四度目の結婚 ~不完全なオメガと冷徹な夫の甘い運命~

ひなた翠

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第二章:すれ違いの心

初めて触れられる夜

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 馬車が屋敷の前で止まり、レオニードは無言のまま降りた。僕の腕を掴み、引きずるように屋敷の中へと連れて行く。使用人たちが驚いた表情で見ているが、レオニードは気にも留めずに廊下を進んだ。

 僕たちの夫婦の寝室へと向かっていく。レオニードは扉を開けて、「入れ」と僕を中へと引き入れる。扉が閉まる音が響き、鍵がかけられた。

「そんなにしたいのか」
 低い声が響き、レオニードが僕に近づいてきた。鋭い眼光が僕を捉えている。

「答えろ」
 迫るような声に、僕は頷いた。

「したいです」

 レオニードは僕の腕を掴んでベッドへと投げ出された。柔らかいシーツに沈み込むと、レオニードが覆い被さってきて、重い身体が僕を圧迫した。

「っ……」
 唇が塞がれた。荒々しいキスだった。

 歯が唇に当たり、舌が口の中に侵入してくる。容赦なく口内を蹂躙され、息ができなくなった。必死にレオニードの肩を掴み、空気を求める。

 キスが離れると、レオニードは僕のシャツのボタンを乱暴に外していく。布が引き裂かれる音がして、胸が露わになる。冷たい空気が肌に触れ、鳥肌が立った。

 ズボンも脱がされ、下着まで引き下ろされる。全裸にされた僕の身体を、レオニードは見下ろした。値踏みするような視線に、恥ずかしさが込み上げてきて、視線を逸らした。

「足を開け」

 命令に従い、僕は足を開いた。レオニードが膝の間に手を入れ、さらに大きく広げさせる。秘部が露わになり、恥ずかしさで顔が熱くなった。

 レオニードの指が、秘部に触れた。入口をなぞられ、身体がビクリと跳ねる。

「ん……っ」

 声が漏れた。レオニードの指が、ゆっくりと中に入ってくる。一本の指が中を探るように動き、内壁を撫でていった。

「あっ……ああ」

 自分の声とは思えない、甘い声が寝室に響き渡った。今まで、こんな声を出したことがない。恥ずかしさで口を手で覆おうとすると、レオニードが手首を掴んで阻止された。

「聞かせろ」

 低い声で命令され、手の力を抜いた。レオニードの指が動くたびに、甘い声が漏れ続ける。

 ふと、レオニードの顔を見上げた。真剣な表情で僕の身体を見つめ、指の動きに集中している。黒髪が額にかかり、鋭い眼光が僕の秘部を捉えていた。大きな手が僕の太腿に添えられ、もう一方の手が器用に中を探っている。

(こんな顔、初めて見る)

 いつもの冷たい表情とは違う、熱を帯びたような顔だった。集中しているレオニードの横顔が、妙に格好良く見えた。筋肉質な腕が動くたびに、肩の筋肉が滑らかに動く。汗が首筋を伝い、シャツの胸元が少し開いている。

 胸が高鳴って頬が熱くなり、レオニードから視線を逸らせなかった。

 中から、愛液がどんどんと溢れてきた。濡れていく感覚に、驚きが広がる。今までこんなに濡れたことはなかった。

 過去の夫たちに抱かれても、痛いだけで何も感じなった場所が、レオニードの指に喜んでいるかのように蜜が溢れていた。

 指が出し入れされるたびに、ぐちゅぐちゅと水音が響く。レオニードの指が僕の愛液で濡れ、光を反射していた。

「っ……ああ、んっ」

 身体がゾクゾクして、震えが止まらなくなった。全身に電流が走るような感覚が広がり、頭が真っ白になっていく。

(何、これ――)

 身体が勝手に反応し、腰が浮き上がる。レオニードの指に吸い付くように、中がうねって動いた。
 指が増えて二本になり、中を広げられる。奥の一点を擦られると、視界が白く染まった。

「あっ、ああっ、そこっ……!」

 声が大きくなり、呼吸が荒くなる。何かが込み上げてきて、身体の奥から熱いものが押し寄せてきた。

「なにか……くるっ……!」

 叫んだ瞬間、全身が痙攣した。嬌声が寝室に響き渡り、身体が弓なりに反る。波のように押し寄せる快楽に、意識が飛びそうになった。

 痙攣がおさまった後も、中から体液が滲み出てくる。指が抜かれると、ベッドのシーツが濡れ、自分の愛液が広がっているのが分かった。

 身体がぐったりとして、動かすこともできなくなった。気怠さが全身を包み込み、呼吸が整わない。

(何が起きたんだ……)

 今までにない感覚に、驚きが止まらなかった。三人の夫に抱かれても、こんな感覚を味わったことはない。
 医師には問題ないと言われ続けていたが、全く濡れない僕は、自分の身体が壊れているのだと思っていた。

 レオニードの指は、濡れて気持ちいいと感じた。自分でも信じられないほど甘い声を出して、身体が勝手に反応した。

(僕の身体――壊れていなかったんだ)
 嬉しくて涙が溢れそうになった。

 レオニードを見上げると黒髪が乱れ、額に汗が滲んでいる。真剣な表情で僕を見下ろし、荒い息をしている。シャツの袖がまくり上げられ、筋肉質な腕が見えていた。大きな手は僕の愛液で濡れ、指先が月明かりに照らされて光っている。

(格好いい)

 鋭い眼光、整った顔立ち、力強い身体。全てが魅力的で、胸が高鳴った。

「気は済んだか」
 レオニードの冷たい声が響いた。息絶え絶えに、僕は首を横に振った。

「いいえ」
 レオニードが舌打ちをして、ベッドから降りた。服を整え、扉へと向かう。

「お前は外出禁止だ。身体が疼くなら、定期的に指でしてやる」
 冷たく言い放ち、扉を開けて出て行った。

「待って……」

 呼び止めたが、レオニードは振り返ってくれなかった。扉が荒々しく閉められ、足音が遠ざかっていく。
 僕は一人、ベッドに取り残された。身体は気怠く、下半身は濡れたままだ。涙が溢れてきて、頬を濡らした。

「これじゃ……何も変わらない」
 指だけでは、妊娠できない。どれだけ気持ち良くても、子どもを授かることはできない。

 レオニードは僕を満足させるために、指で弄っただけだった。抱く気はない。挿入する気もない。ただ、外で男を作らせないために、致し方なく指を使っただけ。

 身体を丸め、枕に顔を埋めた。涙が枕を濡らし、嗚咽が漏れる。

(結局、何も変わらない)
 僕の望みは、叶わない。

 窓の外では月が輝き、冷たい光が部屋を照らしていた。
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