愛の物語を囁いて

ひなた翠

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三者面談

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「志望校が決まったら、先生からもご連絡いただけるんですか?」

 母さんが、上目づかいをする。

「いえ。連絡しません。伊坂がきちんと報告するでしょうから」

 お帰りください、と言わんばかりに英先生が教室の扉に向かって手を差し出した。

 なんて恥ずかしい親なんだ。小暮だけじゃなくて、英先生にまでも手を出そうとしているなんて。

 ふしだら親子って先生に思われるじゃないか。

 こんな母親だから、息子も面倒な子になるって。

 僕は母親の腕をぐっと掴むと、先生に「すみません」と謝ってから、ズンズンと廊下に出て行った。











「恥ずかしいだろ、やめろよ。ああいうことすんの」

 自宅に帰った僕は、夕食の準備を始める母さんの背中に向かって怒鳴った。

「『ああいうこと』って何?」

「教師に色目を使うことだよ。恥ずかしくて、学校に行くのが嫌になりそうだ」

 英先生はどう思っただろうか? そればかりを考えてしまう。

『真面目になったな』って思われたくて、頑張っている最中だっていうのに。

 母さんの今日の態度で、今まで積み上げてきた実績が早くも崩れたよ。

 きっと馬鹿な親子だって思われた。救いようのない奴らだって。

「いいじゃない。若い先生よ。喜んでいるわ」

「喜んでなかっただろ! 全然、喜んで無かった。むしろ迷惑そうな顔をしてた。こんなデカい息子がいるようなオバサンに触れられて、喜ぶのは小暮くらいだよっ」

「ちょっと!」と母親が、目を吊り上げて振り返った。

「それって母親に対して、失礼じゃない? 私はまだ37歳よ。今は独身。女として生きてもいいじゃない」

「すでに小暮と一緒に住んでて、さらに男を誑かすつもりかよ」

 馬鹿馬鹿しい。

 女として生きるんじゃなくて。これじゃ、ふしだら女として生きてるっつうの。

 息子の担任になる教師に、どんどんと手を出していくなんて。

 僕は明日からどんな顔で学校に通えって言うんだよ。

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