【完結】将来有望な若手魔術師が、私に求婚した理由

miniko

文字の大きさ
3 / 7

3 求婚の理由?

しおりを挟む
「ちょっと、待ってウィリアム。
先程の態度は、アーロン様に失礼ではありませんか」

「アーロン様、ね」

ウィリアムが氷の様な眼差しを向けてくる。
一体何が気に入らないのかしら?

「そう。ブラッドリー侯爵家の三男で、騎士団所属のアーロン様です。
ご存知ありません?」

「いや、流石にそのくらいは俺でも知ってる。
一応貴族の端くれなんだから、高位貴族の情報くらい持っているさ。
・・・そうじゃなくて、ソフィーはあの男と親しいのか?」

「いいえ。親しくは・・・挨拶程度の関係ですわ。
今のは、ちょっと助けて下さっただけで・・・」

「助ける?何があったの?」

「大した事では。ウィリアムには関係ない事です」

「ふぅん。へー。
他の男には助けて貰ったくせに、婚約者の俺には関係ないとか言っちゃうんだ。
へー、そう」

「いや、助けて頂いたのは、たまたまアーロン様が通りかかっただけで・・・」

「・・・・・・わかった。もう良い。
書類は俺が届けるから、ソフィーは戻りなよ」

ウィリアムは拗ねた様に言い捨てると、私が持っている書類も奪って、足早に歩き去ってしまった。

何故、彼があんなに不機嫌になったのか、よく分からない。
私はトボトボと魔術師塔への帰り道を進んだ。


「ソフィー様の婚約の件、お聞きになりました?」

「ウィリアム様でしょう?羨ましいですわ」

またか。
先程とは違う侍女達が、またもや私の噂をしている。
どうやら彼女達は私が聞いている事に気付いていないらしく、声を潜めて話し続ける。

「聞く所によると、本当は、アボット侯爵令嬢の方が先に、ウィリアム様に婚約を申し込んでいたらしいですよ」

「まあ!
では、本来ならばアボット様が婚約者になるはずだったのに、ソフィー様が奪ったのですね。
なんて酷い話かしら」


ああ。成る程、そういう事か。

私は、ようやく納得のいく答えを見つけた。
と、同時に少なからずガッカリした。


ナタリア・アボット侯爵令嬢は少々傲慢な女だ。

以前は、私の幼馴染に片想いをしており、その恋人であった私の親友に色々と嫌がらせをしていた。
まあ、いつも返り討ちに合っていたのだが・・・。

その幼馴染は、私の親友とは別れたものの、昨年とうとう他国の貴族令嬢を嫁に迎えたのだ。
それ以降ナタリアは、ウィリアムに狙いを定めていたようだった。

侯爵令嬢である彼女は、本来ならば、もっと身分の高い男性に嫁ぎたかったのだろう。
しかし、片想いの相手に執着する余り時間を浪費し、婚期を逃してしまった。
(同じく婚期を逃している私が言うのもなんだけどね・・・)

今、年齢的に釣り合いが取れるフリーの男性の中では、ウィリアムが一番条件が良い相手だ。

私も、夜会などで、彼女がウィリアムに執拗に付き纏っている姿を、何度か目撃した事がある。
その度に、ウィリアムはかなり迷惑そうに断っていたのだ。


つまりウィリアムは、ナタリアとは結婚したくなかったのだろう。
でも、格上である侯爵家から正式に婚約の打診をされてしまえば、断るのはちょっと難しい。
たったら、アボット家と同じ家格のロブソン家と先に婚約を結んでしまい、それを理由に断れば良いと考えたのだろう。


「・・・・・・なーんだ。
やっぱり、私と結婚したかった訳じゃないのね」

私は俯き、小さく呟いた
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

村娘あがりの娼婦ですが、身請けされて幸せです

春月もも
恋愛
村を飛び出して王都に来たリリアは、いまは高級娼婦として生きている。 ここは通過点のはずだった。 誰かに選ばれて終わる物語なんて、わたしには関係ないと思っていたのに。 触れない客。 身体ではなく、わたしの話を聞きに来るだけの商人。 「君と話す時間を、金で買うのが嫌になった」 突然の身請け話。 値札のついた自分と向き合う三日間。 選ばれるのではなく選ぶと決めたとき、 通過点は終わりになる。 これは救いではなく対等な恋の話。

前世の私は重い女だったので、今世は恋なんてしません。

ありま氷炎
恋愛
前世は余りにも夫が大好きで、愛が重すぎた。 だから捨てられた。 なので生まれ変わった今は、恋なんてするつもりはなかったのだけど……。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです

珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。 でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。 加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。

【完結】旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

たまこ
恋愛
 エミリーの大好きな夫、アランは王宮騎士団の副団長。ある日、栄転の為に辺境へ異動することになり、エミリーはてっきり夫婦で引っ越すものだと思い込み、いそいそと荷造りを始める。  だが、アランの部下に「副団長は単身赴任すると言っていた」と聞き、エミリーは呆然としてしまう。アランが大好きで離れたくないエミリーが取った行動とは。

婚約破棄の帰り道

春月もも
恋愛
婚約破棄を宣言されたその日、彼女はただ静かに頷いた。 拍手の中を背筋を伸ばして歩き、令嬢としての役目をひとつ終える。 やがて醜聞にまみれ、「傷物」「行き遅れ」と囁かれながらも、 薔薇と風だけを相手に庭でお茶を飲む日々。 気品だけを残して、心はゆっくりと枯れていく。 ――そんな彼女の前に現れたのは、 かつて身分違いで諦めた幼馴染、隣国の若き王だった。 「迎えに来た」 静かな破滅の先に訪れる、軍を率いた一途な求婚。 これは、声を荒げずにすべてを覆す、上品な逆転劇。

遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)

スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」 唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。 四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。 絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。 「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」 明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは? 虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!

貧乏子爵令嬢ですが、愛人にならないなら家を潰すと脅されました。それは困る!

よーこ
恋愛
図書室での読書が大好きな子爵令嬢。 ところが最近、図書室で騒ぐ令嬢が現れた。 その令嬢の目的は一人の見目の良い伯爵令息で……。 短編です。

処理中です...