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第3章 仲間ではいられない(3日目)

3ー4 暮らしを保つ

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「時間は?」
「女性の方は一階だけだそうですね。廊下は20分、水回りが入るなら1時間です」
「水回りは絶対必要!」
「シャワールーム綺麗にしてもらわないと」
 女子たちが口々に言えば腰掛けたままナイナは頷くが、
「遅い。50分!」
 とラジューにぶつける。
「急がないんだから1時間でいいんじゃないかな?」
 マリアがとりなすが、
「駄目! 私は甘やかさないから。いいわね!」
「かしこまりました」
 ラジューは頭を下げた。

 マリアを介してラジューから女子棟も掃除を希望するかとラジューから尋ねられ、広間の絨毯回りに集まった女子と交渉が続いている。
 掃除に入る時間については、
「皆が食べている時なら問題なくない?」
「ちょっと。こっちでラジューは使うんだけど」
 ベジ食堂で作業があるとナイナがシャキーラを睨む。
「食後は片付けもあるし」
「そしたらすぐチャイの用意でしょ?」
 朝七時のほか午後の三時にもラジューはチャイを配っている。
 結局十一時半から十二時二十分の間に女子棟清掃に入り、終わり次第食堂に移動することと決まった。

 ラジューがマラヤラム語でマリアに短くささやくと、
「後、洗濯は希望するかって」
「仕上げまでどれくらいかかる?」
「乾燥機がありますので午前中に出していただければ寝る前までにお渡し出来ます」
 服は豊富にあるが元の自分のものを着たい人間も多くこれも必要だとされた。十時までに籠を出し、寝る前に渡り廊下入り口に畳みまで仕上がった品を置くことまで話がついたが、
「全員分まとめてなんて駄目。それは手抜き」
 ナイナが却下しミナたちも不便過ぎると文句を言う。
「それでしたら、どのように区別すればいいでしょうか」
 学校の洗濯物は内側のタグにマジックで印を書き込むが、
「ペンもないし縫う針もないよね」
 とアディティが目を落とす。こちらは結局部屋ごとに籠を出しそこに戻すとまで妥協した。

「あまり無茶は言うなよ。こっちの掃除や洗濯もあるからな」
 アッバースがテーブル向こうから笑って声をかけてくる。
 とラジューが焦った顔でマリアにささやいた。
 部屋ごとに分別すると洗濯・乾燥を回していくのが間に合わないとのこと。
「計算なら俺がしてやるぞ」
「見たけど洗濯が約30分、乾燥はこの時期1時間でいけると思う」
 アッバース・スティーブン・ナラヤンの三人組の後ろからルチアーノが伝える。
 こちらは男子女子日替わりで洗濯することが決定した。

「やってくれるなら助かるけど」
 ルチアーノが腕を組んだ。
「ラジュー。君それお給料出ないと思うよ」
「それは困ります!」
 ぴょこんとラジューが向き直り、
「ルチ!」
 余計なことを言うなとばかりにナイナが警告を投げた。
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