来られるみたいだよ。芽衣ちゃん会ったことあるの?」

「ないです。送られてきた写真だけです。楽しみです。」

「古い知り合いってことにしてあるから、出かける時に連絡するよ。お昼過ぎたら上がって来てくれてもいいし。」

「はい。分かりました。」

「今日は?」

「平木さんに誘われて、女子数人で食事に行く予定です。」

春日さんにも伝わった。

「そう、楽しそうだね。」

「はい。じゃあ、今日はこれでお終いにします。朝陽さんたちはまだお仕事ですか?」

「そうなんだよね、でも、あと少し。社長もあと少しだよ。」

春日さんの予定も伝えられた。
笑うしかない。

「じゃあ、お疲れさまでした。明日楽しみにしてます。」

春日さんにもお辞儀をして、社長室を出た。
下に降りたら平木さんが待っていてくれた。

「すみません。明日の予定を確認に行ってました。」

「大丈夫、あと一人来るから。」

皆が揃って出かけた。

食事をしながら先輩達の話に耳を傾けて・・・・、やっぱり話題が私の方へ来た。

「ねえ、芽衣ちゃんの好きな人は郡司さん?」

「ちょっと違う気がするんだけど、皆がモヤモヤと思ってるかも。」

明らかにどうなの?と聞くような皆の視線を受ける。

「そう思われてるのかなって思いました。今日も郡司さんと話をした後、振り返ったら何人かが私を見ていて。でも、違います。本当にお兄さんのように思ってるんです。大好きですが、そう言う意味での好きとは違います。」

「そうか。そうだよね。」

「あの郡司さんが気がつかないわけないしね。」

「スッキリしたような、しないような。」

「うん、残念なような、そうじゃないような。」

やっぱりスッキリしてないみたいな皆の顔。
そうそう期待には答えたくない。

話題を変える。

「私は春までに任された仕事をコツコツとやります。この間、ゼミの仲間で集まったら、皆すっかり仕事してる感じでスマートな大人になってました。私も置いて行かれないように頑張りたいんです。今は雑用でも何でも手伝います。ガンガン呼んでください。」

その後は仕事の話になり、また話題はあちこちに流れて行った。
本当に春日さんとの事なんてチラとも疑われてないらしい。
良かった。



次の日、楽しみなランチ。

昼前に課長に呼ばれた。

「午後は上の階で接待と講義があるみたいだね。三時くらいまでかかると言われたから、そろそろ上がってきてほしいと言われたよ。」

時計を見る。
昼まで30分ほど時間はある。

「はい、それでは終わったら戻ります。」

そう言って席に戻る。
高木さんに予定を伝えて、留守を知らせる。
私の留守なんて特に意味がないけど・・・・。


バッグと上着を持って上の階へ。
社長室に教授と写真で見た奥様がいて、笑顔で談笑中だった。

「お疲れ様です。教授、こんにちは。奥様、初めまして。本当に教授には在学中からお世話になりました。」

「噂には聞いてたし、家には写真もたくさんあるから、初めての気がしないけど、初めまして。」

「私も旅行の写真を頂いてましたので、そんな気がしません。」

「じゃあ、行きましょうか?」

朝陽さんが総務に電話をして留守を伝える。

昼には早い時間、エレベーターで降りてランチに出かける。
いいのだろうか?なんだか仕事じゃない気分。
昨日、あんなに頑張ります宣言してたのに。


「芽衣ちゃん、この間も思ったけど、会うたびにどんどん大人になるね。学生の頃のイメージがなくなるなあ。」

「そうですか?この間は皆が変わらないねって、アンだけでしたよ、綺麗になったって褒めてくれたの。」

「そう?おかしいなあ。他の子も皆大人びてたからね。学生が周りにいないと僕はどんどんおじいさんになりそうだよ。」

「あら、もともとおじいさんですよ。若いつもりだったんですか?」

奥さんに言われる教授。

「もちろん。若いエネルギーについて行くのは大変なんだよ。」

「だから無理してらしたんでしょう?今は私だけのお相手で申し訳ないですね。」

「芽衣ちゃん、遊びに来てくれる?奥さんもずっと僕のお世話は面倒みたいで。」

「え~、教授、これから長いですよ。まだまだですから。」

「そうなんだよね、皆が幸せになるのを見届ける約束してるからね。」

「そうですよ。まだまだ先ですよ。」

「それでも芽衣ちゃんともう一人は早そうかな?」

「・・・・・私はまだまだです。」

もう一人は誰だろう?
あの日そんな報告があったの?

