特進クラスのふざけかた

やすを。

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11話 パーティーゲームは世知辛い

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 「お邪魔しまーす!!」

 「遅いぞー! もう始めてるからな!」

 奥のリビングと思われる方から、真斗の声が聞こえてきた。他にも何人かいるらしくハシャぐ声が聞こえてきた。

 家に来てびっくりしたけど、外見普通の一軒家だったが色々と設備が凄い。キッチンの用具とか機械類の揃いがパッと見でえげつなかった。

 「やっと来たな! 桃鉄やるから彩白と輝波、コントローラー持って!」

 「お、おい……! 真斗唐突すぎるって……!」

 「葉月、白のコントローラー貸して。私が殺戮ショーを見せてあげよう…………。」

 「待って、僕初めてだから誰か助けて…………!」

 しかしここから始まったのは、全員分のジュースをかけたデスゲーム。10年決戦で、コンピューター無しのガチンコ対決。正直終わったと思ってます!!

 今日のメンツは、家主の真斗と僕、彩白、そして拓人と葉月が来ていた。まずこの戦いはジャン負けの拓人が余りとして僕の補佐に入ってくれた。

 「おい、輝波の番だぞー! 早くしろー!」

 「キー君遅いって!」

 「ちょっと待ってよ……、今考えてんだからさ! 拓人、教えてよ……!」

 始まったばっかだけど、もう勝負ついたようなもんだよこれ。他の3人はなんか手慣れてるっていうか、熟練度が全然違う気がする。あー、今月出費痛いな……。

 そして4時間後、決着はついた。

 「やったー! 私の勝ちよね! はあ……この快感は◯◯◯―と一緒だわ……。」

 「おい葉月……。お前本当女子なんだよな?」

 「当たり前じゃない! 私、◯ん◯んついてないもん!」

 「そう言う意味で言ってんじゃないねえんだよな…………。本当、キャラブレしねえなお前。」

 「まあね、変態キャラでやってますから!」

 落ち着いた、少しゆっくりの話し方が特徴の葉月は、こういったノリが多い。声は聞いていて眠くなりそうな位、気持ちいい声をしていた。

 「さあ、罰ゲームを受ける人は…………」

 即席のドラムロールを挟んで、真斗は最下位の人物の名前を読んだ。

 「-300億円の輝波君でーす!! おめでとうございまーす!」

 「これさ、ゲームだけど落ち込むよね……。」

 「しょうがないよ。君は実力がないんだからさ!」

 「真斗さんや、それ笑顔で言うことかな……?」

 「まあ、事実だし。」

 そうだけどさ、キツイよ……このメンツで初心者が戦うのは。そりゃ負けるよ。ルールすら知らなかったんだし。なんだよキングボンビーって! ボンビー星って! 借金300億って逆に凄いよね。

 そう前向きに捉えようと努力しながら、僕は近くのコンビニに向かった。その間、他の4人で2回戦を始めた様子だった。

 「ただいまー。」

 「お、早かったな。」

 玄関に入ると、真斗がトイレに向かっている様子だった。

 「まあな。で、試合の方はどうなってんの?」

 「まだ一年目終わってないくらい。」

 「分かった。あのさ僕宿題やってていい?」

 「お前真面目すぎだろ……。遊びに宿題持ってくるってヤバいぞ……。」

 「……それ彩白にも同じこと言われた。やっぱそうなんだな。」

 「ああ。そりゃ友達できない訳だわ……。」

 「一言余計じゃい!! で、やっていいの?」

 「別にいいぞ。ソファの後ろの机でやってて。まだ3時間くらいかかるから。」
 
 「ん。了解!」

 そうして、僕は4人がはしゃいでる後ろで、様子を見ながら宿題を黙々とこなしていった。

 「じゃあ、買ってくるなー! すぐ戻ってくるぜ!」

 どうやら今回の敗者は拓人のようだった。結果はかなり拮抗していて、誰が罰ゲームの対象になってもおかしくなかった。

 「輝波。やるぞー!」

 「おけー。何やんの?」

 「今度はこれだ!!」

 「えっ、またパーティーゲームなの?」

 「人がいる時はこっちの方が盛り上がるだろ。だったらこっちの方がいいじゃん。」

 「なんで、こう言う時だけまともなこと言うんだよ!」

 「なんとなく? まあ、なんでもいいからさ、やろうぜ!」

 真斗は半ば強引に残った3人を参加させた。言った通り盛り上がりはしたが、終わったのは夜遅く。僕がトイレに行ってる隙に、葉月と彩白が寝てしまった。

 ゲームのしすぎで疲れて寝るって、小学生みたいなことしてんな。まあ、起きるまでほっとくか。

 「そういえば、真斗の両親は帰ってこないの?」

 「ああ。今日は2人とも仕事遅くなるって。だから何時までいてもいいぞ!」

 「いや、流石に迷惑だろ……とは思うけど、彩白がこんなんじゃ無理だな。」

 「1人で帰ればいいじゃん。もしかして、寂しすぎてできない感じ?」

 「ちゃうわ!! 1人でも帰れるけど、帰ったら彩白に怒られるんだよ。」

 「うわ、何そのカノカレ感。やっぱ1人で帰って?」

 「えっ、なんで? つうか、カノカレ感ってなんだよ!」

 真斗は嬉しそうに僕をいじる。それは僕も嬉しかったのだが、少し引っかかったことがあった。

 「両親いない時間が長いとさ寂しくないのか?」

 少し行きすぎた質問かなと思ったけど、それは思い過ごしだった。

 「もう慣れたな。寂しいのかな? ……もう分かんないや。」

 そう真斗は笑って言うが、その笑顔はどこか寂しげに見えた。気にせいなのか?

 「両親の事はどう思ってんの?」

 僕がそういうと彼は嬉しそうに語り出すのだった。
 

 

 



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