特進クラスのふざけかた

やすを。

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13話 何気ない1日

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 夏休み期間に入って、彩白が毎日のように僕の部屋に訪ねてくるようになった。

 彩白の両親の反応が知りたいのだが、彼女曰く言っていないらしい。

 恐らくだけど、この事を報告したら、母親から怒られる未来が待っているのは、火を見るよりも明らかだった。

 「ねえ、この量の漫画って誰が買ったの?」

 「全部僕のお小遣いから。」

 「えっ!? もしかしてキー君の親、金持ち?」

 「違うよ! 他のことに使ってないだけで、もらってる量もあんまり変わらないと思うけど。」

 「本当に? いくらもらってんの?」

 「二千円かな? そんくらい。」

 「えっ、私より少ないんだけど……。」

 「嘘だろ!? 何にそんなお金使ってんだよ。」

 「使い道ないから貯めてる。」

 「……なんか高校生なのに貯金て、一段階大人の階段登ってるような気がするな。」

 まあ、大人が貯金してることは訳が違うからなんとも言えないけど。高校生なら、もっと自分の好きなことにお金使うのが普通な気がするよ。

 「あっ、でも参考書とか買ってるよ。」

 「なあ、彩白さんや……」

 「どうしたんだい?」

 「……使い道が悲しすぎる気がするのは、僕の気のせいだと思うかい?」

 「いや、私もね高校生らしくないなって、凄い思うよ……。真斗の話とか聞いて、ちょっと悲しくなるからさ。」

 これは相当厳しいですな、彼女のお母さんは。僕の想像を絶する程だよ。

 「輝波さんや、でもそれ私だけじゃないだわ。」

 「えっ……そうなの?」

 「残念ながら、特進クラスにはね結構そういう人いるのよね。」

 彼女は僕のベッドに寝転がりながら、僕の漫画を読んでいた。

 読みながら、僕の話を聞いて話しているようだった。

 「私はね、キー君。」

 「どうしたんですかい、先生。」

 「私はね、この残酷な現実に反旗を翻したいよ。」

 「そうですね、そんな現実あんまりですから。妥当な意見だと思われます!」

 「ふむ。そう思ってくれるかね、君は。」

 僕は自分の勉強机を背後にして、椅子に座りながら話しをしていた。

 「ええ、僕たち特進生も1人の高校生。ゲームしたいし、課金したいし、漫画買いたいし、女子だったらメイク道具とか欲しいだろうし。買いたいものって一杯あると思うんですよ。」

 「なるほどね。君にしてはいい考えを持っているじゃないの。」

 なんで上からなの? 分からないけど、一緒の考え方なのは間違えなさそうだ。

 「ありがとうございます。僕はですね、あなた様の生徒ですから、あなたの考えが染み込んでるんですよね。」

 「何と! それはいい事だね! 私も鼻が高い!」

 あれ、使い方合ってる? あんま考えずに喋ってるな、本当に!

 「ねえ、キー君。」

 「うん、どうした?」

 あれ、強制的にノリが潰されたんだけど。頑張って繋げてきたのに、そんな簡単に壊しちゃうの?

 そう思って、残念な気持ちを抱いた。

 そして、どうしてかここから真面目な話に突入していくのだった。

 

 

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