私のことは、まさかもう見破られたとか?
全然醸し出してませんよ。

視線すら合ってないような・・・、どうだろう。
今は向けない。

会社から歩いて数分のビルの中のお店。
予約していたらしい個室に通された。

話をするのは相変わらずの朝陽さん。
春日さんと私と、順番に面白く話を披露しながら奥様も教授も楽しそうで。
時々春日さんが抗議の声をあげて、私も待ったをかける。
朝陽さんがぽろっと言ってしまわないか、ひやひやしてるのは春日さんも同じだと思う。
うっかりなんて言いながら勢いで言ってしまいそう。
朝陽さんに限ってうっかりなんてないから絶対わざと、故意に、意図的に。

何となく奥さんの視線は優しいし、時々教授の視線も意味ありげに動いたり。
もしかして・・・・と二回くらい思った。

春日さんは気がついてるだろうか?

二人がはっきり言ったのなら、教授の事だから何か言って来そうだ。
喜びを隠せないだろう。
だからまだバレてないはずだ。
笑顔の裏でそんな事を考えて疲れそうだった。

デザートまで終わって、のんびりとしているけど、お昼の時間は過ぎている。
いいのだろうか?
とても一時間で終わったとは思えないコース料理。


「じゃあ、僕と社長は先に戻ります。芽衣ちゃんは三時まで時間を貰ってるから、ここも三時まで借りてるから大丈夫だよ。少し話でも聞いてもらって、僕と社長の文句でも、愚痴でもね。そのまま下に戻っていいからね。」

朝陽さんがそう言って2人がいなくなった。
途端に部屋が広くなる。

「芽衣ちゃん、そんな寂しそうな顔をしないで。後少し話をしたら僕たちも帰るから。」

「寂しそうなんて。ただこんな甘えてていいのかなって。表向きは講義ってことになってます。朝陽さんは特に甘やかしてくれるから、私は本当に甘えてばかりです。」

「春日君からのご褒美だって言ってたよ。頑張ってるんだって。」

「そのつもりですが、まだまだです。」



「芽衣ちゃん、隠したい?」


「・・・何をですか?」

「春日君が好きだよね。春日君も。」

にっこりと懐かしい顔で笑う教授、奥さんも。
バレてました、なぜでしょうか?


「最初からそんな気がしてたんだ。二人が会った時から。でもその前から期待はしてたけどね。特殊な・・・と言っていいのか事情があるから。それを芽衣ちゃんは想像できないだろうし、逆に春日君も。でも絶対、春日君が寄ってくれると思ってたよ。芽衣ちゃんが持つ一番の強みが、春日君が欲しいものだから。」


「それは、何ですか?」


「普通に幸せだと思うこと。」


なんでしょう、それは?

「自分が幸せだと気がついて、それを普通だと思うことは、芽衣ちゃんは気がつかないくらいに普通にできて、春日君は敢えて近寄らなくて、欲しいと思わなくて。だから一緒にいると春日君の考え方も見方も影響を受けて変わるだろうって思ってた。バッチリだった。」


「本当に最初から言ってたのよ。これはよく当たった予言の方ね。たまに外すから。」

奥様にも言われた。
もう隠さなくていいなら、お礼を言うべきで。

「はい。すごく大切にしてもらってます。仕事のことも相談にのってもらえる上に、それ以外も。家族と過ごす時間を優先してくれるので、お母さんもすごく信頼してくれてます。お父さんも。」


「だろうね。お二人は、その辺の事情はご存じなのかな?」

「はい、誰にも相談できないので全部お母さんに相談してます。本当にすぐにお母さんにはバレてましたし、事情の方も二人とも知ってます。その上で私は本当に自分が幸せだと思えました。あらためてそう思ってます。」


「なんだか本当に最後にいい事をしたなって思うよ。このまま二人が一緒にいてくれることを願うけど、それはそれだしね。」


「・・・・はい。」


「何かあったら私も相談にのるから遠慮しないで。うれしい報告も、勿論楽しみにしてるし。朝陽さん抜きの二人の雰囲気も見たいわね。」

奥さまが教授に言う。

「そうだよね。朝陽君がいると完全に控えに回るからね。どんなふうに芽衣ちゃんを甘やかしてるのかも気になるしね。最初に言ったでしょう?クールに見えるけど情にあつい社長って。」


