特進クラスのふざけかた

やすを。

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10話 ボッチ解放の一歩

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 あれから1週間がたちがたち、毎日のように彼女と会っていた。家に漫画を読みにきたり、勉強を教えてもらったり、教えたり。その中でうちに母親と仲良くなって、イジリがより面倒臭くなっていた。

 今午前八時。僕が何をしていているのか、教えてあげよう……。聞いて驚け! 僕は今外出の準備をしているのさ!

 ふん……、この僕にようやくこの時が来たんだ。僕がボッチから解放される瞬間が!!

 「キー君、何1人でボソボソ言ってるの? キモいよ……。」

 「なんとでも言うがいい……。やっと僕がボッチの檻から出られたんだ。もう何も怖いものなんかないんだよ。」

 「まあキー君、本当に友達少ないもんね……。」

 「事実でも、言っていいことと悪いことがあるぞ!」

 「これ言っていいやつじゃないの?」

 「なことあるか!?」

 僕は高校一年の時から、友達がほとんどいなかった。たしかに話してくれる男子女子はいたが、友達と呼べる人は一握りだった。

 うちの高校は特徴的に男女の距離が遠い。だから普通クラスでは、男女が一緒にいる場面にあったことがなかった。だからこのクラスに来て驚いたし、羨ましくもあった。

 僕の中学時代が普通クラスでの環境と被っていたかと考えれば、決してそんなことはなかった。仲良い女子はクラスに数人いたし、週末は毎日のように近所の公園とか遊園地とか、時には遠出した時もあった。それだけ人に困ってこなかった。

 それがこの学校に入ってから崩れ去ってしまった。

 だから僕は陰キャじゃない! ただ環境が悪いだけなんだ! って言い訳してきた。

 そんな僕が今日、友達の家に遊び行く。もう死んでもいいかもな……。僕に思い残すことはもうない……。

 「えっ? キー君の幸せ度低くない?」

 「そうか?そんな事もないと思うけど…………つうか、なんで僕の心の声を読んだわけ?」

 「へへへ……。私の手にかかればこんなもんよ!」

 「なんか怖いんだけど……。」

 プライバシーがあったもんじゃないな。彩白の前で大事なこと考えるのやめよ……。

 そんなことを考えながら支度を済ませ、僕は彩白と共に家を後にした。その時母さんから、「独り言すごいわよ?」と言われ、彩白をじっと見たのは少し面白かった。

 これから僕が向かう場所。それは真斗の家。聞いたところによると、ゲームの揃いが異次元で何日入り浸っても飽きないそうだ。

 だから、みんなの恰好の遊び場になっているのだろうが、傍迷惑な話だ。

 僕らは近くのスーパーでお菓子を買い、リュックに詰めていく。

 「キー君宿題持ってきたの?」

 「うん。ダメだった?」

 「いや、真面目すぎて引いてるだけ……。」

 「うわっ……ガチじゃん。」

 「だって遊びにいくときに宿題って、だいぶやばいでしょ。」

 まあ、持ってきたのは単純に『時間があればやろう。』位気軽に考えてたから、まさか引かれるとはね。

 「宿題を早く終わらせたいんだよね。」

 「君、宿題が何かちゃんと分かっているのかね……?」

 宿題の意味? それはさ長期休みの期間、勉強をちゃんとやってもらうために出してる課題でしょ?

 「まあ、なんとなく。」

 「なんとなくじゃ、あかんのですよ…………。それにはちゃんと意味があるの! それを考えなきゃいけませんよ!」

 おいおいおい……。

 「キャラ被りしてるぞ……。情熱キャラは拓人のもんなのに、何て女だ……。」

 「確かにそれは良くなかったね……作者!! ちゃんとしてこう!!」

 「別に作者悪くないぞ? 彩白がそんなこと言わなきゃよかった訳じゃんか。」

 「違うもん! 私悪くないもん!」

 「幼稚園児か!! 高校生なんだからちゃんと認めなさい!」

 僕らはスーパーを後にし、炎天下の中、ボケツッコミを続けていくのだった。
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