【完結】理想の人に恋をするとは限らない

miniko

文字の大きさ
2 / 14

2 婚約者との交流

しおりを挟む
「ふふ。あの時のミゲルは酷かったわよね。
本当に、とんでもない男と婚約する事になっちゃったと思ったわ」

私は、今でも度々あの時の話を持ち出しては、ミゲルを揶揄う。

「ホント、もうやめて。
全面的に僕が悪かったから」

ミゲルは顔を赤らめて、気まずそうに謝る。

貴族学園の入学を控えたある日、私達はあの時と同じガゼボで、今日もお茶を飲みながら、婚約者同士の交流を図っている。
あの日ガゼボの周りに咲いていたコスモスは、今は菜の花の黄色い絨毯に変わっていた。

彼にとってあの日の発言は黒歴史になっている。
所謂、若気の至りって奴だ。
私はそれを、笑顔で容赦なく抉る。
しかし、あの日の屈辱もだいぶ薄れてきたから、そろそろこの話題は封印してあげても良いかもしれない。


あれから3年半が過ぎ、私達の仲はと言うと・・・大方の予想に反して、意外と上手くいっている。
最初は険悪だったが、あの発言のせいで、お互い言いたいことを言い合える関係になったのが、逆に良かったのかもしれない。
今ではすっかり砕けた口調で話せる仲だ。
だからと言って、感謝する気にはなれないが。


「ところで、ミゲルはもう選択科目、決まったの?」

ジンジャークッキーに手を伸ばしながら、会話を続ける。

「えっ?僕もナディアも領地経営科でしょ?」

「うーん、それも良いんだけど・・・。
将来、二人でべニート伯爵家を盛り立てるなら、領地経営を学ぶのは一人で充分じゃないかしら?
片方が、農業科とか商業科とかの勉強をしておけば、領地内の農業改革をしたり、商会を興して資金を作ったり出来るかも・・・」

私が〝農業科〟と言った所で、ミゲルが胡乱な目になった。

「農業科の畑って、騎士科の訓練場が見える位置だろ?」

普段より一段低い声で、問いかけられる。

「何故バレた?
いや、正直それもちょっと嬉しいなとは思ったけど、でもメインは農業改革の方なのよ?」

「ナディアの言う事も一理あるけど、一緒に領地経営を学んだ方が、片方が勉強に躓いた時に教え合ったり出来るでしょ」

「・・・・・・」

「ナディア、今、教えるとか面倒臭いって思っただろ?」

・・・・・・何故バレた?

「ん?」

素知らぬ顔で小首を傾げてみるが、

「可愛子ぶって、誤魔化そうとするなよ」

誤魔化されてくれても良いじゃないか。

「でもまあ、そうね。
じゃあ、私も領地経営科にするわ。
もし婚約が解消されて、他の家に嫁ぐ事になっても、役立つ可能性が高いものね」

「は?」

ミゲルが綺麗な顔を不満そうに歪める。

「いや、だって、家の事情が変わって婚約解消なんて、今時は珍しくも無いでしょう?」

「そうだけど・・・」

そうなのだ。

ひと昔前までは婚約解消すると、特に女性側は傷モノ扱いされたりして不利益を被ったのだが、近年では家の事情が変わったりして解消されるのは、よくある事だ。
寧ろ、両家の利益のバランスが崩れたら、早めに婚約解消するのが普通である。

自由恋愛も増えてきて、他に好きな異性が出来たからと、婚約を解消するケースまで、チラホラと出てきている。
時代は変わったなぁ。

だから、私たちの結婚も、決まっているようで決定事項ではない。


いつ婚約が解消されても、おかしくは無いのだ。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

殿下の愛しのハズレ姫 ~婚約解消後も、王子は愛する人を諦めない~

はづも
恋愛
「すまない。アメリ。婚約を解消してほしい」 伯爵令嬢アメリ・フローレインにそう告げるのは、この国の第一王子テオバルトだ。 しかし、そう言った彼はひどく悲し気で、アメリに「ごめん」と繰り返し謝って……。 ハズレ能力が原因で婚約解消された伯爵令嬢と、別の婚約者を探すよう王に命じられても諦めることができなかった王子のお話。 全6話です。 このお話は小説家になろう、アルファポリスに掲載されています。

私と貴方の報われない恋

梨丸
恋愛
田舎の男爵家の少女、アーシャには好きな人がいた。 家族同然の幼馴染を好きになってしまったアーシャの恋は報われない……。 主な登場人物 アーシャ  本作の主人公 フェルナン アーシャの初恋 ※アーシャ編とフェルナン編の二編を投稿します。 ※完結後も番外編を追加するかもしれないです。 11/3 完結いたしました。 11/4HOTランキング入りしました。ありがとうございます。

優柔不断な公爵子息の後悔

有川カナデ
恋愛
フレッグ国では、第一王女のアクセリナと第一王子のヴィルフェルムが次期国王となるべく日々切磋琢磨している。アクセリナににはエドヴァルドという婚約者がおり、互いに想い合う仲だった。「あなたに相応しい男になりたい」――彼の口癖である。アクセリナはそんな彼を信じ続けていたが、ある日聖女と彼がただならぬ仲であるとの噂を聞いてしまった。彼を信じ続けたいが、生まれる疑心は彼女の心を傷つける。そしてエドヴァルドから告げられた言葉に、疑心は確信に変わって……。 いつも通りのご都合主義ゆるんゆるん設定。やかましいフランクな喋り方の王子とかが出てきます。受け取り方によってはバッドエンドかもしれません。 後味悪かったら申し訳ないです。

すれ違ってしまった恋

秋風 爽籟
恋愛
別れてから何年も経って大切だと気が付いた… それでも、いつか戻れると思っていた… でも現実は厳しく、すれ違ってばかり…

愛する人のためにできること。

恋愛
彼があの娘を愛するというのなら、私は彼の幸せのために手を尽くしましょう。 それが、私の、生きる意味。

沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―

柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。 最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。 しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。 カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。 離婚届の上に、涙が落ちる。 それでもシャルロッテは信じたい。 あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。 すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。

【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜

よどら文鳥
恋愛
 伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。  二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。  だがある日。  王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。  ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。  レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。  ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。  もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。  そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。  だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。  それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……? ※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。 ※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

処理中です...