そう言えばそうだった。

「はい。その通りでした。この間春日さんの育った施設にも行きました、あ、仕事でです。『太郎兄ちゃん』ってお土産込みで大歓迎されてました。」

「目に浮かぶね。ああ、なんだか久しぶりにいい気分だなあ。」


教授が何度も良かったを繰り返し、コーヒー紅茶のおかわりを頂いて、時間になる頃に会社の前で別れた。


「芽衣ちゃん、本当に遊びに来てね。」

「はい。必ず。」

「大好きな人も一緒に。」

「・・・聞いてみます。バレたことも報告しないといけないので。」

「うん、直接会って言ったら驚くかもね、電話じゃダメだよ。」

「はい。私もその顔が見たい気分です。」

「うん、気がついてるとは思うけどね。」

だと思う。


三時には席に戻れた。
歯磨きと化粧直しをして、仕事をする。

今度教授からいろんな人の話を聞こうと思った。
教え子がどんな職業についているか、子供を見る時にどうやって見ればいいのか。接し方から、育て方など、よく考えれば大ベテランだ。

いろんな子を見てきているだろう。

携帯のメモに入れておく。
しばらくは仕事につながる何かを集める時間にしてもいい。
すぐに成果が出なくても、絶対いつかは役に立つから。
焦らなくていいとずっと言われてたけど、やっとそう思えるようになった。



時間を見つけて色んな人の席にお邪魔した。
人の名前と顔も覚えて、あちこちから挨拶されるようになっていたから。
それはとてもうれしい。
同じ年はいないし、本当に皆年上だけど、逆にいろんな話が聞けた。
こうして世の中の仕事のことを教わり、ちょっとだけ私的な会話もして。
さりげなく朝陽さんのことを聞かれたりもしたから、笑って否定できた。

システムに一人だけ、始めての就職先がここだよと教えてくれた人がいた。

春日さんとは子供のころからの知り合いだったと教えてくれた。
あの施設にいたんだろうか?
その頃から、そういったことに興味があって春日さんもびっくりの才能だったのだろう。

今も一人同じように機械をいじる子がいるといっていた。
ななみちゃんにパソコンの使い方を教えてくれてる子だ。



あれから一ヶ月たって、特に進展はない。

朝陽さんと春日さんに聞いて二人で会うことを提案してみた。
金曜日に一人で電車とタクシーに乗りあそこに行く。

子供たちはきっとついてこないだろう。
太郎兄ちゃんのおまけその2の私を覚えてくれてる子はいないだろう。

課長に話をして、二人の許可をもらい、ななみちゃんと約束をして、園長先生にも電話して。

手土産を買っていくようにと、領収書を貰ってくるようにと言われた。

少し楽しみにもしていた。
自分が作った色んな人の話を聞いたファイル。
それを業種や専門ごとに分類してまとめた。


春日さんと二人のときに、もっと気軽にゲーム感覚で適性判断が出来るようにならないかと、そんなシステムは作れるか聞いてみた。
シンプルならとても簡単だと言われた。
出来るんだろうかと見たら、春日さんは出来ないけど、システムの人ならできるだろうと。
九鬼さんを紹介された。
やっぱり同じ施設の出身らしい。
挨拶をして話をした事を教えたら、ちゃんと上司に話を通しておいてあげると言われた。


『施設』の子が使えるようにしてもらいたい。
子供バージョンで難しいことは抜きで、シンプルに。

そう言ったら九鬼さんはとても喜んでくれた。

「きっと役に立つような物に仕上げるから。」

そう言ってくれた。

ただ、システムを作るには前準備が大変だと言われた。
もともとのそのデータをきちんと作らないと意味がないと。

まずはたくさんのサンプルを集めることと言われた。

春日さんにもその話をした。
分からなくて、もっともっとアドバイスが欲しいのに、仕事の話は仕事の時間にしようと言われた。

だって仕事の時間は忙しいじゃない・・・・。
そう思って邪魔しないようにって思ったのに。

それでもずいぶんアドバイスはもらえたから、後は自分でもよく考えることにした。

「じゃあ、今度相談させてください。」

「了解、いつでも上に来て。」


今あるデータをまとめて、もう一度九鬼さんに相談してみた。

何が必要か、ざっくりと教えてくれた。

確かに私がやることはたくさんあった。
混乱しそう。
同じデータを頼まれてコピーして渡した。

「時間を見つけて見本を作ってみるよ。」

そう言われて、お礼を言って席に着いた。



明日はななみちゃんと会う日だった。

春日さんから園長先生への伝言も預かることになっている。


手土産リストは朝陽さんに貰って、初めてのものを買おうと思ってる。
朝陽さんのそれも素晴らしかった。
日付、目的と数量をきちんと記録していた。

経費外で買ったもののほうが多い。
個数も多いし、季節の挨拶は勿論、訪問の際にも、その他にも子供の行事と思われる時に。
そうなるとほぼ毎月だ。


本当にあそことの結びつきが強い。
大切な場所なんだろうとそう思った。

春日さんがいた大切な場所だ。

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