3 / 4
3.
しおりを挟む
「それは、竹内さんの初恋?」
園崎さんは尚太の話を止める。
「え、いや、どうでしょう」
「それは確信犯だね、思い出に浸るだけなら一人でしなよ」
そう言うと園崎さんは肩をすくめた。
「園崎さんタバコ変えました?」
「え、なに私のポイント稼ごうって?」
「いや、めんどくさいです」
「変えたってか、戻したかな。前に吸ってたの」
園崎は目を細めて煙を追った。尚太の会社が入っているフロアは角に喫煙所がある。尚太はもう吸わないが、なんとなくそこに足を運ぶ。園崎さんには受動喫煙で誤魔化して禁煙できてないね、とからかわれたことがある。
「その子とは?」
「まともに話したの、そのときだけですよ」
「なにそれ、なんの話だったの?」
「さあ」
「さあって」
「園崎さん、そのタバコいかにも濃そうです。体に良くない気がしますけど」
「私はね、もういいの。純一も小学校入ったし」
「それで?」
「自由ってこと」
帰りの電車は少し混雑していて、尚太は座ることができなかった。篠田さんは一人残業をしていく様子だった。年の功というわけでもないけれど、篠田さんは真面目に働きすぎだと思う。そういうのは、自分で区切りをつけていくもので、誰かにいい道筋を教えてもらえるものではない、と思う。気づかなければつぶれてしまうこともあるかもしれない。難しい話だな、と自分で思考を止めた。そういえばシャボン玉もそういう話だったな。
園崎さんは尚太の話を止める。
「え、いや、どうでしょう」
「それは確信犯だね、思い出に浸るだけなら一人でしなよ」
そう言うと園崎さんは肩をすくめた。
「園崎さんタバコ変えました?」
「え、なに私のポイント稼ごうって?」
「いや、めんどくさいです」
「変えたってか、戻したかな。前に吸ってたの」
園崎は目を細めて煙を追った。尚太の会社が入っているフロアは角に喫煙所がある。尚太はもう吸わないが、なんとなくそこに足を運ぶ。園崎さんには受動喫煙で誤魔化して禁煙できてないね、とからかわれたことがある。
「その子とは?」
「まともに話したの、そのときだけですよ」
「なにそれ、なんの話だったの?」
「さあ」
「さあって」
「園崎さん、そのタバコいかにも濃そうです。体に良くない気がしますけど」
「私はね、もういいの。純一も小学校入ったし」
「それで?」
「自由ってこと」
帰りの電車は少し混雑していて、尚太は座ることができなかった。篠田さんは一人残業をしていく様子だった。年の功というわけでもないけれど、篠田さんは真面目に働きすぎだと思う。そういうのは、自分で区切りをつけていくもので、誰かにいい道筋を教えてもらえるものではない、と思う。気づかなければつぶれてしまうこともあるかもしれない。難しい話だな、と自分で思考を止めた。そういえばシャボン玉もそういう話だったな。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
転身
S.H.L
青春
高校のラグビー部でマネージャーとして静かに過ごすつもりだったユリ。しかし、仲間の危機を救うため、思いがけず選手としてフィールドに戻る決意をする。自分を奮い立たせるため、さらに短く切った髪は、彼女が背負った覚悟と新しい自分への挑戦の象徴だった。厳しい練習や試合を通して、本気で仲間と向き合い、ラグビーに打ち込む中で見えてきたものとは——。友情、情熱、そして成長の物語がここに始まる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる