10 / 24
10 田舎の暮らし
しおりを挟む
「もうすぐ結婚という、こんなタイミングで、こんな事になってしまうなんて・・・・・・。
もう・・・貴女にはどうお詫びすれば良いか」
「お気になさらないで下さい。
最初から、サミュエル様の症状が完治した場合は、婚約を解消する可能性があったのですから、問題ありません」
そう。
魔力の器の修復方法が見つかれば、私はお払い箱になるのだろうと思っていた。
最初から、婚姻前に症状が完治した場合には、婚約を検討し直すという約束だったから。
流石にこんな形で婚約解消になるとは思っていなかったが・・・。
息子の為に涙目になりながら、必死で頭を下げる公爵夫妻を、これ以上責める事なんて出来るだろうか。
何より、責めたところで、事態が好転する訳でも無いのだ。
対外的には、婚約破棄ではなく、穏便に解消したという形を取ったが、スタンリー公爵家からハミルトン子爵家には、目ん玉飛び出そうなくらいの額の慰謝料が支払われた。
そんなに受け取れないと思ったが、
「慰謝料と言うよりも、今まで協力してくれた対価だと思って欲しい」
と言われれば、素直に受け取らざるを得ない。
これから公爵夫妻は、息子のしでかした事の後始末に奔走するのだろう。
ご両親にこんな心労をかけるなよ、とサミュエル様に対しては余計に怒りが湧いたけれど。
彼はもう少し思慮深い人間かと思っていたが、恋が人を愚かにすると言うのは、どうやら本当だったらしい。
サミュエル様は使節団の帰国と共に、隣国へと渡ってしまった。
私とサミュエル様、そして隣国の聖女による恋愛劇は、すぐに面白おかしく噂される事だろう。
社交の席で、ない事ない事言われるのは勘弁して欲しい。
そうなる前に、私は子爵家の田舎の領地に引き篭もる事にした。
空が青いわー・・・・・・
風が心地いいし、空気が澄んでいるし、遠くで小鳥の囀りや小川のせせらぎが聞こえる。
田舎暮らし、悪くない!!
領地の中でも一番自然豊かな場所にある小さな別荘に、最少人数の使用人を引き連れて生活をしている私は、テラスでのんびりお茶を飲んでいた。
手元のカップから漂うカモミールの良い香りに、さらに心が癒される。
毎日必死で気付かなかったが、サミュエル様を支える生活は、私にとってもかなりのストレスだったみたい。
そりゃそうだよね。
3時間毎に起こされて魔力提供させられるわ、いつでもサミュエル様の容体が悪くならないように気を使うわ、サミュエル様のファンから厭味を言われるわ・・・・・・。
いや、ホントにあんまり良い事なかったな。
離れてみて初めて気が付いたわ。
あんまり考えない様にしてたしね。
今、別荘の中は戦場のように、使用人達がてんやわんやで動いている。
明日、ソフィー様がこちらにやって来ると先触れが届いたせいだ。
客人など滅多に来ないこの場所に、侯爵令嬢がやってくるのだから、そりゃあ皆んな慌てるよね。
ソフィー様は、突然王都からいなくなった私を心配してくれたらしい。
やはり持つべき物は友達だ。
実は先日、ウェイクリング様からも花束が届いた。
私の体調などを気遣ってくれる内容のお手紙が添えられていて、とても嬉しかった。
婚約を報告した時に感じた不穏な空気は、やはり勘違いだったかもしれない。
「お嬢様、明日のお茶菓子はこちらの内容でよろしいですか?」
侍女が私に確認を求めた。
「大丈夫・・・あ、いえ、ソフィー様はチョコレートがお好きだから、追加で用意してちょうだい。
天気が良かったら、お庭にお席を用意してね」
指示を出しながら、メモを返す。
私だけのんびりしていて、申し訳ない気もするが、私がいても邪魔なだけだろう。
確認くらいしか出来ることはないのだから。
もう暫くは、皆んなの邪魔をしないように、大人しくお茶でも飲んでいよう。
明日ソフィー様に会えるの楽しみだな・・・・・・。
もう・・・貴女にはどうお詫びすれば良いか」
「お気になさらないで下さい。
最初から、サミュエル様の症状が完治した場合は、婚約を解消する可能性があったのですから、問題ありません」
そう。
魔力の器の修復方法が見つかれば、私はお払い箱になるのだろうと思っていた。
最初から、婚姻前に症状が完治した場合には、婚約を検討し直すという約束だったから。
流石にこんな形で婚約解消になるとは思っていなかったが・・・。
息子の為に涙目になりながら、必死で頭を下げる公爵夫妻を、これ以上責める事なんて出来るだろうか。
何より、責めたところで、事態が好転する訳でも無いのだ。
対外的には、婚約破棄ではなく、穏便に解消したという形を取ったが、スタンリー公爵家からハミルトン子爵家には、目ん玉飛び出そうなくらいの額の慰謝料が支払われた。
そんなに受け取れないと思ったが、
「慰謝料と言うよりも、今まで協力してくれた対価だと思って欲しい」
と言われれば、素直に受け取らざるを得ない。
これから公爵夫妻は、息子のしでかした事の後始末に奔走するのだろう。
ご両親にこんな心労をかけるなよ、とサミュエル様に対しては余計に怒りが湧いたけれど。
彼はもう少し思慮深い人間かと思っていたが、恋が人を愚かにすると言うのは、どうやら本当だったらしい。
サミュエル様は使節団の帰国と共に、隣国へと渡ってしまった。
私とサミュエル様、そして隣国の聖女による恋愛劇は、すぐに面白おかしく噂される事だろう。
社交の席で、ない事ない事言われるのは勘弁して欲しい。
そうなる前に、私は子爵家の田舎の領地に引き篭もる事にした。
空が青いわー・・・・・・
風が心地いいし、空気が澄んでいるし、遠くで小鳥の囀りや小川のせせらぎが聞こえる。
田舎暮らし、悪くない!!
領地の中でも一番自然豊かな場所にある小さな別荘に、最少人数の使用人を引き連れて生活をしている私は、テラスでのんびりお茶を飲んでいた。
手元のカップから漂うカモミールの良い香りに、さらに心が癒される。
毎日必死で気付かなかったが、サミュエル様を支える生活は、私にとってもかなりのストレスだったみたい。
そりゃそうだよね。
3時間毎に起こされて魔力提供させられるわ、いつでもサミュエル様の容体が悪くならないように気を使うわ、サミュエル様のファンから厭味を言われるわ・・・・・・。
いや、ホントにあんまり良い事なかったな。
離れてみて初めて気が付いたわ。
あんまり考えない様にしてたしね。
今、別荘の中は戦場のように、使用人達がてんやわんやで動いている。
明日、ソフィー様がこちらにやって来ると先触れが届いたせいだ。
客人など滅多に来ないこの場所に、侯爵令嬢がやってくるのだから、そりゃあ皆んな慌てるよね。
ソフィー様は、突然王都からいなくなった私を心配してくれたらしい。
やはり持つべき物は友達だ。
実は先日、ウェイクリング様からも花束が届いた。
私の体調などを気遣ってくれる内容のお手紙が添えられていて、とても嬉しかった。
婚約を報告した時に感じた不穏な空気は、やはり勘違いだったかもしれない。
「お嬢様、明日のお茶菓子はこちらの内容でよろしいですか?」
侍女が私に確認を求めた。
「大丈夫・・・あ、いえ、ソフィー様はチョコレートがお好きだから、追加で用意してちょうだい。
天気が良かったら、お庭にお席を用意してね」
指示を出しながら、メモを返す。
私だけのんびりしていて、申し訳ない気もするが、私がいても邪魔なだけだろう。
確認くらいしか出来ることはないのだから。
もう暫くは、皆んなの邪魔をしないように、大人しくお茶でも飲んでいよう。
明日ソフィー様に会えるの楽しみだな・・・・・・。
108
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
今更困りますわね、廃妃の私に戻ってきて欲しいだなんて
nanahi
恋愛
陰謀により廃妃となったカーラ。最愛の王と会えないまま、ランダム転送により異世界【日本国】へ流罪となる。ところがある日、元の世界から迎えの使者がやって来た。盾の神獣の加護を受けるカーラがいなくなったことで、王国の守りの力が弱まり、凶悪モンスターが大繁殖。王国を救うため、カーラに戻ってきてほしいと言うのだ。カーラは日本の便利グッズを手にチート能力でモンスターと戦うのだが…
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる